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自己チューの進行形日記でshow。

ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘。

2010年09月18日 | お薦めの一冊。

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【本の3人の女性の心象風景は、上↑だと読みながら思った。】

Daria

「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘。」は
本のタイトルである。

タイトルが秀逸である。なるほど、、、。
「レレレ」と「ラララ」は、「ゲゲゲ」ほど
ピンとは来ないが、わかってしまえば
膝をたたきたい気分だ。

ゲゲゲの娘とは、水木しげるの次女。
レレレの娘とは、赤塚不二夫の長女。
らららの娘とは、手塚治虫の長女。

この本は、偉大な漫画家3人の娘による、対談集。
実に面白い。

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読みどころは、3人の巨匠の家庭での姿。
人間としてのホントの部分が書かれていて、
娘の視点は鋭いなあと感じた。

異次元のレベルで破天荒な赤塚。
マンガの隆盛とともに巨大化していく手塚。
あくまで「家業」としてマンガに専念する水木。

この本を読んで、私は3人の巨匠の真の姿を知った。
彼女たちは戦後漫画界の産土神、破壊神、創造神の
娘らである。

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しかし、これがなかなか苦しいものらしく、
タイトルで感じるほど大らかには
生きてこなかったようである。

蛙の子はカエルとはいかないのは想像に難くない。
人間の子は人間でしかないからだ。

神様とは他人にとっては実に有り難いものでも
あると同時に、肉親としてそばにいられたら
どう接していいか迷うことも多いと知らされる。

親が有名になると、「お父さんの話を聞かせて」と
気軽に聞かれ、改めて自分の父を、家族としてではなく、
有名人として認識し直さなければ
世間的に許されないという苦しさは、
(この本を読んでみなければ)わからなかった。

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特に、手塚ファンである自分には、ラララの娘の心情吐露と、
成人したのち手塚作品に向き合っている姿に
一番共感を覚えた。

手塚の女性感も冷静に語っているし、
作品の理解の仕方はなかなか深く、
かつては屈折も深かったと思われるが、
さすがラララの娘と思わせる。

手塚の隠れた秀作(!)「ペックスばんざい」を
「娘が選ぶ父の傑作漫画」に挙げているのにも
それは表れている。

この3人の父親は表現者である。
一種の職人や芸能者だと思う。

彼らは、今ここで何を表現できるか、に
存在自体をかけているところがある。
(締め切りという制約も含めて)
明日ではなく、常に「今」なのである。

修行して5年後に、とかでは意味のない
世界で生きてきたのだ。

手塚は「アーティストになるな、アルチザンであれ」と
いったらしいが、実に自身を知った厳しい言葉だ。

要は芸術家ではなく(あえて)職能者であれ、
ということなのだろう。そのキビシサが
3人の娘たちの発言からも伺える。

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「ゲゲゲの女房」の本が面白くて、この本に至ったのだが
妻は、苦悩と喜びが交錯する毎日であると同時に

その子どもたちも苦悩の喜び、そして自分と向き合う毎日が
日々連鎖していることを痛感したのである。

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凡人の子に生まれ、凡人に育った私には
その苦悩が羨ましくもあり、のほほん生活の私が
しあわせであるとも感じた次第である。

この秋、お薦めの一冊である。

Yuugure

【これからは秋の夜長。食欲の秋・芸術の秋・読書の秋である。】

Daria

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4 コメント

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娘の視点、ただそれだけでも、興味を引きますね。 (kazuyoo60)
2010-09-19 07:31:37
ちやほやされるかもしれない半面、疎外されることもあったでしょうね。
悩んでいる人にも悩みの無い人にも良い1冊なのですね。
返信する
こんばんは! (kawana@)
2010-09-19 17:27:36
実に面白そうな興味ある本の紹介ありがとうございます。
買って読んでみます。
娘の視点!(^^)!
ウチにも二人娘がいます。
彼女たちは親父をどう見ているんでしょうね?
読んでから聞いてみるか?
・・・・・読んだら聞けないか?
では、また、、、


返信する
[E:diamond]kazuyoo60様へ (kazuyoo60様へ)
2010-09-20 10:59:12
kazuyoo60様、本記事へもコメント
ありがとうございます。
有名人を父親に持つ娘の気持ちが
共通していることは
想像のとおりであります。
しかし、同じ父親でも、やはり人それぞれ。
そこで、父親を語り
自分の人生を見いだして
これからの糧にする。
企画本のようですが
実は、私達の凡人も
見習う点が多々ある良書でありました。
ご訪問ありがとうございました。[E:club][E:eye][E:ear]
返信する
[E:club]kawana@ 様へ (kawana@ 様へ)
2010-09-20 11:04:57
kawanaさん、本記事へもコメントおおきに。
kawanaさんのお嬢様方は
勿論、kawanaさんの背中を
見て育ってますから、、、、。
答えは、貴殿のブログに
顕著に現れておりますよ。
でも、この対談集。
読んでみると、また世界観が
変わるかも、、、。
お薦めです。
ご訪問ありがとうございました。[E:five][E:four][E:three][E:two][E:one][E:zero][E:sun]
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