【あなたは知っていますよね。青紫に咲くアジサイの心を。】
バブル崩壊の兆しが見えはじめた90年代初頭の日本。
巷では「応援ソング」と呼ばれるような歌が
次々と大ヒットしていた。
マッキーの『どんなときも』、KAN『愛は勝つ』…等々。
そんななか、大事MANブラザーズバンドが歌った
『それが大事』も180万枚以上のセールスを記録。
明るい曲調と力強い言葉で、聴く者を励ましたものだ。
私達夫婦があとにも先にも一度だけ、あるカップルの
結婚式の媒酌人をさせていただいたことがある。
ちょうど『それが大事』が巷で流行りかけていた頃だ。
結婚式に続き、披露宴での私達、媒酌人のあいさつ。
その頃は普通、カップルの紹介と幾久しいふたりの幸を
願い、出席者に「ふたりの行く末を見守って欲しい。」と
挨拶するのが常識であった。し・か・し、、、。
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私は「今、巷ではこんなテーマの歌が流れています。
負けない。投げ出さない。逃げ出さない。信じ抜く。
このふたりが、こんな人生を送れるよう
皆さんの応援をお願いします。」
ふたりの紹介も何も無い、短いこれだけの挨拶。
出席者はさぞかしビックリしただろう。
なんと常識の無い媒酌人だろうと思われたに違いない。
でも、バブルは続かないと私はかねがね感じていたのだ。
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そう、応援ソングの数々は、皮肉にも目前に迫る
平成大不況の幕開けへの序曲となっていたのだった。
そして、100年に一度の大不況ともいわれている今。
この歌をうたった大事MANブラザーズバンドの
ボーカルだったTさんが、大事MANブラザーズ
オーケストラとして復活をした。
新録された『それが大事~完全版~』は、
この時代にどう響くのか。それは、私には分からない。
でも、この歌を引用して挨拶させていただいた披露宴。
私の心に今も深く焼きついている。
そして、そのふたりが今も人生を
負けず、投げ出さず、逃げ出さず、信じ抜いて生きる姿を
見るにつけ、あの挨拶で良かったと思っている。
「わだかまり捨てることで、掴む本当に大事なこと」が
この世にはある。
心に響く歌があること、素晴らしいことだ。そ・し・て、
♪=♪=♪=♪=♪=♪=♪=♪=♪=♪
そう、人生は!!とんでもなく素晴らしいのだ。
【庭の柏葉アジサイも、そうだ、そうだと頷いているようだ。】