フランスは「最優先課題は即時停戦だ。ガザの民間人に人道支援物資を届けることが緊急に必要だ」と述べました。「いかなる状況でもすべての当事者が国際人道法を守らねばならない」

2023-12-31 11:18:47 | しらなかった

各国「ガザ人道的停戦を」

国連安保理 民間人犠牲増加に懸念

 【ワシントン=島田峰隆】国連安全保障理事会は29日、パレスチナ情勢をめぐり緊急の公開会合を開きました。多くの国が民間人犠牲者の増加に懸念を示し、国際人道法の順守や即時の人道的停戦を求めました。

 会合はアラブ首長国連邦(UAE)が開催を求めました。国連安保理が1週間前にガザでの人道支援拡大を目指す決議を採択したものの、イスラエルの侵攻でガザの人道危機やヨルダン川西岸での暴力が深刻化していることを受けた動きです。

 ブラジルは犠牲者の8000人以上が子どもであり「前例のない人道危機」だと指摘。「国際社会の圧倒的大多数の要求である即時停戦と人道支援の拡大を求める」と強調しました。

 フランスは「最優先課題は即時停戦だ。ガザの民間人に人道支援物資を届けることが緊急に必要だ」と述べました。「いかなる状況でもすべての当事者が国際人道法を守らねばならない」と指摘しました。

 ガーナは「すべての当事者に対し学校や病院など民間施設の保護を定めた国際法の順守を求める」と強調しました。ヨルダン川西岸を含めてイスラエルによるパレスチナ人の強制移住が増えているとし、「違法な入植地建設と土地の強奪は持続可能な中東和平の展望を失わせる」と批判しました。

 パレスチナはガザでの飢餓や飢饉(ききん)の危険に触れ、「民間人の保護や人道支援の配布には即時停戦が必要だ」と強調しました。

 米国はガザの人道危機やヨルダン川西岸での入植者による暴力に懸念を示す一方で停戦は求めませんでした。

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国防部は1月16日に新しく発刊した「2022国防白書」で、「北朝鮮政権と北朝鮮軍は我々の敵」という表現を「復活」させた。北朝鮮の体制において、政権と軍隊はすなわち北朝鮮という国・・・

2023-12-31 11:18:47 | しらなかった
 

ミサイル、主敵、同盟、衛星…

2023年、悪化の一途を辿った朝鮮半島

登録:2023-12-25 07:36 修正:2023-12-31 07:23
 
[ハンギョレS]ムン・ジャンリョルの安保多焦点 
尹政権の「力による平和」と3カ国の同盟に 
北朝鮮、ロシアと密着し強対強で対抗 
9・19南北軍事合意の効力停止で衝突の危険性増大 
新年には「平和を念願する」世論が高まることを願う
 
 
金正恩国務委員長が見守る中、固体燃料式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星18型の発射訓練が行われたと、朝鮮中央通信が19日付で報じた/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 2023年の朝鮮半島安保状況は一言で言えば、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「力による平和」に対する北朝鮮の「強対強」の対応で軍事的緊張が高まり続けたということだ。戦争と軍事衝突が起きなかっただけで、平和はなかった。元日、北朝鮮は飛行距離約400キロメートルの短距離弾道ミサイルを発射した。国防部は1月16日に新しく発刊した「2022国防白書」で、「北朝鮮政権と北朝鮮軍は我々の敵」という表現を「復活」させた。北朝鮮の体制において、政権と軍隊はすなわち北朝鮮という国そのものを意味する。北朝鮮は直ちに韓国を主敵に指定すると発表した。

 「自由の盾(フリーダムシールド)」という新たな名前の定例韓米合同軍事演習が3月と8月の2回にわたり大々的な規模で実施され、その他にも大小の合同訓練と韓国軍単独の訓練が年中持続的に行われた。 米国の空母、原子力潜水艦、核爆撃機などの戦略資産が朝鮮半島に「常時配備」のレベルで展開され、韓米を越えて韓米日海上訓練とミサイル迎撃訓練も事実上公式化された。これに対する北朝鮮の対応は主にミサイル発射だった。年末までに数十回の「訓練」を通じて、米国本土を打撃できる大陸間弾道ミサイルに加え、短距離弾道ミサイル、巡航ミサイル、潜水艇、潜水艦などに「核弾頭」を装着する意志を明確に示した。

北朝鮮を利する中ロ敵対政策

 尹錫悦政権が追求する平和の手段である「力」は、米国の核戦力と韓米日の協力から生まれる。8月18日、初の正式な韓米日3カ国首脳会談がキャンプデービッドで行われた。インド太平洋地域および全世界の平和と繁栄、具体的な協議体の創設、拡大抑止と共同訓練、経済安全保障の強化などのための協力を誓う「キャンプデービッド原則」「キャンプデービッドの精神」という文書を採択した。そして、これに対する3カ国の「協議」(consult)を約束する別途の文書も共に発表された。

 米国はついにキャンプデービッド合意を通じて、戦略的利益を共有する日本と、米日に順応し追従する尹錫悦政権を束ね、3カ国の協力を「完全かつ検証可能で不可逆的な事実上の同盟」にすることに成功した。それに伴う後続措置は、朝鮮半島における米国戦略資産の制限なしの展開と韓米日3カ国の合同軍事演習など、北朝鮮だけでなく中国とロシアも同時に狙った北東アジア地域での軍事協力で実行されている。

 韓米日首脳会議が開かれてから1カ月もたたず、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は9月13日、ロシアのアムール州のボストチヌイ宇宙基地で会った。4年半ぶりの再会となる首脳会談では、公式発表文こそ出なかったが、両国が軍事・経済分野で協力を強化することにしたのは明らかだ。朝ロ軍事協力については、すでに7月27日の「戦勝節」(朝鮮戦争停戦協定締結日)を機にロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が北朝鮮を訪問し、重要な実務協議を進めていた。

 朝ロ協力の軍事分野では、ウクライナ戦争のために北朝鮮がいかなる形であれロシアに兵器を含む軍事支援を行う一方、ロシアは北朝鮮に先端軍事技術を提供することにした可能性が高い。さらに、合同演習や軍人事交流などの計画も、今後さらに具体的な輪郭が明らかになるだろう。

 朝ロ首脳会談の後続措置として経済協力も実質的に進められている。11月14~16日、ロシアの天然資源環境相は第10回朝ロ経済共同委員会会議に出席するため平壌(ピョンヤン)を訪れ、貿易や経済、科学技術など多方面の協力事業を活性化するという「議定書」を交わした。別途のインタビューでは観光を活性化する必要性にも言及した。12月11~15日、沿海州知事一行が平壌を訪問し、北朝鮮の対外経済相と会談し、「両国間の地域間の経済協力をより高い段階に引き上げるための問題」について協議した。

 朝ロ間の多方面にわたる協力が本軌道に乗り、朝中間の伝統的な友好関係が実質的協力に拡大すれば、北朝鮮が西側の封鎖と制裁を突破し、国内の経済問題を解決できる。限られた形ではあるが、国際社会に登場し、国際機関にも参加する可能性が高い。尹錫悦政権の行き過ぎた米日重点外交と中国とロシアに対する事実上の敵対的政策が、北朝鮮の立場を有利にするのに寄与したということだ。

南北間の完全なネガティブ・サム・ゲーム

 北朝鮮は2023年5月と8月の二度の失敗を乗り越え、11月21日に「千里馬1型」というロケットを用いて衛星「万里鏡1号」の打ち上げに成功した。今回の衛星は過去に軌道進入に成功した「光明星3-2号機」(2012)や「光明星4号機」(2016)より衛星体が偵察装備を搭載するほど大きくなり、北朝鮮はホワイトハウスやペンタゴン、米国本土および海外米軍基地などを撮影したと主張した。北朝鮮の軍事偵察衛星は、核武力の「完成度」とそれに基づいた抑止能力をさらに高める。当然、北朝鮮は2024年にも偵察装備の性能向上とともに偵察衛星の打ち上げを続けるだろう。

 北朝鮮が偵察衛星を発射した翌日、韓国は「9・19南北軍事合意」第1条第3項の効力を停止した。同条項は軍事境界線の南北に飛行禁止区域を設定するものだ(戦闘機と偵察機は東部40キロメートルおよび西部20キロメートル、その他の無人機とヘリコプターは10~15キロメートル区域)。そしてその翌日、北朝鮮国防省は「軍事合意に拘束されない」とし、「地上・海上・空中で中止していたすべての軍事的措置を直ちに復元する」と発表した。さらに合意によって非武装地帯で閉鎖した監視警戒所(GP)を復元し、武器を搬入する一方、西海岸の海岸砲の砲口を開いた。

 このような対抗措置は、接境地域での軍事的緊張と衝突の可能性を高める南北間の完全なネガティブ・サム(negative sum、負の和)ゲームだ。強いて言えば、通常戦力と遠距離偵察能力で劣勢の北朝鮮に相対的に軍事的利点を与えるものだ。韓国の優勢な戦力は、その程度の「制限区域」を守っても、情報と作戦の面であまり制限を受けないからだ。2024年からは再び文在寅(ムン・ジェイン)政権以前のように非武装地帯内と北方限界線(NLL)付近の海域での南北の軍事衝突の可能性を常に懸念しなければならない安全保障状況に直面することになった。

 2024年になったからといって、尹錫悦政権の外交安保政策と対北朝鮮対決路線が変化するとは期待しがたい。北朝鮮の強対強の対応基調も続くだろう。かすかな希望を抱けるのは、4月の総選挙で平和を実践しようとする政治勢力が国会を主導すること程度だ。もう一つは、11月の米大統領選挙で朝米関係の改善を果敢に進めようとする新大統領が選出されることも考えられる。しかし、最も重要なのは、平和的手段による平和を念願する多数の国民の存在だろう。険しい道のりだが、進むべき平和の道を、2024年も共に、毅然と歩んでいかなければならない。

ムン・ジャンリョル|元国防大学教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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今年燃え上がった陸軍士官学校内の洪範図(ホン・ボムド)将軍の胸像撤去論争は、理念を前面に掲げた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が起こした「平地風波」だった。

2023-12-30 09:25:26 | しらなかった
 

[2023韓国10大ニュース]民生差し置いた理念論争、「安全ピン」外れた南北関係

登録:2023-12-27 11:23 修正:2023-12-30 07:22
 
ソウル龍山区の国防部庁舎前にある洪範図将軍の胸像/聯合ニュース

1.洪範図将軍の胸像撤去推進、「歴史クーデター」の物議

 今年燃え上がった陸軍士官学校内の洪範図(ホン・ボムド)将軍の胸像撤去論争は、理念を前面に掲げた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が起こした「平地風波」だった。そのままにしておけば何の問題もないことを、わざと事を起こして騒ぎ立てたのだ。

 昨年10月、国会国防委員会の国防部の国政監査で、当時シン・ウォンシク議員(国民の力)が洪範図将軍の胸像撤去を初めて主張した。しばらく静かだったこの問題は8月以後、突如として尹錫悦政権の中心課題のようになった。尹大統領は8月15日の光復節記念演説でだしぬけに「共産全体主義を盲従し操作・扇動で世論を歪曲し、社会をかく乱する反国家勢力がいまだに横行している」と主張した。10日後の8月25日、陸軍士官学校は校内に設置された独立戦争の英雄・洪範図、金佐鎮(キム・ジャジン)、池青天(チ・チョンチョン)、李範ソク(イ・ボムソク)将軍と新興武官学校設立者の李会榮(イ・フェヨン)氏の胸像を撤去し、外部に移すと明らかにした。

 洪将軍の胸像撤去論議が加熱した8月28日、尹大統領は与党「国民の力」の国会議員研さん会を訪れ、「最も重要なのは理念だ。時代遅れの理念ではなく、国をきちんと導いていけるような哲学がまさに理念だ」と強調した。尹錫悦政権が歴史戦争と理念政治を宣言すると、国防部は「ソ連の共産党員だった洪将軍の胸像を、北朝鮮の共産主義に対抗する将校を育成する陸軍士官学校に置くことはできない」と主張した。光復会などと野党は「洪範図将軍の胸像撤去は独立運動をけなし、国軍の歴史的正統性を否定する反憲法的な措置だ」と反発したが、国防部は耳を貸さなかった。胸像問題は、海軍の潜水艦「洪範図」の艦名変更、国防部前の洪範図将軍の胸像撤去、陸軍士官学校の名誉卒業証書問題へと膨らんだ。

 10月、ソウル江西(カンソ)区長補欠選挙で国民の力が敗北した後、尹大統領が民生(国民の暮らし)問題を強調しはじめ、国防部の動きも静まった。シン・ウォンシク国防部長官は先月、「(洪将軍の胸像移転は)年内には難しいと予想している。国民を説得する過程も思ったより時間がかかり、国家報勲部で準備しなければならない事項もある」と述べた。洪将軍の胸像撤去論争が、尹錫悦政権の理念偏向の象徴のように人々の脳裏に深く刻まれた後に出た話だ。

クォン・ヒョクチョル記者

 
7月19日午前、慶尚北道醴泉郡のオチョン橋付近で海兵隊の将兵1人が捜索作業中に急流に流され行方不明になった。消防当局がヘリコプターとボートを動員して将兵を捜索している=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

2.海兵隊上等兵殉職捜査、政府・大統領室の外圧疑惑

 7月19日、慶尚北道醴泉(イェチョン)の乃城川(ネソンチョン)で、海兵隊のC上等兵が豪雨による行方不明者の捜索をしていたところ急流に流され死亡した。当時C上等兵には救命胴衣が支給されていなかった。海兵隊捜査団長だったパク・チョンフン大佐は、安全対策なしに行方不明者の捜索作戦を行ったことには当時イム・ソングン海兵隊第1師団長の「無理な指示」があったとみて、イム師団長の容疑を含ませた。イ・ジョンソプ国防部長官(当時)もこのような内容が書かれた調査報告書を7月30日に決裁した。その後「イム師団長などを容疑者から除外せよ」という趣旨の外圧が入り始めた。捜査団は外圧を感じながらも、8月2日に事件を警察に移牒した。すると国防部は、直ちに事件記録を回収し、パク大佐を集団抗命の首謀者の疑いで立件した。このような外圧の背景には尹錫悦大統領がいるという疑惑も出ている。

チョン・ファンボン記者

 
7月18日、教員が自ら命を絶ったソウル市瑞草区のある小学校の入り口に故人を追悼するメッセージと花が置かれている=ユン・ウンシ先任記者//ハンギョレ新聞社

3.「教権」の墜落、崖っぷちの「学生人権条例」

 7月18日、ソウル瑞草区(ソチョグ)のある小学校の教員が自ら命を絶った。保護者のパワハラが原因だという疑惑が持ちあがった。教員たちは、学校現場で保護者の悪性クレームに苦しめられた自分たちの経験を投影し対策作りを訴えた。7月22日からソウルの光化門(クァンファムン)や国会前で開かれた土曜集会に毎回数万人の教員が集まった。教員たちは故人の四十九日となる日の9月4日を「公教育ストップの日」に指定し、集団で年次休暇・病気休暇を出してデモに乗り出す闘争も行った。教員たちの要求により、教員の正当な生活指導を守り学校長の責務などを明示した「教権保護4法」が9月に国会で可決された。一方、教権(教員の権威、権限、教える権利)が損なわれた背景として「学生人権条例」(生徒の尊厳や自由を保障するために制定された各自治体あるいは市・道教育庁の条例)が指摘され、各地方議会で学生人権条例廃止の動きが起きたりもした。

パク・コウン記者

 
8月3日午後、全羅北道扶安郡のセマングム世界スカウトジャンボリーのデルタ区域で暑さに疲れたスカウト隊員たちが休憩を取っている/聯合ニュース

4.準備不足で難航したセマングムジャンボリー

 8月1日、全羅北道扶安(プアン)のセマングム干拓地で開幕した「2023世界スカウトジャンボリー」が、猛暑と準備不足により行事初日から難航したうえに、台風6号(カーヌン)の接近で開幕から1週間たった8日に事実上早期閉幕した。約150カ国から4万人を越える人員が参加した大規模な国際行事だったが、準備状態は文字通り「不足だらけ」だった。大雨でキャンプ場が水浸しになり、虫刺され事故が相次いだなか、日陰のない干拓地のキャンプ場では熱中症患者が続出。トイレやシャワー室などの劣悪な衛生状態はSNSを通じて全世界に広がった。準備不足を叱責する世論が広がると、女性家族部など中央政府と管轄自治体である全羅北道の間で責任のなすりつけが起こり、行事が進められたセマングム干拓地のSOC(社会資本)事業費が大幅に削減された。

パク・イムグン記者

 
12月14日、キムパプ(海苔巻き)の価格(3000ウォン~5000ウォン)が表示されたソウル中区のあるキムパプ専門店の前を市民が通りがかっている/聯合ニュース

5.高物価・高金利にうめく庶民

 今年1年間、庶民は高物価・高金利のために厳しい時間を送った。消費者物価の上昇率は昨年7月に6.3%(前年比)まで高騰し、今年に入って少しずつ下がる傾向をみせた。だが依然として3%台の高い水準を示している。韓国銀行は来年末または2025年上半期になれば物価上昇率が2.0%に下がるとみている。物価高の苦痛は続いているということだ。このような中、各国の中央銀行が物価高を抑えるために政策金利を急速に引き上げ、各家計では借金の元利金返済の負担も同時に増えている。今年下半期、4大銀行の住宅担保融資の変動金利の上段は年7%を突破し、信用融資金利の上段も6%台後半まで跳ね上がった。統計庁の家計金融福祉調査によれば、昨年1年間で各世帯が支払った貸付利子は平均247万ウォン(約27万円)。今年の年間利子はこれよりさらに増える可能性がある。

チョン・スルギ記者

 
12月18日、北朝鮮が発射した固体燃料の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18型」/聯合ニュース

6.南北、「9・19合意」以前の緊張関係へ

 2018年の南北首脳会談で結ばれ、軍事的衝突を防ぐ「平和安全弁」の役割を果たしてきた9・19南北軍事合意が全面的に無効化された。北朝鮮は今年だけで「火星15型」(2月18日)、「火星17型」(3月16日)、「火星18型」(4月13日、7月12日、12月18日)の5回の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を試験発射した。特に、北朝鮮は3回にわたって火星18型を発射し、固体燃料基盤のICBMを事実上戦力化したという評価を受けた。11月21日には、北朝鮮が初の軍事偵察衛星を打ち上げた。韓国はこれに対応して、軍事境界線一帯に戦闘機・偵察機などの飛行禁止区域を設定した9・19軍事合意の一部条項を効力停止し、北朝鮮は直ちにこの合意の全面無効化を宣言した。南北は9・19軍事合意以前の緊張関係に戻った。

シン・ヒョンチョル記者

 
10月11日、ソウル江西区長補欠選挙に出馬した共に民主党のチン・ギョフン候補が当選確実となり、麻谷洞の事務所で配偶者のパク・ウンジ氏と共に親指を立てるポーズを取っている/聯合ニュース

7.江西区長補欠選挙で惨敗の与党

 与党「国民の力」は10月11日のソウル江西区長補欠選挙で17.15ポイント差で惨敗し、荒波に包まれた。イン・ヨハン氏を委員長とした「革新委員会」は、党指導部・重鎮・親尹錫悦派の議員らの来年4月の総選挙不出馬、または当選の厳しい地域への出馬を要求したが、当事者たちは即答しなかった。革新委が「手ぶら」で解散した直後、「元祖尹核関(尹大統領の核心関係者)」と呼ばれるチャン・ジェウォン議員が総選挙不出馬を宣言し、局面が急変した。勇退論を拒否してきたキム・ギヒョン前代表は、尹錫悦大統領の不出馬の要求すらも拒否し代表職を辞任した。国民の力は非常対策委員会体制で総選挙を行うことにし、ハン・ドンフン前法務部長官を非常対策委員長に投入した。イ・ジュンソク元代表の辞任、キム・ギヒョン代表の当選、ハン・ドンフン非常対策委員長の救援登板まで、すべてが「尹大統領の意向」どおり着々と進んだ。

ソン・ヒョンス記者

 
9月27日、共に民主党のイ・ジェミョン代表が、裁判所の拘束令状棄却決定後、ソウル拘置所を出て発言している/聯合ニュース

8.民主党のイシューをすべてさらった「イ・ジェミョン代表リスク」

 2023年の最初から最後まで、野党「共に民主党」の唯一のキーワードは「イ・ジェミョン」だった。1月10日の「城南FC後援金疑惑」呼び出し調査→2月27日の1回目の逮捕同意案否決→9月21日の2回目の逮捕同意案可決に至るまで、イ・ジェミョン代表に向けられた捜査は民主党のすべてのイシューを飲み込む勢いだったた。イ代表は「民主主義守護」を掲げて行った24日間のハンガーストライキと裁判所の拘束令状棄却(9月27日)、ソウル江西区長補欠選挙の勝利(10月11日)で、再跳躍の足場を固めたようにみえた。しかしその後、刷新と対話に消極的な姿を見せ、イ・ナギョン元首相が年明けの新党結成を示唆し、再び試験台に立つことになった。党内の非主流の一部とイ・ナギョン元首相は、イ・ジェミョン代表の退陣を前提にした非常対策委員会の構成を要求している。

オム・ジウォン記者

 
9月14日、検察の職員らが「キム・マンベ-シン・ハンニム録音記録」を報道した独立系メディア「ニュース打破」の家宅捜索のためにソウル中区の事務所に向かっている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

9.尹錫悦政権「全方位メディア掌握」本格化

 今年一年、マスコミ業界は言論弾圧論で常に騒がしかった。尹錫悦大統領は5月、検察起訴を口実にハン・サンヒョク放送通信委員長を免職したのに続き、8月にチョン・ヨンジュ放送通信審議委員長を解任した。2人とも文在寅(ムン・ジェイン)政権で任命された人物だ。放通委の人員構成を変えた政府はこれを踏み台に、テレビ受信料分離徴収や、韓国放送(KBS)・文化放送(MBC)の取締役会および経営陣の交替、YTNの民営化など、公共放送の根幹を揺るがす政策を推進した。放送通信審議委員会は、独立系メディア「ニュース打破」の「キム・マンベ録音記録」報道を口実に政権に不利な報道に「フェイクニュース」のレッテルを貼り、「政治審議」との論争を招いた。MBC・京郷新聞などの報道機関と所属記者に対する検察の強引な家宅捜索も問題になった。野党とメディア団体はこれに対抗し、公共放送の支配構造改善を主な内容とする放送3法の国会本会議処理を通したが、これすらも尹大統領の拒否権行使によって結局廃棄となった。

チェ・ソンジン記者

 
8月24日午前、ソウル市の冠岳山の麓で開かれた「公園女性殺害事件被害者追悼および女性暴力放置国家糾弾緊急行動」に市民たち集まり、故人を追悼している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

10.殺害・性的暴行…絶えない「女性対象犯罪」

 今年5月、ソウル市の衿川区始興洞(クムチョング・シフンドン)で30代の男性が元交際相手を殺害した。別れの通知を受けて暴力を振るい、警察に通報されたため「報復殺害」をしたという。警察は女性が通報したにもかかわらず保護措置を取らなかった。2カ月後、仁川市の論ヒョン洞(ノンヒョンドン)で30代の男性が元交際相手をストーキングして殺害した。裁判所が下した接近禁止命令は効果を果たさなかった。8月、ソウル市の新林洞(シンリムドン)で出勤途中の女性が性的暴行を受けた後に殺された。見ず知らずの犯人であるチェ・ユンジョン(身元公開)は、単に「強姦したかった」と述べた。また、11月には慶尚南道晋州市(チンジュシ)のコンビニの女性スタッフが20代男性から突然暴行を受けた。「ショートヘア=フェミニスト」であり「フェミニストは殴られて当然だ」と語った。今年も女性を対象にした暴力事件が絶えなかった。法の死角地帯の中、女性たちは今日も「たまたま生き残ったにすぎない」と実感している。

オ・セジン記者

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1121766.html韓国語原文入力:2023-12-26 09:57
訳C.M

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イさんは、自分の麻薬投薬容疑に関する証拠は遊興業者の室長の陳述だけだとし、容疑を否認し続けてきた。実際、国立科学捜査研究院が2回にわたり精密調査を行ったが、いずれも陰性

2023-12-29 09:49:24 | 韓国を知ろう
 
ハンギョレ新聞[社説]

俳優イ・ソンギュンさんの死、

警察は「無理な捜査」ではないといえるのか

登録:2023-12-28 21:01 修正:2023-12-29 08:11
 
 
12月27日午前、ソウル鍾路区臥龍公園近くで俳優のイ・ソンギュンさんが車の中で遺体で発見され、警察が現場鑑識を行っている/聯合ニュース

 麻薬投薬の疑いで警察の捜査を受けていた俳優のイ・ソンギュンさんが、自分の車の中で遺体で発見された。イさんの家からは遺書が見つかったという。10月から警察の捜査を受けてきたイさんは、23日から24日にかけて3回目の警察の取調べを受けた。イさんは、自分の麻薬投薬容疑に関する証拠は遊興業者の室長の陳述だけだとし、容疑を否認し続けてきた。実際、国立科学捜査研究院が2回にわたり精密調査を行ったが、いずれも陰性判定が出た。にもかかわらず、警察はイさんを呼び出すたびにフォトライン(記者が取材対象者から一定の距離を置いて取材するよう設定した取材境界線)に立て、検証されてもいない取調べ内容をマスコミに流した。検察では「検察改革」によってなくなったこのような慣行が、堂々と行われた。イさんが有名な芸能人という理由で、被疑者の人権保護と無罪推定の原則が全く守られなかったのだ。このような状況がイさんの死と無関係だとはいえないだろう。

 警察はこれに先立ち、グループ「BIG BANG」出身の歌手クォン・ジヨン(G-DRAGON)さんも同じ容疑で捜査したが、容疑を確認できず、不送致の決定を下した。マスコミが「特定の人の陳述だけに依存した無理な捜査ではないか」と指摘すると、仁川警察庁のキム・ヒジュン庁長は「具体的な情報提供を捜査しない方がもっとおかしい」と反論した。捜査をするなというのではなく、情報提供の内容をきちんと検証したのかを聞いているのに、見当違いな返答だった。クォンさんは警察捜査によって生じた膨大な悪質コメントで負った精神的苦痛を訴えているが、警察は何の責任も負わない。警察は今回の捜査を物証なしに陳述だけに依存して着手した事実を認めながらも、「内偵捜査の段階でこれらの事実が(マスコミに)知られ、捜査が容易ではなかった」とマスコミを言い訳に立てる。内偵捜査の事実を警察が流していなかったら、捜査権のないマスコミがどうして知ることができるだろうか。イさんの場合、遊興業者の室長と交わした個人的な携帯メールまでマスコミに赤裸々に公開された。警察が強制捜査を通じて確保した証拠がマスコミに公開されたことを、警察と関係のないことだと主張しても果たして誰が信じるだろうか。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権になり、法務部は「麻薬掃討作戦」を大々的に行った。麻薬事犯に対する処罰一辺倒の政策が、かえって治療を受けなければならない人を隠してしまう恐れがあるという専門家の指摘にもかかわらず、ひたすら捜査を中心に進めた。このような雰囲気のなか、警察をはじめ捜査機関は実績に対する負担を感じざるを得ない。政権レベルで推し進める捜査で「大物」を釣ろうとする欲が悲劇につながったのではないか、振り返ってみなければならない。二度とこのようなことが起きないよう、捜査過程に対する徹底した検証と再発防止対策が必要だ。

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専門家は、政府と社会の根本的な認識の転換が必要だと指摘する。処罰や監視が中心の制度を、就業と定住を支援する方向へと変えなければならないということだ。

2023-12-28 08:32:11 | 一人一人の人権が保障される世界の実現を!
 

「私は不法滞在者ではない」…

留学生強制出国であらわになったK教育の素顔

登録:2023-12-26 23:05 修正:2023-12-28 08:13
 
留学生18万時代の陰(上)
 
 
韓信大学韓国語学堂のウズベキスタン人留学生が11月17日、校庭で写真を撮っている。京畿道に初雪が降った日だった。10日後の11月27日、彼らは出入国管理所に行くという大学当局の言葉を信じてバスに乗り、強制出国させられた=韓信大学留学生拉致事件被害者の会提供//ハンギョレ新聞社

 韓信大学留学生強制出国事件を契機として、政府と大学当局の外国人留学生政策が俎上(そじょう)に載っている。この事件は韓信大学という特定の大学に限られるものではなく、韓国の大学と地域社会が直面している限界と危機の現在地をあらわにしたという点で非常に象徴的だ。ハンギョレは3回にわたって留学生政策の現在地、問題点、代案を点検する。

 ウズベキスタンから来たムハンマド・ジヤさん(25)は、来年2月に仁荷大学国際通商学科を卒業する。慣れない土地で紆余曲折の末に卒業証書を受け取ることになったが、ムハンマドさんは近ごろ、いつにも増して不安だ。韓国を去らなければならないかも知れないと心配だからだ。留学ビザがまもなく求職ビザに切り替わるが、6カ月ごとに滞在期間を延長しなければならないうえ、残高証明も毎回必要となる。ムハンマドさんは「ビザのことを考えただけでもストレス」だと話した。

 何よりもムハンマドさんを苦しめるのは、韓国のビザ審査方式だ。ムハンマドさんは単により良い教育とより大きな夢のために韓国にやって来た。5年間にわたって誠実に学んで学位も得た。しかしビザ審査の際には、果てしなく自分の存在が違法でないことを、さらには今後も違法な存在とはならないことを証明しなければならない。ムハンマドさんは「ビザを切り替えたり延長したりするたびに、私たち外国人学生は人に危害を加えうる人間、果ては殺人者のように扱われる」と話した。

 ムハンマドさんは先月起きた韓信大学によるウズベキスタン人留学生の強制出国も、「このような視線の延長線上にある」と述べた。韓信大学は法務部からの財政能力立証要求を満たせなかった学生たちが大学からいなくなり、不法滞在者となる可能性を懸念して、彼らを出国させた。まだ在留期間が残っている学生たちを「不法滞在者予備軍」と規定した韓信大学の行為は、果てしなく存在の合法性を疑われるムハンマドさんにとってはすでに馴染みの暴力だ。

 外国人を監視と処罰の対象とする視線は、政府の指針でもあらわになっている。法務部は「外国人留学生の査証発給および在留管理指針」に、審査基準として学歴、財政、国籍を明示している。経済協力開発機構(OECD)加盟国の出身者は各種の書類提出が免除されるが、韓国国内の留学生の90%にのぼるアジア出身者は大半がより厳格な審査を受ける。不法滞在者が多いウズベキスタンやベトナムなどの特定の国の出身者は、さらに強い規制を受ける。ムハンマドさんは「韓国政府がこのような人種差別的視点を維持すれば、才能があり教育も受けた外国人は韓国を去るだろう」と話した。

 
 
外国人留学生たちが7月20日、釜山広域市東区の釜山港国際展示コンベンションセンターで開かれた「地域特化型ビザ留学生採用博覧会」で入場を待っている/聯合ニュース

 留学生たちはすでに韓国に背を向けつつある。法務部の資料によると、国内の学位課程に在学する留学生は2022年時点で14万人で、2010年(7万人)の2倍(韓国教育開発院の集計による2023年時点での学位課程、語学その他の研修課程に在学する留学生は18万1842人)。だが、彼らの国内就業率は16%に過ぎない。隣国の日本(2021年、37%)の半分にも満たない。求職過程でのビザの維持が容易でないうえ、留学生は大学卒業後、原則的に就業できるのは事務・専門職のみだからだ。このような状況のせいで、実際に留学生に対する需要の高い中小企業、生産職への就業は難しい。結局、留学生たちは母国に帰るか、第三国へと去ってゆく。

 大学卒業が就職につながらないため、留学生たちは韓国での未来が描けない。漢陽大学エリカキャンパスの韓国語学堂に通うモンゴル出身のエンフジンさん(22)は、さらに1学期ほど学んでから大学に進学して経営学を学ぶ計画だ。しかしエンフジンさんも大学卒業後はモンゴルに戻るつもりだ。エンフジンさんは「外国人女性として韓国で働く場所を見つけるのはとても難しい。モンゴルに戻れば大企業に就職する機会もあるので、残念ながら韓国を去る可能性が今のところ高い」と話した。

 社会の閉鎖的な雰囲気も問題だ。インドネシアの歯科医師、マリアさん(25)は、韓国の大学院への進学を準備している。マリアさんはジャカルタで学会が開かれれば通訳を務めるほど、英語に加えて韓国語も流ちょうだ。韓国文化にすっかり夢中になっているマリアさんも、卒業後に韓国に残るつもりはない。マリアさんは「むしろインドネシアで韓国人も信じて任せられる歯科をやりたい」と語った。韓国の物価の高さに対する心配は「毎日おにぎりだけで過ごさないとかもしれない」と冗談でやり過ごせても、「一生異邦人扱いされそうだ」という不安には耐えられないからだ。

 
 
マリアさんが今年10月、ジャカルタの歯科医院で患者を診療している=本人提供//ハンギョレ新聞社

 このように留学生に関する制度と文化の壁が強固に立ちはだかる間に、大学は崩壊しつつある。教育部と統計庁は、2024年の大学進学人口を37万人と予想している。86万人だった2000年の半数にも満たない。非首都圏はさらに深刻だ。統計庁は、2040年には非首都圏の大学の新入生定員の40.4%(8万4296人分)が埋まらないと予想している。大学の統廃合などの物理的な構造調整も解決策として提示されているが、事情はそう生易しくはない。大学がなくなれば若年人口が流入しなくなる地域社会の切迫さも無視できないからだ。留学生がいなくなれば地域の消滅に直面する自治体は、1つ2つでは済まない。

 政府もこのような現実を知らないわけではない。今年8月に教育部が2027年までに外国人留学生を30万人にまで増やすと発表したのも、このような状況を意識しているからだ。しかし、単に留学生の数だけを増やせば、副作用ばかりが強まる可能性が高い。希望留学先としての韓国に対する選好度が年々低下している中、単純な定員拡大はビザで商売することを狙うブローカーの餌食となる公算が高いからだ。実際に、今年1月に法務部が時代転換のチョ・ジョンフン議員室に提出した資料によれば、留学ビザで韓国にやって来て未登録在留者になった外国人の割合は、2018年には1.38%だったが、2022年には7.13%へと5倍近くになっている。

 韓国語学堂もこのような構造から自由ではない。語学研修-大学進学-就職とつながるルートにおいて最も重要な進学と就職のつながりが切れているため、大学進学の予備課程となるべき語学堂も学生募集が難しい。留学生の立場からすると、韓国での就業が保障されるわけでもないのに、言葉を学ぶためにあえて高い金を払って韓国に来る理由はないからだ。ソウルにある大学は少なくとも韓国を観光するためにやって来る学生たちの需要があるが、そうでない非首都圏の諸大学は語学堂の学費収入を確保するために、将来的に問題が生じる危険性を甘んじて受け入れてでも留学生を入学させざるを得ない。

 専門家は、政府と社会の根本的な認識の転換が必要だと指摘する。処罰や監視が中心の制度を、就業と定住を支援する方向へと変えなければならないということだ。移民政策の専門家、済州漢拏大学のキム・ドギュン特任教授は「韓国人学生であれ外国人留学生であれ、結局のところ大学を卒業する最も基本的な目的は就職だが、この部分に対する支援はなく、規制ばかりしている。卒業から就職への橋渡しが安定的に確保されれば留学生が不法滞在へと転落する誘引は自然に消え、大学が直面する困難も解消されるだろう」と語った。

イ・ジュンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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