甲斐さんは、チャーリー・ワッツが亡くなった時に…「ストーンズを聴いてると
16っぽいビートのチャーリーのグルーヴの仕方が、キースとピッタリ合ってるんで…
今後、心配なのは、こう…キースがもう辞め…
ひょっとしたら、もうチャーリーがいないんで…チャーリーがいるから、キースがやってたんで…
えー、まっ(ドラマーが)スティーヴ・ジョーダンになって、どうなるのか?ということでね」
…と話されてましたが、その直後のツアーに関しては
ジョーダンをメンバーに予定通り敢行されましたし
甲斐さんが、前回の「LEGENDS」で「このタイミングで出るか!?」と驚かれていた
「ライブ アット エル・モカンボ」のリリースもあったし
存続が危ぶまれていたストーンズが、ナンとか「60周年」を迎えたということで
キース・リチャーズのインタビュー記事です♪
「(キースの)ギターにおける引き算の美学について」と訊ねられると
「音楽を絵画に置き換えて考えてみてくれ」とキース
「絵を描く時、キャンバスを絵の具で塗り潰すことはしないだろ?そこには表情が必要だ
つまり、沈黙が俺のキャンバスなんだ
音楽で面白いのは『演奏しない箇所』だ。結局、全ては何もない沈黙から始まる
音楽は、その上で小さくノックしてるに過ぎない」と
「早弾きや轟音で音を埋めることが流行った時代でも、音を際立たせる余白を好み
そのラフで奥行きのある音空間は、聴く者への強い引力を持ち続けてきた」
唯一無二のギタリストらしい言葉で答えてます
80年代後半に、ミックとキースが、それぞれソロ活動を始めた頃が
「ストーンズの歴史において、最も解散に近づいた時期だった
ミックとの関係は悪化していたが、わだかまりっていうのは、乗り越えてしまえばそれまでだ
ミックとはもう離れられない腐れ縁だ。今も仲良くやってるよ
ミックと俺の間に交わされるエネルギーがあって
それが、俺とミックを一緒にさせて、何かをさせる
たとえ、本人たちはそうしたくないと思っていたとしてもね(笑)」
…って、イヤイヤ!60年ものつき合いなんて
もう家族どころか、親類縁者以上の関係でしょ?(笑)
そして…「チャーリーは、俺のエンジンだった。チャーリーは、俺を自由にしてくれた
彼がいれば、リズムのことを頭で考えることなく、延々と弾けた
彼がいないのは本当に寂しいよ。しばらくは、これで終わりだと本気で思っていた」ものの
「ストーンズは前に進み続けるんだ。何ものも俺たちを止めることは出来ない」と語り
チャーリーが生前に演奏していた5~6曲を元にした新しいアルバムについては
「ローリング・ストーンズは、どうしたってローリング・ストーンズだ
つまり、言えるのは、なかなか良い曲だよっていうことだ」と明かし
最後は「ストーンズとしてギターをプレイする
これからも長くそうしていければと思っているよ。だって、俺に他に出来る仕事は何もない
優秀な水道屋でもないから、水漏れ一つ、修理することも出来ないからね」と結ばれていて
奥さんは、甲斐さんがビルボードツアーのMCで…
「ライブをやるってことは、シンプルなことで
ステージで、客に向けてブッ放す!それだけなんだけど
ライブをやることって、思ってる以上に大事だという気がしてます
出来るだけ長くやりたい」と、おっしゃったことと重ね合わせたらしく
甲斐さんを始め、甲斐バンドのメンバーの皆さんの年齢や
甲斐さんより少し年上のミュージシャンの方々が、ライブ活動引退を表明されていることなどを考えると
いずれは「その日」が来ることは避けられないとしても
また、いくら「オリジナル甲斐バンド」にこだわりがある(笑)とはいっても
やっぱり、どんな形であれ「甲斐さんが歌い続けてくれることが一番!」と痛感したようです
ちなみに…その「表明」をなさってる?と言われた中島みゆきさんについては
田家秀樹さんが「表現したいことが山ほどある人ですから
ツアーは難しくても歌い続けるはずですよ」とコメントなさってました
そういえば、甲斐さんとも親しい仲でいらっしゃる構成作家の寺崎要さんが
ご自身の担当された番組のパーソナリティーの皆さんに
「なぜ、ラジオで喋るのか?」という質問をなさったところ
「きっとこれが正解だろう」と思われたのが、みゆきさんがおっしゃった
「伝えたいことがあるから」という言葉だったと話されていたことがあったような気が…?
また、佐藤剛さんが「まず自分自身を追求していくだけ
歌を人に聞かせてやるとか、与えてやるという思い上がりはイヤね
生きている自分を確かめていることで、結果的に共鳴が得られるのは嬉しいことですけど…」
…という、かつてのみゆきさんの言葉を紹介なさっているんですが
この言葉には「甲斐よしひろの正体を知りたくて活動を続けている」という
甲斐さんのスタンスに通じるものを感じました
そのみゆきさんと双璧で語られることが多い松任谷由実さんの言葉についても
佐藤さんは「デビューした時にインタビューで答えてくれた言葉と、50年間全く何も変わっていません
最初からソングライターとしての視座を確立していました
改めて、心からの拍手を贈りたい」とツイートなさって
「単発のヒットよりも、スタンダードをどれだけ持てるか
そこが勝負ですよね、作家としては…」というユーミンの言葉を紹介されてましたけど
今の「J-POP」の礎となった「ニューミュージック」界を語る上で欠かすことの出来ない
このお二人の女性アーティストについて
甲斐バンドと浅からぬご縁のあったライターお二方が話されているのを拝見すると
皆さん、そういう考え方やスタイルというか
揺るぎない根幹を持った世代の方々だったんだなあ…って、ボクもその世代のはずなんだけど…?(苦笑)
そうそう!その佐藤さんのツイッターでもう1つ…
「ブラジルって、音楽の国って言われるけど
あそこは、みんなが先達のことをすごく尊敬してるでしょ
自分が歌う曲は誰が作ったものに影響されているということを表明するの
誰が作ったかってことを忘れないんだ、彼らは…」
…という細野晴臣さんの言葉もアップなさっていて
音楽というものは、ある日突然に降って湧くものではなく
若いミュージシャンたちが影響を受け、リスペクトする相手…
レジェンドと呼ばれるミュージシャンたちにもまた、そうした存在がいて
インスパイアされて誕生した曲のエッセンスみたいなものが
何十年も何百年も、歌い奏で継がれて行くんだということを改めて強く感じますねぇ…
ただ…甲斐さんや松藤さんが、大いに盛り上がっていらした「ザ・ビートルズ:Get Back」
…の公式写真集(日本語版)が大好評だったシンコーミュージック・エンターテイメントが
「イカ天」の放送開始と同時期に創刊し、33年に渡って親しまれて来た
ギター雑誌「GiGS」を休刊したのは、ネットに押され、広告媒体としての力が低下した上に
若者のギター離れが、大きく響いたためみたいです(汗)
バンドブームの追い風に乗って、若年層をターゲットに約20万部を発行し
同社の中高年向けのギター雑誌「YOUNG GUITAR」と共に高い人気を誇っていたのが
ブーム収束後は部数が低迷、広告収入もCDの売り上げ低迷でレコード会社が広告予算を削減したり
WEBサイトやSNSを通じて、楽器店が自ら宣伝するようになったり
コロナ禍の中、半導体不足でギターメーカーの新作発表が滞って
メーカーからの広告出稿も落ち込んだり…といった状況に加え
近年の若年層には「バンドをやろう」「ギターを弾こう」という人間が少なく
今や、ギターは「年齢が高い人の楽器」となり
「ギター雑誌は、何十年も同じ人が表紙を飾るというような状態が続いている」らしく
かつては「音楽を始める時の選択肢は、まずギター」だったのが
近年は、米津玄師さんやYOASOBIさんみたいに
PCやスマホで音楽制作を行う人気ミュージシャンの方が増えたため
「GiGS」も「10~30代をある程度捨てて」
40代以上をターゲットに、ベテランを取り上げることが続き
最新号でも、30年のキャリアがあるL'Arc~en~Cielを特集し、ほぼ完売したものの
このまま行くと「YOUNG GUITAR」と読者を奪い合う形になってしまう
…といった理由もあって、休刊を決めたとのことですが
甲斐さんが「ビリー・アイリッシュは、ビートルズの『ホワイト・アルバム』が一番好きなんだ!」
…と言い切っていらしたくらい、その影響を受けている一方で
例えば、バンドを組んだり、ステージを重ねたり…
といった、いわゆる「叩き上げ」スタイルではなく
お兄ちゃんのベッドルーム・スタジオで、ふたりで作った曲を
サウンドクラウドにアップするという形で、世間の注目を集めた訳で
「歌い奏で継ぐ」ことと、そのアプローチの仕方の斬新さとのギャップは
この先もどんどん大きくなって行くような気が…?
余談ですが…海外のレジェンドたちが、自作曲の著作権を売却している件について
音楽出版社「フジパシフィックミュージック」の朝妻一郎会長が解説なさっている記事を拝見すると…
著作権の売買自体は、1920年代にトーキー映画が登場した際に
「映画で音楽を流すと、映画も音楽もヒットする」と気づいた映画会社が
曲の権利を持つ音楽出版社を買収したことに始まり
テレビが台頭した際も同様に、買収した音楽出版社が所有する曲をテレビ番組で演奏させ
その後、レコードに収録して販売して、テレビの演奏使用料やレコードの録音使用料を稼ぎ
サブスクで音楽を楽しむのが主流となった現在は
過去の曲を聴く頻度が劇的に増加、著作権使用料も急増しているということで
過去のヒット曲を多数抱えるビッグネームの楽曲に注目が集まっていて
また、世界的な低金利時代の中、行き場を失った投資マネーが、著作権の投資価値に気づき
今後、新たな音楽メディアが登場するなどして、市場が拡大することを見越して
著作権に特化した投資ファンドを生み出したそうです
当のミュージシャンたちが、今後入って来るはずの著作権収入を手放し
まとまった資金を手に入れているのは、彼らの多くが高齢で
遺産整理や長期的に見た税金対策といった意味合いがあるんじゃないか?
また、彼らのバックにいるビジネスマネージャーが、何か新しい投資につぎ込むのでは…?
…という風に説明なさったあと「大切なのは、曲のメンテナンスです
我々は、作家との契約で著作権を預かり、その著作権が1円でも多く収入を上げるよう
映画やテレビで使って貰ったり、新しいアーティストにレコーディングして貰ったりと
あらゆる努力をし、世に知らしめる義務がある
つまり、大切なのは、曲への愛です
配信サービスで曲を再生させて終わりではなく
その曲の魅力を広く世に知らしめるべく『演出』する
その役目を音楽出版社が果たしている。そこが今、問われてますね」とおっしゃっていて
甲斐さんのサブスク解禁後に、何か「演出」されればいいなあと…