のら猫の三文小説

のら猫が書いている、小説です。
質問があれば
gmailのnaosukikan
まで連絡ください

新しい子猫たち No.299

2014-11-11 00:00:58 | 新しい子猫たち 
紡績の会社分析は、ジブ総研の企業分析研究所としても一大事だった、幹部が極秘に分析して、陽一と相談して進められた。

結果は呆れる程、総資産利益率は低い、事業している意味がほとんどない。財務本部と研究所だけ残して、後は全ての社員をクビにしたら、利益は変なファンドよりも高いが、それでも、神之助とは違い、人間たちのやる事で、固く固く取引するので、財務本部の運用利益率も少なく、神之助の債券運用チームに任せたら、利益は数倍、いや5倍は固いと云うものだった。

意外な事に、総資産利益率は、二郎が社長の時に最大となり、今の紡績の豊富な現預金を築いたのは二郎だった。

営業売上は低迷していたが、営業利益はそこそこあるように確保していた、利益率の高い製品群の売上比率をすこしつづ増やしていた。紡績は営業利益のほとんどは社員に回すが、その他の金融事業などの利益は、一定比率をその配当に回していた。

一定比率そのものは維持していたが、詳しく調べると海外に資産会社を作り、その会社からの運用依頼として、利益の多くをその資産会社に回していた。

紡績は二郎が社長の時に、海外に紡績の直営店を出したが、その直営店はでっかいビルの中にあって、ビル買うための資金として称して、ごっそりと出して、ビル買う金はそんなに使わず、残りをタックスヘイブンの資産管理会社の運用資金として、その金の一部は紡績の財務本部の運用に流れた。そして直営店の入っているビルの所有名義も資産管理会社名義だった。

海外の直営店は、ニューヨークとロンドンに作ったが、それぞれ繁華街のビルだったので、家賃も入っていた、それも資産管理会社の収入になった。洋服屋の収入なんぞはしれていたので、みんな気が付かなかった。それでも紡績の直営店はそれぞれ有名になって、洋服屋としては儲かっていた。海外での宣伝効果もあった。海外の資産管理会社は金が貯まっていた。二郎の細かい工夫だった。

この資産管理会社の収入は、財務本部の利益に計上してはいなかった。

清太郎は豊富な現預金を使って新規事業計画をいくつも同時並行で検討させていたが上手くいっているとはいえなかった。総資産利益率では悪化していた。それが伸びてきた。

今度の騒動で、紡績が得たのは、特許を買い戻した事はほんの一部で、清太郎が考えていた新規事業が進めだしたのが、最も大きな成果だといえた。冶部レーヨンの精鋭たちを使い、営業部隊まで手に入れていた。

子会社の実質的な責任者となっていた、冶部レーヨンの元役員たちも頑張って、子会社を大きくしようとしていた。そして総資本利益率も改善していると云う報告だった、そしてアメリカのもっと大きな会社との協力関係も進みだしていた。

香奈は洋太郎と話をしたが、洋太郎は細かい数字には無関心だった。

清太郎が、紡績の心を丹羽君の中に見つけてくれた、その方が大きいですよ。二郎を過小評価していたのかもしれないね。ぼんやりの二郎は仮の姿で色々と頑張っていてくれていたんだね、清太郎もそれを感じ出してくれた、ジブ総研の分析には感謝しているよ。紡績はこれで、ナントカ維持できるよ。後は清太郎たちが考える事だね、

清太郎には父の洋之助譲りの策謀が強すぎる、あれが紡績の命取りにもなりかねないと危惧していたけど、丹羽君を見て、清太郎も紡績の心を取り戻してくれた

と洋太郎は言った。

香奈は笑っていた。

洋太郎さんも昔、そう言われていたのよ。それが変ったのよ。