ロシアと2年以上戦争が続いているウクライナが、ロシア本土に向けた初の攻撃を行った。ウクライナ領土にさらに深く進撃しているロシア軍の流れを阻止できるかが注目されている。

2024-06-04 19:14:50 | ロシア帝国主義とアメリカ帝国主義
 

ウクライナ、

米国製ロケット砲「HIMARS」でロシア領土を初めて攻撃

登録:2024-06-03 10:10 修正:2024-06-03 13:12
 
 
ウクライナ兵が4月、ウクライナのドネツク地域の最前線の塹壕で敵のドローン攻撃を監視している/ロイター・聯合ニュース

 ロシアと2年以上戦争が続いているウクライナが、ロシア本土に向けた初の攻撃を行った。ウクライナ領土にさらに深く進撃しているロシア軍の流れを阻止できるかが注目されている。

 英紙「デイリー・テレグラフ」は2日(現地時間)、ロシアの消息筋の話を引用し「ウクライナは、2022年にロシアとの戦争が始まって以来初めてロシア領土内の標的に向けて米国製の兵器を発射した」と伝えた。同紙が引用したロシア国防省とロシアの軍事ブロガーによると、ウクライナは前日、ロシアに向けて多連装ロケット砲「HIMARS(ハイマース)」を発射したと把握されている。

 ロシアの従軍記者で軍事ブロガーのエフゲニー・ポドゥブニー氏は、SNSのテレグラムに「敵(ウクライナ)は西洋製の兵器システムを使って旧ロシア領土を攻撃し始めた」とし、ロシア領土に落ちたM142 HIMARS砲弾の破片の写真数枚を根拠に示した。さらに「ロシア防空隊員がベルゴロド地域上空で10発以上のミサイルを破壊した」とも主張した。これに対してウクライナ軍事当局は特に立場を表明していない。

 これに先立ち、米国はウクライナに一部のロシア領土内の標的に対し、米国製の兵器を使用することを許可した。アントニー・ブリンケン米国務長官は先月31日、チェコのプラハで開かれた北大西洋条約機構(NATO)外相会議後、「(ウクライナ戦争に対する米軍の交戦原則の特徴は)戦場で実際に起きている状況に合わせ、必要に応じて適応・調整し、ウクライナが必要な時、必要なものを確保できるようにすること」だとし、「ウクライナの要請により、ジョー・バイデン大統領は米国の兵器を利用したロシア領土内への攻撃を承認した」と確認した。ただし、攻撃が許可された地域はウクライナ国境とロシアの一部地域に制限されたという。テレグラフは「米国の兵器使用許可はウクライナ国境近くの地域に制限され、長距離ミサイルを除いたHIMARSの発射のみ認められる」と説明した。

 ウクライナは、このところロシアが国境付近に兵力を集結させ、再び大規模な攻撃を準備していることから、自衛権レベルでのロシア本土への攻撃の必要性を主張してきた。一方、米国はNATOや米国の兵器を利用したウクライナのロシア領土内攻撃が戦争拡大につながることを懸念してきた。しかし、先月からロシアがこの地域で大規模な地上攻撃を開始し、ウクライナの多くの地域を占領して新しい戦線を開拓し始めたことで、急きょ「制限的な」ロシア本土攻撃許容へと立場を変えた。

 ただし、ロシア本土攻撃が戦況を変えられるかは不透明だ。英BBCは「ロシア内の軍事施設を標的にすることができる能力は、ウクライナ軍の能力をかなり強化するだろう」としながらも「ただ、ロシアの破壊的な攻撃からウクライナを保護するにはあまり役に立たない可能性もある」と分析した。ウクライナの国境地域に致命的な攻撃を行ったロシアの滑空爆弾「KAB」を防ぐには、この投下を止めなければならないが、制限的な国境地帯へのミサイル攻撃では止める役割は果たせないということだ。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
 
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米国や欧州連合(EU)などの西側諸国が「非民主的選挙」だと強く非難したのとは微妙に異なる立場だ。

2024-03-19 18:57:25 | ロシア帝国主義とアメリカ帝国主義
 

尹錫悦政権「ロシアの大統領選挙について言及控える」…

西側とは異なる立場

登録:2024-03-20 04:24 修正:2024-03-20 07:09

 

米欧の非難世論と微妙に異なる立場 
祝電発送は「適切性を検討して決定」
 
 
ロシアが占領したウクライナ東部のドネツクで17日、一人の男性が投票している。ロシアは15~17日の大統領選挙で占領地の住民たちにも投票させた=ドネツク/EPA・聯合ニュース

 ウラジーミル・プーチン大統領の圧勝に終わったロシア大統領選挙について、韓国政府は「韓ロ両国は相互関係の管理に向けた共同の意志を持っている」と述べつつ、大統領選についての直接の言及を避けた。米国や欧州連合(EU)などの西側諸国が「非民主的選挙」だと強く非難したのとは微妙に異なる立場だ。

 外交部の当局者は19日、ロシア大統領選についての政府の立場を記者団に問われ、「ロシアの最近の選挙に対する言及は控えるというのが基本的な立場」だと述べた。政府はプーチン大統領の再選に祝電を送るのかとの質問にも、「適切性などを検討する予定」と答えるにとどまった。

 ただし政府は、ロシアがウクライナに侵攻して占領したドネツク、ルハンスク、ザポリージャ、ヘルソンなどで投票が行われたことについては、「国際法違反」だと批判した。外交部の当局者は、「ロシアのウクライナ侵攻は国連憲章と国際法に違反する行為であり、ウクライナの主権と領土保全および独立は尊重されなければならない、というのが政府の基本な立場」だと述べた。

 米国と欧州各国は、ロシアの大統領選挙は不公正だと非難する立場をすでに明確にしている。米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のエイドリアン・ワトソン報道官は17日(現地時間)、プーチン大統領の大統領選での勝利は「驚くべきことではない」としつつ、「選挙は明らかに自由でも公正でもなかった」と述べた。ドイツ外務省はソーシャルメディアのX(旧ツイッター)で「ロシアで行われた選挙のようなものは自由でも公正でもなかったし、結果もまた驚くに値しない」、「プーチンの統治は独裁的であり、彼は検閲と抑圧、暴力に依存している」と主張した。英国のデービッド・キャメロン外相はXで、「(ロシアが占領した)ウクライナの領土で違法に選挙が行われた。有権者の選択権も奪われた。欧州安全保障協力機構(OSCE)独自の選挙モニタリングもなされずに投票は終了した」、「これは自由で公正な選挙の姿ではない」と批判した。

 韓国政府が西側諸国とは異なりロシア大統領選を公に批判しないのは、「自由」を強調しつつ「共産全体主義独裁」と戦うとしてきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のこれまでの立場とは異なる。このところロシアが北朝鮮と急速に密着するとともに、軍事的協力を強化していることで、安保に対する懸念が高まっているうえ、ロシアの情報当局が韓国人宣教師をスパイ容疑で拘禁するなど、韓国に対する圧力を強めている現実を考慮したとみられる。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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米国が、今やロシアと中国を同時に制圧できる能力を追求している。ここ数年の間、中国を最大の脅威とみなしてきた米国が、ウクライナ戦争を機にロシアの脅威も再び強調している。

2023-11-14 10:05:43 | ロシア帝国主義とアメリカ帝国主義
 

手に負えない「2つの戦争」への出師表…

「米国の夢」は悪夢となるか

登録:2023-11-14 06:24 修正:2023-11-14 08:23
 
[ハンギョレS]ソ・ジェジョンの一つの半島、一つの世界 
米下院の戦略態勢委員会報告書 

米国、冷戦時代に及ばない地位にもかかわらず 
中ロと同時に戦争できる軍事力を強調 
委員会で民主党と共和党が超党的合意 
「バイデン政権より好戦的」との批判も
 
 
9日、ソウル龍山大統領室の前で、市民団体「平和と統一を切り開く人々」が尹錫悦大統領とトニー・ブリンケン米国務長官の会談に反対し、韓米日軍事同盟などに抗議するプラカードを持っている/EPA・聯合ニュース

 「両国(中国とロシア)が米国に匹敵する核兵器を保有する世界が目の前にあり、この核国家たちと紛争の危険性が増している。しかし、これに対する備えはできていない。直ちに行動に入らなければならない」

 米下院の戦略態勢委員会の報告書の核となる部分を要約した内容だ。「存在論的挑戦」に直面しているとし、「2つの戦争(二正面作戦)」の深刻さを強調している。米国は1990年代にも2つの戦争を掲げたが、今でも2つの戦争を指している。しかし、その内容は天と地ほども違う。米国が追求する軍事力も同じくらい大きな違いがある。ロシアや中国との同時戦争に備えなければならないというビジョンを発売した同報告書は、過去に危機を警告し米国の軍事化を加速化させた「現存する危険に関する委員会」(ソ連との対決政策を煽った民間のロビー組織)の最新バージョンになるだろうか。

米国の国防予算の根拠になる報告書

 米国は冷戦の直後、2つの戦争戦略を採択した。1990年代、イラクと北朝鮮のような「ならず者国家」二国と戦争をして勝利を収める能力を追求すべきということだった。ならず者国家のうち一つを先に抑えてから、二つ目を退けるのか、同時に戦って勝利を収めるかをめぐる違いはあったが、当時の2つの戦争は、核兵器を保有していない中堅国家との戦争を想定したものだった。当時、ソ連は崩壊してもはや脅威ではなく、中国は米国の相手にならない時代だった。ジョージ. H. W.ブッシュ政権はならず者国家との2つの戦争で同時に勝利する能力が必要だという国家戦略を掲げ、米国の軍事力を冷戦の水準で維持した。

 このように、ならず者国家たちと戦っていた米国が、今やロシアと中国を同時に制圧できる能力を追求している。ここ数年の間、中国を最大の脅威とみなしてきた米国が、ウクライナ戦争を機にロシアの脅威も再び強調している。両国が協働する、あるいは独自的に米国の利益を脅かす可能性を全面に掲げ、これらの両国と同時に戦争を遂行して勝てる軍事力が必要だと主張している。米下院戦略態勢委員会が先月発表した「戦略体制評価の最終報告書」は、このような見通しを公にしたものだ。「米国は武力で国際情勢を変化させようとする野望を持った2つの核保有敵国に直面している」とし、「新しいグローバル環境は、冷戦の最も暗鬱だった時代の経験とも根本的に違う」と宣言した。

 当然「冷戦の最も暗鬱だった時代」よりもっと強力な軍事力が求められる。戦略態勢委員会は「従前のプログラムを凌駕する軍事力」を求めた。大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機、戦略潜水艦はもちろん、核弾頭の生産も増やすなど、「米国の戦略体制の量的および質的調整」が必要だと主張する。それだけでなく、戦術核武力も強化しなければならないため、欧州に配備された戦術核兵器を強化するとともに、インド太平洋には戦術核兵器の再配備を始めるべきだと提案した。また、先制打撃の生存性とミサイル防衛システムの突破能力などを強化した兵器体系を開発し、配備する必要があるとも主張した。戦略体制委員会の報告書は2027~2035年を見据えたものだが、こうした措置は急がれるため、今からでも軍事力と軍事力の基盤を強化しなければならないと促している。

 もちろん、議会の報告書であるため、政府の公式の政策ではない。戦略態勢委員会の外部でも意見が分かれている。上院も同委員会に全面的に同意しているわけではない。しかし、少なくとも委員会内部では、共和党と民主党両党の議員がこのような戦略体制の評価で一致している。そしてこの戦略態勢委員会は任意機構ではなく、昨年、国防権限法によって設置された議会傘下の超党的機関であり、米国の長期的な戦略の態勢を点検して代案を提示することを目的としている。同報告書は、米国の国防予算審議の根拠になり、国防部はこの報告書を綿密に検討し、国防計画を作成して予算案を作るだろう。さらに重要なのは、米国政治の深刻な二極化にもかかわらず、戦略態勢委員会委員の満場一致でこのような報告書が発表されたという事実だ。

揺れる米国の覇権

 戦略態勢委員会は、北朝鮮がミサイル発射実験を実施し、核開発に没頭することが米国とアジアの同盟国の安全保障に否定的な影響を及ぼしていると評価した。また、「米国の地上配備ミサイル防衛システムに潜在的挑戦となるのに十分な数の核弾頭を装着した大陸間弾道ミサイルの配備に向かっている」として、危機感を示した。同委員会は「完全かつ検証可能で不可逆的な核武装の解除」というすでに失敗した目標への支持を表明し、これに向けた「過渡的な廃棄措置」の機会があれば、米国の同盟らとともに不拡散を考慮しつつ進めていくべきだと提案した。しかし、「懐メロ(古い戦略)」に執着しているわけではない。むしろ「米国をはじめ、同盟国の通常戦力の規模や類型、戦闘態勢で、さらに強化された戦略が必要な状況」だとし、「そうした対策を立てられなかった場合、米国は核兵器に対する依存度を高めざるを得ないだろう」と主張している。

 専門家らはこのような内容がジョー・バイデン政権の「核態勢の見直し」よりさらに好戦的だとし、直ちに懸念を表明した。米国の科学者連盟は、議会の報告書というよりは「軍需会社の報告書」のようなこの報告書の内容が実行されれば、ロシアや中国との軍拡競争を加速化させ、軍備統制の見通しを暗くさせると指摘した。「フォーリン・アフェアーズ」は、核兵器を増やさなくてもロシアと中国を抑止できるという分析を掲載した。

 最大の問題は、米国がこのような軍備拡張に耐えられるかにある。戦略態勢報告書は、具体的な予算問題については触れていない。さらに、軍事同盟の重要性を認め、同盟を強化し拡大する必要性を指摘している。「このような同盟ネットワークは、地域での攻勢が米国本土に到着する前に抑止し、米国の安全保障を強化するだけでなく、世界市場への接近を通じて米国経済の繁栄を可能にする」ためだという。

 しかし、世界は、米国がすでに冷戦時代の大国ではないことに気づいている。米軍を世界に配置し、同盟国に経済的・軍事的支援を惜しまず、自国の市場を開放した大国はすでに存在しない。今の米国は、ウクライナの背中を押してロシアと戦うよう促し、同盟国にウクライナをさらに支援するよう求めるような国だ。中東でイスラエルを全面的に支援しているが、イスラエルがハマスとの戦闘で勝利した瞬間、イスラエルは戦争の敗北という毒杯を仰ぐことになるだろう。それと共に中東で享受していた米国の影響力も蜃気楼のように消える運命にある。戦略態勢委員会は、唯一の大国という「米国の夢」を再び実現しようとしている。大韓民国にとって、それは夢になるだろうか、それとも悪夢になるだろうか。

ソ・ジェジョン|日本国際基督教大学政治・国際関係学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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先月初めにウクライナの「反転攻勢」が始まると、原発をめぐる状況が緊迫した。先月5日には、原発に冷却水を供給するカホウカダムが破壊され、冷却水枯渇の危険が提起された。

2023-07-08 14:13:46 | ロシア帝国主義とアメリカ帝国主義
 

ウクライナ「ザポリージャ原発、非常に深刻」…

災害訓練も実施

登録:2023-07-08 08:23 修正:2023-07-08 10:45

 

ゼレンスキー大統領「ロシア、原発に爆発物に似た物体を設置」
 
 
米国の衛星写真企業プラネットラボが5日(現地時間)、衛星から撮影したザポリージャ原発=/プラネットラボ・ロイター・聯合ニュース

 ウクライナが、ザポリージャ原発の状況は「非常に深刻だ」と繰り返し主張している。ウクライナは前日には、ロシア軍が原発の原子炉の建屋屋上に爆発物に似た物体を設置したと主張した。

 ウクライナ原子力規制検査局のオレ・コリコフ局長は6日(現地時間)、ドイツ「RND」のインタビューで、「ロシアの不法占領と攻撃によって、(ウクライナ南部のザポリージャ)原発の多くの安全措置が作動しないでいる」としたうえで、「ロシアは、この原発を重武装した軍用車両を隠すための軍事基地に変えた。応急センターは占領され、現在は運営がなされずにいる。これはきわめて危険だ」と述べた。ロシア軍は昨年2月末にウクライナを侵攻した直後の昨年3月初めから、発電所を占領中だ。ザポリージャ原発は6基の原子炉を保有する欧州最大の原発だ。

 先月初めにウクライナの「反転攻勢」が始まると、原発をめぐる状況が緊迫した。先月5日には、原発に冷却水を供給するカホウカダムが破壊され、冷却水枯渇の危険が提起された。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は5日、ロシア軍がザポリージャ原発の原子炉建屋の屋上に「爆発物に似た物体」を設置したと主張した。国際原子力機関(IAEA)は、そうした懸念について、施設内では爆発物を確認できなかったと明らかにした。

 コリコフ局長は、IAEAのこうした立場発表に遺憾の意を表明した。コリコフ局長は「ロシアはIAEAに原子炉上部などすべての場所に対する接近を許可していない」とし、発電所を保護するための原則が守られているようにはみえないと指摘した。

 コリコフ局長は、原発の爆発など万一の事態が発生する可能性に備え、「1週間前に事故を想定した災害統制訓練を実施した」と述べた。ザポリージャ原発の放射能数値が増加しても発電所に近づけず、原因を把握できない状況に備えた訓練だった。ウクライナ当局は、市民に原発関連の情報を提供するためのSNSチャンネルも開設した状態だ。

 コリコフ局長の話によると、現在のザポリージャ原発の原子炉6基のうち5基の稼動が中断され、5号機の原子炉だけが稼動中だ。コリコフ局長「規制当局として私たちは、現在の状況はきわめて危険だという確信を持っている。ロシアは、5号機を1年以上にわたり適切に維持・補修せずに稼動してきた」と述べた。また、蒸気発生器2基とポンプ4基が適切に管理されていない状況だと付け加えた。コリコフ局長は「こうした状況は、実際の脅威になり、事故につながりかねない。これは私たちの最大の懸念」だと述べ、5号機の稼動を中断すべきだと強調した。

ベルリン/ノ・ジウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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オデッサはウクライナ軍の反撃作戦が行われているドネツク州中西部、ザポリージャ州の中部とは遠く離れた地域。ロシア軍は対艦ミサイル「カリブル」を動員し、

2023-06-17 10:48:41 | ロシア帝国主義とアメリカ帝国主義
 

ロシア、ウクライナの反撃に後方都市を空襲…

2日間で民間人24人死亡

登録:2023-06-16 06:13 修正:2023-06-16 07:30
 
ロシア軍、前線から離れた西部と中部まで空襲
 
 
ウクライナ西部海岸都市オデッサで14日(現地時間)、ロシア軍の空襲で破壊されたショッピングセンタービルの前で市役所職員たちが周辺を整理している=オデッサ/ロイター・聯合ニュース

 ウクライナ軍が南部で反撃に出た後、ロシア軍が空襲の強化で対抗し、民間人の被害が再び増えている。13日(現地時間)、中部地域のある都市だけで12人が死亡する惨事が発生したのに続き、14日には西部と東部で6人が死亡した。2日間で死亡した民間人は少なくとも24人にのぼる。

 ウクライナ軍は同日、黒海西部沿岸の主要な港町オデッサと東ドネツク州北部でロシア軍の空襲により6人が死亡したと発表した。ロイター通信などが報じた。オデッサでは都心のショッピングセンタービルと教育施設などが空襲に遭い、流通業者の倉庫にいた民間人3人が死亡した。負傷者も13人発生した。現地の役人たちは壁と窓が破壊された倉庫の建物で消防士たちが火を消す姿を撮った動画と写真をオンラインで公開した。

 オデッサはウクライナ軍の反撃作戦が行われているドネツク州中西部、ザポリージャ州の中部とは遠く離れた地域。ロシア軍は対艦ミサイル「カリブル」を動員し、同都市に今週だけで2回目の攻撃を行ったと、AP通信が報じた。

 ドネツク州北部の都市、クラマトルスクとコスチャンティニウカでもロシア軍の空襲で3人が死亡したと現地関係者が明らかにした。ドネツク州のパブロ・キリレンコ州知事は「クラマトルスクでミサイル攻撃により少なくとも5軒の家屋が完全に倒壊し、約20軒が損傷しており、コスチャンティニウカでは家屋2軒が倒壊し、約50軒が損傷した」と述べた。クラマトルスクはドネツク州で戦うウクライナ軍の地域本部があるところ。

 13日には中部地域のドニプロペトロウスク州のクリビーリフで、5階建てのマンションと食品貯蔵倉庫がミサイル攻撃を受け、民間人11人が死亡する惨事が起きた。市政府は14日、負傷者のうち1人が死亡し、死者が12人に増えたと発表した。北部国境地域のスーミ州でも13日、4人の伐採作業者などが乗った車両が爆撃され、民間人6人が死亡した。

 ウクライナ大統領府は、ウクライナ軍が進撃しているドネツク州北部地域で空襲を受けた都市と村が同日で10カ所にのぼったと発表した。ウクライナ軍合同参謀本部のアンドリー・コバロフ報道官は、自国軍が1千キロメートルに及ぶ戦線で攻勢を繰り広げたことに対抗し、ロシア軍が空襲を強めていると説明した。さらに、オデッサ州とドネツク州の他に北東部ハルキウ州、中南部のクロピウニツキー州も空襲を受けた」とし、「ロシア軍は対艦ミサイルであるカリブルやKh-22ミサイル、イラン製のドローンなどを攻撃に動員している」と語った。

 クロピウニツキー州とドニプロペトロウスク州は、これまで他の地域に比べてロシアの攻撃が少なかったところだ。ロシア軍が両地域への攻撃に乗り出したのは、近隣のザポリージャ州とドネツク州の西部地域で反撃に出たウクライナ軍に対する武器と物資の補給を遮断するためとみられる。英国防省はこの日の戦況分析で、ウクライナ南部はロシア軍の航空作戦に対する防衛態勢が他の地域より弱いと指摘した。

 一方、ウクライナの反撃は初めの5~6日間は相当な成果を見せたものの、停滞状態に陥ったという分析もある。ポーランドの軍事アナリスト、コンラッド・ムジカ氏は、「ウクライナ軍が反撃作戦のために構成した12の旅団のうち3つだけが戦闘に投入されたものと把握される」とし、「初期作戦はうまく行われているが、今後が問題だ」と指摘した。氏は「懸念されるのは序盤の作戦以後、進撃が停滞したように見える点」だとし、「序盤の推進力が消えたが、その原因は分からない」と語った。

 ロイター通信はウクライナ軍が反撃作戦を通じて南部の従来の戦線から6.5キロメートル程度前進しており、次の課題はロシア軍が戦線後方10~15キロメートルに構築した主な防衛線を突破できるかどうかだと指摘した。米外交政策研究所(FPRI)のロブ・リー上席研究員は、「ロシアの戦略はウクライナ軍が自国軍の州防衛線まで到達する前に最大限打撃を与えるものとみられる」と分析した。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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