貧しい若者の家の戸をたたく人がいます、
「おねがいします ひとばん とめてください」
美しい若いおんなの人なのです。
「それじゃあ わたしは 馬小屋でねます
アオよ きれいなヒトだね
ダンナに ウンがまわってきたんでさあー
そうかな
あのヒト ダンナがすきなんですよ ヒッヒッヒッ・ヒーン」
それから、若者とその女性はいっしょに生活しました、女性はいいにおいがします。
「若いおなごは こんな香りがするもんなんですよ」
冬が近づくと女性は元気がなくなり、終に、たおれました、苦しい息で、
「わたしは あの時 ふまれそうになった野の花です」
「たすけてもらって うれしかった 毎日毎日 あなたのすがたを見ていたのです あなたの歌を聴いていたのです」
そう言って、息絶えた、野の花に妖精を見て、野の風に妖精の歌を聞く、大陸の西と東に、なんと不思議な一致があったのでしょうか。