「日本文学の革命」の日々

「日本文学の革命」というホームページを出してます。「日本文学の革命」で検索すれば出てきますので、見てください

電子同人雑誌の可能性 226 「コンピュータの本質―関数と西洋文明」

2020-05-19 06:43:53 | 日本文学の革命
ギリシャの重装歩兵市民軍にとって最も重要なものはギリシャ市民たちの「肉体」であった。この「肉体」を鍛え上げ、規律や訓練をたたみ込み、団結心を鼓舞することに、戦争の帰趨、ひいてはポリスの繁栄や存続がかかっていたのである。鍛え上げられた優れた「肉体」は、ギリシャ人皆が目指すところの理想だったし、そのような理想的な「肉体」を持った人物はギリシャ人の間で羨望の的であり憧れの対象であっただろう。

そのような「理想の肉体」を代表する人物がホメロスの『イリアス』の主人公アキレウスである。この『イリアス』はギリシャとトロイアとの大合戦を描いた叙事詩であり、ギリシャ全土から集まって来た英雄豪傑たち―ギリシャオールスターズともいうべき戦士たちが東方のトロイアに攻め込み、大合戦の末にトロイアを陥落させるという物語である(前に書いたようにこれをギリシャと東方オリエント世界との戦争と捕えたのなら、この『イリアス』は数百年後に実際に起こるアレキサンダー大王の東方オリエント世界の征服を神話的に予言した書物となる。アレキサンダー大王のもとに結集したギリシャ軍もまさにこのような軍隊だったからである。あるいはこのホメロスの詩を数百年に渡って愛唱し生活の規範にしてきたギリシャ人の伝統が自然とそのような結果をもたらしたと言うべきか)。このギリシャの誇りである英雄豪傑の中でも最強に強いのがこのアキレウスなのであった。

このアキレウスはまさにギリシャの「理想の肉体」を体現した人物であった。誰よりも美しいと評されるほどの美貌の青年であり、生きたギリシャ彫刻生きたダビデ像のような理想の身体も持っていた。美しい美青年、イケメンなのであるが、しかし現代のイケメンのようにすぐにポキポキ折れそうななよなよした存在ではなく、強靭で強力な肉体を持ち、勇猛果敢な戦士であり、戦場で無敵のパワーを発揮するというまさにギリシャの「理想の肉体」を体現した理想像なのである。

物語の前半ではアキレウスは全然活躍しない。ふてくされて自分の陣地で寝ていたのである。彼はある都市を攻め落とした際、戦利品として素晴らしい美女をゲットしたのだが、その美女をギリシャ軍の総大将アガメムノンに横取りされてしまったのである。誇りと名誉を傷つけられ、せっかくの美女も失ってしまったアキレウスは頭にきて、戦線を放棄してしまったのだ。
ギリシャ軍最強のアキレウスがいなくなったことでギリシャ軍は劣勢に立たされた。ギリシャオールスターズの英雄豪傑たちも様々に奮戦するのだが、ヘクトル率いるトロイア軍に追い込まれ、ついにはギリシャ軍の本陣さえ攻め落とされそうになった。
それを見かねたアキレウスの親友パトロクロスがアキレウスの鎧をつけて出陣し、トロイア軍を撃退してトロイア城の近くまで攻め込んだのだが、ヘクトルに打ち倒されてしまい、ギリシャ軍は再び劣勢に立たされた。

しかし物語の後半でアキレウスが立ち上がるのである。親友パトロクロスを殺されて激怒したアキレウスは戦場に戻り、トロイヤの大軍に猪突猛進してゆき、トロイア軍の英雄豪傑たちを右に左に撫で斬りにして、その無敵のパワーでトロイヤ軍を打ち破ってゆく。アキレウスの登場で息を吹き返したギリシャ軍はトロイヤ軍を潰走させ、トロイヤ城に追い込んでゆく。城下に着いたアキレウスはそこで敵の大将ヘクトルと一騎打ちして、ヘクトルを打ち取ってしまう。大将ヘクトルを失い、トロイアの敗北が決定的になったところで物語は終わるのである。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2020-05-19 20:43:52
あの~、夏目漱石とギリシャはどう繋がるのですか?
返信する

コメントを投稿