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読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

生命保険会社の破綻と連鎖へ

2012年03月12日 | 読書

◇ 『連鎖破綻―ダブルギアリング―』 著者: 香住 究  
                               2003.8 ダイアモンド社刊

   


  著者は元大手生保の課長と大手新聞社の記者の共著であるため共同ペンネームである。
 ダブルギアリングとは資本の持ち合い。生保と銀行は資金と株式の密接なもたれ合い関係に
 ある。どちらかが破綻すれば連鎖的に破綻の危機にさらされる。
  本書ではほとんどが仮名で語られているが、起こりうる連鎖破たんの危機が迫真のタッチ
 で語られる。
  事情に通じている人でないとなかなかここまで書けない。多分業界の事情を踏まえた構成
 全体は生保会社元課長が書き、小説的体裁とドレスアップは元記者が分担したのではない
 だろうか。
  アクチュアリー、デューデリ、クレデリなど専門用語なども多出するが、生保会社の会長、社
 長、社長室長、社長室次長、広報室長、広報室次長等々登場人物のキャラクター設定が見事
 で、企業小説にしては読ませる。また普段あまり知る機会のない生保商品の性格、生保業界
 の実態と銀行との関係、金融庁など監督官庁と政界との関係なども勉強になる。
  破綻への道を回避しようと必死に策を探る某生保会社の幹部関係者の努力にかかわらず、
 バブルの破綻と株式市場の低迷などで次第に蟻地獄のすり鉢の中にはまり込んでいく焦りと
 保険契約者との信頼確保への苦衷が痛いように伝わってくる。なんとか銀行の連鎖破綻を免
 れようとする金融庁の思惑や、腐肉に群がるハイエナのような外資の冷酷な魂胆に抵抗し、
 最後に彼らのシナリオ通りにはならずに起死回生の一矢を報いる姿に、漸くわずかな救いを
 見いだす。

                                               (以上この項終わり)