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ミン・ジュンギ特検チーム発足から35日目にして行われた取り調べで、歴代の大統領夫人が捜査機関に公開で出頭したのは今回が初めて。

2025-08-07 12:38:59 | 韓国を知ろう
 

尹前大統領の妻が「被疑者」として初出頭…

特検、直ちに拘束令状請求か

登録:2025-08-07 06:50 修正:2025-08-07 08:25
 
特検、キム・ゴンヒ女史に対する初の取り調べを実施 
ドイツモーターズの株価操作や公認介入などを集中的に追及 
キム女史「私のように何でもない人間が 
国民の皆様にご心配をおかけして申し訳ない」
 
 
尹錫悦前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が6日、ソウル鍾路区にあるミン・ジュンギ特別検察官チームの事務室に被疑者として出頭している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史は6日、被疑者として特別検察官(特検)チームの事務室に出頭し、取り調べを受けた。ミン・ジュンギ特検チーム発足から35日目にして行われた取り調べで、歴代の大統領夫人が捜査機関に公開で出頭したのは今回が初めて。キム女史は同日午後5時46分頃、取り調べを終えて調書を閲覧した後、午後8時55分頃に自宅に向かった。特検チームは、キム女史に対する取り調べ終了後、拘束令状を請求するかどうかを検討する計画だ。

 キム女史は同日午前10時11分ごろ、特検チームの事務室があるソウル鍾路区(チョンノグ)のKT光化門(クァンファムン)ビル・ウェスト(West)前に姿を現した。黒いスーツ姿のキム女史は布かばんを持って車から降り、建物の2階に設けられたフォトライン(記者が取材対象者から一定の距離を置いて取材するよう設定した境界線)に立って、「国民の皆様に、私のように何でもない人間が心配をおかけして心からお詫び申し上げる。しっかり取り調べを受けてくる」と述べた後、特検の事務室に向かった。

 特検チームは同日、ドイツモーターズの株価操作(資本市場法違反)▽公認への介入(賄賂授受、政治資金法・選挙法違反)▽コンジン法師を通じた請託疑惑(斡旋収賄)などを中心にキム女史を取り調べた。ムン・ホンジュ特検補はこの日のブリーフィングで、「出頭要求書に書かれた被疑事実を中心に取り調べを進めた」とし、「キム女史に対する呼称は『被疑者』であり、取り調べの過程でキム女史は陳述拒否権を行使していない」と伝えた。

 特検チームがこの日キム女史についてまず取り調べた容疑のほかにも、楊平(ヤンピョン)高速道路の終点変更▽公興(コンフン)地区の開発における特恵▽大統領室と官邸移転への不当な介入▽捜査妨害・もみ消しなど、本格的な捜査が必要な疑惑が多数ある。取り調べが必要な内容が膨大であるため、キム女史をまた出頭させるだろうという見通しも示されたが、特検チーム内部では1次聴取を終えた後、拘束令状を請求して強制捜査に切り替える案も検討しているという。

 これに先立ち、検察は昨年7月20日、大統領警護処付属施設でキム女史に対する出張取り調べを行ったが、それから3カ月後の同年10月、キム女史のブランドバッグ受け取りと株価操作疑惑事件をすべて嫌疑なしとした。キム女史に関連する疑惑は独立した捜査機関が公正に捜査すべきだとして、国会は3回(2023年12月、2024年6月と11月)にわたり特検法を可決したが、尹前大統領はいずれも拒否権を行使した。その間にキム女史を巡る疑惑は雪だるま式に膨らみ、尹前大統領が罷免された後にキム女史関連の16件の疑惑を捜査対象とする「キム・ゴンヒ特検法」が成立し、7月2日から捜査が始まった。

パク・チヨン、クァク・チンサン、ペ・ジヒョン、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「中国に『良い関係を維持したい。そして中国が二国間(関係)だけでなく域内の懸案においても国際法を遵守するのを見たい』というメッセージを送りたい」とも語った。

2025-08-06 09:55:33 | 韓国を知ろう
 

「米中の間のどこか」の外交座標…

韓国外相の「計算された」中国関連発言

登録:2025-08-06 08:41 修正:2025-08-06 09:45

 

【ニュース分析】中国の反発招いた「隣国にとって多少問題」発言の思惑とは
 
チョ・ヒョン外交部長官が5日、ソウル鍾路区の政府ソウル庁舎で開かれた国務会議に出席するため移動している/聯合ニュース

 チョ・ヒョン外交部長官が米紙「ワシントン・ポスト」のインタビューで、中国との友好関係の維持について言及しながらも、「中国が隣国にとって多少問題になっている」と異例の発言をしたことが様々な解釈と議論を呼んでいる。

 チョ長官は3日(現地時間)に公開されたインタビューで、「我々は中国が南シナ海と西海(ソヘ)で行ってきたことを見てきた」とし、「北東アジアでは中国が隣国にとって多少問題になっている」と述べた。中国が西海上の韓中暫定水域で、構造物の設置などで韓国と対立していることを、南シナ海の領有権の対立とともに言及したのだ。チョ長官は「私たちは中国の浮上と挑戦をかなり警戒するようになった」とし、「中国に『良い関係を維持したい。そして中国が二国間(関係)だけでなく域内の懸案においても国際法を遵守するのを見たい』というメッセージを送りたい」とも語った。チョ長官は中国に対する封鎖一辺倒の政策については反対の意をはっきりと示す一方、米日とも協力していくというメッセージを明確にした。

 韓国の外交部長官が中国の「挑戦」についてこのように公に言及したのは異例のことだが、それに盛り込まれた「メッセージ」が注目される。

 まずチョ長官は、今月末の開催が予想される韓米首脳会談を控え、ドナルド・トランプ政権をはじめとする米国世論に向かって「新しく発足した韓国の李在明(イ・ジェミョン)政権は韓米同盟を重視している」というメッセージを発信しようとしたものとみられる。トランプ大統領の支持層である「MAGA(米国を再び偉大に)」勢力の一部は、韓国の極右勢力と結託し、「中国が韓国選挙に介入した」とか、「李大統領は親中大統領」という陰謀論を広めてきた。米国政界と世論でも「中国牽制」の戦略目標を強調し、韓国の新政権の外交・安保の方向性に疑問を呈する人々もいる。

 チョ長官は、長官就任後初の米国訪問で、米国の主要マスコミとのインタビューを通じて、韓国の新政権は米国の関心事案についてよく知っており、韓米同盟を中心に日本とも必要な協力を図るというメッセージを強調しようとしたものとみられる。まもなく行われる韓米首脳会談に向けて地ならしを始めたわけだ。

 次に、今回の発言は、米中競争が激しくなり、国際情勢が変化する中で、韓国も米中の間に一定の「外交座標」を作らなければならないという問題意識に基づいたものとみられる。外交筋によると、チョ長官の今回のインタビューは、個人の意見ではなく、政府内で調整された立場を表明したものだという。米中競争が激しくなるほど、二大国がそれぞれ韓国に対する要求と圧力を強めることが予想されるが、このような状況で韓国が動揺しないために、一定の外交原則を定めて(メッセージの)発信を試みたということだ。中国が韓国と海洋境界が確定していない西海の暫定措置水域に超大型の鉄製構造物を設置した問題などについて、これまで政府が「わが海洋権益を侵害する側面がある」という立場を一貫して明らかにしてきた点も考慮されたものとみられる。

 チョ長官のインタビューが公開されると、中国は直ちに4日夜、駐韓中国大使館を通じて「異論」を呈した。「中国は周辺国と良好な関係を維持」しており、「国連を中心とする国際体制、国際法に基づいた国際秩序、国連憲章を基礎とした国際関係の基本ルールを一貫して確実に守ってきた」と強調した。さらに「韓国の新政権発足後、両国関係は良いスタートを切った」としたうえで、「中韓の戦略的協力パートナー関係をさらに高いレベルに引き上げるために取り組んでいきたい」と述べた。中国の原則的な立場を強調しながらも、韓国に対する批判よりは両国関係の改善を強調する慎重な反応だ。

 ただし中国は官営メディアを通じて、チョ・ヒョン長官の発言について、より批判的な反応を示した。遼寧大学米国・東アジア研究院の呂超院長は官営「グローバル・タイムズ」のインタビューで、「チョ長官の発言は慎重な綱渡り外交」だとし、「韓国は第3者(米国)のレバレッジ(テコ)として利用されるよりは、一貫性と真摯さを持って行動しなければならない」と主張した。社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の董向栄研究員は官営「環球時報」のインタビューで「チョ長官の政策基調は米日側に傾いており、依然として中国に対し米国など西側諸国の言説を使っている」としたうえで、「チョ長官が『中国崛起』に対して警戒感を示したことは遺憾」だと語った。環球時報やグローバル・タイムズが対外的に苦言を発信してきたメディアであることを考えると、これらは通常に比べて強い批判ではない。

 大統領室は5日、チョ官の発言に対する立場を明らかにした。「チョ長官の発言は韓中間の一部事案において意見の相違があっても、国民生活の問題および域内の安定と繁栄に貢献する韓中関係づくりのために引き続き努力するという趣旨の言及」だとし、「我々は堅固な韓米同盟に基づき、韓中関係の発展を目指している」という内容だ。大統領室は「チョ長官は中国との関与の必要性を関係国に提起しているという点も強調したことに注目してほしい」と補足した。チョ長官のインタビューが出た後、国内外で「中国問題」を明確に取り上げる必要があったのかという議論が続いていることに対する反応だ。しかし、外交長官のインタビューに対して大統領室が釈明したのは行き過ぎの側面があり、むしろ外交的混乱を拡大させたという指摘もある。

 李在明政権発足後、中国側は李大統領を9月3日の中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利(戦勝節)記念軍事パレードに招待するなど、悪化した韓中関係を迅速に改善し、韓国を中国側に引き込もうとするシグナルを送った。ところが、トランプ政権の関税と安保関連圧力などで、韓国はまず韓米外交に集中し難題を解決していくほかはなく、韓中関係の改善と進展にはもう少し時間がかかるものとみられる。特に、トランプ政権が中国牽制を目標に「韓米同盟の現代化」と「在韓米軍の戦略的柔軟性」に対する韓米協議を本格的に進めると、韓国外交の困難はより一層大きくなると予想される。韓国が、米中のどちらか一方に揺さぶられないという自らの明確な原則と戦略、自強の意志を持つ必要性が高まっている。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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チョン・ドンヨン統一部長官は同日、「今、南北の間で重要なのは信頼だ」としたうえで、「(北朝鮮向け拡声器の撤去は)崩れた信頼を立て直す措置の一つだ」と評価した。

2025-08-05 18:43:38 | 韓国を知ろう
 

韓国政府、北朝鮮向け拡声器を先制的に撤去…

北朝鮮、信頼回復の動きに応えるか

登録:2025-08-05 06:49 修正:2025-08-05 07:31
 
 
   2004年6月、中部戦線で固定式の対北朝鮮拡声器を撤去する様子=合同参謀本部提供//ハンギョレ新聞社

 韓国国防部は4日、「軍は今日から北朝鮮向け拡声器の撤去を始めた」とし、「これは軍の態勢に影響のない範囲内で南北間の緊張緩和に役立つ実質的措置を施行すること」だと説明した。チョン・ドンヨン統一部長官は同日、「今、南北の間で重要なのは信頼だ」としたうえで、「(北朝鮮向け拡声器の撤去は)崩れた信頼を立て直す措置の一つだ」と評価した。

 国防部のイ・ギョンホ副報道官はこの日の定例記者会見で、「6月に北朝鮮向け拡声器放送を中止して以来、後続措置として国防部で関連の議論があった」とし、「数日内に撤去が完了するだろう」と述べた。対北朝鮮心理戦に使われる北朝鮮向け拡声器は、固定式と車両に載せて運用する機動式があるが、今回の撤去対象は固定式だ。

 軍は李在明(イ・ジェミョン)大統領の指示で6月11日午後2時から北朝鮮向け拡声器放送を中止しており、翌日の12日から北朝鮮も韓国向け拡声器放送を行っていない。昨年、一部の脱北民団体が北朝鮮にビラを散布してから、北朝鮮の汚物風船→韓国の北朝鮮向け拡声器放送の再開→北朝鮮の韓国向け拡声器放送へとつながった。李大統領は北朝鮮向け拡声器放送中止の指示について、「北朝鮮の騒音放送で長い間苦しんできた境界地域の住民の苦痛を和らげるため」だと説明した。

 チョン・ドンヨン長官は同日午前、大韓仏教曹渓宗総務院長のジヌ僧侶を表敬訪問した後で取材陣と会い、北朝鮮向け固定式拡声器の撤去について「大統領の指示で拡声器放送が中止された延長線上で、撤去措置は前向きなもの」だと述べた。

 今回の撤去は、今年6月の北朝鮮向け拡声器放送の中止のように、北朝鮮との事前協議なしに韓国側が先に決定した。国防部関係者は「今年6月、北朝鮮向け拡声器放送の中止以降、国防部の内部議論と関連部署との協議を経て決めた」と説明した。李在明政権は「先攻後得」(先に与えて後で得る)、「先易後難」(簡単なことから先に行い、難しいことは後で行う)方式で崩れた南北間の信頼を築き直そうとしているが、カギとなるのは北朝鮮の呼応だ。

 
 
4日、韓国軍の将兵たちが前方に設置された北朝鮮向け拡声器を撤去している=国防部提供//ハンギョレ新聞社

 合同参謀本部は「まだ北朝鮮軍にこれといった動向は見られない」と述べた。合同参謀本部のイ・ソンジュン広報室長は、「北朝鮮は、韓国向け拡声器を整備する姿が一部あり、撤去する動きはなかった」とし、「(韓国向け拡声器から)しばらくジジジーという音がしたが、韓国向け放送をするためではなく、整備のために点検をするものとみられる」と述べた。

 北朝鮮向け拡声器放送は1960年代初めから始まり、南北関係の浮き沈みによって中止と再開を繰り返してきた。2018年4月、「板門店(パンムンジョム)宣言」を受け、北朝鮮向け拡声器の放送を中止したが、北朝鮮の汚物風船に対抗し、昨年6月9日から放送が再開された。特に昨年7月19日、北朝鮮が汚物風船200個余りを飛ばした後は、東・西部戦線で毎日北朝鮮向け拡声器放送が実施され

た。

 一方、撤去された拡声器は2018年の放送中止当時と同様に近隣部隊で保管される。

 
 
4日、韓国軍の将兵たちが前方に設置された北朝鮮向け拡声器を撤去している=国防部提供//ハンギョレ新聞社
 
 
4日、韓国軍の将兵たちが前方に設置された北朝鮮向け拡声器を撤去している=国防部提供//ハンギョレ新聞社
 
 
4日、韓国軍の将兵たちが前方に設置された北朝鮮向け拡声器を撤去している=国防部提供//ハンギョレ新聞社
クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1211577.html韓国語原文入力:2025-08-04 22:00
訳H.J
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選挙で勝利すれば李大統領の国政運営にも弾みがつき、チョン代表個人にとっては代表の再任も可能になる。

2025-08-04 10:22:47 | 韓国を知ろう
 

【ニュース分析】

韓国与党の新代表にチョン・チョンネ氏…さらに強い民主党に

登録:2025-08-04 02:16 修正:2025-08-04 09:33
 
いかりを上げた「チョン・チョンネ号」の行方
 
 
共に民主党の代表選に出馬したチョン・チョンネ候補が2日、京畿道高陽市のKINTEXで開かれた第2回臨時全国党員大会で、政見を発表している//ハンギョレ新聞社

 李在明(イ・ジェミョン)政権発足後の政権与党「共に民主党」の最初の代表に、「強力な改革の党代表」を標ぼうしたチョン・チョンネ議員が選出された。最終合算得票率は61.74%対38.26%。党大会期間中に「党員の支持」に自信を示してきたチョン議員は、現役国会議員の影響力が大きく作用する代議員投票でパク・チャンデ議員の後塵を拝しただけで、「内乱勢力清算」を要求する権利党員の圧倒的支持に支えられ、大きな差をつけて代表の座を手にした。

 「チョン・チョンネ号」の行方についてまず関心を引くのは、大統領室および政府との関係と、国民の力との与野党関係だ。チョン代表が「早期完遂」を確約した「検察・言論・司法改革」は大統領室との緊密な調整が必要であり、立法過程では野党との議論を経なければならない。何よりも強力な改革をスピード感をもって実行せよという「党員たちの要求(党意)」と、中道層を含む国民世論全般(民意)を意識しなければならない大統領室および政府の立場との間で、適切な均衡点を見出すことが最大の課題となる。

 チョン代表の当選が確定した直後に李在明大統領が発したメッセージは、複合的な意味が込められている。大統領室のカン・ユジョン報道官は2日夜、「李大統領はワンチーム精神を訴えつつ、国民に効能感を示せるよう、共に努力してほしいとおっしゃった」と発表した。表面上は「意見の異なる党内勢力もうまくまとめよ」と言っているようだが、一皮むけば別の意味が読み取れる。「ワンチーム」と「共に」という表現のかかる対象は「党」と「大統領室」だ。

 大統領室のメッセージは、チョン代表が強調してきた「役割分担論」を意識したものとみられる。チョン代表は2日の党大会での政見発表でも、「対決は私がするから、大統領は仕事だけおやりになればよい。協同統治、統合、安定という花と実は李在明大統領の功績にして差し上げるつもりだ」と述べた。「立法ドライブ」のハンドルは党が握るから、政府は大きな枠組みの「統治」と「国家運営」に集中せよというのだ。問題は、チョン代表の意図する「分業」が無理なく回るかだ。現実において与党の「立法活動」と政府の「国政」は歯車のように連動しているからだ。

 最初にそれが試されるのは8~9月の国会だ。チョン代表は当選直後の受諾演説で、「検察改革、言論改革、司法改革を秋夕(チュソク)前に絶対に終わらせる。直ちに検察改革TF(タスクフォース)、言論改革TF、司法改革TFを稼動させる」と述べた。一問一答の過程では「改革には抵抗が伴う。その抵抗は私が克服する」とも述べた。

 党内からは懸念の声もあがっている。首都圏のある複数当選議員は「野党として鮮明な改革スローガンを打ち出すことと、政権勢力の一軸として現実においてきちんと作動しうる政策を設計、推進することとは、大きな違いがある」として、「与党の強硬一辺倒の態度は、山積する国政課題に対する政府の円滑な取り組みに障害として作用することもありうる」と述べた。

 このような懸念についてチョン代表側は「杞憂(きゆう)」だと一蹴する。チョン代表側のある初当選議員は、「野党の拒否に対して与党が鮮明に動けば、大統領には政務的な身動きの幅ができる」と述べた。チョン代表を支援したある当選2回議員は「チョン代表はアクセル、政府はブレーキ、大統領は変速ギア役を果たすだろう」と述べた。

 与野党の関係も注目すべき部分だ。チョン代表はこのかん「内乱政党国民の力解散」を公言してきた。「12・3内乱」の完全な清算という党員の要求に応じようとの態度だ。当選確定後の一問一答でも同氏は、「内乱特検を通じて国民の力の内部に内乱同調勢力、内乱ほう助者、協力者がいるということが明らかになれば、自然に違憲政党解散審判を請求せよという国民的要求が高まるだろうと考える」とし、「その時に党代表として賢明に判断する」と述べた。党が国民の力の法的解散を先頭に立って試みることはないものの、条件が整い、かつ世論に要求されれば、喜んでやるというのだ。

 国民の力は対話の相手として認めない、との考えもはっきりと示した。同氏は当選後の一問一答で、国民の力との関係について「今は内乱との戦争中」だとし、「与野党という概念ではない」と断言した。12・3内乱後の韓国の政党体制は正常な与野党の関係ではなく、「民主主義抹殺、憲法破壊勢力(国民の力)と擁護勢力(民主党と他の野党)」という構図だと考えるべきだというのだ。

 問題は、その過程で与野党の対立が激化し、野党による政治日程ボイコットと場外闘争が全面化する可能性が高いということだ。そのような状況が長期化すると、保守勢力による「独走」、「傲慢」、「コミュニケーション不在」という批判は、チョン代表が率いる民主党だけでなく、李在明政権全体に浴びせられうる。

 10カ月後に迫った全国同時地方選挙は、任期が1年の「補欠党代表」であるチョン代表に突き付けられる「学年末の成績表」だ。選挙で勝利すれば李大統領の国政運営にも弾みがつき、チョン代表個人にとっては代表の再任も可能になる。このことについてある重鎮議員は、「地方選挙の勝敗は結局のところ、李大統領の任期初期の支持率の高さが来年まで続くかどうかにかかっている」とし、「政府と緊密に息を合わせるにしても、時には大統領室と異なる声もあげるべき難題の中の難題が、チョン代表の前に立ちはだかっている」と述べた。

チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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同盟を相手に米国のトランプ政権が提示する無理な要求の中で、欠かせないのがまさに国防費増額だ。

2025-08-01 19:04:36 | 韓国を知ろう
 

韓国、増額させる国防費を志願入隊制(募兵制)の財源に使おう

【コラム】

登録:2025-07-28 11:40 修正:2025-08-01 09:35
[チョン・ウクシク・コラム] 
 
 
           2025年1月27日、韓国の女性兵士の訓練入所式=出典: 国防部ホームページ//ハンギョレ新聞社

 同盟を相手に米国のトランプ政権が提示する無理な要求の中で、欠かせないのがまさに国防費増額だ。すでに北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対して、2035年までに国内総生産(GDP)の5%に防衛費を引き上げるという約束を取り付けたドナルド・トランプ政権は、アジアの同盟国に対しても同様の要求を突きつけている。これに対し、李在明(イ・ジェミョン)政権は、具体的な数値は明らかにしていないが、米国の要求を一部受け入れようとする動きを見せている。7月初旬に米国を訪問して帰ってきたウィ・ソンラク国家安保室長が「国際的な流れによって少し増やしていく方向で協議しているのは事実」だとし、「われわれの貢献が増えることもありうる」と述べたことからも、このような気流が読み取れる。

 米国が具体的な数値まで提示しながら国防費引き上げを圧迫するのは、「主権の尊重」を基本とする国際ルールと合わない。限られた予算をどのように分配し、国防の需要に合わせて適正水準で国防費を策定するのは、主権国の固有の権利に当たるからだ。しかし、同盟であり拡大抑止を提供する米国の要求を切り捨てることも難しいのが現実だ。このため、国防費策定の均衡点を見出すことは、李在明政権と国会の最大の悩みの一つになるだろう。経済の環境からみれば、税収が大幅に増える可能性も低く、かといって大規模な増税を推進することもできないため、なおさらだ。

 もう一つ考えなければならない問題は、国防費の基準の混乱だ。国防部によると、2025年度の国防予算は約61兆ウォン(約6兆5千万円)で、GDPの約2.3%。これは国防部所管の予算に限定したものだ。ここに国防研究開発(R&D)や兵務庁の運営など、軍関連支出を全般的に含めると、GDPの2.8%に上がる。ところが、国際的に一般的な方式は「包括的国防費」を基準とする。これを受け、米国の中央情報局(CIA)、世界銀行、英国の国際戦略問題研究所(IISS)とスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、韓国の対GDP比国防費の規模を2.6%~2.8%と評価している。米国の官僚もこれを根拠に同盟国の中で韓国の防衛費支出が「模範事例」だと取り上げもした。李在明政権と国会はこのような一般的な基準に基づいて国内的な議論と対米交渉に臨む必要がある。基準線を何にするかによって、追加すべき防衛費負担が大きく変わるためだ。

 防衛費の引き上げが避けられないなら、どこに使うべきかについての議論も必要だ。まず、先端兵器と装備の導入、そして韓米日の合同訓練に重点を置くことは、注意しなければならない。李在明大統領が強調したように、韓国の軍事力が世界5位に上がった状況で、さらなる大規模戦力増強は、すでに危険水位に達している朝鮮半島の軍拡競争をさらに激化させる可能性が高い。また、韓米日の合同演習が朝鮮半島の平和プロセス再開に大きな障害となっているという点も見過ごしてはならない。あわせて、軍事部門の増大が炭素排出増加につながり気候危機を加速させているということ、防衛産業の雇用効果が教育・保健医療・新再生可能エネルギー分野に比べて大きく落ちるということも留意する必要がある。適切な水準の軍事力建設は避けられないとしても、李在明政権が標榜する他の国政目標に及ぼすネガティブな影響を最小化する知恵が必要ということだ。

 では、増える国防費をどこに使うべきか。筆者は、俗に「募兵制」と呼ばれる「志願入隊制」の財源として使うことを提案したい。きちんと設計された志願入隊制は、上記で述べた問題を最小化しつつ、社会経済的両極化、青年問題、ジェンダー対立、超少子化、人口と生産可能人口の急減、内需不振、地方消滅などの国家的難題の解決に貢献できるためだ。専門化された先進国型防力を建設する上でも、現行の徴兵制よりはるかに優れている。

 志願入隊制に関して、筆者の従来の提案は、正規兵力50万人を30万人に減らすことを前提にしたものだ。しかし、兵力削減に対する国民的共感の不足と国防費引き上げの不可避性を考えし、一時的に現在の兵力数の維持を前提とする志願入隊制の論議も可能だと考える。志願入隊制導入に対する最も大きな反論である「予算不足」問題を解決できるためだ。

 現在、幹部を除いた約30万人の兵士の年間給与は約5兆4千億ウォン(約5700億円)。これに反して、志願入隊制を導入し30万人の兵士を全て職業軍人に切り替え、1人当たりの平均月給を400万ウォンに策定すれば、総給与は年間14兆4千億ウォン(約1兆5千億円)だ。これに加えて下士官の給与引き上げと女性軍人の施設拡充などを考慮すれば、現在より10兆ウォン程度防衛費を増やせば志願入隊制に必要な予算充当が可能だという計算が出ている。一気に志願入隊制に転換するのは不可能なため、3年程度の時間を置いて推進するならば予算の準備の現実性はより一層高まる。

 義務服務兵が志願入隊兵より多い1年目には3~4兆ウォン程度を、後者が前者より多くなる2年目には6~7兆ウォン程度を、完全に志願入隊制に切り替わる3年目には10兆ウォン程度の予算編成が可能だからだ。このような純増価を反映した対GDP比国防費の比重は、現在の2.8%から毎年約0.1%ずつ増え、3年後には3.1%程度になる。このため、政府は米国との交渉で「2028年までに国防費をGDP比3%に引き上げることにする」という合意を導き出す必要がある。トランプ任期最後の年である2028年にこの程度の水準に到達すれば、韓国は米国の同盟国の中で対GDP比で最も高い水準の国防費を支出することになる。

 志願入隊制の最大の魅力は、韓国の複合・多重危機を緩和するのに大きく寄与するという点にある。まず、中間階級層を厚くすることができる。これは統計的にも確認できる。

 2025年に政府が発表した「基準中位所得」は3人世帯基準で月500万ウォン(約53万円)程度であり、経済協力開発機構(OECD)は中産階級の基準を中位所得の75~200%に設定している。このような基準によれば、志願入隊制を導入して職業兵士に月平均400万ウォンの給与を支給すれば、これらの軍人が属した世帯は大半が中産階級になりうる。今後中位所得の基準が上がり志願入隊制導入の時期によっては変わる可能性もあるが、兵士の給与だけでも中位所得の75%に迫るためだ。これはちゃんと設計された志願入隊制が低所得層には「機会のはしご」となり、従来の中産階級には比較的安定的に維持できる方法になりうるということを統計的にも示している。

 国と社会の健康性と持続可能性を評価する時、中産階級は非常に重要な位置を占める。中産階級がしっかりしているほど、政治的安定性、内需経済の安定性、社会統合と階層移動、税収と国家財政の安定性などを高めることができるからだ。いずれも韓国が抱えている問題であり、解決しなければならない宿題だ。韓国の中産階級が急速に減った現実を考えると、志願入隊制はこのような傾向を逆転できる最も効果的な案と言える。

 志願入隊制に反対する最も大きな論拠の一つは「貧しい人だけが軍隊に行く」という懸念にある。しかし、米国などの事例から分かるように、きちんと設計された志願入隊制は中産階級以上にも「魅力的な選択肢」になりうる。たとえ低所得層出身が多数を占めても、彼らに「相対的剥奪感」よりは「新しい機会」を提供することができる。つまり、「貧しい青年が軍隊に行く現象」は不平等の反映だろうが、結果的には不平等を大きく緩和できるという意味だ。若者の貧困と社会経済的不平等の治癒策としてこれより良い代案が他にあるだろうか。

 志願入隊制のメリットはこれにとどまらない。周知のように、韓国の特殊合計出生率は世界で最も低く、平均出産年齢は最も高い。2024年にも特殊合計出生率は0.75にとどまり、平均出産年齢は33.7歳だった。平均初婚年齢も男性33.9歳、女性31.6歳と高くなり続けている。婚姻を忌避する現象も、ジェンダー対立も、一部の青年男性の極右化現象も深刻だ。志願入隊制はこのような傾向を変えるのにも役立つ。

 まず、男性だけが徴集される兵役制度が、性別にかかわらず希望する人が志願できる構造に変われば、ジェンダー対立が緩和されるという点は優に予想できる。青年および青少年男性の「根源的な不満」を解決できるためだ。これだけではない。現行の徴兵制によって、18カ月の軍服務期間と入隊準備および除隊後の適応などを考慮すると、男性の社会進出の時期は2年ほど遅れる。これは逆に、志願入隊制を導入すれば、民間人の社会進出の時期が2年ほど繰り上げられることを意味する。また、除隊を選択する人もまとまった資金を持って学業・就職・創業に乗り出すことができるようになり、社会経済的状況が良くなった状態で社会に進出できるようになる。このような青年たちの生活の質が変化が韓国社会の直面したさまざまな危機を緩和するのに、どのようにまたどれほど寄与できるかは検討してみる価値があるだろう。

 志願入隊制運営は、軍部隊の近隣の地方で加速化している「地域消滅危機」を緩和する策とも連係しうる。通勤を望む職業軍人に宿舎を提供しなければならない政府の負担を、部隊近隣の村の再生事業と連係してはどうかということだ。空き家をリモデリングして「軍人宿舎」にする案、高齢者が住んでいる家を対象に「軍人の一人暮らしおよび下宿」を運営する案などが考えられるということだ。該当する村への人口流入も期待できる。軍隊に勤める子どもと一緒に暮らすことを望む家族がいるはずだからだ。このような家庭を対象に空き家をリモデリングして低価格で提供し、これを地方自治体の帰村・帰農事業と連結する案もありうるだろう。

 このように、志願入隊制は韓米同盟の大きな懸案となっている国防費増額問題に賢く対処し、専門化された先進軍隊の建設と韓国社会のさまざまな危機の緩和に寄与することができる。もちろん、志願入隊が低調になるという懸念はある。しかし、職業兵士は同年代に比べて高所得であり、性別と関係なく志願入隊が可能になったことで入隊志願者が現在より2倍増え、青少年の好む職業として軍人が上位を占めている。志願者が少ないという憂慮は杞憂という意味だ。補完策として、在隊軍人のうち希望者を対象に再入隊制度を運営する案も考慮できる。また、副士官の処遇を改善しながら職業兵士の勤務を終えた人々の割合を高め、専門性と熟練度を高め、兵士に将校の門戸も開放する必要がある。さらに、米国のように「選抜徴兵制(Selective Service System)」を導入し、有事の際に一定年齢の成人を動員することで、国防はすべての国民の義務という憲法精神を維持することもできる。

 今は「選択的変化」が切実に要求される時だ。李在明政権と国会が国民的議論を経て、任期内に志願入隊制の導入を推進することを願う。

チョン・ウクシク|ハンギョレ平和研究所長兼平和ネットワーク代表 wooksik@gmail.com

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