関先生のブログで八ッ場ダムの基本高水ピーク流量に関わる議論において、行政側に理解のある河川工学有識者の判断過程についてのコメントがあった。犀川の辰巳ダムにおいても同じパターンであることに気がついた。
八ッ場ダムについて、関先生はつぎのように記している。
「2013年03月21日 | 利根川・江戸川有識者会議 私も委員として参加しておりました利根川・江戸川の有識者会議が先日3月18日の会議をもって打ち切られることになりました。常軌を逸したメチャクチャな議事運営が続き、毎回唖然とするばかりでしたが、議事録だけは残ります。
以下の推論が妥当か否か判断してみてください。
(1)計算値と実測値のあいだには乖離がある。
(2)その乖離の理由を科学的に解明することはできなかった。
(3)しかし計算値は妥当と判断する。
小学生でも分かる問題ですが、どうやら立派な大学を出て博士号までとると小学生にも分かることが分からなくなっていくようです。国交省の覚えめでたい先生方は(3)を妥当というのです。」
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/8a65b9c69e51afe51d38dceeea4fb070
犀川では、基本高水ピーク流量を検討するための部会長だった名古屋大学T教授は、「犀川基本高水ピーク流量への意見聴取への回答」でつぎのように北陸地方整備局へ回答している。
回答の中に、①、②、③の記号を挿入した。①が「計算値は妥当と判断する」(技術論理は妥当であるといいながら、1750そのものの妥当性についての説明は避けている?)であり、②で「計算値と実測値のあいだには乖離がある」ことを認識していたことを明らかにしながら、③は「その乖離の理由を科学的に解明することができなかった」という言い訳である。
【回答】
「1.基本高水決定の手法の妥当性について
治水計画における基本高水の決定は,治水計画策定の基本であるため,当時石川県が示
した案について,犀川水系河川整備検討委員会の「河川計画専門部会」でも,公開の場でその決定プロセスの段階ごとに専門委員の確認を取りながら審議し,了承した.
基本高水決定の手順として,(1)計画規模(100年に一度),(2)計画規模に対応する
降雨量(2日雨量で314mm),(3)計画対象降雨(実績)の選定とその計画雨量への引き伸ばしならびに異常な時空間分布の降雨パターンの棄却(33波形中24波形を選定),(4)流出解析の妥当性(実績上位降水での検証)および計画での流出解析パラメータの同定の妥当性について検討し,とくに問題なしと判断した.こうして選ばれた計画降雨に対する流出解析の結果として計算される基準点流量の最大値は1741m3/秒で,これを丸めて、①基本高水ピーク流量を1750m3/秒とする技術論理は妥当と判断した.その後,多くの一級水系での基本高水ピーク流量について社会資本整備審議会河川分科会に設置された「河川整備計画基本方針小委員会」で審議するとき,②こうした(雨量確率を基本として流出解析の)手順で求められた計算値を,流量確率,既往最大流量,あるいは歴史的洪水,さらには可能な最大流量(湿潤状態での流出)などと比較して,とくに逸脱していないこと(通常はその幅に収まること)を説明することを求めているようである.当時専門家としても,こうしたいくつかの視点からの妥当性を提示することを求めたが,流量観測資料の不備などからそれが不能であると説明を受けた.委員長としてはさまざまな場での「説明の難しさ」が残ることをコメントしたが,委員会としても,標準的手法(さまざまな流域への適用においてもっとも信頼性があると判断される)において,③標準的な棄却もおこなってなお「生き残った」最大値としての基本高水流量を無視することは出来ないと判断した.治水の課題が安全側に偏るのは行政責任上当然のことと判断した(不安を残したまま,その計算値を棄却することは出来ない).」
八ッ場ダムについて、関先生はつぎのように記している。
「2013年03月21日 | 利根川・江戸川有識者会議 私も委員として参加しておりました利根川・江戸川の有識者会議が先日3月18日の会議をもって打ち切られることになりました。常軌を逸したメチャクチャな議事運営が続き、毎回唖然とするばかりでしたが、議事録だけは残ります。
以下の推論が妥当か否か判断してみてください。
(1)計算値と実測値のあいだには乖離がある。
(2)その乖離の理由を科学的に解明することはできなかった。
(3)しかし計算値は妥当と判断する。
小学生でも分かる問題ですが、どうやら立派な大学を出て博士号までとると小学生にも分かることが分からなくなっていくようです。国交省の覚えめでたい先生方は(3)を妥当というのです。」
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/8a65b9c69e51afe51d38dceeea4fb070
犀川では、基本高水ピーク流量を検討するための部会長だった名古屋大学T教授は、「犀川基本高水ピーク流量への意見聴取への回答」でつぎのように北陸地方整備局へ回答している。
回答の中に、①、②、③の記号を挿入した。①が「計算値は妥当と判断する」(技術論理は妥当であるといいながら、1750そのものの妥当性についての説明は避けている?)であり、②で「計算値と実測値のあいだには乖離がある」ことを認識していたことを明らかにしながら、③は「その乖離の理由を科学的に解明することができなかった」という言い訳である。
【回答】
「1.基本高水決定の手法の妥当性について
治水計画における基本高水の決定は,治水計画策定の基本であるため,当時石川県が示
した案について,犀川水系河川整備検討委員会の「河川計画専門部会」でも,公開の場でその決定プロセスの段階ごとに専門委員の確認を取りながら審議し,了承した.
基本高水決定の手順として,(1)計画規模(100年に一度),(2)計画規模に対応する
降雨量(2日雨量で314mm),(3)計画対象降雨(実績)の選定とその計画雨量への引き伸ばしならびに異常な時空間分布の降雨パターンの棄却(33波形中24波形を選定),(4)流出解析の妥当性(実績上位降水での検証)および計画での流出解析パラメータの同定の妥当性について検討し,とくに問題なしと判断した.こうして選ばれた計画降雨に対する流出解析の結果として計算される基準点流量の最大値は1741m3/秒で,これを丸めて、①基本高水ピーク流量を1750m3/秒とする技術論理は妥当と判断した.その後,多くの一級水系での基本高水ピーク流量について社会資本整備審議会河川分科会に設置された「河川整備計画基本方針小委員会」で審議するとき,②こうした(雨量確率を基本として流出解析の)手順で求められた計算値を,流量確率,既往最大流量,あるいは歴史的洪水,さらには可能な最大流量(湿潤状態での流出)などと比較して,とくに逸脱していないこと(通常はその幅に収まること)を説明することを求めているようである.当時専門家としても,こうしたいくつかの視点からの妥当性を提示することを求めたが,流量観測資料の不備などからそれが不能であると説明を受けた.委員長としてはさまざまな場での「説明の難しさ」が残ることをコメントしたが,委員会としても,標準的手法(さまざまな流域への適用においてもっとも信頼性があると判断される)において,③標準的な棄却もおこなってなお「生き残った」最大値としての基本高水流量を無視することは出来ないと判断した.治水の課題が安全側に偏るのは行政責任上当然のことと判断した(不安を残したまま,その計算値を棄却することは出来ない).」
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