読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

ブーゲンビリアを水彩で描く

2024年08月26日 | 水彩画

夏空に映えるブーゲンビリア

  
      clester F8

    一昨年夏に買ってき た鉢植えのブーゲンビリア。6月に思い切って大胆に剪定した。
その後新しい枝が生えて花が咲いた。あかい花弁に見えるのは苞で中にある筒状の白い
のが花。
 花の命は短いので、命が盛んなうちに絵にして残してやろうと手掛けたが、風にそよぐ
度に羽のような花弁(苞)の形が定まらず手を焼いた。
                                    (以上この項終わり)

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中山七里の『 絡新婦の糸』                                                       」

2024年08月16日 | 読書

◇ 『 絡新婦の糸』(警視庁サイバー犯罪対策課)

     著者:中山 七里   2023.11 新潮社 刊 

 

 警察庁にサイバー対策の組織(サイバー警察局)が設置されIT人材を求めてるという記事を読 を
んだ記憶がある。 
 さすが時代の寵児中山先生、こうした時代性があるテーマを放っておくはずがない。先頃著名な
暴露系ユーチューバーが脅迫、名誉棄損等の罪で訴追され断罪される事件があった。 
 当節匿名で自由に自分の意見を開陳できるSNSという媒体のなかで、いい気になって根拠のない
情報を元に誹謗中傷を重ねる者が後を絶たないが、SNSが公共空間であり、発言には責任を負わね
ばならない。状況によっては相応の咎めを受けるという話である。

 この作品でも「市民調査室」というアカウントで食いレボや旅レポなどで当たり障りのない話題
でフォロワーを増やし、人気あるインフルエンサーとなるや、やおら狙った個人や組織のフェイクニ
ュースを流し拡散させた上で対象者を悲嘆の底に陥れ、あるいは利益を得る。
 この「市民調査室」の動きに興味を持ったのが警視庁「サイバイー犯罪対策室」の延藤慧司(多
分警部)。

 まず最初「市民調査室」のターゲットになったのは老舗旅館「雅楼園」。最近料理の質が落ちた、
それで客数が減り近々廃業かというフェイクニュースを流し経営不安をあおる。TVなどのマスメデ
ィアで話題となると密かに株式市場でカラ売りなどで荒稼ぎをする。
 こうした経済犯事案になると捜査2課(刑事部)など他部署と の情報共有も必要になる。

 最終段階で「市民調査室」のアカウントが特定される。意外な人物であったが捜査情報のだだ漏
れが疑われた時点でほぼ見当がついていたので意外でもない。 それにしてもいかにも安直に過ぎる。
サイバー犯罪対策室の活躍ぶりもいまいちで存在感が薄く食い足りない。


 SNSに流通する膨大な言葉は思考を奪う。集中力を失しない、思考停止に陥り,他者への攻撃的
態度が増す。SNSの負の局面である。
 
因みに初めてお目にかかったが、絡新婦はジョロウグモと読むらしい。不勉強でした。 

                                 (以上この項終わり)                                   

                                 

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金子玲介の『死んだ山田と教室』

2024年08月09日 | 水彩画

◇『死んだ山田と教室
 
   著者:金子 玲介   2024.5 講談社 刊   

   
    とにかく亡くなった人の音声 だけが教室のスピーカーに憑依するという着想が
すばらしい。

 不動高校(男子校)2年E組の山田君が夏休み中交通事故で死んだ。

 告別式明けのホ―ムルームで担任の花輪先生が「この際席替えするか」と
言ったところ、 突然山田君の
声だけが教室のスピーカーを通じて流れ「席替え
山田案」を
提案する。それがきっかけでクラスの人気者だった山田と声だけで
も今までどおりバカ話をして楽しもうと、呼び出し用合言葉も作った。

 彼らのバカ話は男子校でもあり当然当世・今様の若者言葉が縦横無尽に飛び
交い、臨場感満点である。
 でもバカ話もいつまでもは続かない。卒業式が終わり1年経ち3年経つと元2
年E組の教室を訪ねる人も少なくなった。なにせ皆歳をとって大きくなっている
のに、山田だけは死んだ時のままだから。
ただ中2からの親友和久津だけは大学に入り大学院を終えた時も時間を作り山田
と語り合った。山田と交流を続けるために不動高の教師採用試験を受けたくらい』
だから。

 或る夜和久津は珍しく山田から深刻な申し出でを受ける。昔の 2Eの仲間も
このところ誰も来ない「さびしい。孤独感が耐え難い」、「もう消えたい。殺
してくれ」というのである。必死で生き続けることをすすめた和久津もついにス
ピーカーの配線切断に同意するのだが...。

死んだ生徒の魂だけ教室のスピーカーに憑依するという、摩訶不思議な現象を当世の
ビビッドな
若者言葉 で綴る稀有な作品に脱帽。  

                       (以上この項終わり)

 

 

       

 

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米澤穂信の『黒牢城』を読む

2024年08月02日 | 読書

◇『黒牢城

       著者:米澤穂信     2024.5   講談社 刊

     
荒木村重は戦国・安土桃山時代の武将である。 
豪胆をもって知られ、信長に用いられたが秀吉の西国攻めへの援軍命じられたり折り
重臣の讒言により信長に反旗をひるがえし、 望月城に籠城した 。
また籠城のさ中,信長への帰順を勧める使者の黒田官兵衛を土牢におしこめた。

援軍の派遣を頼む毛利軍の支援は動かず1年。ついに自ら城を出て援軍を求める旅
に出るが、討手に逢い逃げるように西の毛利を目指す。しかし
信長の威勢を恐れた西
国の将は動かず村重は失意のまま放浪した。

この辺りの話は、史実はともかくいろんな書物等で知識としてあったが、この間の村重
及び官兵衛の心の裡をかくも巧みに描くだけでなく謎解きのエピソードも加えるなどな
かなかの作品である。

魑魅魍魎の跋扈する戦国の世にあって、下克上を果たしなお且つこ難かしい信長の  
懐に飛び込んだ村重はここでは単なる性豪胆な武将ではなく、実は物事に細心の注
意を払い意を決するや断固として行動するリーダーとして描かれている。

更に村重が信長に従うことを是 としなかったわけは、女子供年寄りも含め何百何千と
いう無辜の民を殺したやり口を嫌ったというのは
、もしかしたら新らしい視点ではない
だろうか。

                     (以上この項終わり)

 

 

 

 

し、

 

 

 

 

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