これらの課題の大半は国民的共感と国会の同意が必要な事案であり、大統領と与党の政治力が欠かせないが、尹大統領は野党との協治の意志や方策を具体的に示さず、「超党的協力」を強調した。

2022-12-16 20:29:26 | 日朝関係史から未来をみる!
 

尹錫烈大統領の改革、「協治」はなく「法治」だけを強調

登録:2022-12-16 10:04 修正:2022-12-16 11:48
 
国政課題点検会議で「3大改革」推進の意志を明らかに 
労働改革に重点を置き、「法治主義の確立」を強調 
協治の意志見せず、野党に「超党的協力」を要求
 
 
尹錫悦大統領が15日午後、青瓦台迎賓館で開かれた第1回国政課題点検会議で答弁している=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は15日、年金・労働・教育など3大改革課題について「改革は人気のないことだが、回避せずに必ず私たちがやり遂げなければならない」とし、「持続可能性のために(改革は)不可欠」だと述べた。特に「労働改革を成し遂げることができなければ、労働問題が政争と政治的問題に流れ、政治も滅び経済も滅びることになる」として「尹錫悦労働改革」に対する強硬な意志を再確認した。これらの課題の大半は国民的共感と国会の同意が必要な事案であり、大統領と与党の政治力が欠かせないが、尹大統領は野党との協治の意志や方策を具体的に示さず、「超党的協力」を強調した。

 尹大統領はこの日午後、青瓦台迎賓館でハン・ドクス首相や主要長官、一般国民などが参加した中で「第1回国政課題点検会議」を主宰し、このように述べた。この日の会議は、尹錫悦政権の120の国政課題のうち、経済・民生▽地方時代▽3大改革(労働・教育・年金)に対する青写真を示す時間とされた。会議は当初予定した100分をはるかに超え、2時間37分にわたり行われた。尹大統領が生中継で会議を開いたのは、10月27日の第11回非常経済民生会議に続き2回目。

 尹大統領は会議で、3大改革のうち労働改革を説明することに最も多くの時間を割き、「法治主義の確立」を強調した。労働組合の正当な権利である争議行為については「毎日寝ても覚めても争議していては、(労使の)両方とも損失が大きい」とし、「関係安定性のために法治主義が確立されなければならない」と述べ、厳重に処断する基調を明らかにした。最近終了した民主労総全国公共運輸労組貨物連帯本部(貨物連帯)のストライキに関しては「このような文化は今後継続してはならない」と述べた。尹大統領はまた、現行の労働法体系について「1960~70年代の工場時代の法制」だとし、「労働制度が変わらなければ国際市場で三流、四流に転落する」と述べた。雇用労働部のイ・ジョンシク長官は、職務成果中心の賃金体系▽延長労働の柔軟化▽元請け・下請けの共生策と派遣制度などが含まれた改編方針を提示した。

 尹大統領は教育改革に関して、幼児ケアから中等教育までは「福祉次元の公正な教育サービスの恩恵」に、高等教育では「国家競争力強化」に重点を置いた。また、年金改革は「長期課題」であることを認め、「過去の政府で『票が落ちる』と言って議論にならず、前の政府の時は話自体が出なかった」とし、「体系的な研究と公論化を終え、現政権末期か次の政権の初期には、今後数十年間持続させることのできる年金改革の完成版が出るよう、今からエンジンをかけなければならない」と述べた。チョ・ギュホン保健福祉部長官は「来年10月には国民年金制度改革案を発表する」と述べた。

 このほか、尹大統領は廃止方針を明らかにした「多住宅者重課税」について、「経済的弱者である賃借人に(負担が)転嫁される」とし、前政権の不動産政策を直接攻撃した。また、健康保険の保障性強化対策であるいわゆる「文在寅ケア」の廃棄についても「モラルハザードが善良な保険加入者に被害を与えるため、それをなくし、保険制度を正しく作り直すということ」だとし、保障の後退に対する懸念を鎮めようとした。

キム・ミナ、ペ・ジヒョン、ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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約30年間、日帝強制動員被害補償を求めてきたヤン・クムドクさん(92)の叙勲を保留した韓国政府に対し、日本の市民団体も苦言を呈した。

2022-12-14 21:34:40 | 日朝関係史から未来をみる!
 

日本の市民団体、ヤン・クムドクさんの叙勲保留に

「加害国の国民として惨憺たる思い」

登録:2022-12-14 06:19 修正:2022-12-14 07:16
 
名古屋支援会、光州で記者会見を開き 
「加害企業と韓国政府の決定に体全体で怒りを感じる」
 
 
名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会の高橋信共同代表(右)が13日、光州広域市議会で記者会見を開き、ヤン・クムドクさんの叙勲を保留した韓国政府を糾弾している/聯合ニュース

 約30年間、日帝強制動員被害補償を求めてきたヤン・クムドクさん(92)の叙勲を保留した韓国政府に対し、日本の市民団体も苦言を呈した。

 「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」(名古屋支援会)の高橋信共同代表は13日、光州(クァンジュ)広域市議会で記者会見を開き、「日本の市民として、韓国政府が日本政府を意識していることを直感する」とし、「両国政府の交渉を眺めている加害企業と今回の韓国政府の決定に体全体で怒りを感じる」と述べた。

 高橋代表は9月10~11日、日本で公演した演劇「ほうせん花2022ー朝鮮女子勤労挺身隊~つなぐ記憶と継承」の成果と教訓を共有するため、3年ぶりに1泊2日の日程で光州を訪れたと説明した。今回の記者会見にはヤンさんと演劇「ほうせん花」の出演者、日帝強制動員市民の会のメンバーたちが共に出席した。

 高橋代表は「韓国の最高裁(大法院)判決から4年も経ったが、賠償が履行されない間、名古屋訴訟の原告5人と韓国訴訟の原告1人が死亡し、残りの被害者も人知れずこの世を去っている。加害国の市民として惨憺たる思いだ」としたうえで、「両国政府と最高裁だけでなく、傍観者的な態度を取り続ける三菱と日本製鉄に、行動に出るよう求めなければならない」と要請した。

 ヤンさんは「パク・チン外交部長は(被害者を)訪ねてひざまずいたのに、すっかり(態度が)変わった」とし、「人権賞が保留されたと聞いて、死ぬほど悔しく、今も私たちを無視していると思って呆れた」と語った。

 1998年に結成した名古屋支援会は、日本政府、戦犯企業を相手に強制動員被害の解決に乗り出すことを求めてきた日本の良心的な団体だ。名古屋支援会は同日、日帝強制動員市民歴史館の建設に使ってほしいとして、日本のメンバーたちが集めた100万円を日帝強制動員市民の会に渡した。

 光州市民団体も政府に対する批判を続けている。「学閥のない社会に向けた市民の会」は前日声明を発表し、「李明博(イ・ミョンバク)大統領就任初年度の2008年、保守団体の反発のせいで釜山(プサン)民主化実践家族運動協議会のイ・ジョンイ代表の人権賞受賞が取り消された」とし、「今度は尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権初年度に外交部が日本の顔色をうかがったことで、人権賞の独立性と権威が崩れている」と指摘した。彼らは「大韓民国の人権賞が政権の好みによって左右される賞なら、それは人権を守るというシンボルではなく、反人権と妥協した証拠になるだろう」とし、「ヤンさんの受賞が取り消された場合、私たちは昨年受賞した大韓民国人権賞(国家人権委員長表彰-団体部門)を国家人権委員会に返上する」と述べた。

 これに先立ち、国家人権委員会は9日、「世界人権の日」(毎年12月10日)を迎え、ヤンさんに国民勲章牡丹章を授与する予定だった。しかし、事前協議が必要な事案という外交部の意見を受け入れた行政安全部がヤンさんの件を国務会議に上程しなかったことで、叙勲が保留された。

キム・ヨンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「DMZは今や人類全体に属する土地になっています。いつか我が国の統一が実現した時、DMZをきちんと保全できなければ、世界は韓国を先進国として認めないでしょう」

2022-09-20 08:35:20 | 日朝関係史から未来をみる!

「DMZは人類全体の土地…

保存できなければ世界に恥をさらすことに」

登録:2022-09-19 02:19 修正:2022-09-19 08:40
 
[インタビュー]生態学者のチェ・ジェチョン梨花女子大学碩座教授
 
 
「2022レッツDMZフォーラム」共同委員長を務めた梨花女子大学のチェ・ジェチョン碩座教授=パク・キョンマン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「DMZ(非武装地帯)の価値は、国内より外国ではるかに高く評価されています。絶滅危惧種の重要な生息地であり、70年間にわたって人間の活動が排除された自然生態系としての価値は、他のどのような場所とも比較できません」

 韓国を代表する生態学者で、国立生態院の初代院長を務めた梨花女子大学のチェ・ジェチョン碩座教授は16日、DMZの価値を広く知ってもらうために京畿道が主催した「2022年レッツDMZフォーラム」でのキム・ドンヨン知事との対談で、このように強調した。

 DMZフォーラム組織委の共同委員長を務めたチェ教授に16日、京畿道高陽(コヤン)のキンテックスで話をうかがった。

レッツDMZフォーラムの共同委員長
キム・ドンヨン京畿道知事とオープニング対談
「生物多様性報告で外国で大きな注目」
「戦跡・生態価値をともに持つ観光資源」
ハーバード大学の恩師ウィルソン教授の教え
「南北統一後、調査することを想像すればわくわくするはず」

 「DMZは今や人類全体に属する土地になっています。いつか我が国の統一が実現した時、DMZをきちんと保全できなければ、世界は韓国を先進国として認めないでしょう」

 チェ教授が「DMZはもはや我が国の領土ではない」と宣言したのは、国立生態院の院長時代に生物多様性条約に議長として招請された時だった。「冗談ぽく言ったんですが、その時、私は国を売り渡す行為を少ししたんです。想像してみてください。タンザニアのセレンゲティ国立公園をある日、タンザニア政府がマンション団地として開発すると発表したとしましょう。世界はどんな反応をするのでしょうか。おそらく全世界の人々が立ち上がって『あなたたちの国ではあるが、そんなことはできない』と大騒ぎになるはずです。私は、DMZはほぼその水準に達していると思います」。同氏は「私たちがDMZを台無しにして全て開発してしまえば、大韓民国の地位は限りなく墜落するはず」とし「DMZの保全は大韓民国の地位の問題とつながっている」と語った。

 同氏がDMZと縁を結んだのは1980年代半ば。米国留学時代に指導教授だったハーバード大学のエドワード・ウィルソン教授の影響だった。「昨年冬に亡くなったウィルソン教授は、DMZに大きな関心と好奇心を寄せていました。私が訪ねるたびに『DMZはどうなっている(How is DMZ?)』と聞くんです。教授は私に『その中に何があるのか、いつか私たちが入っていって調査する日を考えてみなさい。想像しただけでもわくわくするじゃないか』といつもおっしゃっていました」

 1994年にソウル大学教授として帰国した同氏は、DMZフォーラムに参加するなど関心を持ち続け、国立生態院長になると本格的な研究を開始した。「軍の協力を得てDMZの中にカメラを設置し、かなり多くの映像資料を集めました。いかなる形であれ、調査と研究活動を活発に行い、DMZの関連資料を多く蓄積しておくことが必要です」

 同氏は、観光資源としてもDMZの活用は爆発的な効果をもたらすだろうと断言した。「私の指導教授はDMZを公園にしろと、米国で言えばゲティスバーグ国立公園とヨセミテ国立公園を合わせたような概念の国立公園を作るべきだとおっしゃっていました。ヨセミテは生態、ゲティスバーグは戦争の歴史がしみついた場所ですが、朝鮮半島のDMZはその2つを合わせ持っています。それがきちんとできれば全世界の人々が一度は来たがる場所になると思います」。同氏は「大韓民国に観光に来られた多くの方々が臨津閣(イムジンガク)を訪れているが、戦争の痛みもあるが逆説的に環境は温帯地方で最もよく保存されている場所。この2つをいずれもお見せすると言えば、より多くの観光客が訪れるはず」と述べた。

 同氏は、ドイツとは状況が異なるものの、統一を実現させるためには東西ドイツのように多くの交流を重ねてゆくべきだと語った。同氏は「ドイツの生態学者でありジャーナリストであるキャロライン・メーリングという方が『環境、スポーツ、音楽のようなソフトな分野から一つずつ交流していたら、ある日私たちの隣に自然と統一が近づいていた』と語っていました。私たちもがむしゃらに平和を押し出すのではなく、スポーツ、芸術、音楽、文化、学術などで頻繁に交流をしていると、ある瞬間に必ず、誰かが一緒にやろうと言わなくても、自然と一緒に暮らすことになるのではないかと思います」と語った。

 チェ教授はこの日のキム・ドンヨン知事との対談で「韓国は短期間で山林緑化に成功したが、木の種の多様性がとても乏しい」とし、「北朝鮮地域の山林緑化に備えて、生物多様性を考慮した巨大な育苗場としてDMZを開発してほしい」と京畿道に提案した。

 同氏は具体的なDMZ保存策として、DMZに新たに建設する道路は全て高架道路にしようと10~20年前から提案してきた。「せいぜい長さは4キロなので十分に可能であり、そうでもして生態系の断絶を防がなければならないと思いました。南北を結ぶ主要道路だけでも十数本ありますが、統一したのに政府が生物保存の観点から道をつなげないと言えば、地域住民の反発を防ぐ術はないでしょう」

 同氏は「DMZの生態系の保存のために最も必要なのは、開発を最小化することと、保存を基本とするという国民的コンセンサスを確固たるものにすること」とし「総合的なマスタープランを作って国民とコミュニケーションを取れば、韓国の国民は十分に理解して自ら動くはず」と語った。

 一方、DMZフォーラムは、境界地域のグリーンガバナンス、京畿道と黄海道の農業交流協力戦略、気候危機に対する南北共同対応のための地方政府の役割、京畿道「平和と統一のための社会的対話」推進策など、15の学術フォーラムを行った。そして、24日に臨津閣の平和ヌリで200人あまりの京畿北部道民と開催する道民フォーラムを最後に閉会する。

パク・キョンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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現在生存している約28万人のホロコースト犠牲者の老後のケアのために13億ユーロ(約1890億円)を支出するという内容だ。対象にはロシアの侵略でウクライナを脱出した8500人のユダヤ人被害者も含まれる。

2022-09-17 09:07:28 | 日朝関係史から未来をみる!

日本はいつドイツを見習うのか

登録:2022-09-17 01:20 修正:2022-09-17 08:49
 
[ハンギョレS]来週の質問
 
 
イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領(左)とドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領が6日、ベルリンのユダヤ人虐殺追悼公園を訪れている/EPA・聯合ニュース

 過去のナチスの戦争犯罪について反省し続けてきたドイツ政府が15日(現地時間)、再びユダヤ人ホロコースト犠牲者に対する追加の補償・賠償案を発表した。現在生存している約28万人のホロコースト犠牲者の老後のケアのために13億ユーロ(約1890億円)を支出するという内容だ。対象にはロシアの侵略でウクライナを脱出した8500人のユダヤ人被害者も含まれる。

 ドイツが1952年9月に初めてイスラエル政府、ユダヤ人団体と「ルクセンブルク合意」を結んで以降、ナチスによるユダヤ人集団収容や虐殺などのホロコーストや戦争犯罪に対して補償や賠償を続けてきたということは、よく知られた事実だ。ドイツはこの合意で国の集団虐殺に対する責任を認め、犠牲者個人に補償・賠償を行うことに同意し、その後ドイツがユダヤ人被害者に支給した補償・賠償金は800億ユーロを超える。ドイツはナチスの行わせた強制労働に対しても2000年に入って「記憶・責任・未来財団」を設立し、89カ国の65万人あまりの被害者に44億ユーロを支給している。

 このようなドイツの態度は、韓国最高裁が日帝強占期の強制徴用被害者に対する賠償を命じる判決を下したにもかかわらず「1965年の韓日請求権協定ですでに解決済み」として知らぬふりをする日本の傍若無人な態度とは、大きく異なる。日本はさらに、最高裁の強制徴用賠償判決を口実として、半導体に必要不可欠な部品の韓国への輸出を規制する報復措置まで取った。

 ドイツにしても、最初から過去の過ちを潔く認め、積極的に補償や賠償を行ったわけではない。第2次世界大戦の直後には、ドイツ社会にも過去を無視したり忘れようとする雰囲気があった。ルクセンブルク合意当時は、ユダヤ人の被害に対する賠償に賛成する世論は11%程度にとどまった。ドイツ経済界はユダヤ人に対する補償・賠償がアラブ諸国との事業に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、反対のロビー活動を展開した。当時のコンラート・アデナウアー首相は議会で、保守政権党のキリスト教民主同盟の議員の造反票にぶちあたり、野党の社会民主党などの進歩勢力の賛成票に頼って合意案を可決させなければならなかった。しかしその後、ホロコーストの惨状が大衆に広く知られるようになったことで、過去のナチスの犯罪に対する道徳的・歴史的責任意識はドイツ社会のコンセンサスになる。

 またドイツは同日、歴史教育に今後3年間で約1億ユーロを支出する計画も発表した。最近の世論調査で、米国と欧州の若い世代の大多数がホロコーストについてよく知らないと答えたことに対する対応だという。これについて同国のオラフ・ショルツ首相は、ホロコーストの惨状を証言する生存者が徐々に減っているため、ナチスの犯罪を青少年に教育することはよりいっそう重要になっていると述べている。クリスティアン・リントナー財政相は「今日の私たちに(ナチスの犯罪に対する)個人的責任があるわけではないが、過去にドイツの名で行ったことに対する道徳的義務と歴史的責任はある」とし、「ホロコーストの記憶を保存することも私たちの責任」だと語った。

 かつて日本の安倍晋三元首相が慰安婦合意に関連して「これ以上謝罪しない」と厚かましく強弁したのとは、あまりにも異なる歴史認識である。

パク・ピョンス|国際ニュースチーム先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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映画は二十数年ぶりに行われたスミダ闘争を記憶する日本の集会で始まる。日本人連帯者たちは少しぎこちない発音だが「殺人的な集団解雇を全身で拒否する!」と韓国語のスローガンを叫び、「朝露」を歌う。

2022-08-08 08:28:05 | 日朝関係史から未来をみる!
 

韓国の労働者と日本の連帯者の人生を変えた闘争

登録:2022-08-06 02:46 修正:2022-08-06 12:23
 
[ハンギョレS]カン・ユ・ガラムの初めて出会ったドキュメンタリー 
『海を越えた初恋-1989スミダの記憶』
 
                                                        
                                                                            //ハンギョレ新聞社

 1989年、日本のスミダ電機の子会社は韓国の工場に1枚のファックスを送り、450人の解雇を通知する。これに怒ったチョン・ヒョンスク、パク・ソンヒ、チョン・スンレ、キム・スンミの4人の労組幹部は、8カ月にわたる日本のスミダ本社前での闘争を開始した。そしてこのような熱情的な闘争に連帯しつつ、自らの人生を振り返ることになった日本人たちがいた。『海を越えた初恋-1989スミダの記憶』(パク・チョンスク、2010)は、今から30年あまり前に起きたスミダ遠征闘争の主人公たちと、当時連帯した日本人の友情の時間を振り返るドキュメンタリーだ。

 映画は二十数年ぶりに行われたスミダ闘争を記憶する日本の集会で始まる。日本人連帯者たちは少しぎこちない発音だが「殺人的な集団解雇を全身で拒否する!」と韓国語のスローガンを叫び、「朝露」を歌う。参加したソンヒさんを心から歓迎する顔からは、20年前の時間の絆の強さが一瞬にして連想される。

 遠征闘争団が闘争を開始した時、日本の子会社はびくともしなかった。会社は彼女たちのビザ満了ばかりを待ちつつ時間を稼いだ。交渉現場でも、怒りに震える組合員たちに向かって「可愛い」などと言い、闘争を見下し、茶化したりした。結局、労組員たちは2回にわたるハンストを行った。彼女たちの粘り強い闘争に感化されて、大学生、地域社会の活動家、労働界の人々が集会に集まり、宗教界も同調してハンストを行った。ある通訳は、交渉の際にヒョンスクさんが独り言で「私が落ちて死ななければならないのか」とつぶやくのを聞き、万が一の事件を防止するために一晩中彼女に付き添った。このような心強い日本の市民社会の連帯は、子会社の謝罪を引き出し、闘争を勝利へと導くのに大きな助けとなった。

 カメラは日本の連帯者たちがスミダ組合員たちの闘争スローガンや民衆歌謡、ダンスなどを真似したり学んだりする場面をたびたび見せてくれる。歌と踊りは彼らの心をつなぐひとつの媒介だった。歌と踊りのある闘争、そして最善を尽くして闘う韓国労働者の姿は、日本の人たちに新たなエネルギーを与えた。闘争が終わる瞬間、彼らはスミダ労組員たちに感謝の言葉を伝える。日本資本主義を省察し、自らの人生を振り返る日本人の姿は、東南アジアに工場を建てている現在の韓国の略奪的資本主義社会にとっても示唆するところが多い。

 闘争は勝利に終わったが、韓国に帰ってきた組合員たちはブラックリストに記録され、他の会社への就職が難しかったため、別の人生を歩むことになる。彼女たちは現在、労組幹部として、別の業界の労働者として、専業主婦として生きている。依然として人生は孤軍奮闘の連続だ。しかし、あの時間は自分の人生を立て直す基準として作用した。連帯者たちは沖縄平和行進に参加するなど、闘争が必要なところで連帯しつつ生きている。監督は、闘争に参加した誰もが、人生の峠や難しい局面において、あの時期を単に思い出すにとどまるのではなく、自分を肯定する力の源泉にしていることを見る。そのようにして「初恋」という単語の響きは、スミダ闘争に連帯した人々の顔を通して納得できる。そしてこの映画は、自分の人生と直接的なつながりがないと考えうる連帯者たちの献身が、社会の変化を引き出すのにどれほど大きな役割を果たすのかも力説する。映画の響きを今の私たちの現実に代入すれば、パリバゲット労働者たちのハンストのような現場には、さらに多くの連帯の動きが必要だということだ。

カン・ユ・ガラム|映画監督 『砂』(2011)、『梨泰院』(2016)、『時局フェミ』(2017)などのドキュメンタリーを制作。見応えのあるドキュメンタリーとそれにまつわる話を書く。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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