中国の大国化戦略によって、帝国的歴史認識がよりいっそう深刻化することを例示している」(オ・ビョンス編『韓中歴史教科書対話』東北アジア歴史財団)

2024-09-02 07:18:42 | 中国を知ろう!
 

習近平主席はなぜ「韓国は中国の一部だった」と言ったのだろうか

登録:2024-08-29 06:12 修正:2024-08-29 10:56

 

[パク・ミンヒのチャイナパズル]_中国夢によって「作られる」韓中関係の歴史
 
 
2017年4月、米国のドナルド・トランプ大統領(当時、左)と中国の習近平国家主席が米国フロリダ州マー・ア・ラゴ・リゾートで首脳会談を始める前に話を交わしている=フロリダ/新華社通信・聯合ニュース

 「中国の習近平国家主席は中国と韓国の歴史について話した。北朝鮮でなく韓国だ。数千年の歴史と多くの戦争を語った。(…)韓国は歴史的には中国の一部だったと言った」

 米国のドナルド・トランプ前大統領が2017年4月、米国フロリダ州マー・ア・ラゴ・リゾートの別荘で、中国の習近平国家主席と首脳会談を行った後のインタビューで明らかにした内容だ。習近平主席は本当にそのような話をしたのか、その時はあまり信じられなかった。トランプ前大統領の「たわごと」だと感じた。

 しかし、そのころから中国の歴史教科書も変わり始めた。中国教育部が2018年に発表した新教育過程に基づき歴史教育の内容を規定した「中外歴史綱要」の上巻(中国史)が2019年に、下巻(外国史)が2020年に発行された。これによると、中国と朝鮮半島の長い歴史的関係は「宗藩体制」で概念化された。政治、文化制度的に優れた「宗主権」を持っている帝国中国と、その文化をそのまま借用して服属した非自主的「属国」の朝鮮半島の王朝の関係だと規定したのだ。

 また、中国の歴史を様々な民族を統一して帝国を形成してきた歴史と叙述し、自国と周辺国との歴史関係を「大国と小国」の関係に置き換えることによって、東アジア地域の秩序全般に対する中国の「大局的介入」を正当化する論理が強調された。「中国の歴史の深化学習教材は、韓国の政治制度から日常文化に至るまで、中国の制度と文化をコピーしていないものは存在しないかのように叙述し、朝鮮戦争への参戦は、地域の平和と秩序の責任を負わなければならない大国としての義務感から始まったものだと記している。韓服やキムチの元祖論争は、このような教科書の叙述の延長線上にある枝葉的な現象にすぎない。中国の大国化戦略によって、帝国的歴史認識がよりいっそう深刻化することを例示している」(オ・ビョンス編『韓中歴史教科書対話』東北アジア歴史財団)

 まずは、歴史をさかのぼってみよう。学者らは、中国の明・清と朝鮮の間の朝貢冊封関係は、実際には「政治的儀礼」だったと分析する。「朝鮮などの周辺国は、中国に定期的に朝貢を捧げ、中国はその統治者を冊封する儀礼を通じて、周辺国は中国中心の地域秩序に順応するという意思を表明し、中国はその内政に干渉せず、有事の際に援助するという意志を確認したのだ。これを通じて朝鮮半島の王朝は、中国の王朝との長期間にわたる平和共存を実現し、内政と外交で事実上『完璧な自主権』を享受できた」(キム・ジョンハク『興宣大院君評伝』)。エール大学のオッド・アルネ・ウェスタッド教授も『帝国と義の民族』(Empire and Righteous Nation)で「朝鮮の事大は、明や他の外敵の朝鮮半島に対する干渉を防ぐ手法」だったと記した。朝鮮半島の王朝は、規模や人口などが圧倒的な中国と地理的にきわめて近かったため、「政治的儀礼」で中国の秩序に順応する姿勢を表現する代わりに、現実政治では自主権を守り、中国に吸収されない外交術を発揮したのだ。

 
 
2014年に英国の週刊誌「エコノミスト」が習近平主席を清の皇帝のように描写した表紙//ハンギョレ新聞社

 ところが、今の中国が朝鮮半島との伝統的関係を規定する際に強調する「属国」「宗主権」や「宗藩体制」などの用語は、20世紀以降の脈絡で歪曲され、意図的に「再創造」されたことを留意しなければならない。

 外交史を研究するソウル大学政治外交学部のキム・ジョンハク教授は「前近代には属国は朝貢国とほぼ同じ意味で使われたが、19世紀に『主権の有無』を重視する西洋国際法が新たに入ってくると、『主権を持つことができなかった国』または『上位の主権を持っている中国が干渉や介入できる国』に属国の意味が変質した」と分析する。また、「宗主権という用語は、前近代期には存在しなかった20世紀に作られた言葉だが、今ではそれで過去の歴史を再解釈する状況が広がっている」とした。「宗主権」という用語は、19世紀末にオスマン帝国とその版図から離れたエジプトやセルビアなどの関係を宗主国(suzerain state)‐封臣国(vassal state)で説明する欧州列強帝国主義の用語が、日本の翻訳を経て清で使われ始めたものであるにもかかわらず、今では中国が「意図的に」これを復活させているということだ。

 「韓国は歴史的に中国の一部だった」という認識を強化する中国の新たな歴史の作成の背景には、中国の新たな東アジア秩序の作成がある。東国大学のオ・ビョンス研究教授は、このような変化を、歴史教育の次元だけでなく、強大国として浮上した中国が周辺国との関係を帝国的認識に変えていこうとする国家戦略の変化や、「帝国の再構成の過程」だとみなすべきだと強調する。キム・ジョンハク教授も「富強化した中国の東アジア戦略やこの地域で新たに覇権を独占しようとする欲望が、過去の歴史の再解釈と絡み合っている」と指摘した。

 19世紀末にも、中国は朝鮮半島で新たな「秩序」の作成を試みたことがあった。ソウル大学歴史学部のキム・ヒョンジョン教授は、6月にソウル大学歴史研究所での講演で、清が19世紀の朝中関係で「天朝上国の便法外交」を試みたと分析した。中華帝国は自らを「天朝」や「天朝上国」と示して天下を統治すると考えていたが、1880年代に西欧と日本の帝国主義勢力と向き合うことになると、このような世界観はもはや維持されなくなった。このような状況のもとで清帝国は、伝統的な天朝体制と近代条約体制の隙間を利用した便法外交を朝鮮に一方的に強要し、崩れつつある天朝体制の虚像を守ることに執着する時代錯誤的な試みを行ったということだ。

 1882年に清は朝鮮と「中朝商民水陸貿易章程」を締結し、「朝鮮は清の属邦」という条項を加え、袁世凱は10年近くにわたり総督のように朝鮮朝廷の上に君臨し、清の国益を一方的に前面に出して強圧的に内政干渉を行った。何回も高宗の廃位を試み、朝鮮が米国に派遣した公使が現地の清の外交官の指示を受けるよう強要するなど、朝鮮を属国として縛り続けようとした。キム・ヒョンジョン教授は「清は西欧の国際法の体制を受け入れることもできなかったし、我流の帝国主義の方法論で天朝体制の虚像を守ることに執着し、最終的には朝鮮の独立も挫折して清も崩壊してしまった」と指摘した。

 
 
1882年の壬午軍乱から12年間朝鮮に総督として君臨し内政に干渉した袁世凱=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 注目すべき点は、19世紀末の清は、日本が琉球(沖縄)を併合したりベトナムをフランスが植民地化することに対しては積極的に対応しなかったが、朝鮮に対しては最後まで執着したことだ。「中国にとって朝鮮半島はいかなる意味なのか」という質問が浮び上がる。キム・ヒョンジョン教授は、中国が朝鮮を特殊な「属国」と感じて執着したのには、重要な地政学的理由があると指摘する。「明・清期に中国王朝が北京を首都にしてからは、朝鮮半島が中国の安全保障に直結することになった。朝鮮半島に敵対的な勢力が入れば、満州(現在の東北3省)が脅威にさらされ、これはただちに首都北京を脅かし、帝国の没落につながった」ということだ。北京を脅かしうる敵対的勢力が朝鮮半島北部を掌握することは、なんとしても防がなければならないという根が深い認識のため、中国共産党は内戦勝利直後の疲弊した状況下でも、1950年に朝鮮戦争に介入した。

 19世紀末に中国が「便法外交」を朝鮮に強要して失敗した後、韓中両国は日帝植民地支配や冷戦などに直面し、長きにわたり関係が切れた。両国が現代的な主権の概念に基づく歴史観と外交関係を正しく作っていく機会も長期間失われた。1992年8月24日に国交樹立してからのこの32年間は、それを作っていく過程でもあった。2000年代初頭から東北工程を通じて、渤海と高句麗を「中国の古代地方政権」と規定した中国が、いまでは前近代の朝鮮半島の歴史全般を「宗主国‐属国」の関係と解釈しようとするのは、韓中関係の現在と未来にも暗い影を落としている。

 中国が2016~17年に在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備決定に反発して韓国に報復措置を取ったとき、いやしくも当時の中国外交部のアジア局副局長は「小国が大国に対抗していいのか」と言った。中国はTHAAD配備について韓国に圧力をかけたが、米国のミサイル防御(MD)体制により明確に参加した日本に対しては報復措置を取らなかった。2022年8月に韓中外相会談で、中国の王毅外相は当時の韓国のパク・チン外相に「5つの当然すべきことを堅持せよ(堅持五個応当)」と要求したが、当初は「独立自主路線を堅持して外部の介入を排除せよ」だった。1880年代に日本が朝鮮に対して「清から独立せよ」と要求したことを思い出させた。

 「中華民族の偉大な復興」が、中国は明・清時代には朝鮮を思うがままにできる「宗主権」を持っていたが、西欧と日本の帝国主義のためにこれを喪失し、ふたたび富強になった中国がその「権利」を取り戻さなければならないという、時代錯誤的かつ危険な意味が込められているのではないかという、重い質問を投げかけざるをえない。

 
//ハンギョレ新聞社

パク・ミンヒ|統一外交チーム先任記者。大学と大学院で中国と中央アジアの歴史を学んだ。2007~2008年に中国人民大学で国際関係を勉強した後、2009年から2013年までハンギョレの北京特派員として中国各地を回り取材した。統一外交チーム長、国際部長、論説委員を経て、世界と外交に対して取材して書いている。『中国のジレンマ』『中国をインタビューする』(共著)を著し、『不可視中国』『ロングゲーム』などの著書を翻訳した。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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中国はここ数年、質の高い発展を推進し続け、新たな質の生産力の発展を加速し、新たな原動力を育成し、強大化させており、中国経済の発展に力強い原動力をもたらしただけでなく・・・

2024-07-07 22:33:21 | 中国を知ろう!

夏季ダボス会議で

中国が世界に伝えた三大メッセージ

人民網日本語版 2024年06月27日16:12
 

世界経済フォーラム(WEF)の第15回ニュー・チャンピオン年次総会(夏季ダボスフォーラム)が25日に大連で開幕し、李強総理が開幕式でスピーチを行った。中国は今回、協力・開放・発展という3つの大きなメッセージを改めて世界に伝えたとウォッチャーは見ている。

協力:連携してこそウィンウィンが可能に

世界中で地政学的衝突が激化し、反グローバリズムが台頭している現在、国際協力強化の必要性が一層明らかになっている。

中国は、世界経済の成長が苦境に陥る中、各国が自国の利益の最大化だけを考え、他国の利益を顧みなければ、経済の運営コストを高め、地域間の経済的結びつきを分断し、摩擦と紛争を激化させるだけであり、世界各国はパイを奪い合い、奪い合うほどにパイが小さくなるという悪循環に引き込まれると強調した。

「世界には競争の側面もあるが、協力も強化しなければならない」。米クレーンシェアーズのジョナサン・クレーンCEOは「特に気候問題については、気候変動のもたらした試練が多くのイノベーションや新技術の大量出現を促しており、これらの技術を世界が共有することが気候問題対策にとって極めて重要だ」と指摘した。

クライアントアースのアジア地域ディレクター兼中国首席代表であるディミトリ・デ・ブール氏は「中国は今や全世界に影響を及ぼす消費市場として台頭している。また、中国経済は着実に成長し続けている。各国が対立を排し、国際協力を深化・強化し続ければ、必ずやビジネスの発展のために良好な環境が築かれ、多大なビジネスチャンスが生まれる」と語った。

開放:相互信頼を増進

開放は中国が堅持する基盤だ。中国は、「開放は進歩をもたらし、閉鎖すれば立ち後れることは、世界経済発展の歴史によって証明されている。開放の中で相互交流し、長所を取り入れ短所を補ってこそ、発展の空間を絶えず押し広げ、新たなフロンティアを発見し、切り開くことができる」と強調している。

最近、中国は「ビザ免除」の対象を拡大し続け、外国人観光客が大勢訪中し、少なからぬ人々がショート動画を通じて、訪中時の実際の観光体験をシェアしており、「China Travel」がネット上のホットワードになっている。国家発展・改革委員会国際協力センターの毛克疾補助研究員は「過去数年、西側には中国に対する誤解や疑惑が多かったが、現在は新型コロナウイルス感染症の予防・抑制段階の転換と中国の開放拡大に伴い、外国人観光客が中国を訪れることで、一部の人々の中国に対する固定観念を打破する一助となっている」と指摘した。

毛氏は、「ビザ免除」対象の拡大は、中国の開放への自信を外国に示しただけでなく、中国の発展状況を外国に理解してもらう上でもプラスの役割を果たしたと指摘した。

発展:中国経済は新たな成長へ

中国はここ数年、質の高い発展を推進し続け、新たな質の生産力の発展を加速し、新たな原動力を育成し、強大化させており、中国経済の発展に力強い原動力をもたらしただけでなく、各国企業のためにもより大きな協力空間を創造してきた。

ボストンコンサルティンググループ(BCG)中国区執行パートナーの呉淳氏は「新たな質の生産力は、消費市場の根本的論理における人口、需要、トレンドとともに発展する一方で、科学技術革新も経済発展モデルの転換と高度化をリードし、経済自体の成長に潜在力を与えている。新たな質の原動力が発展・強大化するに伴い、中国の経済成長はより革新的で、グリーンで、持続可能な方向へと進んでいくことが期待される」と語った。

ハネウェル中国の余鋒社長は「中国が新たな質の生産力の発展に力を入れ、『ダブルカーボン』目標、デジタル経済、製造業のハイエンド化、スマート化、グリーン化を持続的に推進する中で、企業もそこから新たなビジネスチャンスを見出そうとしている」と指摘。「ハネウェルはオートメーション、未来の航空業、エネルギー転換という三大業務の発展の趨勢、及び中国の顧客のニーズを結びつけ、現地に即したイノベーションを推進する」と述べた。

最近、国際機関は2024年の中国経済の成長率予測を次々に上方修正している。KPMGグローバル中国業務発展センター中国主管パートナーの李瑶氏は「これは中国経済の強大な適応力と耐圧力を示している」と指摘。「現在、外部環境は複雑で変化に富み、中国経済はいくつかの試練に直面しているが、回復・好転という基調に変わりはない」とした。(編集NA)

「人民網日本語版」2024年6月27日

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古代中国では、アラブ地域が「天方」と呼ばれていた。そして中国では今、アラブ諸国への旅行が人気となっており、以前はミステリアスだったアラブ世界が、中国人観光客にとって少しずつ身近な存在になっている。

2024-06-03 10:55:11 | 中国を知ろう!

中国で人気高まるアラブ諸国の旅行

人民網日本語版 2024年05月30日16:16
 

アラブ世界の説話集「千夜一夜物語(アラビアンナイト)」は、中国では「天方夜譚」というタイトルに訳されている。古代中国では、アラブ地域が「天方」と呼ばれていた。そして中国では今、アラブ諸国への旅行が人気となっており、以前はミステリアスだったアラブ世界が、中国人観光客にとって少しずつ身近な存在になっている。新華社が報じた。

キング・ハーリド国際空港に到着した北京とサウジアラビアの首都・リヤドを直接結ぶ1本目の中国国際航空の飛行機(5月6日撮影・王海州)。

キング・ハーリド国際空港に到着した北京とサウジアラビアの首都・リヤドを直接結ぶ1本目の中国国際航空の飛行機(5月6日撮影・王海州)。

4月中旬、中国大陸部とサウジアラビアを直接結ぶ定期国際便が初就航した。メーデー5連休を利用してサウジアラビアを旅行した福建省に住む男性・王さんは「砂漠のオアシスとして知られるアルウラに行って、エキゾチックな文化を見てみたいとずっとと思っていた。直行便が開通したので、もう迷うことはなくなった」と話す。

今年に入ってから、アラブ諸国を訪問する中国人観光客が大幅に増加している。旅行業に約10年携わっているエジプトのあるガイドは、「以前は、中国からの団体客が来るのは1年を通じて数回だった。でも、今年はほぼ毎月、中国からの団体客が来ている。冬休みや春節の大型連休は特に中国人観光客が多い」と話す。

ギザの大ピラミッド近くでラクダを操る男性(1月24日撮影・隋先凱)。

ギザの大ピラミッド近くでラクダを操る男性(1月24日撮影・隋先凱)。

携程研究院のアナリスト・方沢茜氏によると、エジプトやアラブ首長国連邦といったアラブ諸国の人的・文化的景勝地と観光ルートは中国人観光客の間で人気となっているほか、ドバイやアブダビ、カイロ、リヤドといった都市も人気の旅行先となっている。

ヨルダンのペトラ遺跡を観光する観光客(2023年1月20日撮影・冀沢)。

ヨルダンのペトラ遺跡を観光する観光客(2023年1月20日撮影・冀沢)。

中国とアラブ諸国の関係はますます深まり、その観光の分野の交流と協力も多大な成果を生んでいる。例えば、モロッコやアラブ首長国連邦、カタール、チュニジアなどは近年、中国人を対象に査証(ビザ)免除措置を実施している。また、「中国-アラブ諸国協力フォーラム2020-2022年行動・実行計画」は、中国とアラブ諸国は観光の分野の協力を引き続き開拓することを願っていると強調している。2022年に開催された第1回中国-アラブ諸国サミットで提起された中国とアラブ諸国の実務協力「8大共同行動」に含まれる文明対話共同行動では、文化・観光関連の企業500社の協力展開を促進し、関連人材1000人を育成するという目標を掲げている。中国・アラブ諸国文化・観光協力研究センターも2023年に発足し、中国とアラブ諸国の文化・観光の分野の交流と協力を踏み込んでメカニズム化し、常態化するよう働きかけることに力を入れている。(編集KN)

「人民網日本語版」2024年5月30日

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 第2次大戦後の3カ国の関係は、反米・中ソブロック→反ソ・米中協力→対米・中ロ協力を経て、反米・中ロ連帯に移りつつある。

2023-10-02 08:10:03 | 中国を知ろう!
 

敵の敵は味方か…

「米中ロ三角関係」に火をつけた金正恩委員長

登録:2023-09-27 02:58 修正:2023-10-02 07:14
 
米中対決、中ロ連帯、米ロ衝突の構図
 
 
北朝鮮が20日、党中央委員会第8期第16回政治局会議を開き、金正恩国務委員長の参加のもと、金委員長のロシア訪問結果を議論した。22日の朝鮮中央通信によると、会議ではキム・ソンナム党国際部長が金委員長のロシア訪問帰国報告を行った/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のロシア訪問によって、世界の地政学の3大軸である米国‐中国‐ロシアの三角関係がふたたび揺れ動いている。

 北朝鮮とロシアの戦略関係に驚いた米国が中国に近づき、中国との対決の度合いを調整し、中国はロシアとの連帯をちらつかせて米国を揺さぶっている。ロシアは北朝鮮との関係で米国を刺激する一方、中国も引き入れようとしている。

 この三国関係は、金委員長が10日に平壌(ピョンヤン)からロシア行きの専用列車に乗り、19日に帰国する日程をこなすなかで揺れ動いた。米国は、北朝鮮がウクライナを侵攻したロシアに兵器を提供しようとしているとして、両国を非難している。だが、米軍のマーク・ミリー統合参謀本部議長が16日に「北朝鮮の兵器提供がウクライナで大きな動きを生じさせるだろうか。私は懐疑的だ」と述べたように、米国にとっては、朝ロ関係自体により大きな意味がある。

 金委員長は13日、ロシアのアムール州ボストーチヌイ宇宙基地で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談をはじめ、ロシア訪問の日程の大半をロシアの宇宙、航空、艦隊基地への訪問などに費やした。朝ロ両国の戦略兵器協力が表面化した。

 プーチン大統領は13日の金委員長との会談前に「ロシアは北朝鮮の宇宙衛星建設を支援するのか」という記者団の質問に「それが私たちがここに来た理由だ」と答えた。偵察衛星など朝ロの戦略兵器協力が進めば、すでに米国にとって最も頭が痛い事案である北朝鮮の核問題はさらに深刻化し、東アジアの勢力均衡も変化が避けられない。

 金委員長がロシアを訪問中の12日、クレムリン(ロシア大統領府)がプーチン大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談の年内開催を明らかにしたことで、米中ロの関係も揺れ動き始めた。ロシアが金委員長の訪問中に中ロ首脳会談の開催を明らかにしたのはかなり意図的なものと思われ、朝中ロの連帯を示唆したものだ。さらに19日、ロシアのニコライ・パトルシェフ国家安全保障会議書記は、プーチン大統領が中国で来月開かれる「一帯一路フォーラム」に参加する予定だと明らかにした。

 米国と中国の間でも、金委員長がロシアを訪問中の16~17日、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と王毅共産党政治局委員兼外相の会談が地中海の島国マルタで開かれた。両者は2日間にわたり12時間かけて会談し、「率直に、実質的かつ建設的な議論をした」と、ホワイトハウスが明らかにした。両者は、11月のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議におけるジョー・バイデン大統領と習主席の首脳会談を調整した可能性がある。

 王毅外相は当初、18日から26日までニューヨークの国連本部で開かれる国連総会に参加し、米国側と接触する予定だった。だが、王毅外相は予定を急変してモスクワを訪問することになり、これに対して、米国がモスクワに向かう王毅外相をとどめた格好だ。

 マルタ会談は電撃的かつ象徴的だった。マルタは、ベルリンの壁が崩壊した1989年12月初め、米国のロナルド・レーガン大統領(当時)とソ連のミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長が会談し、冷戦終息を公式に宣言したところだ。米国がマルタに王毅外相を呼び、2日間向かい合ったのは、米国が中国との関係を調整するというシグナルだ。

 米国は、モスクワに向かう王毅外相にけん制と見返りを同時に伝えた。サリバン補佐官は、ウクライナ戦争に関する中国のロシア支援と王毅外相のモスクワ訪問に対する懸念を伝えたことを明らかにしたと、米国メディアが報じた。その代わり米国は、5月のアントニー・ブリンケン国務長官の中国訪問後に再開された両国の高官級の接触範囲と頻度を増やし、両国の懸案を調整するという意向を示している。

 ニューヨークでも米中は駆け引きを繰り広げた。ブリンケン国務長官は、王毅外相の代わりに国連総会に参加した中国の韓正国家副主席と18日に面会し、「数週間以内によりハイレベルの対話を実施することを含む対話チャンネルの維持を改めて確認した」として、北朝鮮と台湾についても意見を交換したと、米国務省が明らかにした。韓正副主席は「安定した中米関係は、両国だけでなく世界にとっても利益になる」とし、「中米関係を安定した軌道に戻すことを希望する」と述べた。

 日本経済新聞は「マルタの協議では滞ってきた軍同士の対話再開について『(中国側が)関心を示す僅かな兆し』があった」とする米国当局者の話を引用して報じた。中国は、米国が2018年9月に李尚福国防相を制裁リストに加えたという理由で、これまで両国の軍同士の対話を拒否していた。だが最近、李国防相の失脚説が広がり、自然に両国の軍同士の対話を再開する余地ができた。米国防総省も22日、サイバー攻撃をテーマに実務者グループによる議論を開催したと発表した。

 
 
13日、ロシアのアムール州にあるボストーチヌイ宇宙基地でロシアのウラジーミル・プーチン 大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長が会談し、ロケット組立施設を見学している/AP・聯合ニュース

 モスクワを訪問した王毅外相は、中ロ両国の戦略友好関係を再確認しながらも、米国とロシアの両方に対してけん制する動きを示した。

 王毅外相18日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談し、「反ロ、反中を含む米国の国際舞台での行動に対して、両国は同じ立場にある」と述べた。特に王毅外相は20日のプーチン大統領との面談では、米国に念頭に置き、「世界は多極化しており、経済的なグローバル化は逆行する。中ロは多国間の戦略的調整を強化する」と述べた。

 この日夜遅く、中国外交部は、プーチン大統領が「ロシアは今年に入り、米国と西側の一方的な制裁の衝撃を克服し、経済が成長している」とし「中国との計画を強化し、実質的な協力を深めることを期待する」と述べたと公開した。ロシアが中国に協力強化を要請したという事実を、米国に向けて強調したのだ。

 ただし中国外交部は、王毅外相がプーチン大統領に「中国とロシアは、世界の発展と進歩を追求する重要な責任を負う国連安保理の常任理事国」だと述べた事実も公開した。中国とロシアが安保理常任理事国という事実を強調したのは、ロシアが朝ロ軍事協力について責任をもって行動するよう求めたものだ。ロシアを自制させる一方、米国にもリップサービスをしたということだ。

 王毅外相のロシア訪問の間、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相はイランを訪問し、両国の軍事協力案を議論した。ショイグ国防相は7月27日、北朝鮮が「戦勝節」と呼ぶ朝鮮戦争停戦協定締結日の記念行事に参加し、両国の戦略関係の再開に着手した。北朝鮮に続きイランとの関係を改めて強調することによって、米国と中国の両側にふたたびシグナルを送ったのだ。北朝鮮とイランは、米国から最も厳しい制裁を受けているが、地政学的にも軍事的にも米国に影響を与えることが可能な国だ。

 中国はロシアとの関係で米国をけん制し、米国は中国に両国関係の安定をエサに中ロ関係をけん制している。ロシアは北朝鮮やイランなどとの関係を通じて中国を引き込み、米国を刺激している。

 米中対決、中ロ連帯、米ロ衝突のような関係は、来月中国で開かれるプーチン大統領と習主席の会談、そして現在調整中の11月のバイデン大統領と習主席の会談が大きな山場になるとみられる。

 米ロの間で中国がどのような立場を取るのかが、まずは第一のカギだ。習主席は二つの首脳会談を通して、中ロ連帯を確認しながらも、ウクライナ戦争の政治的解決案を仲裁し、米中関係の安定を進めるものとみられる。だが米国は、基本的には中国に対する戦略対決を追求しており、現在のウクライナ戦争ではロシアとの妥協を拒否している。

 第2次大戦後の3カ国の関係は、反米・中ソブロック→反ソ・米中協力→対米・中ロ協力を経て、反米・中ロ連帯に移りつつある。問題は、中国が反米・中ロ連帯という構図を好んでいないにも関わらず、引きずり込まれていることだ。ユーラシア大陸で歴史的なライバル勢力にあるロシアとの連帯が、反米対決においてどれほど有効なのか疑問だからだ。米国の立場としては、中国との対決のためにはロシアとの関係改善が必要だが、対ロシア関係は悪化の一途をたどっている。ロシアは米国との関係悪化によって中国の下位パートナーになる恐れに直面している。そして北朝鮮が、こうした3カ国のジレンマを激化させた。

チョン・ウイギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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中国は最近、消費者物価の下落、輸出入の減少、不動産危機などの困難を負っている。7月の消費者物価上昇率が前年同期比で0.3%下落し、7月の輸出も前年より14.5%減った。

2023-08-19 19:15:48 | 中国を知ろう!
 

中国

経済回復起伏はあるだろうが西側の予想通りにはならない

登録:2023-08-17 19:56 修正:2023-08-18 08:28
 
 
中国の李強首相が16日、北京で開かれた国務院第2回全体会議で発言している=北京/新華社・連合ニュース

 中国の景気低迷の様相が深刻化する中で、中国政府は「経済回復に起伏はあるだろうが、西側の予想通りにはならないだろう」と主張した。李強首相も政府全体会議で「消費拡大と投資促進」を注文した。

 17日、中国外務省のホームページによると、汪文斌・外務省報道官は前日の定例ブリーフィングで「中国の経済鈍化が世界の経済発展にリスクをもたらす恐れがある」とした西側見解に対する意見を尋ねる質問に対し、「中国経済は高品質な発展を維持し、質的に向上している」と主張した。

 汪報道官は「伝染病統制から転換した後、中国の経済回復には起伏があり難しい問題に直面している」とし、しかし「多くの西側政治家やマスコミは、中国の新型コロナウイルス感染症以後の経済回復の過程で現れる段階的問題を誇張している。結局、彼らが間違っていることが証明されるだろう」と述べた。また、今年上半期の中国の経済成長率は5.5%に達し、先端産業と科学研究投資などが前年より大きく増加した点などを根拠に挙げた。

 米国は最近、中国の経済状況に対する懸念を示した。バイデン大統領は10日、中国の高い失業率などを指摘し「中国は多くのケースにおいて、刻々と時期が近づいている時限爆弾のようだ」と述べ、ジャネット・イエレン財務長官は14日、中国の経済不安が米国経済にとってリスク要因だと語った。

 実際に中国は最近、消費者物価の下落、輸出入の減少、不動産危機などの困難を負っている。7月の消費者物価上昇率が前年同期比で0.3%下落し、7月の輸出も前年より14.5%減った。碧桂園、元陽など中国の大手不動産開発会社は債券の満期利子を支払えなくなるなど、不動産危機も深刻化している。

 一方、中国の李強首相は、政府の主要人物が集まった席で「消費拡大と投資促進」を注文した。中国共産党機関紙「人民日報」の報道によると、李首相は16日、国務院第2回全体会議を開き「内需拡大に努力し、消費拡大と投資促進政策を拡張して大量消費を刺激しなければならない」とし「民間投資の情熱を動員し、主要プロジェクトをうまく進めなければならない」と述べた。国務院全体会議は各省庁の責任者全員が参加する会議であり、通常年に2回開かれる。李首相はまた「改革開放を深め、国有企業の改革と民間企業の発展を最適化させなければならない」として「対外貿易を促進し規模を安定させ、外資誘致・活用に一層努力しなければならない」と話した。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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