日本は1988年に発効した日米原子力協定にもとづいて使用済み核燃料の再処理ができ、20%未満の低濃縮が可能だ。有事の際にはそれを用いて短期間で核兵器を保有する能力を備えているわけだ。

2024-06-30 17:37:28 | 米国は、「世界の憲兵」をやめろ!
 

「トランプが認める」という核武装論…

朝ロ条約後に再登場も(1)=韓国

登録:2024-06-28 01:54 修正:2024-06-29 09:14
 
ナ・ギョンウォン、オ・セフンら積極主張 
トランプ陣営関係者の発言も火種 
「外交失敗から目をそらすもの」指摘
 
 
24年ぶりに北朝鮮を訪問したロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩国務委員長が19日、平壌の錦繍山迎賓館で行われた包括的戦略パートナーシップ条約調印式で記念撮影をおこなっている=平壌/タス・聯合ニュース

 19日に北朝鮮とロシアが同盟の復元に準ずる条約を締結したことを受け、保守陣営を中心として核武装論が改めて噴出している。

 朝鮮戦争から74年を迎えた25日、国民の力の代表候補たちが韓国の核武装論をめぐって論争を繰り広げた。この日、保守系団体「新たな未来準備委員会」のセミナーに参加したナ・ギョンウォン議員は、「今や韓国も核武装すべきだ」と述べた。ソウル市のオ・セフン市長は同セミナーで、「今日、5回目の汚物風船を見て、我々も核を開発すべきだと考えざるを得ない」と述べた。ナ議員は26日にもフェイスブックで、自身が党代表となれば「核武装」を党の方針として採択すると表明している。

 もう一つの「導火線」は、21日に国家情報院傘下の国家安保戦略研究院が発表した報告書だ。「ロ朝首脳会談の結果の評価および朝鮮半島に波及する影響」と題するこの報告書は、朝ロ条約の意味を分析しつつ、最後の部分で「(韓国の)独自の核武装、または潜在的な核能力の具備など、様々な代案についての政府レベルでの検討および戦略的公論化を推進すべきだ」としている。朝鮮日報をはじめとする保守メディアはこの一節を取り上げつつ、「核武装論」に改めて火をつけた。朝鮮日報は25日の社説で同報告書を引用した後、「これまでに国策研究所は、北朝鮮の核の脅威に対抗して米国の戦術核の再配備やNATO式の核共有に言及したことはあるが、独自の核武装と再処理権限の確保にまで言及したことはほぼなかった」とし、「もはや韓国政府も核武装論議をタブー視してはならない」と述べた。

核武装に現実性はあるのか

 北朝鮮の核能力の強化や朝ロ密着などで、韓国の安保環境が大きく悪化しているのは明らかな現実だ。問題は、韓国の核武装が現実的に可能なのかだ。核開発は核拡散防止条約(NPT)の脱退によって始まる。NPT第10条1項は、異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、3カ月前に国連安全保障理事会(安保理)などに通知のうえ、脱退できるとしている。韓国がNPT第10条1項を根拠に脱退を宣言したとしたら、安保理の韓国制裁決議案に米国は拒否権を行使してくれるだろうか。米国は、韓国の核武装を容認した際に日本、台湾、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコなどでもNPT脱退と「核ドミノ」が起きることを懸念するだろう。韓国が制裁を免れるのも困難だ。

 慶南大学軍事学科のチョ・ソンニョル招へい教授(元大阪総領事)は、「韓国が核武装するためにNPTを脱退すると、国連安保理の経済制裁を受けることになる。貿易に依存する韓国が持ちこたえるのは困難だ。しかも、韓国は電力生産の29%を原子力発電に依存しており、原子力供給国グループ(NSG)からの核燃料(MOX)の供給が断たれるため、大きな困難に直面することになる」と語る。

 そのうえ、米国の同意と黙認なき核開発は韓米同盟の破綻を招くということは、専門家が共通して指摘するところだ。昨年4月、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とバイデン大統領はワシントンでの首脳会談で、米国が朝鮮半島の拡大抑止を強化する代わりに韓国は独自の核武装を行わないとする「ワシントン宣言」を発表した。米国はこれによって、韓国が核武装に言及するのを遮断した。朝ロ条約後、韓国の核武装論が改めて噴出すると、キャンベル国務副長官は24日(現地時間)の米国外交問題評議会(CFR)の行事で、朝鮮半島において核抑止力を強化するために「ワシントン宣言」以外の措置が必要だと思うかと問われ、「(ワシントン宣言が)我々が今対応するのに必要なものを提供したと思う」と答えた。韓国の核武装論に反対するバイデン政権の明確な立場を改めて強調したのだ。

 
 
2023年4月、米国を国賓訪問した尹錫悦大統領がホワイトハウスでの歓迎行事でバイデン大統領と共に立っている。尹大統領とバイデン大統領はワシントン宣言を発表し、米国が拡大抑止を強化する代わりに、韓国の核武装論議を遮断した=ワシントン/ユン・ウンシク記者//ハンギョレ新聞社

トランプが再選されれば韓国の核武装を認めるか

 核武装論のもう一つの背景は、11月の米大統領選挙におけるドナルド・トランプ再選の可能性だ。トランプが再選されれば在韓米軍削減、韓米合同訓練の縮小などが予想されるため、韓国も核開発が必要だというわけだ。トランプ2期目が現実のものとなった際の国家安保担当大統領補佐官の候補と言われているエルブリッジ・コルビー元国防副次官補をはじめとするトランプ陣営の関係者の、相次ぐ「韓国の核武装容認」示唆発言が、韓国核武装論の重要な背景となっている。トランプ政権時代に朝鮮半島政策の実務担当者だったアリソン・フッカー元ホワイトハウス国家安保会議(NSC)アジア担当上級補佐官は今月21日、「我々は韓国が独自の核武装に向かって進み続けており、もしかしたらより急速に進むということを排除できない」と語った。代表的な保守系シンクタンクであるケイトー研究所のダグ・バンドー上級研究員も、21日の外交専門誌「フォーリン・ポリシー(FP)」への寄稿で、「米国の政策立案者たちは、韓国と日本が独自に核兵器を開発することもありうると心配している」とし、「良くないことではあるが、米国人を北朝鮮の(核)能力の人質にしておくことの方がはるかに悪いこと」だと述べた。

 しかし、実際に第2期トランプ政権となった時、彼らが実際に韓国の核武装を容認するとは考えにくいという意見は強い。国立外交院のチョン・ボングン名誉教授(韓国核政策学会会長)は、「今、トランプ陣営の中で競争しているこれらの人物は、韓国人の関心に合わせてリップサービスしているが、実際に政府に入って働くことになった時、韓国の核武装を容認する可能性はほとんどない」とし、「米国の外交安保の主流においては核不拡散原則が依然として非常に強力だという現実を直視しなければならない」と述べた。ダグ・バンドーをはじめとする韓国の核武装の可能性を示唆する人々は在韓米軍の撤退を一貫して主張してきた、ということも特に留意する必要がある。(2に続く)

 

「トランプが認める」という核武装論…

朝ロ条約後に再登場も(2)=韓国

登録:2024-06-28 01:53 修正:2024-06-29 09:14
 
 
                            六ヶ所再処理工場=NHKの番組の画面をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

(1の続き)

「潜在的核能力」と韓日の違い

 このように現実的な困難が存在するため、ひとまず日本のように「潜在的核能力」を確保しようという主張も強い。国民の力のハン・ドンフン元非常対策委員長は25日、「核戦力を用いた安保の強化は絶対に必要だ」としながらも、NPTを脱退した場合の制裁などを考慮し、ひとまず「核武装の潜在的力量を持つところまでは行こう」と主張した。ソン・ミンスン元外交長官も潜在的な核能力の保有を主張している。

 日本は1988年に発効した日米原子力協定にもとづいて使用済み核燃料の再処理ができ、20%未満の低濃縮が可能だ。有事の際にはそれを用いて短期間で核兵器を保有する能力を備えているわけだ。韓国が日本のように「潜在的核能力」を確保しようとしても、2035年に有効期間が満了する「韓米原子力協定」を事前に改正しておかなければ、それは不可能だ。チョ・ソンニョル教授は、「2015年に韓米原子力協定を改正する際、朴槿恵(パク・クネ)政権は米国に再処理技術を認めるよう要求し続けた。後にはせめてパイロプロセッシングを認めてほしいと主張したが、米国はそれにも同意しなかった」と語った。パイロプロセッシングとは、原発で使用したウランなどの核燃料を回収し、次世代原子炉の核燃料として再利用する技術だが、米国はそれも結局のところ核兵器の製造につながる可能性が排除できないと判断し、韓国の要求に同意しなかった。

「保守層を結集させるための無責任な核武装論はむしろ安保を脅かす」

 では、このように独自の核武装はもちろん、潜在的な核能力の保有も容易ではないという現実にあって、またしても核保有論が噴出しているのはなぜなのだろうか。ロシアとの外交を放置していたため朝ロ条約が締結されてしまったという政府の外交の失敗から人々の目をそらすとともに、保守層を結集させるための、保守層の政治的メッセージだという分析が示されている。チョ・ソンニョル教授は、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がウクライナを訪問してから韓ロ関係は悪化し続けたにもかかわらず、外交安保の責任者たちは『韓ロ関係はレッドラインを越えないようにうまく管理されている』と言い続け、韓ロ関係を放置してきた」とし、「このたび朝ロが条約を結ぶと、慌てた保守勢力は議論の焦点を核武装へと移している」と指摘した。

 政界の核武装論は実体があるわけでもない。尹錫悦政権が米国と真剣に交渉し、韓米原子力協定の改正などを要求しているわけでもないからだ。昨年4月の尹錫悦大統領の米国国賓訪問でバイデン政権と「ワシントン宣言」を発表して以降、政府はその結果である核協議グループ(NCG)で核の傘の強化策を議論しているに過ぎない。尹錫悦政権に実際に韓米原子力協定改正の意思があるのなら、昨年の「キャンプデービッド宣言」の交渉過程でこれらの問題について要求すべきだったということだ。

 政界で保守層を結集させるために核武装の声を強めることは、むしろ韓国にとっては大きな不利益になるという懸念もある。

 チョン・ボングン教授は、「今、次世代小型モジュール原子炉(SMR)や核燃料用濃縮技術など、韓国が米国と協力しなければならない先端技術は多いが、韓国で核武装の声が高まるほど米国は韓国の意図に不信を抱くようになり、先端技術協力でも韓国を疎外する懸念が高まる」と語る。

 専門家は、政府と政界が真剣に韓国の安保状況を憂いたうえで、在韓米軍の撤退などで核武装を考慮せざるを得ない万が一のケースに備えるためには、より慎重でなければならないと強調する。日本が使用済み核燃料の再処理の権利を確保してからも、公には「核潜在力」に言及しておらず、非核三原則を一貫して強調することで国際社会の信頼を得ていることの意味を考えるべきだということだ。チョン・ボングン教授は、「韓国が本当に安保のために核潜在力を保有するためには、与野党が真剣に協議して明確な戦略を立て、『静かな外交』を展開していかなければならない」とし、「政界がこのように核保有を騒げば騒ぐほど、一歩も進めなくなるし不利になる」と懸念を示した。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「新冷戦」という言葉が初めて出始めた時は、「半信半疑」という意見がかなりあった。適切でないとか大袈裟だという反論も出た。しかし、今や新冷戦はこの時代を描写する有力な表現となりつつある。

2024-06-29 10:36:21 | 韓国を知ろう
 

新たな「悪の枢軸」をつくる人々 【特派員コラム】

登録:2024-06-28 06:18 修正:2024-06-29 09:11

 

イ・ボニョン|ワシントン特派員
 
 
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が19日、平壌で北朝鮮の金正恩国務委員長との首脳会談後、共同会見を行っている=平壌/EPA・聯合ニュース

  「新冷戦」という言葉が初めて出始めた時は、「半信半疑」という意見がかなりあった。適切でないとか大袈裟だという反論も出た。しかし、今や新冷戦はこの時代を描写する有力な表現となりつつある。

 今度は「新・悪の枢軸」という言葉の番だ。北朝鮮とロシアの首脳会談が触媒の役割を果たしている。中国、ロシア、イラン、北朝鮮が米国側の主張する「新・悪の枢軸」だ。共和党関係者たちはこれをさも常識かのように口にする。ドナルド・トランプ前大統領の安保補佐官を務めたロバート・オブライエン氏も23日、CBSとのインタビューで、4カ国を「悪の枢軸」と呼んだ。ワシントン・ポスト紙のコラムは「悪の連帯」という言葉を使った。

 元祖「悪の枢軸」は、9・11テロから4カ月後の2002年1月、ジョージ・ブッシュ大統領が一般教書で名指ししたイラン、イラク、北朝鮮だ。ブッシュ大統領は第2次世界大戦時の枢軸国(ドイツ、イタリア、日本)にちなんでこの新造語を作り出した。ジョー・バイデン政権と民主党側は、このような言葉をほとんど使っていない。共和党政権の失敗した対外政策の象徴のようになってしまった言葉を使うのは得策ではないからだ。

 ところが、実は「新・悪の枢軸」の概念の基本枠組みを作ったのはバイデン政権だ。 国家情報局(DNI)が発刊する「年次脅威評価」報告書は、バイデン政権の初年度の2021年から序論で中国、ロシア、イラン、北朝鮮を別途に取り上げ、最も深刻な脅威として提示し始めた。これまでは分野と地域ごとに脅威を説明し、これらの国々について言及してきた。今や米国では新しい叙述方式に従わなければ時代遅れと言われるかもしれない状況だ。3月にはジョン・アクリーノ・インド太平洋司令官まで「悪の枢軸」という表現を使った。バイデン政権では、彼が初めてこの表現を公に使ったものとみられる。

 権威主義政権の連帯を「悪の枢軸」や「新・悪の枢軸」と呼ぶのに、何が問題なのかと思うかもしれない。ところが、実はそれほど単純な問題ではない。ブッシュ大統領が「悪の枢軸」を打ち負かそうとした後、アフガニスタンとイラクで戦火があがった。米国は、北朝鮮に対しても先制打撃を示唆し、北朝鮮核問題を再びこじらせた。宥和局面だったイランも一瞬にして敵に回した。西欧の言う善と悪には、かなり宗教的な意味合いと感情が含まれている。そのような二分法的な世界観において、悪とは対話と矯正ではなく、撲滅の対象にすぎない。

 このような概念のもう一つの問題は、対象の違いを区別できず、その違いの活用も困難にすることだ。「新・悪の枢軸」4カ国のうち3カ国が核武装国だ。残りの一国であるイランも、核武装の道に進む可能性がある。約20年前とは次元の異なる新たな「悪の枢軸」をどうやって一度に扱うことができるのか疑問だ。

 「悪の枢軸」は自ら生まれる場合もあるが、そう呼ぶ側によって作られ成長する場合もある。米国は、彼らが力を合わせて安全保障を阻害していると主張するが、向こうは、米国が自分たちを押さえつけるから団結しなければならないと主張する。紛争と対立の原因を冷静に考えて一つずつ解決するのではなく、「お前たちごときが…」という考えのもとでアプローチするならば、過ちを繰り返す可能性がある。

 ところで、悪がどうのこうのと言う人たちに聞きたい。8カ月以上ガザ地区で起きている状況は、悪でなければ一体何なのかと。あれが悪でないならば、悪というものが世の中に存在するのかと。

 
//ハンギョレ新聞社
イ・ボニョン|ワシントン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

沖縄での米兵による少女暴行事件に抗議する決議を満場の拍手で確認。「絶対に許さない」と怒りの声をあげました。

2024-06-28 09:40:31 | 沖縄に米軍基地も自衛隊の基地もいらない

2024年6月28日(金)

連帯して少女暴行に抗議

大軍拡進む島々が集会・政府要請

写真

(写真)各地のたたかいが報告された「島々から呼びかける全国を戦場にさせない!東京行動」=27日、衆院第1議員会館

 日米一体の大軍拡が進む南西諸島や各地域の代表が27日、衆院第1議員会館に集い、戦争準備ではなく戦争回避のための外交努力を求める「島々から呼びかける全国を戦場にさせない!東京行動」を行いました。100人以上が参加し、沖縄での米兵による少女暴行事件に抗議する決議を満場の拍手で確認。「絶対に許さない」と怒りの声をあげました。

 行動は、鹿児島の馬毛島・奄美大島、沖縄のうるま・宮古島・石垣島・与那国島、大分の敷戸、福岡の築城(ついき)、京都の祝園(ほうその)の各地域の住民の会などでつくる実行委員会が主催。沖縄等米軍基地問題議員懇談会が共催しました。

 院内集会で開会あいさつした実行委員会事務局の藤井幸子さんは、少女暴行事件に「心からの憤りを感じ、被害に遭った少女に対していたたまれない気持ちでいっぱいです。政府とアメリカは本当に人権をじゅうりんしている」と抗議しました。

 各地域の代表が大軍拡の実態を次々に報告しました。石垣島の代表は「陸上自衛隊石垣駐屯地がつくられ、日米一体の戦争準備が矢継ぎ早に強行されている」と告発。祝園の代表は「3月にミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワークを設立し、住民説明会を求める署名や学習会、宣伝に取り組んでいる」と語りました。

 沖縄等米軍基地問題議員懇談会の近藤昭一会長(立憲民主党衆院議員)、立民、日本共産党、「沖縄の風」の衆参議員が参加。共産党から赤嶺政賢、穀田恵二、田村貴昭の各衆院議員が参加し、あいさつしました。

 賛同団体から、総がかり行動実行委員会の小田川義和さんがあいさつしました。

 集会後、各団体は基地建設・強化中止を求め、岸田文雄首相、木原稔防衛相らにあてた要請書を各省担当者に手渡しました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

軍用リチウム一次電池は、長期にわたり多くの爆発事故を起こし、国防部が保管マニュアルを整え、代替品の開発に着手したほど危険性が広く知られている。

2024-06-27 08:46:29 | しらなかった
 

リチウム電池、爆発・火災が頻発…

工場には「熱感知装置」一つなかった=韓国

登録:2024-06-25 19:31 修正:2024-06-26 11:43

 

軍用リチウム電池が爆発、軍ではすでに対策作り 
零細納品業者は監督の死角地帯…安全装置不備 
「サーマルシステムがあったら大型被害を防げたはず」
 
 
25日、京畿道華城市西新面のリチウム電池工場の火災現場で、消防隊員が追加で発見された遺体を収拾している/聯合ニュース

 24日に起きた京畿道華城市(ファソンシ)の工場の火災は、業者が製造していた軍用リチウム一次電池から発生した。軍用リチウム一次電池は、長期にわたり多くの爆発事故を起こし、国防部が保管マニュアルを整え、代替品の開発に着手したほど危険性が広く知られている。しかし、軍の保管マニュアルなどは納品業者にまでは届かず、ついに大型惨事につながった。

 25日のハンギョレによる取材の結果、リチウム一次電池はエネルギー密度が高く、使用可能な温度範囲が広く、1990年代から韓国の国防通信装備によく使われようになった。軍では保管または使用中だったリチウム一次電池の爆発事故が絶えなかった。昨年、共に民主党のアン・ギュベク議員室が陸・海・空軍と防衛事業庁傘下の国防技術品質院から確保した資料「ここ3年間(2021年1月~2023年9月)の韓国軍リチウムバッテリー爆発・火災事故および対策現況」によれば、軍で3年間に31件のリチウムバッテリー爆発事故があった。

 事故が相次いだことで、国防部は2020年頃、リチウム一次電池の保管倉庫の温度・湿度を一定に維持するよう恒温恒湿機を設置し、爆発の兆候を事前に捉えるためにサーマルカメラを設置するなどの対策を推進すると明らかにしている。国防部はこの日、「リチウム一次電池の倉庫に恒温恒湿機、火花・煙自動感知システムなどが設置されている」として「(バッテリー不良による)2次被害はなかった」と明らかにした。

 今回の事故現場にもサーマルカメラなどリチウム火災感知のためのシステムが用意されていたならば、大型の人命被害を防ぐことができたと指摘されている。あるリチウムバッテリーメーカーの関係者は「24時間継続して製造過程中に熱をチェックする感知器が、我が社には数多く設置されている」として「(リチウムの特性上)華城工場の火災のように一旦火が広がったら鎮火は不可能だ。感知器をたくさん設置しておかなければならない」と話した。

 華城工場では22日にも小規模な火災があった。電池メーカー「アリセル」のパク・ジュンウォン本部長はこの日の記者会見で「当時、作業者が不良セルと認知して不良品処理用『フードボックス』(覆い付の箱)に入れてあった。火災に対して安全に対処し、処理した」と説明した。リチウム一次電池の特性上、小規模な火災はたびたび発生するという意味と思われる。

 監督の死角地帯に置かれているという指摘が相次ぐと、政府は代表的なリチウム一次電池メーカーを訪れ、安全点検を進めた。産業通商資源部はこの日、報道資料を配布し、「消防庁と電気安全公社、ガス安全公社などと共にリチウム一次電池事業場を訪れ、安全点検を実施した」と明らかにした。政府は「バッテリー産業現場安全点検タスクフォース(T/F)」を運営する計画も明らかにした。

 リチウム一次電池メーカーの零細さも管理の困難さを増大させている。韓国交通研究院のイ・ジュン研究委員は「リチウムを扱う零細企業が京畿道だけで約3500カ所ほどあると理解している」として「零細業者等がリチウムを扱っているため、関連規定を強化しようとする動きを規制と認識するケースが多い」と伝えた。政府は一次電池業者の現況を把握するのも困難な状況だ。

イ・ジヘ、チェ・ウリ、キム・ギョンウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メイセルの関係者は25日のハンギョレの電話取材に対し、「我々は派遣手数料のみを受け取って人夫(労働者)を派遣しており、(労働者に)作業を指示したこともなく、労働者の顔も知らない」と述べた。

2024-06-27 08:37:53 | 韓国を知ろう
 

「顔も知らずに送った」…

韓国の工場火災で死亡した外国人労働者「違法派遣」の可能性

登録:2024-06-26 07:56 修正:2024-06-26 09:12
 
爆発事故「アリセル」2階所在「メイセル」 
派遣法上「違法派遣」に当たる可能性 
アリセル側、「派遣」「請負」右往左往
 
 
25日、京畿道華城市の一次電池メーカー「アリセル」の工場火災現場で警察、消防、国立科学捜査研究院などの関係者が合同鑑識をおこなっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 京畿道華城市(ファソンシ)の工場火災惨事の犠牲者のうち18人が移住労働者であったことが明らかになった中、移住労働者のほとんどは一次電池メーカー「アリセル」の所属ではなく「メイセル」という会社に所属して働いていたことが確認された。また、彼らの雇用関係は「違法派遣」だとみられる。

 メイセルの関係者は25日のハンギョレの電話取材に対し、「我々は派遣手数料のみを受け取って人夫(労働者)を派遣しており、(労働者に)作業を指示したこともなく、労働者の顔も知らない」と述べた。メイセルは爆発事故が発生したアリセルの工場の第3棟2階に所在し、「一次電池製造」などを事業目的としている会社だ。

 これは元請け会社のアリセルの説明と相反する。アリセルのパク・スングァン代表取締役とパク・チュンオン本部長はこの日の記者会見で、亡くなった移住労働者について「人材供給業者から供給された派遣職」だと述べたかと思えば、「請負(業者に所属する労働者)」だと述べるなど、見解が右往左往している。また、移住労働者に対する業務指示は「派遣業者がおこなっていた」とも述べている。

 しかしメイセルの関係者は、「アリセルに入ることもできず、盆正月に会社の幹部たちから贈り物をもらう時以外は行くこともない」とし、「派遣業者が現場の労働者に業務指示をしていたというのはうそ」だと反論した。そして「携帯電話のショートメッセージで通勤バスの乗車位置を案内し、その後、アリセルに到着したらアリセルの管理者に引率されて働く。それがすべて」だとし、「アリセルから何人か送ってくれと言われれば送り、業務が未熟だということで交換してくれと言われれば交換していた」と述べた。

 メイセル関係者の主張どおりなら、メイセルとアリセルは派遣事業主と使用事業主の関係に当たる。メイセルは移住労働者をアリセルに派遣し、派遣労働者はアリセルの指揮・監督に従って働いていたのだ。しかし製造業の生産工程は、「派遣勤労者の保護などに関する法律」が認める派遣業種ではないうえ、メイセルは勤労者派遣事業許可を受けておらず、派遣法上「違法派遣」である可能性がある。

 メイセルは外国人求人・求職ポータルに求人公告を出しており、移住労働者を日雇いのかたちでアリセルに派遣してきたという。仕事に応じて流動的に人材を用いることがアリセルの目的だったとみられる。しかしメイセルは、派遣した移住労働者を労災保険にも加入させていなかった。

 この日、共に民主党のパク・ヘチョル議員が勤労福祉公団から提供を受けた資料によると、メイセルには労災保険加入者が1人もいない。メイセルは4月までは「ハンシンダイヤ」という社名で同じようにアリセルに労働者を派遣していたが、ハンシンダイヤの労災保険加入者は韓国人3人、外国人2人のみ。労災保険は国籍を問わず全員の加入が義務付けられている。

 アリセルのこのような雇用構造は、労働部の調査の対象になるとみられる。労働部の関係者は、「(アリセルとメイセルの関係が)請負関係だと断定するのは不適切な状況」だと述べつつ、「今後、調査を通じて派遣なのか請負なのかを確認する計画」だと語った。

パク・テウ、キム・ガユン、キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする