徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

よみがえる悪夢

2019-08-29 18:17:08 | ニュース
 九州北部を中心に降り続く記録的な大雨が各地に甚大な被害をもたらしている。佐賀県大町町では鉄工所の工場から大量の油が流出。流出した油量は最大で約8万リットルに達し、六角川下流の広範囲にわたり、油が流れ着いており、その対策に追われているというニュースが流れた。このニュースを聞きながら、48年前の悪夢がよみがえった。

 1971年、玉名に建設中の工場がまもなく操業を開始するという3月下旬、集中豪雨に見舞われた。その豪雨は完成間近の新工場にとんでもない事故をもたらした。重油タンクの送油機構がダメージを受け、重油を大量に菊池川に流出させたのだった。事故発生が夕方ですぐに暗くなり、被害の実態を確認できなかったが、川にオイルフェンスを張るなどの応急処置が行われた。翌朝になって唖然。流出口から河口付近まで約4㎞にわたり、両岸とも真っ黒い重油でベッタリと覆い尽くされていた。それからは操業開始を延期し、従業員総出で中和剤を使っての河岸清掃の日々が始まった。その一方、直接の被害者である漁業関係団体との補償交渉が始まった。中でも深刻だったのは養鰻組合。シラスが壊滅的な被害を受けていた。養鰻組合からの要求は金銭補償に加え、シラスの現物補償。総務部門にいた僕は上司とともにシラスの買い付けに仲買業者を走り回る羽目となったのである。


1級河川 菊池川