◇ 『強襲―所轄魂―』 著者:笹本稜平 2015.7 徳間書店 刊
久々の笹本稜平。この前はアラスカの山岳ものでこれはこれで感動したが、この作家はやはり
警察ものが安心して読める。
本作は「所轄魂」シリーズ第3作目。「読楽」に連載された(2013.12~2014.12)。
主人公葛木邦彦は警視庁刑事部捜査一課殺人犯という花形部署から一転、所轄の城東署の強行
犯捜査係長として働いてる。
息子の俊史がキャリアの警察官僚として警察庁(刑事局刑事企画課の課長補佐)に勤務していると
いう好都合な設定がこのシリーズ物のみそ。
今回は暮れも押し迫った時期に、男が元妻を人質にとってマンションの一室に立てこもり、葛木を
交渉人として名指しし、とんでもない要求を突き付けて来たところから話が始まる。
男はかつて刑事部のSIT(捜査一課特殊犯捜査係)要員だったという西村国夫35歳。2年前に、
武器携行の暴力団員を誤って射殺したことで警視庁を辞めている。事件は正当防衛ということで罪
には問われなかったものの、実は複雑な背景があったらしく、西村は警視庁幹部をターゲットに、
記者会見を開き真相説明するよう迫っている。実情を知らない葛木は突然交渉人にされ対応に苦
慮する。
どういうわけか本来所轄に捜査本部が置かれるべきところ、今回の事案に限って本庁におかれ
て、しかも警察庁警備部と公安が絡んでいるらしく、警備部所属のSAT(特殊襲撃部隊)の出動を
図っている。
いろいろ調べているうちに、事件は警察官僚出身の大物政治家が、邪魔者を警察の手を借りて
抹殺した。その道具として使われたのが西村であったという構図が徐々に明らかになってくる。背
景事件をうやむやにしようと人質事件犯人である西村を射殺しようと焦る警視庁・警察庁上層部。
自爆用の時限爆薬まで用意し、真相暴露を求める西村の心情にシンパシィを感じながらも、何と
か自爆によって事件がうやむやになることを避け、また人質と周辺住民の被害を食い止めようと
駆けまわる所轄の働きで、事件の真相が徐々に明らかになり、証拠もそろった。政治家との癒着
で犯人抹殺を急ぐ警察庁の一部幹部は、ついに警視庁捜査二課、監察の手によって芋蔓式に取
り調べを受け、一網打尽の大団円へ。
SITの一員であった西村は周到な準備とステップで警察庁、警視庁上層部で政治家との癒着
にかかわった腐敗警察の指弾を狙った。その窓口として正義漢の噂が高い葛木を信頼できる公
証人として選んだのだという。結局西村は葛木の働きで所期の目的を達し、自爆もせずに投降し、
法の裁きを受けることになった。
人質事件の小説はサスペンスに満ちていて面白い。
(以上この項お終わり)
◇「麻布七福神」を歩く
いまや新春恒例行事となった「七福神巡り」。今回は麻布七福神を選んだ。国立新美術館のある
東京メトロ「乃木坂」駅が出発点になる。柏からは千代田線で乗り換えなし。小1時間はかかるが便
利である。
乃木坂駅から出るとそこは国立新美術館。
<天祖神社>
まずは「天祖神社」。ここは「福禄寿」ということですが、区画整理事業に合わせて工事中でした。
地下鉄「六本木駅」を経て首都高3号渋谷線で左折。
<久国神社>
「久国神社」があります。向かいは「アークヒルズ」。ここは「布袋尊」で、昔ながらの手押しポンプがありました。
そばに「国威宣揚」の石柱があり、そこには皇紀二千六百年建立とある。対米英開戦の1年前、吾輩が生まれ
た翌年です。
もうお昼に近いので、赤坂の某中華料理店で昼食をとろうと地下鉄南北線「六本木1丁目駅」から「溜池山王駅」
へ。「六本木1丁目駅」はアークヒルズ・サウスタワーの地下にあります。ここでは先日の積雪はまだ残っていま
した。
赤坂といえば「山王・日枝神社」。結構人出がありました。
食事を終えて再び「六本木1丁目駅」へ。そこから「行合坂」を経て飯倉片町交差点に向かいました。交差点近く
の区立麻布小学校は紀州徳川家が教育に力を尽くした由緒ある学校の流れをくんでいるとのことです。
途中狸穴のロシア大使館前を通りました。何かとうるさい国だから警備が厳重です。
<熊野神社>
飯倉第交差点で東京タワーを左に見ながら南下すると「熊野神社」があります。ここは「恵比寿」 さま。
有名なうなぎの「野田岩」総本家の先で道路を渡り芝公園に向かいました。
<宝珠院>
豆腐料理の老舗「うかい」の脇を通り「宝珠院」へ。ここは「弁財天」。境内には絵にしたくなる池がありました。
再び「野田岩」の店に戻り、東麻布商店街を通って中之橋へ向かいます。首都高都心環状線の下を抜けて一の橋
交差点を渡るとそこが麻布十番商店街です。山の手繁華街というらしい。こんな商店街にこじゃれたお菓子屋さんや
ブティック、スタバやピーコック、荒物屋の隣に百均のキャンドュがあったりして、これが山の手・・・なのでしょうか。
<十番稲荷神社>
先ずは「十番稲荷神社」。「宝船」といって珍しく船に乗った七福神がいました。
<大法寺>
お次は「大法寺」。ここは「大黒天」です。入り口を間違えて、オーストリア大使館の脇の「暗闇坂」を
2往復しました。地図を見て首をひねっていると通りがかりのおばさんが「どこかお探がしですか?」
とご親切に教えてくれました。有難いことです。
<氷川神社>
お次は「氷川神社」で、ここは遠いからパスするかと歩いていたら不安定な「元麻布ヒルズ・フォレストタワー」
の先にひょっこりと現れたのが氷川神社。ここは「毘沙門天」です。
さて七つの神社お寺さんを巡って、最後は麻布3丁目の「桜田神社」(寿老人)ですが、すでに3時半を回り、
日も落ちかかっているので、この先およそ3キロは諦めて地下鉄麻布十番駅から溜池山王駅で千代田線に
乗り換えて柏に帰りました。大して歩いていないのに、久々に都会の空気に酔って変に疲れました。
(以上この項終わり)
◇ 日本酒がらみの素材を描く
今年の新春絵描き初めは日本酒がらみの素材だった。
私は友人から頂いた灘の「白鹿」の菰被りの樽を持込んだ。といっても、よくお祝い事の場
などで見られる1斗樽や4斗樽ではない。1.8Lのミニ樽。小さいながら絵にすると1斗樽と変
わらないのが面白いところ。
ほかの人が持ってきたボトルや徳利、猪口などを画面構成を考えて配置する。
例によって光が天井や右左から入って立体感が出し辛い。背景色はなしにしたがどうだろう。
CLESTER F6
(以上この項終わり)
◇ 家庭菜園の大根でブリ大根
今年は暖冬で大根など根菜が育ち過ぎて商品にならず、廃棄に追い込まれたところも
出ているとの新聞記事を読んで、自分の畑を見ると昨年より育ちが良くて、ずいぶん大
きくなっていて驚いている。
身長が11センチのガラケーのおよそ5倍。55センチもある。体重は3.4キロ。
このところやっと冬らしい寒さになって、鍋物かブリ大根でもと思っていたが、買い物に
行ったらいいぶりアラが200円で売っていたので、今日はブリ大根を作ろうと早速購入。
目玉のある頭骨部分4個、三枚に下ろした骨の部分が6枚。これらにはいい身もしっかり
ついていてブリ大根向きだ。200円は絶対に安い。
わが家のというか吾輩のブリ大根レシピをご紹介しよう。
先ず買ってきたぶりのアラは水でよく洗って、残っていた血合い部分などをそぎ落とす。
次いで荒塩をまぶししばらく置く。
次いで大根。わが家の大根の品種は「耐病総太り大根」。身はとくに柔らかい。大きい
ので2センチ幅の輪切りを大抵半分に割る。
身が凄く柔らかいので面取りは欠かせない。
この輪切り大根は前処理として煮る前に先ず水から茹でる。
大根がある程度茹だったら笊にとって、その湯を先ほど塩を振ってあったぶりアラにか
ける。湯はガス代と同じだから無駄にしない。
ブリ大根レシピではだし汁を使わない派と使う派がある。吾輩はダシ派。
ダシは生協の「だしパック」。さば、かつお、しいたけ、こんぶの粉末がパックに入って
いる。これを2パック使う。
ダシが出たら酒、みりん、醤油を各大匙2杯、塩小さじ1杯くらい入れて、味を見る。
味が少し濃くても大根からまた水分が出るので気にしない。まず大根を煮る。次いでぶ
りアラを入れて中火でじっくりと煮る。前にだしを使わないで作ってみたが、大根がブリの
味だけでは少し物足りなかった。
煮物は一度火を止めて味をしみ込ませて、食べる前に再度火を入れて温めて食べた
方が美味しい。
(以上この項終わり)
◇ ひっそりと蔵の街―とちぎ―
鬼怒川温泉旅行の途次、蔵の街”とちぎ”に寄った。昔まだ現役の頃に、仕事のついでに連れて
きてもらったことがあって、巴波川という思川を経て利根川にそそぐ水運で江戸時代から栄えた
栃木市のことは知っていた。実に4・50年ぶりの再訪だ。また栃木市は日光例幣使街道の宿場町
としても知られている。
巴波川も街並みの見世蔵も歩道も綺麗に整備されていたが、冬の平日ということもあってか、観
光客はちらほら。川船の客も年寄りのカップル二人だけ。かつては栃木県の県庁所在地だった(明
治4年から17年まで)面影は、旧県庁舎くらいにしか残っていない。
観光の目玉として金を掛けたとは思うのだが、残念なことに十分な効果を発揮していない。川越
を意識している口調が聞かれたが、同じように「小江戸」を標榜していても、いささか物足りない。
東武・JRの駅は立派 波川 水運の名残り・蔵並み
川遊び船着き場 水量が少ない
清流を泳ぐ鯉 カルガモ?
えっ! 銀巴里? 歩道が広い
旧県庁舎(市役所分館として使われている) 横山郷土館(有形文化財)
麻問屋で銀行業も行っていた 迎賓用の洋館
明治8年創業の床屋
(以上この項終わり)