この甲斐バンドの機関紙シリーズに手を染めた(笑)のは
そもそも表紙に掲げられた「シビレる言葉」に惹かれたからなんですが
その「言葉」も今回の1984年1月号が最後になっています
まあ、これは、創刊から2周年を迎え
内容を「かなり変えてみよう」という編集部の意向によるものらしい
で、そのラストを飾った言葉は
ボブ・ディランの【窓からはい出せ】の歌詞
「窓からはい出しておいで。自分の手と足を使って。危なくなんかない。
帰りたくなったら、いつでもアイツのところへ戻っていい」
この曲に限ったことじゃないけど、ディランの歌詞は難解というか…(苦笑)
この歌詞もサラッと読めば、人の彼女にモーションかけてる男のセリフ(笑)
でも、もちろんWミーニングな訳で(笑)
「はい出す」のは、故郷か、家庭か、仕事か、社会秩序か、常識か
それとも自分自身の過去?自分を縛っている足枷なのか?
解釈は人それぞれで良いのかなあと…
甲斐さんがお好きなディランの言葉
「違う、私は抵抗し、素早くツバを吐く
コトバという武器で、素朴な歳月を転がり続けて来た曲に包み…」の他にも
ディランの名言には事欠きません
甲斐さんがオリジナルを書き始められたきっかけは
「自分の聴きたい音楽を誰も作ってくれなかったから」だそうですが
ディランいわく…僕が歌を書き始めたのは
どこにも歌いたい歌が見つからなかったから…(笑)
あるインタビューで「なぜ自分の歌を作り始めたかといえば
自分が歌いたいことを誰も歌っていなかったから」と甲斐さん(笑)
続けて「あの頃から変わっていないものがあるなら
人前で歌う時の姿勢かな
誰も僕のことなど知らない、その歌を自分が作ったことすら忘れて歌うこと
そうすると、頭を空っぽにして歌えるから」と話されてるんだけど
ディランいわく…いつも誰も僕の歌なんて
聴いたことがないんだと思って演奏してる
そうしないと当たり前と思い込んでしまうから
歌を歌っている時は
これは僕が書いた曲だなんてことは一切考えない
…と、照和で弾き語りをなさっていた頃から
ディランのスタイルに影響を受けていらしたんでしょうね?
ともあれ…引き続き、ディランの「シビレる言葉」を…
マイルス・デイビスはブーイングを浴びた
ハンク・ウィリアムズはブーイングを浴びた
ストラヴィンスキーもブーイングを浴びた
君もたまにブーイングを浴びないと何者でもなくなる
ブーイングは素敵だ。逆に優しさが人を殺す場合がある
人が言うことをいちいち気にするな。心が死んでしまうから
客が何を望んでいるかなんてことを考えながらステージに立つのは止めよう
客が望むのはみな同じではないし
わずかな拍手を貰える以外には何の価値もない
別のものに忠実になっただけさ
人の期待に沿うようなボブ・ディランであることは大変だけど
ボブ・ディランでいること自体はカンタンだ
どんなレッテルを貼られても構わない。歌うためなら
最高の演奏はステージ上で生まれる
大切なのは観客に届くことだ
歌とは誰かが育てるものではなく、それ自身の力によって育つ
僕はみんなと同じでありたいとも、好かれたいとも思わない
僕にはヘンな癖があるけど捨てなかった。それが僕の個性だから
ヒーローとは、自分の自由に伴う責任を理解している人のことだ
すべての美しいものの陰には、何らかの痛みがある
君の立場になれば君が正しい。僕の立場になれば僕が正しい
朝起きて夜寝るまでの間に
自分が本当にしたいことをしていれば、その人は成功者だ
神に祈るのもいい。でも、何の足しにもならないよ
日々、生まれ変わるのに忙しくない人は、日々、死ぬのに忙しい
人は本当は男や女を探し求めている訳じゃなくて
自分の内側に潜んでいるものを目覚めさせてくれる人を探しているんだ
生きることは悲しいよ。生きることは騒ぎだよ
…などなど枚挙に暇がございませんが、あと一つだけ
「言葉は色んな意味を持ち、10年後には違う意味になる」
でも、少なくとも上記の言葉はまだ古びてない気がします
そのディランの曲と同じ名前のアルバム
「ラブ・マイナス・ゼロ(ノー・リミット)」のジャケットに
びっしり敷きつめられた英語の「ことわざ」について…
「まず、その言葉の響きが好きだったからね」と甲斐さん
「タイトルはずっと決まってなかった
滲み出て来るものが一番自然、そういう感じで出て来た」そうですが
BIGGIGの前からイメージなさっていた
「都市の野生」というキャッチコピーを冠され
「ハードボイルドのスピリッツを叩き込んだ」このアルバムと
ディランが、この曲の中で歌っている
「逆もまた真なり」というモチーフがシンクロした結果らしい
「ディランは、矛盾した真理の表裏を並べて歌にしてる
そこの部分が現在に適合してる感じを持った
そして、この言葉の持つナイーブな甘さとヒリヒリした辛さ
明るい材料なんて歌おうと思ってなかった。夢とか希望じゃない
そこが[逆もまた真なり]で
ある種、リアルなものを訴えるだろうし
逆に夢とか希望を垣間見させるかも知れない
どん底でリアルなものを歌うんだと…」
「このモチーフに沿って、ことわざをズラーッと入れたのは
[逆もまた真なり]というのは
それくらいしないと非常に判りにくいだろうということでね
3,000くらいの中から42個選んで
ディランの[時代は変わる]じゃないけど
今のビリは次のトップだ、今のトップは次のビリだ、とか
彼独特の言い回しの中に
また別の意味で一つの真理が浮き出て来る」と話されてます
ちなみに、甲斐さんのお気に入りの「ことわざ」は
「アナスタシウス・グリューンというオーストラリアの詩人が言ってる
[仕事をしながら歌うのはいい。それは労働に刺激を与える
だが、歌うことを仕事とするな。靴の底が鉛のように重くなる](笑)」
「今[ミステリーの書き方]という本を
まるで取りつかれたように読んでる
その本の中で、ロス・マクドナルドが言ってる
[朝起きて、何も書く材料がない。書きたくない
でも、書かなきゃいけない。そのためにはどうするか?
まず、机の前に座ることだ](笑)」
…書くことを仕事にしなくて良かったです(笑)
余談ですが…このアルバムの発売当時
奥さんもご多分に漏れず(笑)この英文を翻訳したらしく
その時のレポート用紙が資料の中にあって、ニヤリとしてしまいました(笑)
もちろん、和訳された「ことわざ」もニヤリとするものが多くて
「夫婦は一体だが、ポケットは別」とか(笑)
「金と良心は反比例する」とか(笑)
「美しい女は世間のもので、醜い女は君だけのもの」(笑)
でも、「暗がりの中では、女はみな同じ」とか(笑)
「恋はある点で、野獣を人間にし、他の点で、人間を野獣にする」
そして、候補から外されたのか?
ジャケットには載ってないんだけど…
フランスの政治家・ラ.ロシュフコーの言葉
「真実の愛は幽霊のようなもの
誰もがそれについて話すが、それを見た人はほとんどいない」(笑)
「ほとんど」ってトコがリアルですね(笑)
そもそも表紙に掲げられた「シビレる言葉」に惹かれたからなんですが
その「言葉」も今回の1984年1月号が最後になっています
まあ、これは、創刊から2周年を迎え
内容を「かなり変えてみよう」という編集部の意向によるものらしい
で、そのラストを飾った言葉は
ボブ・ディランの【窓からはい出せ】の歌詞
「窓からはい出しておいで。自分の手と足を使って。危なくなんかない。
帰りたくなったら、いつでもアイツのところへ戻っていい」
この曲に限ったことじゃないけど、ディランの歌詞は難解というか…(苦笑)
この歌詞もサラッと読めば、人の彼女にモーションかけてる男のセリフ(笑)
でも、もちろんWミーニングな訳で(笑)
「はい出す」のは、故郷か、家庭か、仕事か、社会秩序か、常識か
それとも自分自身の過去?自分を縛っている足枷なのか?
解釈は人それぞれで良いのかなあと…
甲斐さんがお好きなディランの言葉
「違う、私は抵抗し、素早くツバを吐く
コトバという武器で、素朴な歳月を転がり続けて来た曲に包み…」の他にも
ディランの名言には事欠きません
甲斐さんがオリジナルを書き始められたきっかけは
「自分の聴きたい音楽を誰も作ってくれなかったから」だそうですが
ディランいわく…僕が歌を書き始めたのは
どこにも歌いたい歌が見つからなかったから…(笑)
あるインタビューで「なぜ自分の歌を作り始めたかといえば
自分が歌いたいことを誰も歌っていなかったから」と甲斐さん(笑)
続けて「あの頃から変わっていないものがあるなら
人前で歌う時の姿勢かな
誰も僕のことなど知らない、その歌を自分が作ったことすら忘れて歌うこと
そうすると、頭を空っぽにして歌えるから」と話されてるんだけど
ディランいわく…いつも誰も僕の歌なんて
聴いたことがないんだと思って演奏してる
そうしないと当たり前と思い込んでしまうから
歌を歌っている時は
これは僕が書いた曲だなんてことは一切考えない
…と、照和で弾き語りをなさっていた頃から
ディランのスタイルに影響を受けていらしたんでしょうね?
ともあれ…引き続き、ディランの「シビレる言葉」を…
マイルス・デイビスはブーイングを浴びた
ハンク・ウィリアムズはブーイングを浴びた
ストラヴィンスキーもブーイングを浴びた
君もたまにブーイングを浴びないと何者でもなくなる
ブーイングは素敵だ。逆に優しさが人を殺す場合がある
人が言うことをいちいち気にするな。心が死んでしまうから
客が何を望んでいるかなんてことを考えながらステージに立つのは止めよう
客が望むのはみな同じではないし
わずかな拍手を貰える以外には何の価値もない
別のものに忠実になっただけさ
人の期待に沿うようなボブ・ディランであることは大変だけど
ボブ・ディランでいること自体はカンタンだ
どんなレッテルを貼られても構わない。歌うためなら
最高の演奏はステージ上で生まれる
大切なのは観客に届くことだ
歌とは誰かが育てるものではなく、それ自身の力によって育つ
僕はみんなと同じでありたいとも、好かれたいとも思わない
僕にはヘンな癖があるけど捨てなかった。それが僕の個性だから
ヒーローとは、自分の自由に伴う責任を理解している人のことだ
すべての美しいものの陰には、何らかの痛みがある
君の立場になれば君が正しい。僕の立場になれば僕が正しい
朝起きて夜寝るまでの間に
自分が本当にしたいことをしていれば、その人は成功者だ
神に祈るのもいい。でも、何の足しにもならないよ
日々、生まれ変わるのに忙しくない人は、日々、死ぬのに忙しい
人は本当は男や女を探し求めている訳じゃなくて
自分の内側に潜んでいるものを目覚めさせてくれる人を探しているんだ
生きることは悲しいよ。生きることは騒ぎだよ
…などなど枚挙に暇がございませんが、あと一つだけ
「言葉は色んな意味を持ち、10年後には違う意味になる」
でも、少なくとも上記の言葉はまだ古びてない気がします
そのディランの曲と同じ名前のアルバム
「ラブ・マイナス・ゼロ(ノー・リミット)」のジャケットに
びっしり敷きつめられた英語の「ことわざ」について…
「まず、その言葉の響きが好きだったからね」と甲斐さん
「タイトルはずっと決まってなかった
滲み出て来るものが一番自然、そういう感じで出て来た」そうですが
BIGGIGの前からイメージなさっていた
「都市の野生」というキャッチコピーを冠され
「ハードボイルドのスピリッツを叩き込んだ」このアルバムと
ディランが、この曲の中で歌っている
「逆もまた真なり」というモチーフがシンクロした結果らしい
「ディランは、矛盾した真理の表裏を並べて歌にしてる
そこの部分が現在に適合してる感じを持った
そして、この言葉の持つナイーブな甘さとヒリヒリした辛さ
明るい材料なんて歌おうと思ってなかった。夢とか希望じゃない
そこが[逆もまた真なり]で
ある種、リアルなものを訴えるだろうし
逆に夢とか希望を垣間見させるかも知れない
どん底でリアルなものを歌うんだと…」
「このモチーフに沿って、ことわざをズラーッと入れたのは
[逆もまた真なり]というのは
それくらいしないと非常に判りにくいだろうということでね
3,000くらいの中から42個選んで
ディランの[時代は変わる]じゃないけど
今のビリは次のトップだ、今のトップは次のビリだ、とか
彼独特の言い回しの中に
また別の意味で一つの真理が浮き出て来る」と話されてます
ちなみに、甲斐さんのお気に入りの「ことわざ」は
「アナスタシウス・グリューンというオーストラリアの詩人が言ってる
[仕事をしながら歌うのはいい。それは労働に刺激を与える
だが、歌うことを仕事とするな。靴の底が鉛のように重くなる](笑)」
「今[ミステリーの書き方]という本を
まるで取りつかれたように読んでる
その本の中で、ロス・マクドナルドが言ってる
[朝起きて、何も書く材料がない。書きたくない
でも、書かなきゃいけない。そのためにはどうするか?
まず、机の前に座ることだ](笑)」
…書くことを仕事にしなくて良かったです(笑)
余談ですが…このアルバムの発売当時
奥さんもご多分に漏れず(笑)この英文を翻訳したらしく
その時のレポート用紙が資料の中にあって、ニヤリとしてしまいました(笑)
もちろん、和訳された「ことわざ」もニヤリとするものが多くて
「夫婦は一体だが、ポケットは別」とか(笑)
「金と良心は反比例する」とか(笑)
「美しい女は世間のもので、醜い女は君だけのもの」(笑)
でも、「暗がりの中では、女はみな同じ」とか(笑)
「恋はある点で、野獣を人間にし、他の点で、人間を野獣にする」
そして、候補から外されたのか?
ジャケットには載ってないんだけど…
フランスの政治家・ラ.ロシュフコーの言葉
「真実の愛は幽霊のようなもの
誰もがそれについて話すが、それを見た人はほとんどいない」(笑)
「ほとんど」ってトコがリアルですね(笑)