中華街の近くに公立の中学校があり、ある日の午後、柔道の授業をやっていた、白い柔道着の子供たちが、遊び半分でキャッキャッ、
「うわっ、投げられちゃった」
もうちょっと身を入れて練習すればいいのに、ふと横を見ると、二人の少年、白人風だが、その白い肌はくすんでいる、12~13歳ぐらい、こんな時間にこうしているのは学校に行っていないということか。
「ははあ、中南米からだな」
親が日本に働きに来ているんだろう、この二人、石のように動かない、じっと見つめている、ジュードーをやりたいのだ、強くなりたいのだ、
「やらせてやりたいな」
人生には、強い憧れを持つ季節がある。
二人を見ているうちに、この国の政府が、その気になれば世界中から、良質で優秀な人材を集めることが出来るのでは…と、思った。
日本には信用があり、約束は守る、きちんと給料を払う、街が清潔で安全、時間通りに電車が来る、そう、それに、差別がない、だから、旗を上げたら、喜んで日本のやってくるのではなかろうか、TPPより、こっちの方がいい。