(1)政府がこれまで地元自治体、住民、漁業関係者に「甘い」語りで誠意を取り繕(つくろ)ってきて、最後の最後に国際機関(IAEA)のお墨付き(国際基準に合致)を根拠に福島第一原発汚染処理水の海洋放出を明日24日に開始決定した。
野党は政府の「関係者の理解が得られなければいかなる処分も行わない」約束を果していないと批判している。それでは他にどういう方法論があるのか(ここまで先送りした政府の責任はあるが)、責任を持って提示もせずにこちらも無責任だ。
(2)冷却用放射性汚染処理水を再び冷却用に再利用する循環型システムでもない限りは増え続ける汚染処理水をいつまでも保管し続けることはできないのだから、海外でも実施されている国際基準(IAEA)以下に濃度を下げて海洋放出するのは現時点ではやむを得ない選択ともいえる。
(3)問題は政府がこれまで漁業関係者らにできもしない甘い誠意をみせて、今も汚染処理水海洋放出に日本の魚介類の輸入を規制して反対を続ける中国に対して中国に問題の海洋放出データがありながら政府が積極的な関与をみせていない不条理性、不誠実性だ。
(4)これが日本の「政治」、政府であるというなら、政権交代があってもいいという日本の政治事情だ。それに応える、耐えるべき野党があるのか、与党自民党内の別政権ということでは政治状況の変化、政権交代に応えるものとはならないだろう。
野党は岸田政権の汚染処理水の海洋放出方式(漁業関係者の理解、風評被害対策を含めて)にただ反対するだけでなく、政権交代に向けて野党全体でどうすればいいのか協議、熟議しなければならない。
(5)国民も地元自治体、住民、漁業関係者の立場、意見、意思を理解してこの政治、政権でいいのか熟慮、問い直すべきだ。沖縄米軍基地問題でも沖縄に70%以上の米軍基地が集中することはやむを得ないという最近の世論調査もあり、福島第一原発事故問題は東京など都市圏に電力を供給する都市と地方のバイアス(bias)な負担構造であり、その利益構図には他人事でない人も多い問題だ。
(6)福島第一原発事故問題では政府の甘い不誠意、不誠実な発言、行動をみせられて、国民としても岸田政権に国家、国民をまかせられるのか問い直して、次の選挙では政権交代も視野にいれた選択を考えていい状況だ。
もはや自民党内にも野党にも真剣に検討すべき政治課題だ。