2024年1月25日(木)
「終末時計」人類滅亡まで90秒
核・気候 「前例ない危機」
【ワシントン=石黒みずほ】米科学誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』は23日、世界の終わりまでの残り時間を象徴的に表す「終末時計」の針について、人類滅亡を示す午前0時まで90秒に設定しました。過去最悪だった昨年と同じで、核脅威や気候変動などにより世界は「前例にないほどの危機」に直面しているとして、警鐘を鳴らしました。
同誌は声明で、ウクライナへの侵略を続けるロシアによる戦術核兵器のベラルーシへの配備などにふれ、「ロシアによる核兵器使用の可能性は深刻なままだ」と指摘。中国、ロシア、米国の3カ国が核兵器の増強や最新鋭化のために巨額の資金を投じているなどをあげ「誤算による核戦争の危機が高まっている」と警告しました。
また、昨年が史上最も暑い年となったことにふれ、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」が掲げる気温上昇の抑制目標(産業革命以前より1・5度上昇)を超える危機にあると指摘。温室効果ガス削減にむけた現在の取り組みは、「気候変動が人々や経済に与える危険な影響を食い止めるにはあまりにも不十分だ」と批判しました。
同誌のブロンソン最高経営責任者(CEO)は「前年と同じなのは世界の安定を意味するものではない。全く逆だ」と強調。各国の政府や市民社会に緊急に行動を起こすことを呼びかけるとともに、「若い世代が運動の先頭に立っていることに希望を持っている」と語りました。