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生物と無生物のあいだ

2009年01月12日 | レビュー
生物と無生物のあいだ」 福岡伸一 著

遅ればせながら読んでみました。
今、リンクを貼ろうとしてアマゾンをチェックしたら、書評は賛否両論でしたねえ。私も、タイトルどおりに読めば少々中身が違うかな、生物学のベースがない人にはむずかしくないかな、とちょっと思いましたが、でも、大変面白く読みました。

私の印象に残ったのは本筋と違う部分かも知れませんが、研究のアプローチの仕方について、です。例を挙げるとエイブリー(形質転換を見いだし、遺伝子の本体がDNAであることを初めて示した)のひたすら実直なアプローチ。著者は「研究の質感」と表しています。また、二重螺旋を説明したワトソン・クリックと、そのベースになったX線写真を撮ったフランクリンの決定的な違い。私は「分子生物学の夜明け」や「二重らせん」を読んでいますから、すでに既知の内容なのですが、両者のアプローチの違い、科学者としての姿勢、それを非常に的確に言葉にされています。科学の研究とはどうあるべきか。科学者はどう生きるべきかという示唆に富んだ本だと思います。

ところで本書の本題である生物と無生物の定義、なのですが、著者は生物を動的平衡にあるものだと述べられていますが、わたしもそれには反対しません。が、しかし、ウイルスに携わってきた私にとっては、ウイルスが無生物に分類されるとやはり違和感を覚えます。ウイルスの美しさとしたたかさ、それはやはり無生物とはとても言えない「生きもの」としての何かを持っている気がするのですね。そのことはまた別の機会に書くことにしましょう。
コメント
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