のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.296

2014-11-08 00:00:33 | 新しい子猫たち 
冶部レーヨンの役員たちへの処置は、過酷だった、計画に賛成した役員は選任されれなかった。
役員をクビになったら、子会社の役員になるのが普通だったが、今度は何の話もなかった。

社長だった奴と一人の役員だった奴を除いて、二郎に泣きついた。二郎は恩きせて、紡績の伝統に従って、今後行動するよねと念を押して、子会社の役員ではなくて、単なる部長の席を用意した。紡績は清太郎が新規事業を模索して投資するものの、紡績ではなかなか事業計画が進まなかった、それを子会社として運営して、上手くいったら役員にする、それは君たち次第だよと二郎は言った。単なる名誉職、ハンコしていれば、いい仕事ではなかった。



もとの社長はどうしてもダメと思っていた。それに秘密指令だしていた、外資の化学の社長もクビになっていて、二人で善後策を練っていた。

泣きつかなかったもう一人の奴は、取締役営業部長で、まだ若く次の冶部レーヨンを担う奴と思われていたが、役員でもあったが社員でもあった。

営業部長は解任されて、晴れて追い出し部屋の住人になった。追い出し部屋の部長は、総務部長兼任で、部屋にはいず、ぽつんと一人で机も一つと言う部屋で、新聞読む日が続いた。電話とネットに繫がったパソコンは、コイツの追い出し部屋構想ではなかったが、あまりに可哀想といわれて、追い出し部屋にはあった。アダルトにつなぐのはご法度と言われてたがそれ以外では制限はなかった。

VIP転職を試みたが、あっさりと最後に断れて、洋太郎に直訴状を出した。こいつはしぶとく洋太郎に手紙だすまで、10日間も追い出し部屋にいた。突然追い出し部屋の電話がなって、二郎からの電話だった。直ぐに敷地内の洋太郎の家に来い、話は総務部長にも通しているから直ぐに来いと言う電話だった。


洋太郎の家と言っても、二郎の家でもあったが、二郎が出てきて、洋太郎に直訴するのはご法度だよ、洋太郎は紡績の象徴だから、手紙に返事できない。昔なら、打ち首にも当たる大罪だよとか脅かしたが、洋太郎はアホな冗談はどっかの国だけの話でいいとすぐに本題に入った。


前の社長の特許売り飛ばしての計画を話して、それに加担していたのはどういう理由からだい。追い出し部屋なんぞどうして考えたとか聞かれた。特許売り飛ばしの本音は見えませんでした、僕の短慮でした、追い出し部屋がいかに非合理なものか身をもって知りました。紡績の伝統の有難さを身をもって知りましたとか答えた

独立して、完全に子会社になった、会社の営業部の次長になって、やり直す積もりがあるかい、営業部長は化学からきてもらったけど、忙しいらしい。地位は下がるけど、それでもやる気はあるかい

と聞かれた。

今更人の下になるのは面白くないとはおもったけど、追い出し部屋にいるよりはマシだち思って、お受けしますと言った、それから明日、あの子会社に行って、部長から話聞いてねと言われた。

子会社に行くと、営業部長室はドーン大きな部屋だった。そこには、化学の営業担当の副社長がいて、化学の会長の側近といわれて、次の社長と言われる人が座っていた。

営業部長「会長からほんの数日といわれていたのに、君はよく頑張ったね。僕は忙しいから、ここの仕事は本当に出来ないんだよ。君は地位として次長だけど、部長格だから、製造部長と同格で、ここのトップとも言える一人だからね、紡績の御大の怒りが解ければ、正式の人事ができるからね。

社長は紡績の清太郎さんの兼任だから、まずこない。技術の部長は紡績の研究所長の兼任で、これまた来ない。管理グループも部長は紡績の部長兼任で普通はいない、ここの前の工場の時の総務課の課長が仕切っている。ここは部長会議が事実上の意思決定機関で、君はその一人だからね。月に一回、営業成績と活動報告を僕にしてくれたらいい、実際には君が製造の部長と話をして決めるのだよ。ここは工場が独立して会社になったから、営業とかの組織は、未熟だし、会社として成り立つかは君が考えていくしかない。技術は紡績の研究所が全面的に協力する事になっているけど、研究者たちだから、営業的な感覚は弱いんだよ。いわば、君が会社をリードしていくしかないんだよ。この部屋はもう君の部屋で勝手に使ってくれ。」

製造の部長と言っても、前の工場長なので、製造関係のまとめはできるけど、作った物を販売していく、紡績の研究所が考えている先進的な発明をどうやって営業ルートに乗せていくかは、こいつの手腕にかかっていた。それに部下は反抗的だと云って、冶部レーヨンから追い出した奴らだった。

みんなにナンダカンダと言い訳をして、みんなの前で土下座までして、ナントカこの会社も起動にのり始めたが、技術といっても、先進的な紡績の研究所と現場を繋ぐ力は弱かった。