徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

おてもやんの誤ったイメージ

2019-08-19 20:32:37 | 音楽芸能
 世界大百科事典第2版(平凡社)には民謡「おてもやん」について次のような説明が書かれている。

ユーモラスでとぼけた方言まじりの歌詞で有名な熊本の民謡。1935年赤坂小梅がコロムビアレコードに吹き込んで以来,広く流行して全国的な人気民謡となり、とくに花柳界でお座敷歌としてうたわれた。各地の花柳界でうたわれていた騒ぎ歌《本調子甚句》が熊本に入って《熊本甚句》とよばれたが、最初の一句をとって《おてもやん》の曲目名で定着したものである。不美人の主人公おてもやんのちょっと開きなおった言いぐさが楽しい。

 これを読んで不可解なのは、「不美人の主人公おてもやんの…」のくだりである。民謡「おてもやん」の歌詞をちゃんと読んでもらえばわかると思うが、おてもやんが不美人であることをうかがわせるような言葉はどこにも出て来ない。それではなぜ、おてもやんは大げさな赤チークだったり、眉毛が太かったりという、いわゆる「おてもやんメイク」のイメージになったのか。それは戦後の昭和30年代、隆盛を極めていた「肥後にわか」に登場するおてもという娘が、器量は悪いが気立ては優しいというキャラクターだったことが影響しているようだ。2006年に小山良先生(故人、小山音楽事務所主宰)の著書「くまもと人物紀行 おてもやん」が出版されることにより、作者が永田イネであることやおてもやんのモデルが富永トモ(チモ)であることが広く世に知られることとなった。トモさんは割と背が高く小奇麗な方だったようだ。

 さて、今週21・22日に行われる劇団ひまわりの音楽劇「おてもやん -トモ・イネ物語-」には、ビックリするような美人のおてもやんが登場します。ぜひご覧になってください。




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