読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

冬の野菜を描く

2023年11月25日 | 水彩画

◇ 透明水彩で描く冬の野菜

  
     clester F4

     先週の金曜日は写生会が予定されていたのだがあいにくの雨。
     このところ写生会は雨で流れることが多い。金曜日は特異日かも。
     今週は冬の野菜ということで、カボチャと里芋。レンコンも今の
     時期が旬なのだが、幹事さんはサツマイモを選んだ。しかも焼き
     芋。生のサツマイモと違って、半分に折った皮と実の質感を描き
     出すのがむつかしい。カボチャも皮が同じ色でもなく個性がある。
     半分に割った中の種がまた悩ましい姿である。それにしても里芋
     の皮はどうし
て何段もひげがあるのだろう。

                   (以上この項終わり)

  

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レイチェル・ホーキンスの『階上の妻』

2023年11月19日 | 読書

◇『階上の妻』(原題=The Wife Upstairs )

    著者:レイチェル・ホーキンス(Pachel Hawkins)

    訳者:竹内 要江     2021.8  早川書房 刊

     

 物語の舞台はアメリカ南部アラバマ州のソーンフィールド・エステイトという
高級住宅地。その一画の邸宅にエディ・ローチェスターとビーという新婚夫婦が
住んでいる。ある夜ビーは友人のブランチ・イングラムと湖にボートを出し、二
人は行方不明となった。
 ビーという妻はサザン・マナーズという室内装飾企業を興した経営者でハワイ
でエディと知り合い3か月で結婚した。ビーの総資産は2億ドルにのぼる。

 湖で遭難した二人の女性は溺死が推定されるものの行方が分からない。そのう
ちブランチの遺体が湖から発見された。死因は打撲によると見られ夫のトリップ
が逮捕された。ビーは依然行方不明である。

 独り身となったエディは20歳半ばのジェーンという女性と出会う。ジェーン
は高級住宅地でドッグ・ウォーカー(犬の散歩を請け負う)をしている。
 エディの妻ビーは容姿端麗なのに、ジェーンはちびで茶髪、やせっぽち。何故
エディが彼女に惹かれたのかしばらく不審感が消えないのだが、とにかく二人は
結婚するところまで発展する。
 孤児として育ち、いくつもの養親の下で苦労してきたジェーンは富裕層の一員
になれたということで舞い上がっている。

 第一部から第十三部まで、ジェーンとビー、エディが交互に状況を語る構成で
あるが、第二部ビーの段で世間では行方不明とされているビーのが、エディと館
の3階に作ったパニックルーム(火災などの際に避難する特別室)に監禁されて
いることが明らかになり俄然面白くなる。
 飲み物や食事エディが運んで来る。いわば軟禁である。

    ビーは密かに手記を綴る(しかし中身は創作に近かった)。そしていまだにエ
ディにぞっこんのふりを続け、昔の手管でエディをセックスに誘ったりする。
 しかし「ここから出してくれたら、何が起きたかは絶対に口外しない。二人で
なんとかしましょう」と言ったばかりにエディは再び貝になり背を向けて去って
しまう。(第六部ビーの段)。実はあろうことかエディはブランチと不倫してい
たのだ。

 そして第八部ビーの段。時々エディと二人はベッドで交わる。そしてビーはエ
ディの新しい彼女ジェーンのことを聞き出す。「ジェーンは地味で、単純な女だ」
とエディは言いきる。
 高校生以来仲の良い友達と思われているビーとブランチとの関係が微妙によじ
れかかっていることが語られる。それが事件の素地であることを予感させる。
  パニックルームに足しげく通っていたエディが顔を出さなくなった。なぜか。

 ジェーンは、妻の殺人容疑で逮捕されたが物証に乏しく家に帰されているトリ
ップから呼び出され「すぐにエディの家からが逃げろ」と促される。俺は犯人で
はない。妻とビーに湖岸の家に呼び出され、しこたま飲んで酔いつぶれて目が覚
めたら二人がいなかった。そこにエディが現れたという。エディが犯人と思った
ジェーンは家に帰りその証拠を探し回る。
 ジェーンはエディの背広からビーが書いた手記を見付け、中身を読んで愕然と
する。覚えていた暗証番号で3階のパニックルームを開け、初めてビーと対面す
る。

 家に帰ったエディはパニックルームを訪れてジェーンとビーが連れだって立っ
ている様子に衝撃を受けパニックになる。エディに裏切られたと思ったジェーン
は手元にあったガラス器をエディに投げつけ大怪我を負わせる。

 ボート事件の夜、エディは二人の女子会の行方が心配で湖畔の家に向かい、自
分がブランチと寝たことでビーが怒ってブランチを殺したことを知って狼狽する。
だが警察に知らせることなく「二人で何とかしよう」とパニックルームにビーを
軟禁したのだ。
 エディの望みはビーとジェーンと二人とも手に入れることだった。そしてブラ
ンチと不倫をするなど虫のいいクズ男だった。チャンスに強いと自負していたエ
ディは、そんなことをしても誰もが望みのものを手に入れる逃げ道があると思い
こんでいたのである(第十部エディの段)。

 ビーとジェーンはエディをパニックルーム内に拘束し、部屋を抜け出す。そし
て二人はワインを吞みながら事件を解剖する。ビーからブランチを殺害した背景
と状況の告白があって、ジェーンはビーが語る嘘の真実を元に事態の収取を話し
合う。
 ビーはジェーンが意外と賢く、自分に似ていること(嘘をつくことを含め)に
驚く。

 突如家に煙がたち込める。火元はエディを閉じ込めたパニックルームからであ
る。青くなったビーはエディを助けようと火炎の中に飛び込む。ジェーンは為す
すべもなく避難する。家は丸焼けになって遺体は見つからなかったという。二人
はどこかに消えたのか。

 そして最終章(第十三部ジェーンの段)。ある日ジェーンの元にエディの弁護
士から電話が入る。実はエディの遺書があって、エディの屋敷も会社も全財産を
ジェーンが相続することになっているという。みなしごジェーンは金持ちになっ
て自由を得た。

 幻想的とはいえないまでも、お屋敷、莫大な遺産、ロマンス、消えた遺体など
ゴシック小説の要素を十分に備えたサスペンスである。一気読みは請け合える。

                          (以上この項終わり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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エマ・ホリーの『料理人』

2023年11月11日 | 読書

◇『料理人』(原題:Cooking up a Stro

m)

  著者:エマ・ホリー

  訳者:山崎 久美子   2002.6 光文社 刊
  
  

  
  舞台はアメリカ・マサチュセッツ州ケープコッド。 
  アビゲイル・コーツ(アビー)という簡易レストランのオーナーとストーム・デュプレというロサンゼル
 スから流 れついた青年シェフ。この二人が主要登場人物である。
  
  さてストームは心から満足できる料理を作ることを別にすれば、女が官能の深みに目覚めることを助けてや
 ることこそ、自分の才能、使命だとさえ思っているというプレーボーイだった。だから彼をシェフとして雇っ
 たアビーは間もなくストームの虜になって彼なくば日も夜も明けない状態に陥る。

  幸いストームは料理の腕が良く、ストームを雇ってから店は大繁盛、二階を改築するプラン迄持ち上がった。
 小説タイトルは「料理人」であるが、登場する料理といえば極細パスタの生フィンネルソース和え、
クラムチ
 ャウダー、ペカンプディングなどどうということもないものばかり。結局はストーリーで読ませる本かと思っ
 たら、なんとも辟易するばかりの過激な描写が続くエロティカ小説(英語圏ではこうしたジャンルがあるらし
 い)だった。

  アビーの友人でありウェイトレスのマリッサ、リチャードというアビーの義兄、アビーの元彼ジャック、その
 友人ホレスとアイヴァン。登場人物は
多くはないがいずれもアビーとストームを軸にしたセックスフレンドであ
 る。

  ストームには多額の借金を背負っているアビーのレストランを買い取って自分の店にする魂胆だった。しかし
 シングルマザーの母とDVの継父の下で育ち、人と深く交わらない方が生きていく上に有利だと思ってきたスト
 ームも性格が素直で心優しいアビーと付き合っているうちにいつしか心から愛するようになっていた。
  結局アビーに届いた負債の一括返還を求める書類がきっかけになってストームはアビーに結婚を申し込む。債
 務償還資金ははストームが出して、レストランの共同経営者になった。エピローグがいい。
                                          (以上この項終わり)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

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