のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.292

2014-11-04 00:01:49 | 新しい子猫たち 
二郎はナンダカンダと冶部レーヨンの経営に口を入れた。思いいれは強かった。ただ二郎が好意を持っていた冶部レーヨンの社長は退任する時に、次の人は、紡績支配から離れて自由に経営できるように考えて、アメリカの有名な化学の会社から、人をヘッドハントして社長にした。


コイツは優秀だったが、元々いた外資の化学の首脳からある秘密命令を受けていた。

二郎は冶部レーヨンに好意的だったので、紡績の中央研究所からの特許を冶部レーヨンにとって、極めて有利なような契約にしていた。二郎は管理出身で、紡績としての法務を一手に引き受けていた。


冶部レーヨンが大きく伸びたのは、紡績の中央研究所が画期的な発明を次々として、それを冶部レーヨンに、特許そのものの再配布権、独占的使用まで認めた契約を作って、研究体制が整っていなかった冶部レーヨンがその果実を手に入れていた。

その特許群を持っている事で、技術の冶部レーヨンとかほざいている事ができた、特許料は、紡績がごっそりと取ったが、この特許は数多かったが、ほとんどは基本的な特許が多く、競争相手がナニかしようとすると、この特許に触れた。


その外資は、基本的な特許の一つが欲しかった。後十年程で、切れるがその前に、その基本的な特許を一部含んだ、もっと革新的な特許を申請する事にしていた。その前にも紡績の中央研究所、つまり紡績から冶部レーヨンにほとんど譲渡に近い形でも与えられている特許を手に入れたいと思っていた。


冶部レーヨンの各工場は、紡績から借りていた特許を使用していたが、特許によっては、複数の工場が使用していたが、狙っていた特許は、極めて初期から借りていて、しかも今は若干時代遅れになって、一つの工場でしか使用していなかった。しかもその工場は赤字操業だった。


コイツは、考えた。その特許自体はもう古く、その特許を元に冶部レーヨンで製造している製品は赤字だった。競争力もなくなっていた。外資の考えていた工夫を加えれば、復活する事は判っていたが、それは秘密だった。その特許を使って製造していた工場も古かった。紡績の研究所は革新的な工夫には気がついていないと思っていた。


実は紡績の研究所では、外資が考えていたよりももっと革新的な発明をしていたが、自分たちが発明していた基本特許に幾つか触れた。紡績の研究所は冶部レーヨンに対して、好意的ではなく、好意的だった二郎は、副会長になっていた。


紡績から冶部レーヨンに貸してしまうと、紡績でさえ使用できにくなる事に、紡績の研究所長も清太郎も不満だった。紡績の研究所長は、社長の清太郎と話していた。清太郎は今までの紡績の枠を超えて、化学繊維を含めた大紡績につくり変えようと思っていた。


新しい冶部レーヨンの社長は、この今では古ぼけた工場を切り離して、この工場に、反抗的な奴らを集めて、その工場に狙っていた特許をオマケにつけ、反抗分子を一掃する事を考えていた。


工場を切り離し、売却すれば、自然と特許もオマケになった。場所が離れていると配転に従わない奴らには追い出し部屋においやる事にもした。場所は一緒だったが、何も仕事を与えない特別部署を作り、冶部レーヨンの今後を考えよと云う課題を与える。雇用は大切だけど、自発的に辞めるようにすればいいだけだった。


社内にも、反抗分子に手を焼いていた部門もあった。なまじ優秀なだけにタチが悪いと考えていた。そういう役員にアピールできた。


紡績の古めかしい、雇用は大切とかの呪文からも離れる事が出来るとささやいた。


冶部レーヨンには、紡績と化学からの派遣された役員がいた。元々紡績の子会社だったが、化学の技術も使用できるように、洋之助は化学からも出資を貰い、役員も出してもらっていた。時代はすぎたが、依然として、紡績と化学から役員が派遣されていた。


紡績からの役員は

雇用は会社の基本と云う紡績の理念に真っ向から反対するような、この計画に反対した。配転を断る奴には、追い出し部屋も用意するなど、洋太郎が聞いたら、激怒しますよと言って反対した。

化学からの役員も反対した。

化学は紡績とは違い、雇用は大切ではあるが、人にはそれぞれ特徴がある。その人にあった自由な働き場所を提供するのが会社だ、それが本当の純子の考えだと云う、化学には化学なりの考え方があった。優秀だが反抗的な人は、むしろ希少価値があって、化学はそういう人を重用して伸びてきた。化学の精神に反するといって反対していた。