ホ・ミミは「試合なので仕方がない」ときっぱりと言い、「残念さはあるが、次の五輪では必ず金メダルを取る」と語った。

2024-08-01 09:34:29 | スポーツは世界をつなぐ!
 

【パリ五輪】覚えた「愛国歌」は歌えなかったが…

柔道銀ホ・ミミ「次は必ず金メダル」

登録:2024-07-30 10:52 修正:2024-07-30 11:35
 
 
韓国柔道女子代表のホ・ミミが30日(韓国時間)に行われた2024パリ五輪柔道女子57キロ級決勝で銀メダルを取った後、表彰台で喜びを表している=パリ/オリンピック写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 一生懸命覚えた「愛国歌」(韓国の国歌)は歌えなかった。だが、気落ちしてはいなかった。ホ・ミミは明るく笑いながら「次は必ず金メダルを取る」と言った。

 韓国女子柔道の看板である在日コリアンのホ・ミミ(許海実、21、慶北体育会)が30日(韓国時間)、パリのシャン・ド・マルス・アリーナで行われた2024年パリ五輪の柔道女子57キロ級決勝で、出口クリスタ(カナダ)に敗れ、銀メダルを獲得した。本戦4分間で勝敗を決められず、延長戦で3度目の指導を受け反則負けとなった。

 試合後、共同取材区域で取材に応じたホ・ミミは「自分でもよく分からない」と、勝敗の分かれた瞬間を振り返った。審判は出口が掴もうとしたときに振り払ったと判定して指導を与えたが、その判断の精度を見極めるのは容易ではない。しかしホ・ミミは「試合なので仕方がない」ときっぱりと言い、「残念さはあるが、次の五輪では必ず金メダルを取る」と語った。

 独立運動家の子孫であるホ・ミミは、この日金メダルを取って歌うために韓国の国歌の歌詞を一生懸命に覚えた。「韓国代表として選手生活をしてほしい」という祖母のためにも金メダルで恩返ししたかった。ホ・ミミは「太極旗が上がるのを見たら感動したと思う」と語った。しかし、まだその時ではなかったようだ。

 ホ・ミミは「それでも誇らしい。今日まで柔道を頑張ったし、これからも頑張ると(祖母に)伝えたい」としっかりと答えた。

 
 
韓国柔道女子代表のホ・ミミは30日(韓国時間)に行われた2024パリ五輪柔道女子57キロ級決勝の延長戦で3つ目の指導を受け反則負けとなった=パリ/聯合ニュース

 ホ・ミミは今年5月、世界選手権大会で出口を破り、トップに立った。その試合が自信となり、この日の決勝直前まで手強い相手を抑えた原動力となった。準々決勝で「天敵」ルハグバトゴー・エンフリーレン(モンゴル)を破り、準決勝でも長身のラファエラ・シルバ(ブラジル)を延長の接戦の末に破った。

 世界1位の出口との決勝でも力では押されず、むしろ延長戦では出口よりも積極的だった。出口も本戦で2度目の指導を受けていたので安心できなかった。だが延長2分35秒、ホ・ミミに指導が出て、決勝をあっけなく終えた審判の判定にサポーターたちはがっかりした。

 キム・ミジョン監督は「カナダの選手も特に攻撃をしていなかったのに…」と言いつつ、「これからはそんな口実を与えてはならないし、克服しなければ」と助言した。一本など完璧な技で相手を制すればいいが、極度に張り詰めた力の対決である柔道で、片方を完全に制する技を繰り出すのはたやすいことではない。

 
 
柔道女子57キロ級の入賞者たち。左からホ・ミミ、カナダの出口クリスタ、日本の舟久保遥香、フランスのサラレオニー・シシケ=パリ/オリンピック写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 ホ・ミミもそれはよくわかっている。また、今回の五輪の舞台の経験が今後大きな財産になることは明らかだ。ホ・ミミは「(4年後には)年齢を重ねて体力はもっと強くなっているはず(笑)。次の五輪では必ず金メダルを取れると思う」と話した。

 大きな山を一つ越えたホ・ミミは、全ての試合後には日本に帰って休息を取る予定だ。大学4年生で卒業を控えているので、最後の学業も進めなければならない。ホ・ミミは「たくさんの応援を受けて試合をしたことがあまりなかったが、すごく嬉しかった。私を見て柔道をする子どもがたくさん生まれてほしい」と明るく笑った。

パリ/キム・チャングム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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五輪史上初の「男女共同旗手」(選手代表団の先頭に立ち旗を持つ役目を引きうける人)が適用された2020年東京五輪の開会式で、韓国・中国・日本の旗手ごとの特色が関心を集めた。

2021-07-24 17:10:15 | スポーツは世界をつなぐ!

東京五輪開会式、旗手に韓国・中国・日本の特色が表れた

登録:2021-07-24 07:24 修正:2021-07-24 08:37
 
韓国選手団の旗手はキム・ヨンギョン選手とファン・ソヌ選手で「世代交代」を表現 
日本は多様性と調和…中国は長身選手で「大国主義」
 
 
韓国女子バレーボールの五輪代表チームのキム・ヨンギョン選手が21日午後、東京有明アリーナで練習をしている/聯合ニュース

 五輪史上初の「男女共同旗手」(選手代表団の先頭に立ち旗を持つ役目を引きうける人)が適用された2020年東京五輪の開会式で、韓国・中国・日本の旗手ごとの特色が関心を集めた。各国は、五輪で目指そうとする価値を、選手団代表であり国家の顔である旗手を通じて象徴的に示す。

 大韓民国は、1988年生まれのキム・ヨンギョン選手(女子バレーボール)と2003年生まれのファン・ソヌ選手(競泳)を共同旗手にした。二人は韓国スポーツの現在と未来を象徴する人物だ。選手団の主将であるキム・ヨンギョン選手は、2012年のロンドン、2016年のリオに続き3回目の出場となり、最後のメダル獲得に乗りだす。パク・テファン選手に続く韓国競泳界の新鋭として登場したファン・ソヌ選手は、男子自由型100メートルの韓国新記録と自由型200メートルの世界ジュニア記録を保有しており、13年ぶりにメダルを獲得する期待がかかっている。2020年東京五輪が人生初の五輪であるファン・ソヌ選手と最後の五輪となるキム・ヨンギョン選手は、韓国スポーツの「世代交代」を意味している。開催国である日本の言語の順序とIOCの順序にしたがい、大韓民国の選手団は開会式で103番目に入場した。

 
 
米国NBAのワシントン・ウィザーズ所属で2020年東京五輪の日本選手団の旗手の八村塁選手=NHKのウェブサイトよりキャプチャ―//ハンギョレ新聞社

 日本は、「多様性」と「調和」を大会の目標のうちの一つとして掲げた東京五輪の趣旨にしたがい、米国プロバスケットボール(NBA)の選手の八村塁選手(23)と、レスリングの須崎優衣選手(22)を共同旗手に選定した。アフリカのベナン出身の父と日本人の母の間に生まれた八村選手は、日本人として初めて、2019年のNBAドラフトで1巡目9位でワシントン・ウィザーズに指名された。須崎選手は2017年と2018年の世界レスリング選手権の女子フリースタイル50キロ級の優勝者で、今回の五輪でもメダル獲得の可能性が高い選手に挙げられている。両選手は身長差(八村選手203センチメートル、須崎選手153センチメートル)も大きく、開幕式を見守る人々の注目を集めた。

 
 
2020年東京五輪の中国選手団の旗手の一人である朱テイ選手=中国中央放送(CCTV)のウェブサイトよりキャプチャ//ハンギョレ新聞社

 今回の五輪で総合1位を狙う中国は、長身の旗手を先頭に立て、「大国主義」を強調しに出た。リオ五輪のテコンドー金メダリストである趙帥選手(26)とバレーボールの朱テイ選手(27)の身長は、それぞれ188センチメートルと198センチメートルになる。中国は1984年ロサンゼルス五輪から、身長が高い男子バスケットボール選手を旗手に選んできた。2004年アテネ五輪と2008年北京五輪では、226センチメートルの姚明選手が旗手として選手団を導いた。しかし、東京五輪では、男子バスケットボールの予選で代表チームが脱落し旗手選定の変化は避けられないこととなり、朱テイ選手は女子選手として初めて旗手として活躍することになった。

チャン・ピルス記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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大坂選手は3年前の全米で初めて世界一の座を手にしました。しかし、その画期となる出来事と引き換えに、予想を超える重圧と不安に襲われ、心の均衡を保てない状況にまで陥っていました。

2021-06-02 09:52:03 | スポーツは世界をつなぐ!

全仏棄権 大坂選手が投じた一石

選手の心の健康に光を

 大事な問題提起を含んだ“告白”です。

 テニスの全仏オープンで記者会見を拒否していた大坂なおみ選手が5月31日、大会を棄権すると表明しました。同時に2018年全米オープン以来、うつ状態で苦しんでいることを明かしました。

 大坂選手は3年前の全米で初めて世界一の座を手にしました。しかし、その画期となる出来事と引き換えに、予想を超える重圧と不安に襲われ、心の均衡を保てない状況にまで陥っていました。

 大坂選手は「私はもともと大勢の前で話すのが得意ではなく、世界中のメディアと話す前には大きな不安の波に襲われます」としています。

 大会主催者はこの苦しみにたいし、罰金を迫るだけでなく、少しでも歩み寄ってくれたなら結果も違うものになったのではと残念でなりません。

 しかし、この勇気ある告白が、スポーツ界に貴重な一石を投じたことも間違いありません。それは、選手の心の健康に目を向ける大切さです。

 女子の一時代を築いたナブラチロワさんは大坂選手の発言を受け、こう述べています。「アスリートは体のケアについて指導を受けるが、精神面は見過ごされている。あなたのことを応援している」

 選手も生身の人間です。心の健康の大切さをみなが認識し、支える態勢が必要です。大坂選手のように心の落ち込みを抱えている選手もコートで輝くことを望んでいるし、その権利があります。病にいたらない対策も含め、新たな事態に向き合うことが求められます。

 記者会見のあり方も問われます。それが選手の責務というのはわかりますが、「アスリートの心の健康状態が無視されている」(大坂選手)ことは改善が必要です。

 会見の出席も個々の事情を勘案し、柔軟な対応があるべきです。「よりよくする方法をツアーと話し合いたい」と前向きにつぶやく大坂選手。心の不調と対峙(たいじ)しつつも現状を変えようとする、その思いにみなでエールをおくりたい。(和泉民郎)

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京都をはじめ東京、大阪など日本各地から在日コリアン1千人以上が貸切バスなどに乗って京都国際の試合を観戦するため、甲子園球場に集まった。

2021-03-26 08:41:25 | スポーツは世界をつなぐ!

韓国系の京都国際高校、初出場の甲子園で初戦突破

登録:2021-03-25 06:42 修正:2021-03-25 07:25
 
10回延長の末、5対4で勝利 
京都国際の奇跡続くか
 
今月24日、兵庫県の阪神甲子園球場で行われた第93回日本選抜高校野球大会(春の甲子園)の1回戦で、韓国系民族学校の京都国際高校の選手たちが10回延長戦の末、5対4の勝利が確定し、歓声を上げている=京都国際中学高等学校ホームページよりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 98年の歴史を持つ日本の「甲子園」に、外国系学校として初めて進出した韓国系民族学校「京都国際中学高等学校」(京都国際)が初戦で勝利を収めた。

 京都国際は24日昼、兵庫県の阪神甲子園球場で開かれた第93回選抜高等学校野球大会(春の甲子園)で、宮城県所在の柴田高校を相手に延長10回まで持ち込まれた接戦の末、5対4で勝ったと、NHKが報じた。外国系学校としては春と夏の甲子園合わせて初めての勝利だ。

 この日、京都をはじめ東京、大阪など日本各地から在日コリアン1千人以上が貸切バスなどに乗って京都国際の試合を観戦するため、甲子園球場に集まった。甲子園の伝統によって1回裏終了後に両校の校歌が鳴り響き、試合後には勝利チームの校歌としてもう一度京都国際高校の校歌が流れた。韓国語の校歌が日本全国に2度も生中継された。ただし、NHKは京都国際の校歌の歌詞のうち「東海の海を渡って」という部分を「東側の海を渡って」という字幕をつけて放送した。

 甲子園は高校球児たちの「夢の舞台」で、日本で相当な人気がある。春の甲子園には、全国から選抜された32校が出場できる。日本全国に高校野球チームが4300もあり、甲子園に出場するだけで実力を認められたといえる。京都国際は野球部員40人を含めて全校生が131人であるにもかかわらず、甲子園に出場し、奇跡といわれている。

 京都国際は1947年に京都朝鮮中学校として開校し、1958年に学校法人京都韓国学園の設立の認可を受けて、1963年には高等部を開校した。韓国政府の中学校・高等学校設立認可に続き、2003年には日本政府の正式な学校認可も受けた。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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東京新聞は「森氏の発言は、(「男女平等の原則の完全実施」を掲げた国際オリンピック委員会の)五輪憲章に反する」と指摘した。

2021-02-05 09:54:33 | スポーツは世界をつなぐ!

森喜朗JOC会長の「女性卑下」発言、日本国内外で波紋

登録:2021-02-05 09:35 修正:2021-02-05 09:37
 
「女性差別、五輪精神に反する」などと批判相次ぐ 
森会長「不適切な発言、深く反省」
 
      森喜朗・東京オリンピック・パラリンピック組織委員会長/EPA・聯合ニュース

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が女性を卑下する発言を公に行い、日本内外で波紋が広がっている。

 毎日新聞は、森会長が今月3日午後、オンライン上で開かれた日本オリンピック委員会(JOC)評議員会で、女性理事を増やす問題に触れ、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と話したと4日付紙面で報じた。この評議員会は51人が参加し、マスコミにも公開された。会議ではJOCの女性理事の割合を40%以上に増やそうという議論があった。現在、理事は25人だが、このうち女性は5人で20%に過ぎない。

 森会長は自分が会長を務めた日本ラグビー協会で女性理事が増えている点を例に挙げ「(会議が)今までの倍、時間がかかる」と述べた。それとともに「女性は競争意識が強い。誰かが一人手を挙げて言うと、自分も言わないといけないと思うのだろう。それでみんな発言する」と述べた。また「女性を増やしていく場合は『発言の時間をある程度、規制を促しておかないと、なかなか終わらないので困る』と言った人もいる」と付け加えた。

 森会長の発言が報じられると、メディアやインターネットでは批判の声が大きくなっている。東京新聞は「森氏の発言は、(「男女平等の原則の完全実施」を掲げた国際オリンピック委員会の)五輪憲章に反する」と指摘した。性暴力に抗議する「フラワーデモ」の呼びかけ人で作家の北原みのり氏は毎日新聞のインタビューで「女性の会議での態度を揶揄することで、女性が意見を述べること自体を萎縮させる差別発言」と非難した。武蔵野美術大学の志田陽子教授(憲法学)も同紙のインタビューで「(会議で意見を多く出して)議論が活発になることに、何の問題があるのか」とし「多くの国が努力を重ね、ジェンダー・ギャップを克服してきた中で、日本は年々取り残されている。これ以上、意識の低さを露呈し続けると、本当に他の先進国から相手にされなくなっていく」と述べた。

 1992年バルセロナ五輪の女子柔道銀メダリストの溝口紀子氏も、ツイッターで「『発言の時間をある程度規制をしていかないとなかなか終わらない』のは、女性理事の問題ではなく、会議進行役の手腕によるもの」と指摘した。

 海外メディアも批判の隊列に加勢した。米紙ニューヨークタイムズは、森会長の発言が「激しい怒りを呼び起こしている」とし、インターネットでは辞任を求める声もあると伝えた。ロイターなども森会長の女性差別発言を記事で報じた。

 この日、森会長は記者会見を通じて「不適切な表現だった。深く反省する」と謝罪したが、「辞任するつもりはない」と明らかにした。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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