読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

劇団ひとり 『陰日向に咲く』

2020年02月16日 | 読書

◇ 『陰日向に咲く』

  著者: 劇団ひとり  2009.8 幻冬舎 刊

  

 作者は芸能界出身と知って、かつて芥川賞作家又吉氏の作品『火花』
で失望した記憶から構えて読んだが、なかなかどうして作家の資質を持
った人である。

 小説デビューではあるが短篇とあって、とりたてて筋書きで読ませる
本ではないが、リズム感が良く、身近でどこにでもいるような人たちを
とらえて、適度にユーモアを交えてまとめ上げる手際が良い。
 5篇は独立しているが少しづつ関わりがある。
「道草」、「拝啓、僕のアイドル様」、「ピンボケな私」、「overrun」、
「鳴き砂を歩く犬」

 とりわけ「道草」の中のホームレスのくだりなどはありそうな話で秀
逸である。「overrun」も面白い。ギャンブルには相当注込んでるとし
か思えない。つまり経験で書いておるということだ。ということはホー
ムレスも経験を踏まえてか。でも、オレオレ詐欺の結末はよかった。

 父親の川島壮八氏が解説を書いている。作者の生い立ちなどを書いて
いるが、学歴はないものの記憶力と観察力は良いと思うと言っている。
なお氏の人生訓は「人生何が幸いするか分からない」のようだ。

                     (以上この項終わり)

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