この野仏は、平安時代の閨秀歌人、檜垣嫗(ひがきのおうな)が、白川の辺りから、信仰する岩戸観音へ閼伽の水を供えるため日参したと伝えられる山道の胸突き八丁に鎮座まします仏様。近くに湧水が流れている。檜垣嫗の足もとがふらつき、水桶の水をこぼしこぼし登ったので誰が言ったか「檜垣のこぼし坂」と呼ばれる難所。「法界廻向(ほうかいえこう)」と刻まれているが、昔はこの辺りで行き倒れになる人もいたのだろう。「無縁の人であれ成仏を祈って供養を行う」という意味のようだ。天保十三年壬寅(みずのえとら)と刻まれているので、江戸後期の1842年に建てられたものとみられる。
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