当時、同社に内閣府や経産省の元役人が天下りしていたことや同社が安倍氏をはじめ政治家にお中元を配布していたこととの関係性を告発しました。

2019-11-30 10:18:55 | いったいどうしていたのか?
ジャパンライフ 「桜」招待状で被害拡大
大門氏「首相の責任は重大」


          

(写真)質問する大門実紀史議員=29日、参院地方創生・消費者特委

 日本共産党の大門実紀史議員は29日の参院地方創生および消費者問題に関する特別委員会で、「桜を見る会」疑惑に関連して、マルチ商法会社「ジャパンライフ」の“最後の荒稼ぎ”を助けたのが、「首相『枠』と指摘される(同会への)招待状だった」と批判しました。 

 2014年5月には消費者庁が、同社の経営状況を踏まえ、「今回見逃すと大変なことになる」との認識のもと、時間をかけずに調査する方針を示していたことを紹介。その後の人事異動(同年7月)を受け、方針を軟化した背景を記した同庁の資料に「本件の特異性」「政治的背景にある余波懸念」との文言があることを暴露し、当時、同社に内閣府や経産省の元役人が天下りしていたことや同社が安倍氏をはじめ政治家にお中元を配布していたこととの関係性を告発しました。

 大門氏は、15年に同社の被害の認定事実が増加したことを紹介。山口隆祥元会長に「桜を見る会」の招待状が送付されたのが15年2月で、この招待状を利用し経営悪化で追い詰められた同社が“最後の荒稼ぎ”で強引な勧誘をすすめていたのではないかと指摘しました。消費者庁の小林渉審議官は「どのタイミングで事実認定したのか申し上げられない」とまともに答えませんでした。

 大門氏は「安倍首相の責任は重大であり、国会で説明すべきだ」と求めました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮の軍事的動きを捉えるための偵察活動を強化

2019-11-29 21:53:18 | 真の解決目指して
北朝鮮の海岸砲射撃後、米偵察機が連日朝鮮半島上空で作戦
登録:2019-11-29 06:35 修正:2019-11-29 08:03


米空軍に続き海軍偵察機まで、二日間で3機が飛行 
北朝鮮の軍事的動きを捉えるための偵察活動を強化

          

北朝鮮の金正恩国務委員長が昌麟島防衛部隊を視察し、海岸砲と推定される装備を見ている。写真は「朝鮮中央テレビ」が25日に報道したもの//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が9・19軍事の合意を破って西海の北方限界線(NLL)付近の昌麟島(チャンリンド)で海岸砲を射撃してから、米国空軍と海軍の偵察機3機が連日朝鮮半島上空を飛行した。さらなる北朝鮮の軍事的動きを捉えるための米国の偵察活動が強化されたものとみられる。

 28日、民間航空追跡サイト「エアクラフト・スポット」(Aircraft Spots)によると、同日、米海軍偵察機EP-3Eが首都圏一帯など、朝鮮半島上空を飛行した。EP-3Eは米海軍で信号情報収集及び偵察を担当する航空機だ。これに先立ち、米空軍の先端地上監視偵察機E-8Cが朝鮮半島上空を飛行した。米軍の戦略資産に属する同偵察機は、過去、北朝鮮の中長距離ミサイル発射の兆候などが見られた際、朝鮮半島上空で作戦を展開したことがある。前日には米空軍の主力電子偵察機「リベット・ジョイント」(RC-135V)1機がソウルと京畿道一帯の上空を飛行した。
ユ・ガンムン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓中関係改善を確認するシグナルであり、来年3月より前の習近平国家主席の訪韓を予告するものと見られる。

2019-11-29 12:26:21 | 中国を知らなければ世界はわからない
王毅外相がTHAADめぐる軋轢以降、初めて訪韓する理由とは?
登録:2019-11-29 06:32 修正:2019-11-29 07:49


5年6カ月ぶりに訪韓 
習主席の訪韓と韓中関係改善のシグナル 
周辺国との外交強化 
北朝鮮の核問題と北東アジア戦略における韓国との接点を模索

          

2017年4月、中国の王毅外交部長が北京での記者会見の途中で朝鮮半島情勢について述べている=北京/AP・聯合ニュース

 中国の王毅・外交担当国務委員兼外交部長が、2016年の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」をめぐる対立以来初めて韓国を訪問する。韓中二国間レベルでは2014年5月以降5年6カ月ぶりの公式訪韓だ。韓中関係改善を確認するシグナルであり、来年3月より前の習近平国家主席の訪韓を予告するものと見られる。

 外交部は28日、「王毅部長が来月4~5日に訪韓する」とし、「韓中関係や朝鮮半島情勢、地域および国際問題など、多彩なテーマについて議論を深める予定」だと発表した。中国外務省の耿爽報道官も同日の定例記者会見で、「カン・ギョンファ韓国外交部長官の招請で、王毅部長が韓国を訪問する」とし、「王毅部長は訪韓期間中、韓国の指導者たちに会い、地域の懸案と両国の関心事について話し合う予定」だと述べた。王部長は5日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領を表敬訪問する案も進めているという。

 王部長の訪韓目的は多岐にわたっている。まず、来月末に中国で開かれる韓中日3カ国首脳会議と関連した事前協議である。しかし、焦点は習主席の来年初めの訪韓とそれを契機にした韓中関係の雪解けに合わせられるものとみられる。国家安保戦略研究院のヤン・ガビョン責任研究員は、「韓中関係がTHAADをめぐる軋轢から脱し、活力を回復するシグナル」だとし、「この他、韓中日首脳会議の議題の調整や韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)などをめぐる最近の韓米、韓日関係を把握する目的もあるだろう」と話した。

 習主席は2014年7月に訪韓したが、文在寅(ムン・ジェイン)政府が発足してからは、まだソウルを訪れていない。一方、文大統領は2017年12月に中国を訪問した。成均館大学のイ・ヒオク教授は「習主席は来年3月、日本を訪問する予定であり、その前に単独訪韓する可能性がある」とし、「年内の訪韓もあり得る」と話した。

 王部長の訪韓を機に、韓中は北朝鮮の核問題などについて戦略的協力を強化するものと予想される。イ・ヒオク教授は「韓中関係に進展が見られなかったのは、THAADをめぐる軋轢の余波もあるが、北朝鮮の核問題について戦略的協力方案を見出せなかったからでもあった」としたうえで、「中国は北朝鮮が『新たな道』を予告した中、状況が悪化する可能性があるため、韓国と戦略的接点を探り、北朝鮮が対話局面に出るよう協力することを提案するだろう」と予想した。

 米中の覇権争いが激しくなる中、中国が周辺国の外交を強化するため、韓中関係の改善に乗り出したという分析もある。中国は第3国で韓中日が協力する形で、韓国の「一帯一路」への参加を望んでいるという。THAADをめぐる軋轢以降、中国の韓国行き団体観光の制限や限韓令(韓国文化の制限)解除問題なども議題として取り上げられるものと見られる。東アジアにおける米国の中距離ミサイル配備の動きなどについては、原則的立場を強調するものと予想される。邱国洪・駐韓中国大使はこの日「大韓民国未来革新フォーラム」主催のセミナーで、「米国が韓国本土に中国を狙う戦略的兵器を配備すれば、いかなる禍を招くかは、皆さんも想像できるだろう」と述べ、強い口調で警告した。

 一方、中国はシン海明駐モンゴル大使を次期駐韓大使に内定したという。シン大使は数回の韓国勤務経歴があり、韓国語も堪能だ。
パク・ミンヒ、キム・ソヨン記者、北京/チョン・インファン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「新聞を読むことで社会的問題意識を高めると共に、尹東柱(ユン・ドンジュ)歌碑や金大中(キム・デジュン)図書館などを訪問して、生きた知識の幅を広げている」

2019-11-28 10:59:25 | 歴史に照らして整合性を!
[インタビュー]
「歴史教育がちゃんとされてない日本、韓国の言論自由闘争史を学べ」

登録:2019-11-28 08:36 修正:2019-11-28 10:42


リ・ヨンヒ賞受賞した植村隆・元朝日新聞記者 
日本軍「慰安婦」被害者初めて報道 
韓国では「応援」、日本では「捏造記者」 
右翼の猛攻に立ち向かい、厳しい戦いしながら 
韓日で平和・人権守護の使命を伝播

          

今月25日、今年のリ・ヨンヒ賞の受賞者に選ばれた植村隆・元朝日新聞記者とソウル上岩洞で会った=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 「韓国の民主化と言論の自由闘争の歴史は東アジアの共同資産だ。日本の記者もこれを学ばなければならない」。

 今年のリ・ヨンヒ賞の受賞者に選ばれた植村隆元朝日新聞記者が25日、ソウル上岩洞でのハンギョレのインタビューで、日本のマスコミの現実について指摘した。現在、ソウルと東京を行き来しながら、韓国カトリック大学名誉教授や日本の進歩雑誌「週刊金曜日」の発行人として活動する同氏は、毎週月曜日と火曜日はソウルで過ごしている。

 植村記者は朝日新聞大阪社会部で働いていた1991年8月、日本軍「慰安婦」被害者の金学順(キム・ハクスン)さんの肉声録音を確保し、「女子挺身隊の名前で騙されて『慰安婦』となった」と報道したことで、日本帝国が行った非人道的な軍隊「慰安婦」の実態を国際社会に初めて知らせた。同報道で日本軍「慰安婦」問題に対する日本政府の謝罪・賠償を要求する国内外の運動が起きたが、当の日本では「捏造記者」というレッテルを貼られ、右翼から「国家の敵」として攻撃を受けてきた。しかし、これに屈せず、自国の恥ずかしい過去の清算を促し、右傾化を批判し続けてきた。韓国では「日本市民社会の生きた良心」として称えられているが、日本では排他的な右翼の歴史修正主義勢力に対抗し、厳しい戦いを強いられている。

 リ・ヨンヒ賞審査委員会は「彼の闘争は単に自分の名誉を守るためのものを超え、真実の守護に不可欠な言論の自由を守り抜こうとする努力だ」と評価した。

 植村記者は、悪化した韓日関係を解決するために、両国のマスコミの相互理解と交流の重要性を力説する。彼は「今のような反日・嫌韓感情の浮上と歪曲報道を止めるには、韓日のマスコミが相手国に対する現実認識、歴史を正しく直視することが切に求められる」とし、「マスコミは国益よりも人権や平和、真実を追求しなければならないという韓日メディア労組共同声明のように、正しい報道のためには両国マスコミの連帯が必要だ」と述べた。同日、全国言論労組と日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が共同で主催した「韓日メディア労働者シンポジウム」にも出席した。

 日本も韓国のように急変するメディア環境の中で、従来のメディアへの信頼が地に落ちている。「日本のマスコミはもっと萎縮している。報道の自由度も低い」と診断した。実際、言論の自由の守護のためのNGO「国境なき記者団」が毎年発表する言論の自由指数で、日本は2010年11位だったが、安倍政権が発足してから衰えを見せ、昨年と今年は67位だ。朴槿恵(パク・クネ)政府時代の2016年には70位まで落ちたものの、文在寅(ムン・ジェイン)政府発足以降、41位に順位を上げた韓国とは対比をなしている。彼は「日本では、きちんとした歴史教育が行われていないが、民主主義とマスコミの発展のために、隣国韓国の言論の自由闘争史などを学ばなければならない」と主張した。

「反日・嫌韓・歪曲報道防ぐためには 
相手国の歴史を正しく知る必要あり 
両国の言論連帯が後押しされなければ 
学生たちに新聞を読む習慣を強調 
反骨精神を持つ若手ジャーナリストを育てたい」

 彼は大学時代から韓国現代史に関心が多かった。1978年に入学した早稲田大学寮で会った韓国人の先輩の影響で、韓国語を習い始めた。1982年、朝日新聞に入社し、5年間警察担当記者を経て、1987年に同社の語学留学制度で韓国の延世大学語学堂で1年以上韓国語を習った。その後、ソウル特派員を務め、現在カトリック大学で「東アジアの平和」などについて講義している。平和と人権を守ることがジャーナリストの使命だと考える彼は、学生たちに新聞を読む習慣をつけることに力を注いでいる。「新聞を読むことで社会的問題意識を高めると共に、尹東柱(ユン・ドンジュ)歌碑や金大中(キム・デジュン)図書館などを訪問して、生きた知識の幅を広げている」

 「慰安婦」単独報道以降、彼を「売国・捏造記者」と批判してきた日本の右翼の圧力は、安倍首相の就任以降さらに激しさを増した。彼は「新聞社を辞め、転職を決めた大学に右翼が抗議し、私を中傷する書き込みがネット上に流れた。さらに娘を殺すと脅迫する内容まであった」と打ち明けた。彼は『私は捏造記者ではない』という本を出版し、右翼の猛攻に真っ向から反論すると共に、法廷訴訟も進めている。

 彼の闘争は孤独ではない。日本で支持する人たちがそばにおり、韓国にもイ・ブヨン自由言論実践財団理事長やイム・ジェギョン元ハンギョレ副社長などが主導する「植村を考える会」が彼を支援している。「『頑張れ、一生懸命闘って』と応援していただいて、ありがたく思っている。闘争の中で日本と韓国の新しい連帯が生まれた」と意味づけた。

 彼は2年前から仲間のジャーナリストたちと共に、「ジャーナリストを目指す韓日(日韓)学生フォーラム」を運営している。未来を担う韓日のジャーナリストの卵たちが友人となり、互いの歴史を知りながら共に議論し、取材する集いだ。彼は「ナヌム(分かち合い)の家で『慰安婦』ハルモニ(おばあさん)たちに直接会って、今年5月には光州(クァンジュ)を訪れ、民主化の歴史を学んだ。広島では原爆被害を、沖縄では戦争被害と米軍基地問題などを考える時間を持った。来年1月には九州の炭坑を訪れ、朝鮮人強制連行問題について学ぶ予定」だと伝えた。そして、「過去を直視し、悲劇が再び繰り返されないよう、新たな韓日関係を模索する反骨精神を持つ若いジャーナリストを育てたい」と抱負を語った。
ムン・ヒョンスク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「裁判を受ける権利」が協定で消滅したとする安倍政権の対応こそ「国際法違反」ではないでしょうか。

2019-11-27 10:34:45 | 歴史に照らして整合性を!
政治考
徴用工判決と日韓請求権協定
“国際法の発展からの検討必要”

          

(写真)会談を前に握手する茂木敏充外相(右)と韓国の康京和外相=23日、名古屋市中区(代表撮影)

 日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は韓国政府の破棄通告による失効期限(23日午前0時)の直前に、韓国が通告の効力を停止し、土壇場で失効を回避しました。背景には対中軍事戦略にGSOMIAが不可欠とする米国の強い圧力があったとみられます。

 日米韓の軍事協力にさえ混迷をもたらした事態の本質は、昨年10月の、元徴用工への賠償金支払いを日本企業に命じた韓国大法院判決をめぐる日韓の激しい対立です。安倍政権は同判決を「国際法違反」「日韓請求権協定違反」と批判し、報復として貿易制限を強めました。韓国は対抗措置としてGSOMIA破棄を通告していました。
立場を超え一致

 状況の根本的打開には徴用工問題の解決が不可欠との見方は、立場を超えて一致しています。大法院判決が1965年の日韓請求権協定に違反するという安倍政権の主張について、国際的な人権の発展の観点から考えます。

 安倍政権は、昨年の判決直後、65年の請求権協定によって「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」(河野太郎外相=当時、昨年11月14日の衆院外務委員会)と認めました。他方で外務省は、「しかし、裁判所に行ったときには、それは救済されないと両国が約した」(三上正裕国際法局長=当時)と答弁しました。「裁判による救済」が請求権協定で否定されたというのが安倍政権の主張の中心です。
裁判受ける権利

 これに対し「徴用工問題の解決をめざす日本法律家有志の会」の川上詩朗弁護士は、被害者の迅速な救済を呼びかけた日韓法律家の「共同宣言」発表の記者会見(20日)で、「裁判を受ける権利は、現時点で被害者個人に国際人権法上認められている権利だ。その制約が許されないなら、訴権を奪うとか、司法的に救済されないという判断自体が問題だ」と批判。「行政府と司法府の関係からは、仮に日本政府と韓国政府が『いかなる主張もできない』と約束しても、裁判を受ける権利、司法的救済を受ける権利を奪う義務を韓国側が負ったとまでいえないのではないか」と述べました。

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、「請求権協定締結の翌66年に、国際人権規約が採択され76年に発効した。日本は79年に批准している。外務省が65年の請求権協定ですべて説明すること自体に無理がある」と指摘。「76年以降の新しい国際潮流が、まさに国家合意で個人の権利を制約するという請求権協定の立場を覆した」と強調します。過去の協定だけでなく、その後の国際法の発展全体を検討しなければならないとの指摘です。
「国際法違反」は安倍政権

          

(写真)日韓法律家共同宣言で記者会見する日本の弁護士。左から2人目が川上詩朗弁護士=20日、都内

 1965年の日韓請求権協定では、日本が無償3億ドル・有償2億ドルの経済協力を行う一方、請求権の問題が「完全かつ最終的に解決された」と規定し、その文言からは一切の請求ができないようにも見えます。しかし歴代政権は、消滅したのは「国対国」の外交保護権であり、「個人の請求権は消滅していない」とし、現在もその立場です。

 48年の世界人権宣言8条は、すべて人は「基本的権利を侵害する行為に対し、権限を有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する」と規定。66年の国際人権規約2条3項はこれを具体化しました。これらの規定からも、「国家間の合意で個人の請求権を消滅させられないのは当然」と理解されています。
現時点での解釈

 では「裁判を受ける権利」はどうか。

 もともと外務省は、「協定上外交保護権を放棄した、そして関係者の方々が訴えを提起される地位までも否定したものではない」(柳井俊二条約局長=当時、92年3月9日の衆院予算委員会)としていました。「権利はあるが裁判所に訴えられない」との主張は、2000年代になって従来の見解を大転換し強まってきたものです。

 しかし世界人権宣言10条や国際人権規約14条は「裁判を受ける権利」を明記しています。日本国憲法32条も「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」と規定し、これは外国人にも保障されます。

 国際司法裁判所のナミビア事件における勧告的意見(1971年)は「国際文書は、解釈の時点において支配的な法体系全体の枠内で解釈適用されなければならない」とします。

 この規定をめぐり明治学院大の阿部浩己教授(国際法)は、「2019年の時点での支配的体系の枠内で解釈適用する。国家中心から人間中心、被害者中心へと変わっている現時点での法体系全体の中で、日韓請求権協定を改めて解釈する必要がある。どんな条約も人権に反する解釈はできない」と述べました。(9月5日、日本記者クラブでの講演)

 日韓請求権協定に詳しい新潟国際情報大の吉澤文寿教授は「権利は消滅していないが、裁判所で救済されないと両国が約した」と外務省がいうなら、「それが明示されている合意文書を示す必要がある。現在までに公表されている合意文書に書いてあることは外交保護権の消滅のみを示している」と指摘します。請求権協定が、裁判的救済を否定したとする根拠も不明確なのです。

 「裁判を受ける権利」が協定で消滅したとする安倍政権の対応こそ「国際法違反」ではないでしょうか。
不法行為の責任

 徴用工問題で問われているのは、植民地支配のもとでの反人道的不法行為の責任です。その不法性を認め被害者の名誉と尊厳を回復することが必要です。

 ところが安倍政権はいまだに、植民地支配を「合法」としており、全く無反省の立場です。ここにこそ問題の根源があります。

 20世紀に進んだ植民地支配の崩壊という世界の構造変化が、いま国際政治を動かす大きな力を発揮し始めています。そのもとで、民族の尊厳や国際的人権尊重の観点から、過去の植民地支配の不法性を問いなおす声が広がりつつあります。そこでのキーワードは人権です。国際人権規約2条の「人権侵害に対する効果的救済を受ける権利」の精神を背景に、アメリカやオーストラリアなどで先住民への抑圧に対し謝罪、賠償が行われる例も現れています。

 「被害者と人権の側にたって国際秩序をつくり直すグローバルな潮流の中で、日韓請求権問題も取り上げる必要がある」(前出の阿部教授の講演)のです。(中祖寅一)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする