読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

松戸「戸定邸」を訪ねる

2012年09月26日 | 里歩き

◇国重要文化財「戸定邸」を初めて訪問
  水彩画写生会で松戸市に「戸定邸」を訪ねた。
  今夏最後の猛暑日か、暑い日差しの中20分ほどかけて駅から南東に向けて歩いた。
  「戸定邸」は千葉大学園芸学部の手前にある「戸定ガ丘歴史公園」の高台にある。元々水戸
 徳川家最後の藩主徳川昭武の別邸。1884年完成で築128年になるがいまだ健在。
 公園内に「戸定邸」、「歴史館」がある(有料)。

 徳川昭武は江戸幕府最後の将軍徳川慶喜の異母弟。パリ万博に将軍の名代として出席しその
 ままパリに留学、明治維新後に帰国した。
  「戸定邸」は当時の上流武家屋下敷の構えで、簡素ながら全体で8棟からなる広壮なつくりで
 ある。
  客間からは江戸川はもとより富士山を望む高台にある。
  庭は当時としては珍しい西洋芝を用いた最先端の西洋庭園を模したもの。
 
          
    戸定邸公園入口                    戸定邸正門       

         
       庭園            客間                        葵の御紋 長持 

    
    江戸川を望む
       

  ☆ 戸定邸公園の奥にある庭園の一部を描きました。
     巨大な常緑樹(シラカシ?)の木の下にはツワブキとミョウガの一群が。
     見え隠れする奥の建物は福島県学生寮。  

     
      Clester  F10

      (以上この項終わり)

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元防衛省事務次官の犯罪『狡猾の人』

2012年09月24日 | 読書

◇ 『狡猾の人』 著者: 森 功  2012.5 光文社 刊
 

   

  副題: 防衛省を喰い物にした小物高級官僚の大罪

       たいてい高級官僚の枕詞をつけるとすれば”大物”と相場は決まっているが、こ
       こは敢えて”小物”としたのは、調べてみれば人物として小物であったということ
       を表したかったのだろう。出版社の入れ知恵らしい。

   数年前に防衛省軍事装備品の納入を巡ってゴルフ接待等で収賄の罪を問われ、のちに偽証
   の罪も犯したとして懲役2年6月の実刑が確定した守屋武昌防衛省元事務次官の事件の一
   部始終である。
       
  題名の『狡猾の人』の主旨は本文を読むとわかってくる。収賄等の罪に問われた防衛省元事務次官守
 屋武昌は人としてずるがしこい人物だったと断罪しているのだと思うが、このノンフィクションが出版され
 た経緯と本文の事件の詳細を読むと守屋自身は狡猾というよりも、ただのお粗末な男ではないか。狡猾
 な人物というのは言い過ぎの感を受けた。

  ある日上級職公務員試験に受かって次官競争を勝ち抜いてきた要領のいい男が、世間的な常識から
 遊離した感覚のまま関係者から不当な賄賂を受け取っていたというだけの話である。たしかに度外れた
 回数のゴルフ接待、妻や娘の留学費用までおんぶに抱っこで甘えていたというのは唖然とするしかない
 が、民間の営業担当役員などがこれに類したやり取りをしていてもこれほどの事件にはなるまい。しかし
 清廉潔白を求められる公務員の世界では許されることではない。しかも2000年には国家公務員倫理法
 が施行され、業者との飲食・ゴルフ等が禁止された。その時代感覚がわからない、あるいは何事も殆ど意
 のままになる地位にいることからバランス感覚が麻痺したまま、気が付いたら泥沼に首まで漬かっていた
 ということだ。高級官僚の汚職と言ったら大抵こんな構図で、ことさら珍しいことではない。その場が防衛省
 という予算額が5兆円という桁外れの特殊な世界であったことから世間の耳目をそばだたせたのである。
 もっともほかの役所ではこんな常識を飛びだしたようなことは起こらないだろうが。

  ところで軍事装備品の納入(装備品には絶対価格というものがなく、通常の市場原理、競争原理が働
 かないものが多い。一般競争入札そぐわないことから随意契約によるものが多い)に影響力を持つ立場
 に居ながら、賄賂を受け山田洋行という特定の業者に対し有利になるような働きかけをした。

  軍事装備品とくに航空機関係の装備については、アメリカのロビイストやブローカー(秋山直紀)など
 がいかに重要な役割を果たしているか。詳細に実情を述べており、この辺りはまさにルポライターの面
 目躍如といったところである。
  守屋家の長男の家庭内暴力、「おねだり妻」などとジャーナリズムに面白おかしく書かれてしまった妻
 の出自なども細かく書かれているが、これはたまたまそんな人が配偶者になっただけのことで、守屋自
 身の人格とは直接関係ない。どんな重要な地位にいようと公的な姿勢・振る舞いと私的生活のそれと
 は隔然としているのがあたりまえであろう。そうした意味では守屋の私生活での姿は子どもに甘い父親、
 妻に頭が上がらない夫という普通の家庭人である。公的な立場では贈賄に取り込まれた弱さ、装備品購
 入に当たっての脇の甘さ、執行猶予を得んがための偽証などはまさに高級官僚にありがちな人物像で
 ある。さして驚くにあたらない。むしろ家庭内までどっぷりと入り込まれて、「家族同士の付き合いでした
 から」と言い訳する感覚の甘さに呆れるところである。これをもって「ずるい人」、「狡猾の人」と決めつけ
 て貶しめるほどのことでもないだろう。

  まるで水に落ちた犬を打つ類の仕打ちである。
  なぜか筆者は守屋に個人的に含むところがあるかのような記述が多い。この本が出版されるまでの
 経緯を述べているが約束を破られたという怒りは分かるが、それにしてもなにか釈然としない。
 当初守屋氏本人からゴーストライターによる出版を頼まれた。これは断り、インタビューに基づく筆者の
 本として世に問うことで両者納得した。できた原稿を渡しチェックを依頼したのに、しばらく梨のつぶて
 で、ある日娘を伴って出版断念を告げに来た。法廷で不利になることが描かれているので止めるのか
 と言ったらしい。それなのに守屋は出版を前提としたインタビューの内容を元に、ここまで人格を誹謗
 するような内容で、『狡猾の人』とまで極言した題で自分の犯罪の背景や私生活をあからさまにした本
 を出すことを認めたのだろうか。出版業界ではこのようなことが許されることなのだろうか。いささか疑
 問が残る。

  それにしてもずいぶん大胆というか大げさなな題名にしたものだ。ちなみに吾輩は『狡猾の人』から
 有吉佐和子の小説『恍惚の人』を連想した。

                                                     (以上この項終わり)

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二度目の小玉スイカその後

2012年09月22日 | 畑の作物

大きくなった小玉スイカ
  2個目の小玉スイカが、いつの間にか大きくなっていた(たまご大)。
 人工交配をした2個の実のうち1個は駄目になった。
 さらに2個の雌花を発見、授粉をした。

  
             なんとかなりそうな予感がする

    
           消滅寸前                     ややよわよわしい

  
           人工授粉をした雌花・果たして実を結ぶか

   (以上この項終わり)

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小玉スイカ第二弾

2012年09月18日 | 畑の作物

大根の土寄せ小玉スイカ

  大根に本葉が2枚ほど出たので風で倒れたりしないように土寄せしました。
  綺麗な形の大根にするのに意外と重要な作業です。

  

  ブロッコリーは順調です。

  

  二度目の西瓜の蔓が二本出て、そこにまた二個目の実が付きました。
  果たして実るのか。(もう一本の蔓の西瓜は消滅)

  また昨日17日に三個目の雄花が咲いたので人工授粉しました。
  果たして育つかどうか。

  

  

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笹本稜平の新作『漏洩』を読む

2012年09月17日 | 読書

◇『漏洩―素行調査官―』 著者: 笹本稜平 2012.5 光文社 刊

       

 笹本稜平の新作『漏洩』を読んだ。
 山岳小説、冒険小説から警察小説まで間口が広がってきた。1951年生まれながら作家デビュー
は2000年の『ビッグブラザーを撃て!』であり遅咲きの新鋭作家。最近は『越境捜査』、『素行調査官』
など警察小説で人気を博している。

 本書は素行調査官シリーズ第3作。主人公は警視庁警務部人事第一課監察係首席監察官入江透。
部下は高校時代の同級生本郷岳志と定年に近いロートルの北本一弘の二人。入江はキャリア組の警
視正ながら警察組織内の不正をただしたいという正義感に燃える異色の警察官僚。

 今回の事件はインサイダー情報による不正取引。企業がらみの事件捜査情報が警視庁内のどこかか
ら漏れている。いくつかの事件と株の乱高下の相関を観ると明らかにインサイダー情報の漏えいが疑わ
れる。一番に疑われるのは知能犯・企業犯罪担当の捜査第二課だ。生活安全部も疑惑の対象。しかも
警視庁はもとより警察庁や政治家にまでからんでいる恐れがある。

 大手ソフトウェア会社の役員による巨額の横領が発覚、事件の報道で株価は暴落した。報道に先だっ
て某仕手グループが大量の空売りをしており、買い戻しで数十億の利ザヤを稼いだ。胴元は株式の投
資ファンド。一口1千万円以上で投資を募り、インサイダー企業情報を操作して空売りと買い戻しで巨
額の差益を得る。売り買いは外国ファンド名義でバハマやケイマンといったタックヘブンを経由しマネー
ロンダリングした金は外国銀行を迂回して還流する。

 捜査二課の戸田係長はインサイダー取引捜査の過程で警察幹部のからむ不正取引を嗅ぎつけた。
部下の沢井刑事と狡猾に隠蔽された利権構造に挑むが病に倒れる。そして沢井には謎の男たちが立
ちはだかる。沢井は紆余曲折のすえ入江、本郷たちと一緒に悪に立ち向かう。

 本来警察官の不祥事や素行不良を取り締まるのは監察官の役目。しかし不祥事の芽を事前に摘み
取ろうとするため、ややもすれば監察官は警察の体面を維持するために警察官の不祥事のもみ消しが
役目のように見える。正義の味方の警察官が悪事に手を染めているのをうやむやにしていては一般市
民の支持は得られない。入江首席監察官の3人組は警察組織の隠蔽構造に挑む数少ない良識派の
警察官だ。

 終盤でちょっとスリリングな場面もあるが、最後は正義の味方が勝ってめでたしめでたしめでたし。
 それにしても「ざっと60坪の土地に、乗用車3台の駐車場、延べ床120坪くらいの3階建ての白亜の
豪邸・・・」(p67)はちょっとおかしくないかい。敷地が狭すぎる。

(以上この項終わり)

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