goo blog サービス終了のお知らせ 

歴代大統領の初赦免に政治家が多数含まれることはあまりなかった。

2025-08-13 08:21:45 | 韓国文化
 

李大統領、チョ・グク前野党代表恩赦で

支持率最低に…物議を醸した過去の恩赦は?

登録:2025-08-12 06:27 修正:2025-08-12 07:38
 
 
子供の入試不正と大統領府への監察もみ消しなどの疑いで起訴され懲役2年刑が確定したチョ・グク前祖国革新党代表が昨年12月16日午前、京畿道義王ソウル拘置所前で収監される前に支持者たちに拳を握って見せている/聯合ニュース

 李在明(イ・ジェミョン)大統領が就任2カ月後の11日、政治家20人余りを特別赦免・復権した。「祖国革新党」のチョ・グク前代表とユン・ミヒャン元議員、チェ・ガンウク元議員など、議論を呼ぶ政治家多数が含まれたという点で、大統領の就任初の赦免としては異例だとみられている。

 歴代大統領の初赦免に政治家が多数含まれることはあまりなかった。金大中(キム・デジュン)元大統領は1998年3月の就任記念初の特別赦免の際、非転向長期囚など良心囚と一般人の赦免に焦点を合わせており、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の2003年4月の初の特別赦免は公安、時局、一般事犯が中心だった。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領も初の赦免では、サムスン電子のイ・ジェヨン会長など企業家の赦免が多く、李明博(イ・ミョンバク)元大統領は赦免対象から除外した。

 一方、李大統領の初の特別赦免名簿には議論を呼ぶ政治家と元政府高官が27人にのぼる。子どもの入試不正疑惑で懲役2年が確定したチョ・グク前祖国革新党代表夫妻、チョ前代表の息子に虚偽でインターン証明書を発給し、入試不正に加担した容疑で有罪判決を受けたチェ・ガンウク前議員などが赦免名簿に含まれた。慰安婦関連後援金を横領した疑いなどで懲役1年6カ月に執行猶予3年を宣告されたユン・ミヒャン前議員と、解職教師5人を特恵採用した容疑で懲役1年6カ月に執行猶予2年が確定したチョ・ヒヨン前ソウル市教育監も赦免対象に含まれた。

 野党からはチョン・チャンミン、ホン・ムンジョン、シム・ハクボン元議員が含まれた。彼らについては、4日に最大野党「国民の力」のソン・オンソク非常対策委員長兼院内代表がカン・フンシク大統領秘書室長にメッセージアプリ「テレグラム」を通じて赦免を要請した事実が明らかになった。 チョン前議員は京畿道龍仁(ヨンイン)市長時代、不動産開発業者から数億ウォン相当の賄賂を受け取った疑いで、ホン前議員は私学財団理事長在職当時に校費数十億ウォンを横領した疑いで懲役刑を言い渡され、現在服役中だ。シム前議員は収賄容疑で懲役刑が確定し服役した後、2027年まで選挙権が剥奪された状態だ。

 
 
尹錫悦大統領の新年特別赦免で赦免・復権された李明博元大統領が2022年12月30日午後、ソウル江南区論ヒョン洞の自宅に到着、国民向けメッセージを発表した後、挨拶している/聯合ニュース

 彼らに対する赦免・復権をめぐって世論は好意的ではない。チョ前代表の場合、まだ刑期が半分以上残っているという点で、野党圏はもちろん与党内部でも「任期序盤の国政の勢いを阻害する危険がある」という懸念の声があがっている。ユン・ミヒャン前議員の赦免については、「慰安婦関連後援金を横領した人を赦免するのは光復節の意味に反する」と批判されている。同日公開された「リアルメーター」の世論調査によると、李大統領の国政遂行支持率は1週間で6.8ポイント下落し、就任2カ月で50%台に落ち込んだ。就任2カ月間で最低の支持率だが、今回の特別赦免の影響が一部反映されたものとみられる。

 大統領固有の権限である特別赦免は、政治家と企業家の復帰の足がかりになる場合が多く、論議と批判の対象になってきた。歴代政権の特別赦免名簿を振り返ると、尹前大統領は2022年8月、就任後初めての特別赦免でサムスン電子のイ・ジェヨン会長、ロッテグループのシン・ドンビン(重光昭夫)会長など財界の人物を多数含ませ、「財閥特恵」だとして物議を醸した。尹前大統領は同年12月、李明博元大統領とキム・テヒョ前国家安保室第1次長も赦免したが、李元大統領の場合、容疑が収賄や横領などの重犯罪であるうえ、刑期が14年以上残っているため、不適切だという指摘を受けた。キム前次長は国家安保室に勤めていたため、「現職大統領の主要参謀を赦免したことは前例がない」という批判を受けた。

 文在寅元大統領は2017年、李明博元大統領の「BBK」実所有者疑惑を提起し、選挙法違反の疑いを受けた「共に民主党」のチョン・ボンジュ前議員を新年特赦名簿に含めた。当時、地方選挙を控えてチョン議員の被選挙権を回復させるための「出馬用の復権」という批判を受けた。チョン元議員はその後、ソウル市長選挙に挑戦したが、記者志望者にセクハラをしたという疑惑が提起され、出馬できなかった。文元大統領は任期末の2021年、朴槿恵元大統領を新年特赦の対象にしたが、刑期が17年残っていた朴元大統領に対する赦免は「(朴元大統領の弾劾をもたららした)ろうそく集会の民意に対する裏切り」だとして批判された。

 朴元大統領は大統領選挙当時、大手企業トップの重大犯罪赦免を制限することを公約したが、2015年にSKグループのチェ・テウォン会長を赦免し、翌年の2016年にはCJグループのイ・ジェヒョン会長を赦免対象に含め「財閥特恵を防ぐという大統領選挙公約を破棄した」という批判を受けた。

 
 
2018年2月5日、控訴審で執行猶予を宣告され353日ぶりに釈放されたサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が京畿道義王ソウル拘置所を後にしている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社
コ・ギョンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

軍艦島と呼ばれる端島をはじめ、多くの場所が日帝強占期に朝鮮人が強制動員されて働かされた場所であるため、登録の過程で韓国などの周辺国の反発を受けた。

2025-02-01 12:16:41 | 韓国文化
 

韓国の要請無視し「強制動員」

またも隠した日本の軍艦島後続措置報告書

登録:2025-02-01 08:56 修正:2025-02-01 09:24
 
 
                                     日帝強占期の朝鮮人強制労役の現場、軍艦島/聯合ニュース

 日本が朝鮮人強制労役の現場である端島(軍艦島)炭鉱を含む「明治日本の産業革命遺産」を2015年に世界文化遺産に登録した際におこなった約束の履行について、依然として誠意を示していないことが、またも確認された。

 ユネスコ世界遺産委員会(以下、委員会)は31日(現地時間)、日本が提出した明治日本の産業革命遺産に関する後続措置報告書をウェブサイトに公開した。それによると、日本は強制動員された朝鮮人の証言などを展示してほしいなどの韓国の要求事項を無視し、むしろ韓日強制併合は合法だと主張する展示をおこなっていた。

 明治日本の産業革命遺産は日本国内の8つの県に散らばる明治時代の鉄鋼、造船、炭鉱産業の現場で、2015年にユネスコ世界遺産に登録された。軍艦島と呼ばれる端島をはじめ、多くの場所が日帝強占期に朝鮮人が強制動員されて働かされた場所であるため、登録の過程で韓国などの周辺国の反発を受けた。日本はこれを考慮し、犠牲者を追悼する情報センターを設置することを約束した。しかし産業遺産情報センターは遺産の現場ではなく東京に建てられたうえ、展示で朝鮮人に対する差別や人権侵害があったことを示していないため、歴史を歪曲しており、約束も守っていないという批判を浴びてきた。

 韓国をはじめとする加盟国は、一貫して日本の約束不履行を批判しつつ、後続措置を要求してきた。昨年9月にサウジアラビアのリヤドで開かれた第45回世界遺産委員会で韓国政府は、韓国人強制動員被害者の証言の展示▽「多数の韓国人らが本人の意思に反して動員され、過酷な条件の下で強制的に労役」させられた全体の歴史の説明▽日本が昨年9月に一方的に東京のセンターに設置した韓日強制併合が合法であることを主張する展示の即時撤去▽韓国人強制動員被害者の証言の展示および真の追悼▽ナチスによる強制動員の事実を加減なく明らかにしたドイツのツォルフェアアイン炭鉱の展示のような国際的な模範事例を参考にすること、などを反映するよう日本に要請した。委員会はこの時、遺産登録の後続措置について関連国と対話したうえで、約束の履行が重要だとする決定を採択したほか、日本に追加措置の進展について報告するよう要請した。今回の報告書はそれを受けてのものだったにもかかわらず、韓国の要求事項がまったく反映されていないことが確認されたのだ。

 逆に日本は、2020年6月に東京都の新宿にオープンした「産業遺産情報センター」に、「『韓国併合再検討国際会議』において、国際法の権威である欧米の法学者から、日韓併合条約は当時の国際法慣行に照らして『無効』だったとは言えないという見解が示された」という韓日併合の合法性を主張する展示を設置し、運営してきたことが明らかになった。「朝鮮人強制動員被害者の証言」についても、公開展示せずに、韓国語の資料集の本棚に参考資料としてしまっていたことが明らかになった。

 さらに日本は、遺産の卓越した普遍的価値(OUV)に関する共通解釈の説明▽解説者の力量を高めるための訓練▽東京のセンターの開館日の拡大などを「後続措置」として打ち出している。そして、第2次大戦時と戦後の苛酷な労働環境を示す一次史料の収集のための地域の博物館や政府機関などとの協業▽日本政府の徴用政策に関する一次史料の展示▽韓国人ら鉱山労働者の給料や福祉の比較研究の支援、などの間接的措置を取るにとどまっている。日本は「意味のある対話」をしようという韓国側の要請に対しては、報告書で「第45回世界遺産委以降、韓国政府と対話を続けてきており、韓国政府と当該報告書の解釈政策の説明を含む対話を続けていく意志がある」という趣旨の回答をおこなっている。

 韓国外交部は報道官の論評で、「世界遺産委員会の度重なる決定と日本が自ら約束した後続措置が、忠実に履行されていないことに対し、改めて遺憾を表明する」として、「政府は、日本が国際社会に自らおこなった約束に沿って、関連する後続措置を速やかに誠実に履行するよう再度求める」と述べた。外交部の当局者は「日本には誠実に(韓国との)対話に臨むことを求めるつもりであり、政府レベルで今後、韓日両国だけでなくユネスコの枠組みの中でも日本の約束不履行について問題を提起していく」と述べた。

 しかし、佐渡鉱山に続いて軍艦島でも日本の「強制動員」隠ぺいが行われたことで、日本に歴史を反省する誠意がないことが再確認されたと評する声があがっている。とりわけ、軍艦島の展示施設について日本の後続措置がない中で、昨年、韓国政府が日本政府による佐渡鉱山の世界文化遺産登録に同意したことは、自らテコを放棄する行為だったと指摘されている。韓国の外交当局には、日本の決定に同意したうえで善意を望むのではなく、今後は日本の近代遺産がユネスコに登録される際、反対の立場を明確にする、すでに登録されている世界遺産の廃止を主張する、などのより強い対応が必要だという声もあがっている。外交部の当局者は「登録取り消し提案」も考慮するのかという取材陣の質問に対し、「強力に対応しうる様々な措置をすべて検討しなければならないだろうが、今の状況で具体的に何をすると述べるのは難しい」と答えるにとどまった。世界遺産委員会の規定上、登録の取り消しは、遺産そのものが傷つけられるか、保全がきちんと行われていない場合にのみ可能となっている。

 外交部の当局者は「日本が今後も合意事項を誠実に履行しないなら、韓国人強制動員の歴史をもつ遺産のさらなる登録は難しいということをわかるべきだ」と述べた。日本はまた、やはり朝鮮人強制労役の現場である足尾鉱山と黒部ダムについても、世界遺産への登録を推進していることが知られている。

シン・ヒョンチョル記者、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

金監督が育った1970~80年代の在日コリアンの民族意識は非常に高く、韓国民謡や伝統舞踏が好きで韓国料理を食べることが在日コリアンの基本の徳性とみなされていたためだ。

2024-05-10 13:53:37 | 韓国文化
 

逆境の人生にも屈しなかった

在日1世のハルモニたちの「明るい闘争」

登録:2024-05-10 06:21 修正:2024-05-10 08:10
 
金聖雄監督のドキュメンタリー『アリランラプソディ~海を越えたハルモニたち~』
 
 
在日コリアン1世のハルモニたちの人生を描いたドキュメンタリー『アリランラプソディ』=全州国際映画祭提供//ハンギョレ新聞社

 日本の大阪の在日コリアン密集地域である鶴橋で生まれて育った在日コリアン2世の金聖雄(キム・ソンウン)監督(61)は、キムチを食べられない少年だった。しかし、最も親しい友人の前でもそれを口には出せなかった。金監督が育った1970~80年代の在日コリアンの民族意識は非常に高く、韓国民謡や伝統舞踏が好きで韓国料理を食べることが在日コリアンの基本の徳性とみなされていたためだ。幼いころの在日コリアンの強い連帯感に「違和感を感じてなじめなかった」金聖雄監督が、在日コリアン1世のハルモニ(おばあさん)たちの現在を扱ったドキュメンタリー『アリランラプソディ~海を越えたハルモニたち~』を携え、第25回全州(チョンジュ)国際映画祭を訪れた。『アリランラプソディ』は20年前に出した『花はんめ』の続編だ。

 「故・呉徳洙(オ・ドクス)監督の助監督としてドキュメンタリー『戦後在日50年史・在日』(1997)に参加し、在日コリアン問題に関心を持つようになりました。しかし、植民地の歴史から始めて今の差別に到着する流れだけが正解なのか、他のアプローチはできないのだろうかと考えるようになりました」

 そのように悩んでいたときに出会ったのが、神奈川県川崎市に住む在日コリアン1世のハルモニたちで、その結実が演出デビュー作『花はんめ』(2004)だった。「想像を絶するほど過酷な年月を生きてきた方たちなのに、あまりにも元気でたくましい姿」に感銘を受けた監督は、映画制作を決めつつ「つらい過去の話は絶対に聞かない」ことを誓った。代わりに「夢は何ですか」と尋ねた。「ただ歌って踊って笑って、今が夢のようだよ」だというハルモニたちのあっけらかんとした返事には、逆説的に彼女たちが生きてきた苛酷な年月がにじんでいた。

 
 
在日コリアン1世のハルモニたちの人生を描いた『アリランラプソディ』で第25回全州国際映画祭を訪れた金聖雄(キム・ソンウン)監督=金聖雄監督提供//ハンギョレ新聞社

 元々、金監督は続編『アリランラプソディ』を計画していたのではない。『花はんめ』後の記録として、80歳を超えて文字を学び、沖縄や広島などに旅行にいって同じような年月を生きたハルモニたちと交流する日常をときおり撮影していた。2015年に自衛権行使を容認する安保法制の問題が出てくると、監督のカメラは忙しくなり始めた。「在日コリアンに向けられたヘイトスピーチ集会が、ハルモニたちの住む町内で行われました。極右の集会が開かれるとしても、攻撃される当事者の居住地の目の前で行われるなんてありえない。ハルモニたちの顔が一人ひとり思い出され、私ももうこの問題に向き合わなければ、と決心しました」

 おびえるハルモニたちを心配して駆けつけたが、彼女らは監督が初めて会ったときよりも、はるかにたくましかった。それどころか、日本の国会の前に行って安保法制反対のデモをするとまで言った。多くのハルモニたちは体が不自由なので東京まで行くことはできなかったが、彼女たちが住む桜本地域で800メートル行進し、ハルモニたちは「戦争反対」「子どもたちを守れ」と叫んだ。金監督はこの現場をみて、「韓流ブームの勢いで高まる韓国に対する関心のなかで、すっぽり抜け落ちている在日の歴史を撮らなければ」と決心し、『アリランラプソディ』を完成させた。

 金聖雄監督はハルモニたちと出会い、不条理な状況にあっても尊厳と品位を失わない人間の偉大さを知った。このテーマは監督の重要な演出の方向になった。1967年に強盗殺人罪で無期懲役判決を受けて29年を獄中で過ごした後、再審で無罪判決を受けたが、獄中でも歌を歌って詩を書き、「不運だが不幸でなかった」と回顧する主人公を追う『オレの記念日』は、2022年に「座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル」のコンペティション部門で大賞を受賞した。

 来年の戦後80年に向けて、金監督はヘイトコメントと脅迫に苦しめられながらもヘイトスピーチに対抗する在日コリアン3世を扱った作品を構想中だ。若者たちが「ヘイトスピーチとヘイトコメントの攻撃が集中する象徴的な存在」だからだ。また、「韓国で生まれて育って日本に来た私の両親と、日本で生まれ育ちメキシコに移住した私の娘、そして、メキシコで生まれた2人の孫につながるディアスポラの旅程を描く作品も作りたい」と述べた。

キム・ウンヒョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

公共放送KBSは11日、進歩(革新)系の最大野党・共に民主党が小選挙区で単独過半数となる161議席を獲得したと報じた。比例代表を含めると170議席を超える圧勝になると予想している。

2024-04-11 09:00:28 | 韓国文化

韓国総選挙、野党が単独過半数獲得 

現地報道 大統領は求心力低下か

配信

 
朝日新聞デジタル

ソウルで2024年4月10日、総選挙の開票状況を見守る野党・共に民主党の李在明代表(中央)=東亜日報提供

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月10日の第22代国会議員総選挙まで1カ月を切りました。3月21日と22日に候補登録が行われ、6日後の3月28日から投票日の前日の4月9日まで公式の選挙運動が展開されます。

2024-03-18 11:28:57 | 韓国文化
 

韓国総選挙、

与党の「猛攻」と野党の「堅い守備」…勝者は?

登録:2024-03-18 02:41 修正:2024-03-18 08:26
 
ソン・ハニョン先任記者の政治舞台裏 
 
国民の力、標的・帰順・移動公認 
「少数与党国会」覆すため総動員令 
民主党、指導部を犠牲にせず守勢 
現役を押しのけた「親ミョン候補」の成績に注目
 
 
国民の力のハン・ドンフン非常対策委員長(左)と共に民主党のイ・ジェミョン代表/聯合ニュース

 4月10日の第22代国会議員総選挙まで1カ月を切りました。3月21日と22日に候補登録が行われ、6日後の3月28日から投票日の前日の4月9日まで公式の選挙運動が展開されます。4月10日の午後6時には出口調査の結果が発表され、夜遅くに各地方区で誰が当選したのか、与党が勝ったのか、野党が勝ったのか、輪郭が明らかになるでしょう。

 今回の総選挙に臨む与党「国民の力」の基本戦術は「猛攻」です。野党第一党「共に民主党」の基本戦術は「堅い守備」です。普通は野党が攻めて与党は守るものなのに、攻守が逆転しています。圧倒的な少数与党国会であるからこそ起こっている現象です。

攻撃を引っ張るハン・ドンフンの口

 4年前の第21代総選挙で、民主党は180議席(共に民主党163+共に市民党17)の圧倒的勝利を収めました。共に民主党の議席である163議席は、1987年の民主化以降の総選挙で、一つの政党が獲得したものとしては最も多い議席でした。国民の力は103議席(未来統合党84+未来韓国党19)にとどまりました。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの2年間、国政の失敗を「巨大野党のせい」にしてきました。民主党のイ・ジェミョン代表は、今回の総選挙の現実的な目標を「議会内最大勢力」としています。国民の力より1議席でも多ければ勝利だということです。「ちょっと欲張るなら151席の確保」とも語っています。民主党が守りを重視せざるを得ない状況であることを率直に認めているのです。

 与党の「猛攻」戦術は、まずハン・ドンフン非常対策委員長の「口」から確認できます。ハン委員長は本当に生まれつきのけんか屋のようです。ボクシングでいえば休むことなく接近戦を挑むインファイタータイプです。口げんかなら誰にも負けないイ・ジェミョン代表が、ハン委員長には押されているようです。イ代表は選挙1カ月前の今月10日の記者懇談会で、国民の力の公認候補を「赦免公認」、「わいせつ公認」、「現金入り封筒公認」、「親日公認」、「弾劾蔑視公認」、「極右公認」、「楊平(ヤンピョン)道路ゲート公認」と非難しています。総合的に「破倫公認」と表現しています。民主党の公認問題の守勢局面から脱するために、久々に反撃に打って出たわけです。ところが翌朝、ハン委員長はイ・ジェミョン代表の発言の中の「破倫」という単語にかみつきました。記者団の問いにこう答えています。

 「破倫公認だって? 破倫とは何か。兄嫁に対する悪態、俳優関連疑惑、検事詐称、大庄洞(テジャンドン)不正、飲酒運転、精神病院強制入院。多すぎて話し切れない。親日公認だって? 日本製シャンプー法人カード疑惑。極右公認だって? イルベ疑惑。すごいのは、このすべてをイ・ジェミョン代表一人がやったということだ。イ・ジェミョン代表がイ・ジェミョン代表を公認したことこそ、破倫公認だと国民は考えるだろう」

 いかがですか。ハン委員長の発言と瞬発力は、既存の政治家たちが到底追いつけないほどのもののようです。イ代表としては元金も取り戻せなかったわけです。一を食らわして十を食らったわけです。ハン委員長は民主党と進歩党の比例代表連合をイデオロギー的レッテル貼りで攻撃しています。進歩党は2014年に憲法裁判所によって解散させられた統合進歩党の後身だ、というのです。従北政党だというのです。進歩党は民主的基本秩序の中に存在する大韓民国の政党です。国会に議席も持っています。したがってハン委員長の攻勢は卑劣なイデオロギー的レッテル貼りです。しかも、最近まで法務部長官だった人物が言うべきことではありません。選挙で与党にとってどれほど役立つかも疑問です。

人材不足の与党の苦肉の策

 それでも、ひとまず精神戦ではハン委員長が民主党より優位に立っています。民主党がたじたじになっているのを見れば分かります。国民の力の「猛攻」戦術は候補の公認にもそのまま反映されています。

 1つ目は「標的公認」です。イ代表の対立候補としてウォン・ヒリョン前国土交通部長官を仁川桂陽乙(インチョン・ケヤン・ウル)の公認候補に立てました。チョン・チョンレ首席最高委員の対立候補として、運動圏出身のハム・ウンギョン氏をソウル麻浦乙(マポ・ウル)の公認候補としました。メディア界から迎え入れたホ・ジュンソク氏をイ・イニョン議員の九老甲(クロ・カプ)の公認候補としました。国民の力は4年前、京畿道水原(スウォン)の5つの選挙区を民主党にすべて明け渡しました。今回は大物を水原の諸選挙区の公認候補としました。キム・ヒョンジュン元国税庁長を水原甲(スウォン・カプ、民主党候補はキム・スンウォン議員)に立てました。パン・ムンギュ前産業通商資源部長官を水原丙(スウォン・ピョン、民主党候補はキム・ヨンジン議員)に立てました。パン・ムンギュ候補は、尹錫悦大統領が彼を総選挙に出馬させるために、長官はたった3カ月務めただけで辞任しています。水原丁(スウォン・チョン)にはパク・クァンオン議員の対抗馬として京畿大学のイ・スジョン教授を公認しました。しかし、民主党の予備選挙で韓信大学のキム・ジュンヒョク教授がパク・クァンオン議員を破ったため、キム・ジュンヒョク教授との対決となりました。

 
 
国民の力のハン・ドンフン非常対策委員長が12日、ソウル永登浦区のタイムズスクエア前広場で市民にあいさつしている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 2つ目は「帰順公認」です。民主党を離党して国民の力に転じた人々を、すぐさまその選挙区の国民の力の候補として立てたケースです。民主党の国会副議長を務めたキム・ヨンジュ議員は、ソウル永登浦甲(ヨンドゥンポ・カプ)でチェ・ヒョニル前永登浦区長と対決します。民主党の非イ・ジェミョン系の重鎮だったイ・サンミン議員は大田儒城乙(テジョン・ユソン・ウル)で、民主党が科学技術界から迎え入れたファン・ジョンア博士と競います。民主党検証委員会で不適格と判定されたキム・ユンシク前始興(シフン)市長は、京畿道始興乙(シフン・ウル)の国民の力の候補として出馬し、民主党のチョ・ジョンシク事務総長と運命の対決を繰り広げます。民主党所属で南楊州(ナミャンジュ)市長を務めたチョ・グァンハン氏は、京畿道南陽州丙(ナミャンジュ・ピョン)でキム・ヨンミン議員と争います。民主党から国民の力へと直に転じた人々の得票力がどれほどのものなのか、とても気になります。

 3つ目は「移動公認」です。国民の力は洛東江(ナクトンガン)ベルト奪還のために、「票田」の選挙区の議員を民主党の現役議員がいる選挙区の候補に立てました。釜山(プサン)の釜山鎮甲(プサンジン・カプ)のソ・ビョンス議員をチョン・ジェス議員のいる釜山北甲(プサン・プク・カプ)に移動させました。慶尚南道山清(サンチョン)・咸陽(ハミャン)・居昌(コチャン)・陜川(ハプチョン)のキム・テホ議員をキム・ドゥグァン議員の梁山乙(ヤンサン・ウル)に移しました。慶尚南道密陽(ミリャン)・宜寧(ウィリョン)・咸安(ハマン)・昌寧(チャンニョン)のチョ・ヘジン議員をキム・ジョンホ議員のいる金海乙(キムヘ・ウル)に移しました。作戦が成功すれば民主党の議席を奪い、「票田」には新たな人物を起用するという「一石二鳥」となりますが、失敗すれば党と選ばれた議員がともに恥をかくことになります。国民の力はまた、ソウル江南乙(カンナム・ウル)のパク・チン議員を西大門乙(ソデムン・ウル、民主党候補はキム・ヨンホ議員)に、江南甲(カンナム・カプ)のテ・ヨンホ議員を九老乙(クロ・ウル、民主党候補はユン・ゴニョン議員)に移動させました。ソウル永登浦乙(ヨンドゥンポ・ウル)からの出馬を探っていたパク・ミンシク元議員を江西乙(カンソ・ウル、民主党候補はチン・ソンジュン議員)に、ソウル陽川乙(ヤンチョン・ウル)出身のキム・ヨンテ前議員を京畿道高陽丁(コヤン・チョン、民主党候補はキム・ヨンファン氏)の公認候補としました。すべて選挙区を移した事例です。国民の力に「帰順公認」と「移動公認」が多いのは、それだけ人的資源が不足しているからでもあります。

尹錫悦の国民の力vsイ・ジェミョンの民主党

 民主党の候補公認は国民の力とは非常に対照的です。議席を奪われないように「堅い守備」戦術を無理に用いたため、2つの大きなミスを犯しました。

 1つ目は「指導部の犠牲なき公認」です。国民の力は、親尹錫悦派の重鎮議員と主な党役員のほとんどが慶尚道や江原道などのいわゆる「票田」に布陣しています。しかし、民主党の最高委員と主な党役員のほとんどは首都圏の選挙区の議員です。当選は断言できません。指導部と主な党役員の公認をまず確定せざるを得ませんでした。そのため結果的に「指導部の犠牲なき公認」となってしまいました。

 
 
共に民主党のイ・ジェミョン代表が14日午前、大田中区のウヌンジョンイ通りで、大田地域の国会議員候補、中区長候補と共に記者会見をおこなっている/聯合ニュース

 2つ目は「硬直したシステム運用による公認問題」です。政党が候補を公認するのは選挙で勝つためです。最終的に政務的な判断がなしうる装置をあらかじめ用意しておかなければなりません。しかし、イ・ジェミョン代表の経験不足と欲のせいで公認問題が起きました。イム・ヒョクぺク氏の公認管理委員会とアン・ギュベク氏の戦略公認管理委員会の偏向性、現役議員評価団の偏向性、下位の被評価者に対する無理な減点、民主党現役議員に対する党員と支持者の拒否感、親イ・ジェミョン派の党員と熱烈支持層の集中力などが複合的に作用した結果、誰が見ても「親イ・ジェミョン派が得して非イ・ジェミョン派が損する」と批判せざるを得ない候補公認が行われました。選挙区の民主党現役議員が追い出され、親イ・ジェミョン派の人物が公認された例はあまりにも多く、数え切れないほどです。ソウル恩平乙(ウンピョン・ウル)のキム・ウヨン元江原道党委員長、仁川富平乙(インチョン・プピョン・ウル)のパク・ソンウォン元国家情報院次長、仁川西丙(インチョン・ソ・ピョン)のモ・ギョンジョン党代表秘書室次長、京幾道水原丁(スウォン・チョン)のキム・ジュンヒョク韓信大学教授、京幾道城南中院(ソンナム・チュンウォン)のイ・スジン議員(比例)、京幾道安山甲(アンサン・カプ)のヤン・ムンソク元放送通信委員、京幾道南楊州乙(ナミャンジュ・ウル)のキム・ビョンジュ議員などが代表的な例です。キム・ヘヨン前議員は民主党の公認結果について、14日に「ついにイ・ジェミョンの私党化が完成した」と評しています。

 問題は、彼らの選挙本番での競争力です。全羅道は民主党に公認されれば誰であっても当選の可能性が高いけれど、首都圏や忠清圏などのその他の地域ではそうではありません。現役議員を押しのけて公認された親イ・ジェミョン候補が本番で落選すれば、すぐに「誤った公認のせいだ」という非難が殺到するでしょう。「公認革命」と言って興奮している場合ではないのです。

 まとめます。国民の力はチョン・ジンソク(忠清南道公州(コンジュ)・扶余(プヨ)・青陽(チョンヤン))、クォン・ソンドン(江原道江陵(カンヌン))、ユン・ハンホン(慶尚南道昌原(チャンウォン)・馬山(マサン)・会原(フェウォン))、イ・チョルギュ(江原東海(トンヘ)・太白(テベク)・三陟(サムチョク)・旌善(チョンソン))、パク・ソンミン(蔚山中(ウルサン・チュン))議員ら「尹核関(尹大統領の核心関係者)」たちを、改めて当選の容易な自身の選挙区の公認候補に立てました。チュ・ジヌ元大統領室法律秘書官を釜山海雲台甲(プサン・ヘウンデ・カプ)、イ・ウォンモ元大統領室人事秘書官を京畿道龍仁甲(ヨンイン・カプ)で公認しました。キム・ウンヘ元広報首席を京畿道城南盆唐乙(ソンナム・プンダン・ウル)で、カン・スンギュ元市民社会首席を忠清南道洪城(ホンソン)・礼山(イェサン)で公認しました。どう考えても「元の尹錫悦党」を作るための公認です。

 結局、今回の総選挙は「尹錫悦の国民の力」と「イ・ジェミョンの民主党」の正面衝突です。2022年3月9日の大統領選挙の延長戦というわけです。果たしてどうなるのでしょうか。どちらが勝つのでしょうか。みなさんはどうお考えですか。

ソン・ハニョン|政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする