読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

これで夏は終わりか、ぶどうの絵

2015年08月27日 | 水彩画

◇ 巨峰ハニー・ビーナスを描く

   
       clester F6

  今日は24節季のひとつ、「処暑」。
  このところ毎年のように栃木県在住の妻の友人Kさんから季節の果物「ぶどう」を戴く。二人所帯だと絵に描けるよう
 な量のブドウを買って食べようという気にならない。したがってこのように戴き物の多量のブドウがあったら絵を描く気
 持ちが起きる。

  5種類のぶどうの中に巨峰と種なし巨峰があったがこれは種なし巨峰。粉っぽい感じを出すのが難しい。
 ハニー・ビーナスの方は淡い緑が特徴で、何とか新鮮な果実らしさが出せた。
  付け合わせの葉は近所のお宅の塀から道路にはみ出したものを失敬してきた。秋には落ちる葉なので、早めに落ち
 たと思って貰うことにして頂く。

                                                          (以上この項終わり)

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芥川賞受賞作『火花』を読む

2015年08月24日 | 読書

◇ 『火花』 著者: 又吉   2015.8 文芸春秋社 刊

  

  27年度上半期の芥川賞受賞は又吉直樹の『火花』と羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』
 に決まった。
 又吉の『火花』はすでに100万部売れた、200万部だとか大ブレークのようだ。こんなに騒が
 れている作品は一体どんな小説だろうかと関心は持ったが、買うほどのこともあるまい図書館
 で順番待ちしようと思っていた。
  先週のこと、親しい知人の退職慰労食事会をしたところそのH氏夫妻から芥川賞受賞2作の
 載った文芸春秋9月号を戴いた。「単行本もいいけど受賞2作品が載ってるし」と有難いプレゼ
 ントでさっそく話題の「火花」を読んだ。

  恥ずかしい話だが、初め新聞で受賞の記事を読んだ時、題名は「花火」と思った。その後も車
 内吊り広告を見た時も「花火」…いや「火花」かと常に混乱していた。妻に話したら「私も間違っ
 て花火だと思ったわよ」というので、夫婦も50年も一緒にいるとここまで似るものかと苦笑した
 が、今日舎弟のブログを読んでいたら「遠征登山を中止し時間はたっぷりある。それでは又吉
 氏の『花火』でも読もうか…」という記事を発見、笑った。血を分けた弟はこんなところまで似る
 ものかと妙に納得した。
 
  ま、それは笑い話だが、実際小説を読んでみて何が「火花」のかよく分からない。むしろ冒頭
 の主人公徳永が師匠として私淑する神谷と出合ったのは熱海の花火大会で、終盤の零落した
 神谷と再会し旅したのも熱海の花火大会なので、題名は「花火」でよかったのではないかと思
 う(花火の中のひとつの火花のような存在を訴える意味という解説もあるが…そう言われない
 とね)。
 
  それは読者の勝手な言い分だからさておき、これだけ評判な作品だから選考委員の大半が
 押したものと思ったらそうでもない。私は従来から芥川賞も直木賞も、作品を読む前に選考委
 員が候補作をどう読んでどう評価したか「選評」を読んでから本体に取りかかる。芥川賞は9人
 の選考委員が2時間程度意見を出し合って決めているようで、「火花」の場合評価した人5人、
 よく分からない人1人、あまり評価していない人3人とまあそんなものかなという結果である。
 酷評はなかった。

  よくいわれるが、芥川賞は純文学、直木賞は大衆文学。芥川賞は作者が書きたいことを書く、
 直木賞は読者が喜ぶものを書く。そうした目では「火花」は、エンターテイメントの漫才という世
 界で生きる人たちの生態、ひたむきに芸風を追及する姿や真面目に生きようとする姿勢など
 を洒脱で新鮮な表現でつづっているので、それなりに面白いものの、なにぶんにもそれが一
 本調子で延々と続く感じで、やや飽きる。それに関西弁が縦横無尽に飛び交うので読むのに
 疲れる。
  筋らしい筋はないのだが、終盤で落魄した神谷が受けを狙って豊胸手術をした姿で現れ、入
 浴はどちらで・・・。などというくだりはまさに蛇足で、それまでの哲学者然とした神谷が突然普
 通の人になり下がってしまい小説全体をダメにした感じを持ってしまった。
  お笑い系出身の人が書いた小説ということで一躍人気をさらったが、さて次作は。

                                             (以上この項終わり)

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透明水彩で横浜三渓園の聴秋閣を描く

2015年08月21日 | 水彩画

横浜三渓園「聴秋閣」

   
     The Langton F4

  
今年の春横浜三渓園を訪ずれて各地から移設された由緒ある建造物を鑑賞し、その一部を
 水彩画に描いた。描き切れなかったシーンは写真に収めた。そのひとつがこの「聴秋閣」。

 「聴秋閣」は元和9年(1623)徳川家光が二条城に建て春日の局に贈ったという建物。国の重
 要文化財。大正11年(1922)移設されたもので、原三渓による古建築の移設はこれが最後と
 なった。
 
 屋根は桧皮葺、幕府の作事方を務めた佐久間将監の作と伝えられている。

 小さな渓流の脇に建てられた書院造の建物は、周りの芽生え始めた木々や草叢の中で、屋根
 壁などの古色が、春の浮かれた空気を抑え、落ち着いたたたずまいでを見せる。
  当初は水辺に建てられたのではないかと見られていて、今渓流に面している大きな石は、そ
 の由来の一端をしのばせる。

 (以上この項終わり)

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佐々木譲の『憂いなき街』を読む

2015年08月16日 | 読書

◇『憂いなき街』 著者: 佐々木 譲  2014.4 角川春樹事務所 刊

  


  佐々木譲の北海道警シリーズは「笑う警官」を皮切りに、「警察庁から来た男、「巡査の休日」など所属部署
 は違うものの、気のあった刑事等が協力し合って事件を解決に導く設定が魅力。
 大通署捜査課佐伯宏一警部補、その部下新宮(しんぐう)昌樹巡査、機動捜査隊の津久井卓巡査部長、大通
 署生活安全課小島百合巡査部長の四人組がそれだ。
  今回はジャズに造詣が深い津久井の失恋がメインテーマ。

  津久井警部補は札幌市内のホテルのラウンジでピアノ弾く安西奈津美と出合い、折りから開かれようとして
 いる「サッポロ・シティ・ジャズ」への参加を機に、再びジャズの世界で活躍したいという奈津美と語り合ううちに
 互いに惹かれ合う。
  津久井の出入りするジャズ・バー「ブラックバード」で再び出合った二人は一夜を共にすることになる。しかし
 ことのあと、奈津美の左腕内側に注射痕を隠すシールに気付き、津久井は愕然とする。警官が麻薬常習者と
 深い仲になることは許されない。津久井は恋を諦めようとする。
  「サッポロ・シティ・ジャズ」で安西奈津美が演奏することになっているクァルテットの主役はサックスの四方田。
 熱烈な女性ファンが多く、札幌にも何人か追っかけで入り込んでいる。
  四方田のファンの一人三杉留美が何者かに殺された。現場は奈津美の泊まっているホテルに近い公園だ。
 調べると三杉は麻薬不法所持の前科持ちという。ドラック絡みの殺人かも。津久井の不安はいや増す。
  奈津美はなぜか殺害があった時間帯のアリバイを明らかにしようとしない。 
  ジャズ・フェスタ出演を前に事情聴取を掛けられたら彼女のジャズ世界復活の夢が潰えてしまう。津久井は
 焦る。 
  捜査が進む中で四方田を巡る女の熾烈な争いが明らかになってきた。何人かの女が札幌に集まっている。
 結局犯人は更なる傷害事件を起こし現行犯逮捕されることになって、安西奈津美も無事に演奏を終えることが
 できたのだが、アリバイの時間帯にある男と共にいたという事実に限りない喪失感を覚え、一人でピアノに向か
 う。それを3人の仲間は遠くから暖かく見守る。

  実は佐伯と小島はバツいちで互いに憎からず思っている仲だ。やっと時間が出来て小島の部屋でゆ っくり
 した大人の時間が過ごせる(夜明けのコーヒーを二人で飲もうと…)と思っていた矢先、佐伯の携帯が鳴る。
 窃盗事件の犯人が出頭したいので付き添ってくれというのだ。

 「あなたは有給休暇中なのを忘れた?」
 「盗犯がご指名で出頭したいと言ってきているとき、休み明けまで待ってくれと言えるか?」・・・
 「わかった。私一人で飲んでいる」・・・
 「そんなに怒るな」
 「ぐれてやる」
  佐伯が苦笑して・・・。

 生安課の一員で時折り少年係の応援に出る小島百合らしい反応「ぐれてやる」に笑った。

 (以上この項終わり)

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夏の野菜を描く

2015年08月15日 | 水彩画

夏の野菜
   

 毎年夏の今頃は夏野菜を描きます。トウモロコシは定番。西瓜や胡瓜、トマト
(これも野菜?果物?)が登場しますが、今度はズッキーニが登場しました。胡
瓜みたいなもので違和感はありません。カボチャや玉ねぎは通年野菜ですが、
絵の対象としては描き易いもののひとつです。
ミョウガは店頭にはハウスものが早くから並びますが、夏のほんの一時期に
出てすぐ終わるので貴重なモチーフです。

  
   The Langton F4

                                                         (以上この項終わり)

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