ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

コインロッカー・ベイビーズその2

2016-07-10 11:41:00 | 日記
このミュージカル鑑賞は若干、不純な動機…甲斐さんがモデルだという
「ハシ」見たさ…が、なきにしもあらずとはいえ(笑)

かつて奥さんが原作を読んだ時には
「独特な歌唱力を持つロック・ミュージシャン」との設定以外
「甲斐さん」を感じさせる点が見当たらず(苦笑)

どちらかと言えば「破壊衝動に駆られる」キクの方が
甲斐さんに近いんじゃないかと思ったらしい(笑)

甲斐さんご自身も、村上龍さんから
新作の主人公の一人のキャラ設定をお聴きになって
「俺はオ○マじゃねぇ!(笑)」と訴えておられたり(笑)

「20代の頃は、いつも不機嫌だった」とおっしゃってたように
「生意気」だとか「反逆児」だとか呼ばれていらしたり(笑)
お酒の上での武勇伝(笑)もおありだったりと攻撃的なイメージが…(失礼!)

ただ、原作を読まれた方の中には
「ハシは、ドアーズのジム・モリソンを想起させる」と
おっしゃる方も少なくないみたいで
かつて甲斐さんが「似てる」と言われたミュージシャンの名前が挙がるからには
何らかの理由があるのかも知れません(笑)

10代に読んだ原作を思い出しながら
この舞台を観た奥さんの理解力を信用するなら
「コインロッカー」は、キクとハシにとって第二の子宮であり
その意味では、二人は「双子」の兄弟

実際、それぞれのキャラ設定に始まり、つき合う女性のタイプや
その生き方や辿る運命も全て「対」をなしていて

例えば、キクには若いアネモネがいて、ハシは年上のニヴァと結婚する
ハシがトップスターとして輝いている時、キクは刑務所に入っていたり

キクが「ダチュラ」を手に入れ世界を変えようとしている時
ハシは精神を病んで、ニヴァを刺してしまう…といった風に
対照的に描かれているらしいんだけど

「コインロッカーの中には何でもあり、不自由はしない」という表現の通り
「コインロッカー」とは、人間を閉じ込めている「現実の社会」で
「少しでも自分の力で何かしようとすると妨害され無駄に終わる」

「欲求に従って進むと壁に突き当たる。壁によじ登り、跳ぼうとすると
壁のてっぺんでニヤニヤ笑っている奴らが、俺たちを蹴落とす
気を失って、目を覚ますと、そこは刑務所か精神病院だ」という言葉の如く
双子たちは人生を送っているんだとか…

運命を受け入れようとするハシと
運命に逆らおうとするキク
それぞれのパートナーであるニヴァとアネモネを演じられた
シルビア・グラブさん、昆夏美さんの「女子会」トーク(笑)が
パンフレットに掲載されてるんですが

「何か危険が迫った時に守ってくれそうなのはキク(笑)」だとか
「ハシは甘え上手な[人たらし](笑)」だとか(笑)
お二人とも「究極の選択」ならキクの方がいい(笑)と…

当のハシ役の橋本良亮さんは
「ハシはDと出会うまで、掴み所のない[幽霊]みたいだった
やり方はどうであれ、ハシに生きることを教えたのはDで
次に母親のようなニヴァに会って、魂が入った感じがする」とおっしゃってます

まあ、奥さんによれば…ハシが甘えているというより
周りの人間が、ハシを放っておけなくて世話を焼いてるんじゃないかと…(笑)
じゃあ「アマチュア時代からチューニングをしたことがない」という
末っ子愛されキャラの方に似てるような気が…?(笑)

それにハシの中には、自分が歌うことによって
みんなが幸せになって欲しい
人が喜ぶ顔が見たいという思いがあるそうだし
そういう「演者」としての気持ちは
当時、全国津々浦々を回っておられた某バンドの方の考えに近いんじゃないかと…

ともあれ、原作に忠実に…というか上下巻に及ぶ長編小説を
約2時間の舞台にまとめるためには
「重要な場面」をセレクトして繋いでいるという感じだったみたいで

以前にご紹介した「ラジオドラマ」で、ボクの一番印象に残った場面
…ハシ役の沢田研二さんが、プロの歌手として
「魅力的な声」を手に入れるために「舌の先」をチョン切るシーン…は

アルコール・ランプやハサミ、ガーゼなどを用意するのではなく
「舌を噛み切る(汗)」ことになっていたらしいんだけど

確かに、ラジオだと「道具」の名前を淡々と読み上げるだけで
その狂気の様子が一層、鬼気迫る感じなのに対し

3Dになると、そんな小道具の一つ一つまで見えないだろうし
ステージに膝立ちで、舌を突き出し
荒い息づかいか〜ら〜の声にならない悲鳴…
ステージの床に上半身を突っ伏す様子は
「ハラキリ」にも似た儀式のように見えたという

ただひとつ、奥さんが残念に思ったのは
「声がキレイ過ぎる」とバンドメンバーに責められた揚げ句
死にそうな思いをして手に入れた「声」で
スターダムにのしあがって行くという設定なのに
その新しい「声」で、観客を魅了する場面が物足りなかったこと(汗)

…って、原作や脚本など「文字」では
「他に比べる者など存在しないカリスマ」とか
「誰にもマネ出来ない歌い方」という風に書けるけど
これを生身で表現するのは至難の業でしょ?(苦笑)

それでも、音楽監督の長谷川雅大さんは
「これまでなかったものを歌う人」に相応しい曲を書かれたそうだし

橋本さんは「僕の歌声を知ってる方に[いつもと違う]とか
[聴いたことのない歌声だ]と言われた」とおっしゃってますし
鑑賞前に「A.B.C_Z」の曲を聴いてみた方が良かったのかも知れませんね(笑)

そうそう!キク役の河合郁人さんは
ご自身が歌われる劇中歌について、歌唱指導の先生から
「歌に性格が出ちゃって、言われた通りに正しく歌おうとし過ぎてる
もっと台詞として歌っていい」と言われて

「A.B.C_Zのメンバーは、下積みが長過ぎて(笑)
与えられたものをしっかりやるということが
染みついちゃってるんでしょうね」と…(笑)

でも「もっとキクとして歌って、それを大事にしてさえいれば
歌が多少崩れたっていいんだ」と思うようになられたんだとか…

キクの歌は「叫ぶようなロックって言いますか
でもアメリカン・ロックとは違う
沢田研二さんの楽曲のような古き良き感じもあって
すごく好きなテイストです」とおっしゃってるんですが

この話をお聴きになったローリーさんいわく…
あ〜、河合さん、おそらく知らないでそれ言いましたよね
多くのジュリーの楽曲のギターを弾いてるのが
(音楽監督の)長谷川さんの師匠の井上堯之さんですよ!直系ですよ

長谷川さんも「河合くん、すごいね、ちゃんと嗅ぎ取ったんだね
彼とそんな系譜の話をしたことないもん」と驚いておられました(笑)

そのローリーさんは、さすが本職だけあって
【オシャレせなあかん】という関西弁の歌も(笑)
エレキギターを弾きながら歌われた
【燃え尽きて、黒焦げに】という曲もバッチリで
歌い終えられた後には、拍手が起こったそうです

奥さんのイチオシは、アネモネがキクへの愛情を歌った曲で
「生きているなら、抱きしめてあげる
死んでいるなら、抱きしめてあげる
死んだように生きているなら、私が殺してあげる」…といった歌詞らしい

【殺してあげる】なんて物騒なタイトルだけど
歌に関しての拍手は、この曲が一番大きかったんだとか…

そうそう!前述の女子会トークの中で…
「アネモネは、キクと対等というか
何なら、ちょっと上から見てるところもありますよね
キクって、実はドMだったりして」と昆さん

すると、シルビアさんが「SとMの話なら
ウチの旦那(高嶋政宏さん)が…」と食いつかれ(笑)

高嶋さんは「SともMとも、本当は分けられないんじゃないか
MがSに、ムチで叩いて下さい、もっと強く!
もっとチャンと打って下さい!って
お願いなのか、命令なのか、その境界が…
結局、どっちがSなんだよ(笑)」と話されてたと紹介されてました(笑)

何だか、ものすごく深いような気がします(笑)
コメント
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