キム副部長は「今、朝鮮半島の形勢はいつ戦争が起きてもおかしくないほど非常に危険であり、安保をめぐる不安が大韓民国の日常となったのは、ほかでもなく尹錫悦大統領の“功労”だ」と皮肉った。

2024-01-04 10:01:16 | しらなかった
 

北朝鮮のキム・ヨジョン副部長

「浅慮な尹錫悦…文在寅は真の安保の守り方知っていた」

登録:2024-01-03 23:19 修正:2024-01-04 00:01
 
尹大統領に対し「安保を丸ごと台無しにした…愚か者」 
文前統領には「口には蜂蜜を塗って、心の底には刀を抱いた狡猾な人」 
 
 
キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会副部長/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮のキム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会副部長が、「今年上半期までに韓米の拡大抑止体制を完成させ、北朝鮮の核・ミサイルによる脅威を根源から封鎖する」という新年の辞を発表した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領について、「われわれにとっては自衛的かつ当為的な不可抗力の軍事力を育てるのに“貢献”した“特等功臣”として、“称賛”されることになるだろう」と主張した。

 キム・ヨジョン副部長は2日夜遅く、朝鮮中央通信を通じて発表した「大韓民国大統領宛ての新年メッセージ」と題した談話で、「大韓民国の大統領尹錫悦が、ただでさえ慌ただしい自国に『北朝鮮の核・ミサイル恐怖症』を拡散させるため、新年早々から余念がない」と述べた。

 キム副部長は「今、朝鮮半島の形勢はいつ戦争が起きてもおかしくないほど非常に危険であり、安保をめぐる不安が大韓民国の日常となったのは、ほかでもなく尹錫悦大統領の“功労”だ」と皮肉った。さらに、尹大統領が「北朝鮮政権と軍隊は『消滅すべき主敵』だと騒ぎたててくれたおかげで、『民族の和解団結』と『平和統一』のような幻想にわが国の人々の目が曇ることなく、覚醒することができた」と付け加えた。

 キム副部長は尹大統領について「権力の座を狙っていた時から思考能力と人格が非常に疑わしかった者」だとした一方、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領については「文在寅は実に利口で、狡猾な人」だと述べた。さらに「口には蜂蜜を塗って、心の底には刀を抱いた狡悪な人より、相手に対する敵意を惜しみなく表わす馬鹿正直で愚かな者を相手にする方がはるかにたやすいだろう」と皮肉を述べた。

 また「平和の贈り物を差し出し、われわれの手足を縛って置いて、後ろでは自分の欲しいものはすべて手に入れ、われわれが展望的な軍事力を育てるのに制約をかけたのは文在寅」だとし、「自分の肉でも切り分けてくれるかのように、甘言に乗せる口達者ぶりは相当なものだった」と述べた。キム副部長は尹大統領を「安全保障を丸ごと台無しにした」とし、文在寅前大統領を「振り返ってみると、実に扱いにくい相手であり、真の安全保障の守り方を知っている人」だと比較した。

 さらに「文在寅のその表向きの『平和の意志』に足を引っ張られ、われわれが戦力強化のためにすべきこともできず、少なからぬ時間を無駄にしたことは大きな損失」だとしたうえで、「無知に近いほど“勇敢な”尹錫悦が大統領の権力の座を射止めたのは、われわれにとって二度とない機会だ」と述べた。

 キム副部長は尹大統領の「拡大抑止の完成」を掲げた新年の辞について、「われわれにより圧倒的な核戦力の確保にさらに拍車をかけるべき当為性と正当性を再び与えた」と主張した。さらに「今、尹錫悦大統領が新年早々から『北風』(北朝鮮による脅威を煽って政権浮揚を図る動き)と『鉄風』(武力衝突への不安を煽って政権浮揚を図る動き)を起こして展開する対決の狂態を見る限り、ただでさえ危うい大韓民国の弱々しい運命を、昨年はまな板の上に載せたとしたら、今年は新年早々七星板(北斗七星を型取った穴をあけるか墨で描いた板で、棺の内底に敷かれるもの)に載せる勢いだ」と語った。

 キム副部長のこの談話は、対外用メディア「朝鮮中央通信」のみに掲載され、一般人民に広く読まれる「労働新聞」の3日付には載せられなかった。ひとまず、談話の受信者を北朝鮮の人民ではなく、韓国側に限定したということだ。

 キム副部長の談話は、金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記が年末の労働党中央委員会第8期第9回目の全員会議で、「南北関係はもはや同族関係ではなく、敵対的な二国間関係だ」と宣言した背景と、同宣言の「正当性」を主張する狙いがあるものとみられる。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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マンデラ氏は「憎悪は心を曇らせます。指導者に誰かを憎む余裕はありません」と答えた。尹大統領と政権勢力は、野党第一党代表に犯罪者という疑いの目を向けることをやめるべきだ。

2024-01-04 09:45:07 | しらなかった
 

[コラム]寛容が消えた政治、「テロ」が占領した

登録:2024-01-03 23:22 修正:2024-01-04 00:13
 
反対する政治家に物理的攻撃や身体的危害を加えてはならないことを、選挙法または政党法に明文化するのは難しい。それでも我々は言葉や文章で政治家を批判することはできても、暴力を行使してはならないことに同意してきた。そのような行動が政治と社会の安定を損なうものであることに共感してきた。このような共感と同意が、まともな民主主義の作動においてはより重要だ。だが現在、そのような価値は簡単に無視されている。
 
 
共に民主党のイ・ジェミョン代表が2日、新空港予定地である釜山江西区加徳島の大項展望台を訪れ発言している。その直後、イ代表は60代の男性が振り回した凶器に首を刺され、緊急手術を受けた。警察は、犯人にイ代表を殺害しようとする明白な意図があったとみている/聯合ニュース

 韓国の野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が釜山(プサン)で襲撃された事件は衝撃的だ。韓国警察の発表によると、犯人はイ代表を殺害する意図で首を狙って凶器を振り回したという。野党第一党代表の殺害を試みるのは、1945年の解放直後の無政府的な混沌状況や軍部独裁政権時代に、政敵を消すための秘密工作として可能だったものだ。平時に、それも選挙による政権交代が根付いた今日の韓国社会で、このようなことが起きるのは驚くべきことだ。

 政治家へのテロが直ちに民主主義の後退を意味するわけではない。2006年5月、(当時野党だった)ハンナラ党の朴槿恵(パク・クネ)代表を狙った「カッターナイフテロ」の後も、韓国社会は平和を保ったろうそくデモを通じて大統領を変える民主主義の進展を見せた。ところが、今回の事件は他の側面で、危機を知らせる警鐘であることが明らかだ。民主主義とは、長年培った独自の原則とルールに基づくものだが、それだけではすべての政治的行動と態度を制御することはできない。隙間を埋める常識と合意が必要だが、ある瞬間からそれが蒸発してしまったようだ。

 例えば、大統領が国民向け記者会見をすることは重要なことなのに、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は2022年8月以後、ただの一度も人々が答えてほしいと思っている質問に直接答えたことがない。大統領に年頭記者会見を強制する規定はどこにもないが、これを破った瞬間、政治の核心である意思疎通は弱くなる。同様に、反対する政治家に物理的攻撃や身体的危害を加えてはならないことを選挙法または政党法に明文化するのは難しい。それでも私たちは言葉や文章によって好まない政治家を批判することはできても、刃物で刺したり、暴力を行使してはならないことに同意してきた。そのような行動が政治と社会の安定を損なうものであることに共感してきた。このような共感と同意が、まともな民主主義を作動させることにおいては重要だ。だが現在、そのような価値は簡単に無視されている。

 前回の大統領選挙は「反感を高める大統領選挙」と呼ばれた。与野党いずれも相手を悪魔化するネガティブ・キャンペーンで反射利益を得ようとしたためだ。僅差で当選した尹錫悦大統領は、選挙後にその傷跡を消すために努力すべきだったが、対立と分裂を拠り所にした相手への攻撃は1年以上経った今も続いている。大統領が、国会で過半数の議席を持つ野党第一党の代表と一度も真剣に国政を語り合わなかったというのは端的な例だ。

 このような状況では、政治に没頭しすぎた人々が暴力に傾倒するのを防ぐ抵抗線ははるかに弱くなる。釜山の暴力は突発的で個人的なものかもしれないが、その根底には大統領選挙当時の憎悪が平時の政治まで支配する望ましくない状況がある。

 イ・ジェミョン代表の襲撃を「ショー」と叫ぶ支持者に「私が襲撃されたと考えてほしい」と呼びかけた与党「国民の力」のハン・ドンフン非常対策委員長の言葉は偽りではないだろう。今回の事件が4月の総選挙にどのような影響を及ぼすのか、最も心配する人はおそらくハン・ドンフン委員長だ。2006年の地方選挙直前に起きた朴槿恵代表への襲撃が、ハンナラ党の圧勝に拍車をかけたことを考えればなおさらだ。当時、朴代表が目を覚ました直後に言ったという「大田はどうですか」という言葉は象徴的だ。ハン・ドンフン委員長はこれまでイ・ジェミョン代表を「政治的ライバル」とみなしていなかった。「犯罪者」と考え、政治の場から追い出すべき対象としてみてきた。いくら容疑が明らかだと考えたとしても、野党第一党の代表なら、無罪推定の原則に従って在宅起訴し、裁判所で真実を争うのが普通だ。あえて国会に逮捕同意案まで提出し、本会議場で有罪を速断するような発言を長々と行ったのは「敵」とみなしているからだろう。

 相手の路線と政策には反対するが、その政党が選挙で勝てば、国政を運営し国会の多数党として活動することを認め、対話する姿勢が必要だ。ネルソン・マンデラ氏は1994年に南アフリカ共和国の大統領に選出された後、自分を27年間投獄した白人政権に対し、いかなる報復もしなかった。「あなたを27年間投獄し、数多くの黒人を迫害した白人政権をどうやって憎まずにいられるのですか」という質問に、マンデラ氏は「憎悪は心を曇らせます。指導者に誰かを憎む余裕はありません」と答えた。尹大統領と政権勢力は、野党第一党代表に犯罪者という疑いの目を向けることをやめるべきだ。病床のイ代表は、韓国社会に満ちた憎悪と怒りの感情がこれ以上高くならないようにしてほしい。釜山の不幸な事件が韓国政治を少しでも望ましい方向に導くことができるなら、それはまさにイ代表の努力のおかげだろう。

 
//ハンギョレ新聞社
パク・チャンス│大記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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