評価書が誤っているなら都の認可処分は違法だ

2023-06-30 10:35:34 | 彼女は黒

神宮外苑再開発

都の事業認可は誤り

取り消し訴訟 原告団が報告集会

写真

(写真)訴訟の報告集会で報告する原告ら=29日、東京都千代田区

 明治神宮外苑(東京都新宿・港区)の再開発の事業認可取り消しを住民らが東京都に求める神宮外苑訴訟の第1回口頭弁論が行われた29日、原告団は報告集会を開き、事業を認可した東京都の問題点を厳しく指摘しました。

 原告団の山下幸夫弁護士は、東京都が事業を認可するにあたり、三井不動産など事業者が作成した環境影響評価書を、多くの市民・専門家・団体から疑問の声が出ているにもかかわらず前提としたことについて「評価書が誤っているなら都の認可処分は違法だ」と指摘しました。

 意見陳述した米国人経営コンサルタントのロッシェル・カップ氏は「東京都は各局面で事業者の有利になるよう働きかけている。こんなやり方でいいのか司法の場で考えないといけない」と語りました。

 報告集会には各党の議員らも参加し、日本共産党の田村智子、吉良よし子、山添拓参院議員も参加。吉良氏は「再開発では子どものスポーツの場も奪われる。今後も国会で追及していく」と話しました。

 岩見良太郎埼玉大学名誉教授が講演し「小池百合子知事は事業を外形的に評価して認可したが、本当に適切な基準に従って認可したのかが問われる」と話しました。

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広島サミットで岸田文雄首相が繰り返し表明していた「核兵器のない世界」に逆行する核強化が加速しています。今回の協議では、核攻撃を想定した机上演習も実施されました。

2023-06-29 09:53:07 | アメリカの対応

2023年6月29日(木)

米、核戦力「可視性増大」

日米拡大抑止協議 「核なき世界」逆行加速

 日米両政府は26、27の両日、米ミズーリ州ホワイトマン空軍基地で、米国の「核の傘」強化に関する「日米拡大抑止協議」を実施しました。米側は「地域における米国の戦略アセットの可視性を増大させる」と表明し、中国や北朝鮮などを念頭に、自らの核戦力を誇示する考えを示しました。

 今回の拡大抑止協議は、主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)前日の5月18日に行われた日米首脳会談で、両首脳が「拡大抑止を強化する」と確認したことを受けて行われました。広島サミットで岸田文雄首相が繰り返し表明していた「核兵器のない世界」に逆行する核強化が加速しています。今回の協議では、核攻撃を想定した机上演習も実施されました。核抑止強化をめぐる日米韓の連携を念頭に、「3カ国協力」の重要性も強調しています。

 日米拡大抑止協議は2010年以来、定期的に実施されており、今回は昨年11月に東京で開催されて以来。日米の外交・軍事担当者が参加しました。

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北朝鮮に対する国連安保理制裁は2017年の対北朝鮮制裁強化決議案の採択が最後だった。その後、国連は北朝鮮の相次ぐミサイル実験に一致した声を上げることも行動もできずにいる。

2023-06-28 09:30:52 | アメリカの対応

国連も北朝鮮核を制裁できない…

新冷戦構図が強まり機能喪失

登録:2023-06-26 20:17 修正:2023-06-27 07:31

 

ハンギョレ創刊企画:停戦・韓米同盟70年 
朝鮮半島核危機の現住所
 
 
合同参謀本部は15日午後8時50分頃、北朝鮮が宇宙発射体だと主張する物体の残骸の一部を引き揚げたと16日明らかにした=合同参謀本部提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威が高まっているが、国連など国際社会の統制機能は失われた状態だ。ロシアのウクライナ侵攻と米中の覇権争いが激化し、新冷戦構図が強化されたためだ。

 北朝鮮は今年、3回にわたって大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を行った。昨年も約30回、少なくとも70発の弾道ミサイルを発射した。国連安全保障理事会決議は、北朝鮮が弾道ミサイルとその技術を利用したすべての飛翔体を発射することを禁止している。

 しかし、北朝鮮に対する国連安保理制裁は2017年の対北朝鮮制裁強化決議案の採択が最後だった。その後、国連は北朝鮮の相次ぐミサイル実験に一致した声を上げることも行動もできずにいる。

 北朝鮮は先月31日、軍事偵察衛星「万里鏡1号」を搭載した飛翔体「千里馬1型」の打ち上げを試みたが失敗した。これに対し国連安保理は2日、公開会議を開いた。ロバート・ウッド駐国連米国次席大使は「安保理決議に対する露骨な違反であり、緊張を高める行為」とし「海洋、航空交通を妨害しただけでなく、日本と韓国に不安を与えた」として制裁の必要性を強調した。これに対して中国の耿爽次席大使は「米国が朝鮮半島をインド太平洋戦略に編入させ、その周辺で軍事的駐留を大きく増強し、朝鮮半島と周辺国の戦略的安保利益を深刻に侵害している」と反論した。ロシアのアンナ・エフスティグニエワ次席大使も「米国とその同盟国の圧力増加が北朝鮮の行動を触発した。制裁圧力の強化という非人道的政策に反対する」と述べた。

 結局、会議は対北朝鮮糾弾声明や追加制裁決議案を採択できなかった。北朝鮮は軍事偵察衛星の再打ち上げを予告している。安保理は先月27日にも、北朝鮮の油類輸入上限を引き下げる内容などを盛り込んだ対北朝鮮追加制裁決議案を表決に付したが、これも中国とロシアが反対して否決された。

 安保理で新しい決議案を採択するためには、米国、フランス、英国、ロシア、中国の常任理事国5カ国のうち1カ国も拒否権を行使してはならない。新冷戦構図が続く限り、北朝鮮の核やミサイルに対する制裁も望みが薄いわけだ。

 加えて最近悪化した韓中関係は、北朝鮮の核・ミサイル解決策をさらにこじらせる可能性が高い。特に中国は、先月22日に訪韓した中国外交部の劉勁松アジア担当局長を通じて「4不可」方針を伝えたが、これには「悪化した情勢の下で韓国の対北朝鮮主導権行使不可」項目が含まれている。これは、韓国が米国密着政策と韓米日協調強化方針を継続し、台湾問題など中国の核心利益を侵害すれば、韓国の対北朝鮮政策や国際社会の対北朝鮮制裁に協力的な姿勢を取らないことを暗示したものとみられる。

 北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は「北朝鮮制裁の実効性を高めるためには、中国と協議しなければならないが、韓国は中国とも対立している。結局、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府が追求する対北朝鮮強硬策が実効性よりは国内政治に重点を置いているという意味」だと述べた。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「戦争を望んでいるわけではないが、(いざとなったら)戦争も辞さない」といったものだ。これからは「戦争を望まないなら、戦争を予防できる方法を一緒に模索しよう」に切り替えなければならない。

2023-06-27 00:10:35 | 南北は一つ

南北関係「ゼロ時代」…

偶発的な衝突防ぐ「ガードレール」設けるべき

登録:2023-06-27 06:38 修正:2023-06-27 11:44
 
対話と交流は姿を消し、抑止が横行 
離散家族の生存者が大幅に減り 
南北の感情的相互依存も弱まる 

停戦70年、平和の模索が姿を消し 
南北米当局、軍事力とその使用の意志を誇示 
危機管理に乗り出す必要性がさらに高まる 

最悪のシナリオを防ぐために 
緊張緩和を最優先議題にすべき 
米中関係をヒントに安全装置の構築急がれる
 
 
2019年5月22日、取材陣が江原道鉄原郡「DMZ平和の道」内の孔雀稜線眺望台に上がり、鉄柵の向こうの非武装地帯を眺めている//ハンギョレ新聞社

 南北関係において「関係」という言葉を使うのがためらわれるほど、関係自体がなくなっている。まず、南北対話と朝米対話がゼロになって久しい。1971年に始まった南北対話は2018年12月以来、1992年に始まった朝米対話は2019年10月以来、これまで一度も開かれていない。南北対話と朝米対話がこれほど長い間断絶したのは初めてだ。だからといって、南北米中4カ国協議やこれに日本とロシアを加えた6カ国協議があったわけでもない。

 南北の経済協力と人的・物的交流も同じだ。2021年には、1989年に統計が作成されて以来初めて南北間を往来した人が0人になり、いまもその状態が続いている。車の往来は2021年から、船舶、航空機、鉄道の往来は2019年から現在までゼロだ。畳みかけるように、離散家族の生存者が大幅に減り、南北の感情的な相互依存も弱まっている。離散家族問題には南北関係をつないでいくべき理由を道徳や人道主義の面から訴えかける力があったが、それさえも消えてなくなっていくわけだ。南北当局が離散家族の無念を顧みなければならないのもそのためだ。

 残念な場面は他にもある。今年停戦70年を迎え、国内外の市民社会と宗教界を中心に停戦協定を平和協定に切り替えるための取り組みが活発に行われているが、南北当局はこれにあまり関心がない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は6月初めに発刊した国家安全保障戦略書で、平和協定について言及すらしなかった。平和協定を締結して平和体制を構築しなければならないというのは、北朝鮮の長年の主張であり要求だった。しかし、2020年以降、このような要求は姿を消した。今年停戦70年の「節目の年」を迎え、このような主張が出てきてもおかしくないはずなのに、現在まで一言もない。南北いずれも平和体制の構築に無関心と言っても過言ではない。

 このように変化した現実の中で、我々は南北関係をどう設計し直すべきだろうか。関係が途絶え、互いに対する敵対感と武力示威だけが極限に達している、今の現実からその答えを見出すことができる。当分の間、再び仲良くなれないなら、少なくとも喧嘩はやめようということだ。

 戦争はいろいろな逆説を抱いている。まず戦争が勃発する可能性自体は非常に低いが、一旦戦争になると、莫大な被害をもたらす。前者の可能性に重点を置けば怠惰になりやすく、後者のリスクに傾倒して戦争の準備に励むと、かえって戦争の可能性を高めることになる。また、戦争は悲観主義と楽観主義の奇妙な結合だ。悲観主義とは、自分に脅威を与える、あるいは与えると予想される相手に対して、いま思い知らせないと後でさらに大きな災いを招きかねないという考えと、小規模の衝突が発生した場合、きちんと思い知らせておかなければ相手がより大胆になりかねないという考えから、武力攻撃や過剰対応を選ぶ心理的現象のことだ。一方、楽観主義は、戦争を通じて戦前より良い状態を達成できるという主観的確信を指す。だが、我々は様々な戦争の歴史を通じて「こうなると知っていたら戦争しなければよかった」という後悔の念を幾度も抱いてきた。

 しかし、いま朝鮮半島はこのような逆説に覆われている。多くの人々が激しくなる軍拡競争と武力示威の攻防戦を見ながら「このままでは戦争が勃発するのではないか」と心配しているのに、南北米の当局は力だけが生き残る道だと主張し、軍事力とそれを使う意志をさらに誇示している。南北米の政府はいずれも非現実的な仮定と極端な被害妄想を織り交ぜ、軍事行動を合理化しようとしているが、そうすればするほど戦争を心配する人は増えていく。韓米同盟と北朝鮮は自分たちの軍事力がこれまでで最強だと豪語しながら、安全保障環境は最悪だと主張している。ならば、ここで南北米政府に問いかけたい。

 相手を悪魔化し、軍事力を誇示することで、果たして平和を守ることができるのか。戦争を防ごうとする言動がかえって戦争の危険性を高めているのではないか。韓米が「正常化」という名で強化している合同演習や軍備増強は、朝鮮半島の安全保障を本当に「安定化」しているのか。相手の攻撃の兆候が見えれば先制攻撃に出られるというが、人間の判断の誤りや機械の誤作動の可能性は考えてみたのか。北朝鮮は韓米の非核攻撃の際にも戦術核を使えるというが、これがどのような結果をもたらすかはちゃんと分かっているのか。韓米は北朝鮮が戦術核を使っても金正恩(キム・ジョンウン)政権を終わらせる「圧倒的対応」に乗り出すと言っているが、この過程で朝鮮半島の住民たちが受ける被害については考えてみたのか。戦争が勃発した場合、罪のない人々が受ける恐るべき被害は、誰がどのように責任を持って補償するのか。南北米はこの危機状況を安定的に管理する意志と能力を持ち合わせているのか。

 では、喧嘩しない南北関係を築くためには、どのような努力が必要だろうか。米中関係からヒントを見出すことができる。両国は激しい戦略競争を繰り広げているが、競争が武力衝突に飛び火しないよう「ガードレール(安全装置)」を設けるべきということには共感している。5年ぶりに行われた米国務長官の6月の訪中でも、これを確認することができる。アントニー・ブリンケン米国務長官は、中国の秦剛外相や王毅共産党中央政治局委員、習近平主席などと相次いで会談し、衝突防止のために両国関係を「安定化」することで合意した。

 実は、南北にも巨大なガードレールがある。軍事境界線を基準に南北両側に155マイルにわたって2キロずつ設定された非武装地帯(DMZ)がまさにそれだ。DMZは名称からも分かるように、南北の境界地域に非武装緩衝地帯を作って武力衝突防止するためのものだ。しかし、DMZは時間が経つにつれて重武装地帯に変わり、数回の武力衝突も発生した。このような問題点を解決し、近隣地域にまで緩衝地帯の拡大を目指したのが南北軍事合意(2018年9月)だ。

 南北軍事合意を山火事に例えてみると、その重要性が理解できる。高温で乾燥したところでは小さな火種でも山火事が発生し、いったん山火事が起きれば手に負えないほど広がって、鎮火にも大きな困難が伴う場面を、我々は世界各地で目撃している。気候変動の影響のためだ。同様に、「南北関係の変化」によって関係はますます形骸化しており、政治・軍事的敵対感と軍拡競争は熱くなっている。これは小さな衝突が発生する危険性も、その衝突が大きな戦争に飛び火する危険性も高くなっていることを意味する。尹錫悦政権が「南北軍事合意は文在寅(ムン・ジェイン)政権の遺産」という政派的観点から抜け出して、南北いずれもこの合意を守ることがいつにも増して重要になっている。

 南北関係の変化がより根本的なレベルで起きていることに注目し、戦争予防および危機管理に乗り出す必要性も高まっている。前述したように、南北関係は対話ゼロ、人的・物的交流と往来ゼロの時代に入っている。その代わりに「抑止一辺倒の関係」が幅を利かせている。相互抑止は過去の南北関係にもあったが、対話、交流往来、南北経済協力などと共存していた。だが、2020年以降、特に尹錫悦政権が発足して以来、抑止だけが横行している。これは朝米関係も同じだ。このように抑止の追求が避けられないもので、またこれが大きな流れになったとしても「抑止関係の安定性」を期する努力も非常に重要だ。安定性に欠ける抑止関係は、人間の判断の誤りや誤認、そして機械の誤作動による武力衝突のリスクを高め、抑止本来の趣旨を裏切る結果を招きかねないためだ。

 抑止の三つの要素は、能力(capability)、信頼(credibility)、伝達・疎通(communication)である。敵対的抑止関係は、相手より軍事的能力で優位に立とうとする軍拡競争、自分を攻撃すれば恐るべき報復に遭うと思わせるための軍事戦略や準備態勢、そしてこのような能力や意図を相手に伝える様相を呈している。これは本来自分の安全保障を強化するためのものだが、相手の反作用を引き起こし、むしろ自分の安全保障も危うくする安全保障のジレンマを作り出す。

 これに伴い、抑止を追求しても不安定を減らし、安定性を期することができる関係への転換が非常に重要だ。そのためには、韓米同盟と北朝鮮が軍拡競争よりは軍備統制を通じて軍事力のバランスを維持しようとするアプローチが求められる。また、報復の脅しが空言に過ぎないことを相手に信じさせようとする敵対的な信頼よりは、互いが先制攻撃を行わず、偶発的な衝突が発生した時には平和的な解決を目指す友好的な信頼を構築するために努力しなければならない。さらに、相手に恐怖を与えるかたちの伝達を避け、相互満足できる解決策を模索する対話と意思疎通の方法を構築しなければならない。

 
 
2018年8月20日、金剛山で開かれた離散家族再会行事で、韓国側のイ・グムソムさんが息子のリ・サンチョルさんを見てすぐに気づき、抱き合って頬ずりしながら涙を流している=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 対話が消え、抑止が横行する朝鮮半島の状況で、対話と交渉の目標を再構成することも必要だ。これまで南北-朝米対話を含む各種の会談の目標は「善意のシナリオ」に基づいていた。朝鮮半島平和体制と非核化の実現、南北の経済共同体の建設とユーラシア大陸への進出、朝米関係の正常化と対北朝鮮制裁の解決、交流協力の拡大と平和的統一の実現などがまさにそれだ。これらの動機と目標は放棄できないが、まずは対話と交渉の目標を「最悪のシナリオ」を防ぐことに照準を合わせて設定しなければならない。朝鮮半島問題の主要当事者ともいえる南北米中いずれも戦争を望まないという最小限の共通分母は、対話を再構成する基盤になりうる。

 こんにちの南北当局の態度を一言でいうと、「戦争を望んでいるわけではないが、(いざとなったら)戦争も辞さない」といったものだ。これからは「戦争を望まないなら、戦争を予防できる方法を一緒に模索しよう」に切り替えなければならない。また韓米は北朝鮮に対して「条件のない対話」を掲げているが、「朝鮮半島の完全な非核化に向けて」という、当面は実現不可能な目標を修飾語として付けている。一方、対話の扉を固く閉ざした北朝鮮は対話再開の条件として「敵対政策の撤回」を求めている。韓米同盟と北朝鮮は現実を直視しなければならない。韓米が非核化を強調すればするほど非核化は遠ざかり、北朝鮮が対話の条件として敵対政策の撤回を要求するほど、北朝鮮のいう敵対政策はさらに強化されている現実を。こうした現実を乗り越えるためには、南北米が「戦争防止と緊張緩和」を対話の最優先議題に据えなければならない。足元に降りかかってくる火の粉をまず消してこそ、遠く険しい道を歩んでいけるからだ。

チョン・ウクシク|ハンギョレ平和研究所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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沖縄県民は、地上戦だけではなく、南洋諸島からの引き揚げ船の撃沈や、学童疎開船の犠牲、10・10空襲、学徒の動員、戦争マラリアなど、想像を絶する被害を受けました。

2023-06-26 08:44:11 | 歴史に照らして整合性を!

2023年6月24日(土)

沖縄全戦没者追悼式

玉城デニー知事の「平和宣言」

 沖縄全戦没者追悼式での玉城デニー知事の「平和宣言」は、次の通りです。


写真

(写真)平和宣言を読み上げる玉城デニー知事=23日、沖縄県糸満市

 平和宣言

 1945年、今から78年前、ここ沖縄で一般住民を巻き込んだ悲惨な地上戦が繰り広げられました。

 90日に及ぶ鉄の暴風は島々の山容を変え、豊かな自然と文化遺産のほとんどを破壊し、20万人余りの尊い命を奪い去りました。

 沖縄県民は、地上戦だけではなく、南洋諸島からの引き揚げ船の撃沈や、学童疎開船の犠牲、10・10空襲、学徒の動員、戦争マラリアなど、想像を絶する被害を受けました。

 毎年、6月23日を迎えるたびに、戦争体験者が戦争の不条理と残酷さを、後世に語り継いできてくれた実相と教訓を胸に刻み、あらゆる戦争を憎み、二度と沖縄を戦場にしてはならないと、決意を新たにするのです。

 戦後27年に及ぶ米国統治を経て、1972年に本土に復帰してから51年となりました。

 しかしながら、現在もなお、在日米軍専用施設面積の約70・3パーセントが本県に集中し続け、航空機騒音をはじめ、水質や土壌等の環境汚染、航空機事故、米軍人・軍属等による事件・事故など、県民生活に様々な影響を生じさせています。

 このため沖縄県は、在沖米軍基地の更なる整理・縮小、日米地位協定の抜本的な見直し、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去と早期閉鎖・返還、辺野古新基地建設の断念等、基地問題の解決を強く求め続けてまいります。

 昨年12月に閣議決定された「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」においては、沖縄における防衛力強化に関連する記述が多数見られることなど、苛烈(かれつ)な地上戦の記憶と相まって、県民の間に大きな不安を生じさせており、対話による平和外交が求められています。

 ロシアによるウクライナ侵攻から1年4カ月が経過しようとしており、現在も憂慮すべき事態が続いております。

 沖縄県民は、国際社会の連帯と協力による一日も早い停戦が実現し、平穏な生活を取り戻せることを切に願っております。

 今ある命、今に残る文化、自然環境、これらを未来を担う子や孫達に受け継いでいくことが、人々が共有する願いであるということを確かめ合ってまいりましょう。

 アジア太平洋地域における関係国等による平和的な外交と対話による緊張緩和と信頼醸成、そしてそれを支える県民・国民の理解と行動が、これまで以上に必要になってきています。

 私たちは、アジア太平洋地域における観光、経済、環境、保健・医療、教育、文化、平和など多分野にわたる国際交流を通じて、沖縄県が築いてきたネットワークを最大限に活用した独自の地域外交を展開し、同地域における平和構築に貢献できるよう努めてまいります。

 沖縄県では、ここ平和祈念公園に、「沖縄県平和祈念資料館」と「平和の礎(いしじ)」を建設し、戦争の犠牲になった多くのみ霊(たま)を弔(とむら)い、沖縄戦の歴史的教訓を正しく次世代に伝え、世界の恒久平和を願い続けております。

 民間においても、幅広い世代による平和への行動が様々な場面で行われており、平和を願う輪が広がっています。

 また、平和につながる身近な社会貢献活動に光を当てた「ちゅらうちなー草の根平和貢献賞」や「沖縄平和賞」を通して、平和を希求する「沖縄のこころ」を世界に発信するとともに、沖縄がアジア太平洋地域の国々との架け橋「万国の津梁(しんりょう)」となることを目指しております。

 非暴力の信念を貫いたガンジーは「平和への道はない、平和こそが道なのだ」という言葉を残しています。

 「平和」とは、戦争や紛争のない状態にとどまらず、貧困、暴力、人権の抑圧、差別、環境破壊等がない、安らかで豊かな状態であり、本県が発信する「沖縄のこころ・チムグクル」には、人間の尊厳を何よりも重く見る「人間の安全保障」も含まれます。

 沖縄県は、全ての人への不当な差別は許されないことを宣言するとともに、人々が互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する誰一人取り残すことのない優しい社会の実現に全力で取り組んでまいります。

 私たち一人一人が平和について考え、沖縄から世界へ平和のバトンをつなげ、核兵器の廃絶、戦争の放棄、恒久平和の確立に向け絶え間ない努力を続けてまいります。

 沖縄(うちなー)ぬ人々(ちゅぬちゃー)が幾世代(いくゆー)かきてぃ生活(くらし)ぬ指針(みやてぃ)にっし育(すだ)てぃてぃちゃる 相互(たげー)ぬ相違(ちげーみ)ぬ在(あ)し尊重(うむん)じ合(あー)いる肝心(ちむぐくる)、生命(ぬちだから)大切(てーしち)にする心持(くくるむ)ち〈命(ぬち)どぅ宝(たから)〉、平和時代(てーふぃーゆー)求(とぅ)めいる人々同志(いぇーじゅーどぅーさー)ぬ連結心(ちなじぐくる)。

 戦争(いくさ)ぬ悲惨(あわり)んかい体験(あた)てぃちゃる被災者(ちゅぬちゃー)からぬ未来(さちじゃち)んかい向(ん)かてぃぬ教訓(ゆしぐとぅ)、次世代(あとぅぬゆー)んかい伝承(ちてー)てぃいちゅしがん私達(わったー)ぬ使命(すくぶん)やいびーん。

 万人(うまんちゅ)が今(なま)、あんし未来(さちじゃち)んかいぬ幸福(しやわし)とぅ安息(ゆーゆー)とぅそーてぃ希望(ぬじゅみ)ぬ持参(むた)りーる時代(ゆー)共(ちむてぃーち)なてぃ築上(しーな)ちいちゃびらな。

 本日、慰霊の日に当たり、国籍の区別なく犠牲になられた全てのみ霊(たま)に心から哀悼の誠を捧げるとともに、先人達から語り継がれてきた平和の尊さを伝え続け、未来を生きる子や孫達のために、よりよい沖縄の未来の創造を目指し、全身全霊で取り組んでいく決意をここに宣言します。

 令和5年(2023年)6月23日

 沖縄県知事 玉城デニー

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