沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩448 傀儡国家 3

2013年08月28日 14時16分32秒 | 政治論

 国連事務総長潘基文(バンキムン)氏の発言というのは、訪韓中の記者インタビューに答える形でされたコメントなのだが、日本政府の改憲の動きに対する、周辺国の憂慮状況における国連の立場を問うのに答えて、「日本政府の政治指導者は深い省察と国際的な未来ビジョンが必要だ」と述べた。

 更に日中韓の歴史認識や領土を巡る一連の対立に対する見解を問われ、「政治指導者は正しい歴史認識を持ち決断することが必要。それでこそその他の国から尊敬と信頼を克ち得る。」と答えた(毎日新聞8月27日記事)。

 国連事務総長が自国を訪問し、自国が絡む問題に対し発言することが国際関係のバランス上注目されるのは当然ではある。しかし氏の発言にあらを探すよりも氏が敢えて名指しでひとつの国の動向に釘を刺す発言をしたことは、現今国際世論の形勢が対日批判に傾いていることを示す代表例と考えたほうがこの場合適切なのだ。

 特に始めのほうのコメントは、この国が敗戦の検証と総合的な見極めを回避してきた戦後の行く末を凝視するなら、戦後日本の抱えるべき根本の問題性を指摘していると評価できる。従って菅官房長官のこれに対する反応はまことに拙劣で、卑しくも国際機関のチェアマンがほぼ直言したところを「不快感」や「甚だ疑問」などという上から目線で応じるがものではない。

 そこに対中、対韓、対朝、ひいては対アジア優越主義を垣間見るにつけ、戦前体質の再現であると言われても仕方がないし、実際石原なぞはこれらの国々に対し三等国呼ばわりを今でも平気でするのである。これは人種差別やコンプレクスの裏返しとみるよりも改善根治が不可能な、一種の頑迷な封建体質というもので、日米安保の殆ど不動の盲信やら沖縄特化した基地依存やら、その実例をあげるのはいかにもたやすいことである。(つづく)