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自己チューの進行形日記でshow。

「神去なあなあ日常」。

2010年07月27日 | お薦めの一冊。

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【この記事のタイトルは「かむさり・なあなあ・にちじょう」と読む。】

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「なあなあ」は小説の中の創作方言で、「ゆっくり行こう」とか、
「まぁ落ち着け」とか、「のどかで過ごし易い」
いう意味合いであります。 

Kigi

三浦しをんさんの著書「神去なあなあ日常」を読んだ。
これは、滅多に無い林業青春小説である。

ある方のブログの記事でこの本を知り急に読みたくなった。
すぐに読んだ。この本の虜になった。

私が18の頃、この本が発刊されていて読んだとしたら
今の私は全然別の人生を歩いていたかも
、、、。

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小説は、主人公が山奥の村の一年間を振り返り、
パソコンに出来事や感想を書き連ねた形になっている。

横浜育ちの勇気18歳は、進学も就職する気もないまま
高校を卒業した。先生と鬼母(と勇気は言っている)は、
勇気を勝手に林業見習員として就職させ、
父からの3万円の餞別と、母が用意した鞄一つで、
三重県奥地神去(かむさり)村に放り出した。

林業は、なにしろ3Kの最たる職場である。
辛い研修と作業に何度も脱走を図るが、
ケータイは電池を抜かれ、山奥のため
交通手段が無く、その都度連れ戻される。

就職先は日本有数の山林地主の会社だった。
沈着冷静でやり手の若い社長や、
下宿先の乱暴な天才的作業員など、
年長者の確かな作業に感心し、
季節の鮮やかな推移に感動し、
不思議な出来事や理解不能なしきたりにも慣れて、
痩せ我慢で従っていた林業と
村の暮らしの魅力に目覚めてゆく。

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林業に従事した一年間を振り返り、
勇気が感想を書いている.....。

・キーボードを叩く掌の皮がすっごく
 分厚くなっている。いまや別人の手だ。

・山仕事は季節の移り変わりに応じて、同じような
 作業を繰り返してるかのように見えるけど、本当は
 そうじゃないってことが一年経って少し分った。

・山は毎日、ちがう顔を見せる。
 木は一瞬ごとに、成長したり衰えたりする。
 些細な部分を見逃したら、絶対にいい木は
 育てられないし、山を万全の状態に保てない。

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※上↑の写真は紀州の最高峰、護摩山からの眺めです。

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村人は結構デタラメで、なあなあ。
真剣な山仕事との対比が効果的だ。
神隠しや山鳴りや天女の舞など、
そういう超常現象もあり得る、と思えてくる。

しかも、日本の林業の問題点と対策、
年間の作業のあらましが見えてくるばかりか、
無気力無責任な少年への処方箋にもなっている。

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村の四季が、実に素晴らしい。

社長と、作業班とその家族等の人間関係が
可笑しくて痛快である。

祭りや、村人の付き合いも、のほほんとして面白く、
特に48年に1度の大祭の疾走感は圧巻だ。

年上の勝気な小学校の女教師直紀への恋は、
まだ片思い状態だが、あと何回かのハイキング
(村にはデートスポットなんか無い)で、
なんとか成就させてやりたいものだ。

勇気は、いま、考えている.....。

・直紀さんに俺の良さを地道にアピールする
 作戦を実行中だ。山仕事がデキる男になるべく、先輩の
 仕事を学びながら、毎日身を入れて働いている。

・俺はたぶん、このままこの神去村にいると思う。
 林業に向いているかどうかまだ分らない。
 若い人が殆どいない村で、
 この先の展望もはっきりしない。

・それでも、まだまだ神去村のこと、
 ここに住む人たちのこと、山のことを、
 知りたいって思うんだ。

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読みながら思わずエールを送っている私がいる。

頑張れよ、勇気!!。

爽快な読後である。

実に良い小説にめぐり合った。幸せである。

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読後の気持ちを音楽にするとしたら、このメロディーだネ。
私の打ち込み音楽です。下↓をクリックしてネ。

「この小説を映像にしたら、こんなB.G.M.が似合うかも。」

Kigi

※これは勿論架空の話だが、登場人物は 誰も 林業を3Kな
 仕事と看做し 逃げようなどとは思っていない。 
 そこが一番爽快なのである。

※私の青春時代。自分で自分の仕事を3Kだと思っていた。
 寧ろ誇りにすべきことであった。
 この小説を読んで、そう心から思ったのである。

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【老若男女を問わず、是非多くの人に読んでもらいたい小説だ。】

※なお掲載写真3枚は、我が紀州の地であります。
《この小説に感動し、この地に似合う写真撮影に出かけました。》

※この記事の内容より小説を読む方が感動すること保証します。

Kigi


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4 コメント

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林業に従事してくれる若い方、今は極少でしょう。... (kazuyoo60)
2010-07-28 08:47:55
農業や林業は水や空気の元です。魅力を感じてくれるように、これも政治の後押しが必要でしょうね。
何も意識しなかったラインが役に立って嬉しいです。(にこにこ)
気持ちの良い音楽、楽しませてもらっています。
返信する
あちこちそのまま転記して下さって 有り難うござ... (森生)
2010-07-28 21:31:20
「打ち込み音楽」ってどういう意味でしょうか?
拝聴しましたが 組曲形式になさったら如何でしょうか
例えば 「村へ」 「山仕事」 「祭り」 「山の四季」
「燃える想い」 等々と
富田勲の新日本紀行のテーマ音楽に 2番 3番が
あるように
まっちゃんのライフワークとして お願いしますね

話が変わりますが 

農林業が振るわないのは 政治に頼り過ぎの所為 と思います
もちろん後押しも必要ですが やはり当事者がその気になって努力している地域は それなりに成功しているようです
この小説は作り話ですが 参考になりそうです

生意気を言ってすみません
返信する
[E:diamond]kazuyoo60様へ (kazuyoo60様へ)
2010-08-01 08:18:39
kazuyoo60様、本記事へもコメント
ありがとうございます。
農業や林業に打ち込む若者を描いた
小説が皆無なだけに
とても新鮮で気分まで若返りました。
この題材では、あまり売れないとは思いますが、
是非、多くの皆さんに読んでもらいたいです。

ライン、いつも拝借させていただいています。
多いに役立っています。
ありがとうございます。
今後ともよろしく。
ご訪問ありがとうございました。[E:club][E:eye][E:ear]
返信する
[E:sun]森生様へ (森生様へ)
2010-08-01 08:21:42
森生様、本記事へもコメント
ありがとうございます。
ほぼ、全部転記させていただきました。
申し訳ないです。
でも、、、。森生様の記事を読まないで
この本にふれたとしたら
多分、同じ記事になったと思います。ご容赦、、。

打ち込み音楽とは、主にドラムマシンや
ミュージックシーケンサーなどに
前もって演奏情報を入力しておいて
それを再生することで演奏を実現させる音楽のこと。
ひとりで色々できるし、修正できるので
私にピッタリ。でも生演奏でないので
一曲作るのに膨大な時間と労力が必要です。

だから、組曲とかすばらしいですが
今、作るのは無理です。
今後、時間が出来たら?もうひとつの
ライフワークとしてやってみたいものです。

政治関係については、無知であります。
申し訳ないです。
ご訪問ありがとうございました。[E:typhoon][E:rain][E:cloud][E:sun][E:note]
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