若者が歌っています、
わたしゃ 深山(みやま)のしろい花
さびしい花です しろい花
わたしゃ 野中のあかい花
君に見せたい あかい花
わたしゃ 川辺のあおい花
水よりあおい あおい花
「だんな 目から水が出ていますよ」
「そうか」
「きれいでしたね」
「こころもすがたも きれいだった」
「だんなは カホウもんですよ」
「そうかい」
「そうですとも 野原いっぱいの花が祝福しているじゃあ ありませんか」
おねーさんにやさしくしてくれて ありがとー
おねーさんは うれしかったんです うれしかったんですよ
風が歌っています
風が泣いています
ああー 人と花
ああー 花と人
この世界に さいわいあれ
あのアイルランド大使が言いたかったことは、これであろうか、名もなき若者のこころは、ケルトのこころに通じているのかもしれない。