読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

大津川の春景

2023年03月20日 | 水彩画

◇ 新緑がまぶしい大津川河畔の樹々

  
    clester    F8

  千葉県が管理する1級河川「大津川」に春がやってきた。
  昨年県は河畔の樹々を大半伐採した。なぜかここだけ残っていて、今は
 新緑が芽吹いて輝いている。
  この日(3月17日)は風もなく、川面も静かだった。
  この間同じく手賀沼に流入する「大堀川」河畔を歩いた時は小さなカメ
 が何匹も寄り添って日向ぼっこ(見た目)していたが、大津川では白鳥と
 鴨はいるがカメはほとんど見かけない。
  
                       (以上この項終わり)

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奥田英朗の『リバー』

2023年03月19日 | 読書

リバー
 
        著者: 奥田 英朗      2022.9 集英社 刊

  
  警察小説で定評のある奥田英朗の大作である。
  警察組織と捜査員の刑事らが生き生きと描かれている。刑事だけでな
 く元刑事、容疑者らの人物造形も堂に入っている。プロットも単純のよ
 うでありながらさすがに読ませる仕掛けがあって飽きない。
       ただ難点が一つ。
  途中で容疑者の一人に解離性同一性障害(多重人格)が明らかになる
 こと。これですっかり興ざめしてしまった。(それに650ページは重い)

  リバーとは連続殺人事件の現場となった「渡良瀬川」のことである。
 渡良瀬川は群馬県赤城山麓に源を持ち渡良瀬遊水地を経て利根川に合し
 太平洋に注ぐ。
  渡良瀬川は栃木、群馬両県の県境となっている。川の両側の河川敷で
 ほぼ同時期に事件が起きたため群馬県、栃木県両県警で合同捜査本部が
 設置された。
  若い女性の全裸殺人事件が続けて起こった上に、十年前に同様な連続
 殺人があり、未解決のままであることから、関連を疑い色めき立って警
 察庁からも刑事局から出張って来る扱いになったのである。

  事件があった桐生市と足利市の近隣太田市などの工場にはラテン系外
 国人労務者が多い。
  容疑者が3人いる。最重要容疑者のKは重機工場の期間工。しかし遺
 留品はあるが決め手に欠ける。しっかりとした目撃証人もいない。10
 年前と同じ轍を踏むのかと捜査陣は焦りまくる。すでに事件発生から4
 か月も経ったが、進展が見られない。Kを別件でひぱったが黙秘状態。

   裁判員裁判制度の導入で証拠・証人が必要最小限しか採用されなくな
 って立証が厳しくなり警察と検察、裁判所の馴れ合いはもう通用しなく
 なった。

  そうこうしているうちに第3の類似殺人事件が起きる。検警ともKの
 拘留を解いた直後だけに慌てふためく。
  そして驚愕の事実が明らかになった。ただこんな安直な収まり方でよ
 いのか。犯人の心の闇がさっぱり解明されていない憾みが残る。そこは
 読者に残しておく作者独特のスタイルなのかも。

  10年前の殺人事件の被害女性の父親、犯人と踏んでいたのに送致で
 きなかった元刑事、最有力容疑者、前回事件の容疑者、ストーカー行為
 でやり玉に挙がった引きこもりの多重人格者、犯罪心理学者、最有力容
 疑者といい仲になったスナックの雇われママ、全国紙の新米女性記者等
 々、それぞれ存在感のあるキャラクターである。とりわけ千野今日子と
 いう記者は雇われママと分かり合える関係になるなど一服の清涼剤的存
 在で好ましい。

                      (以上この項終わり)

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野生のからし菜を浸ける

2023年03月16日 | ものづくり

◇ 令和5年の「からし菜浸け」第1回

  2月末から様子を見に行っていた大津川河畔にようやく野生のからし菜が顔を
 見せ始めた。すでに同好の士が出没しているらしく、ところどころ摘み跡があっ
 たが、それでも新しい芽があちこちに出ていて、とりあえず第1回目として1.4キ
 ロほど摘んで早速塩漬けにした。

  

  

  花芽から凡そ20センチくらい。指で簡単に折れるくらいのところ
 で摘み(折る)ます。

  
  念のため水できれいに洗います。

  

  たっぷりの熱湯を作ってまんべんなく掛けます。

  

   あら塩を用意します。凡そ100gくらい。
  これを熱湯をかけたからし菜(お湯は捨ててざっと絞って)にまぶし
 てどうだ参ったかというくらい丹念に揉みます。
  途中で鼻につんと来るのでご注意。
  

  

  揉むのに疲れたころ灰汁で黒くなったからし菜をさっと洗って、少し
 づつ絞ります。
  浸け樽に並べてまたさっと塩を振り込みます(片手一握りくらい)。 

  

   重しをしない方法もあるようですが吾輩は重石派(6キロ)。

  2・3日で程よいからし菜浸けが出来上がります。

                    (以上この項終わり)



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貫井徳郎の『灰色の虹』

2023年03月05日 | 読書

◇ 『灰色の虹

     著者:貫井 徳郎  2010.10 新潮社 刊

  
       

       これは冤罪事件被告人の復讐連鎖劇の一部始終である。
       刑事事件が裁かれる時。
  容疑者、警察官(刑事)、検察官、弁護人、裁判官、拘置所の刑務官、刑務所の
 刑務官など多くの司法制度関係者が登場する。

 作者は冤罪事件によくあるあいまいな目撃証言と刑事の思い込み捜査を事例に、冤
 罪を背負った受刑者が刑を終えて出所後関係者を次々と殺害し復讐を遂げるケース
 を小説として描いた。

  状況的には過失致死の疑いがある事件の容疑者江木雅史を、所轄刑事が目撃証人
 を巧みに誘導し、なおかつ威迫を持って偽りの自白調書を作成、江木を殺人事件の
 犯人に仕立て上げ検察庁に送致した。
  検事も自白調書を鵜呑みにして告訴した。裁判でも裁判官は検察官の陳述、証人
 の証言を重視し有罪を判決した。官選弁護人は無罪の主張を信じず無気力な弁護に
 終始し有罪判決を招く。上訴でも控訴棄却。最高裁でも上告棄却の結果となり有罪
 が確定した。
  4年も拘置所生活が続いた。心の支えだった恋人も最後には去った。姉も縁を切
 った。母親だけが無実を信じ続けた。

  6年の刑期を終えて出所後も世間の目は冷たく、江木は生きる気力を失っていく。
 そしてこの事件に関わった刑事、検察官、裁判官、目撃証人など次々と殺されてい
 く。
   山名という所轄刑事は連続殺人事件被害者がある事件の司法関係者であることに
 気付き、残された関係者のうち嘘の目撃証言を行った男が次の標的だと信じて警護
 に当たるが…。
  ふとしたことから山名は意外な犯人像に思い当たる。

  世界有数の検挙率と立件有罪率にこだわる警察と検事らがいかに犯罪の真相を捻
 じ曲げ、無辜の市民を犯罪人に陥れ、多くの関係者の人生を狂わせているか。名う
 てのミステリー作家の力作である。

  最後に雅史の母親の叫びが胸を打つ。「警察も検察も裁判所も弁護士もマスコミ
 も近所の人も、みんな雅史がやったと決めつけて、あたしたちの言葉になんか耳を
 傾けてくれなかった。誰ひとりあたしたちの言うことを信じてくれなかった。・・
 ・今になってあたしたちを責めるくらいならどうしてあの時雅史を信じてくれなか
 ったんですか?ただ真面目に生きていただけの雅史の人生を、どうしてめちゃくち
 ゃにしたんですか、答えてくださいよ、刑事さん答えてください!」

                           (以上この項終わり)



  
  
 

  

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パフィオペディルムを描く

2023年03月03日 | 水彩画

◇ 鉢植えのパフィオペディルムを描く

  
     clester  F6

     秋口から寒さ対策で室内に入れたパフィオペディルム。十数年前に家人が友人から
 頂いて育て、例年10本くらい花をつけた鉢であるが、今年は花芽が少なかった。
  そろそろ株分けした方が良いのかも。
  一見食虫植物のような袋を持つが食虫植物ではないらしい。割と地味な蘭であるが、
 西洋では珍重されているとか。
                            (以上この項終わり)
 

  

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