『ヘイ ジュード』という「文芸作品」はひとたび形成されると巨大な影響力を世界に対して振るうようになった。50年もの間人々に感動を与え続け、しかも世界中に広まったのであり、数えきれない人々がこの曲の影響を受けたのである。また『ヘイ ジュード』はビートルズの他の曲と密接に結びついていて、『ヘイ ジュード』に感動した者はビートルズの他の曲も聞くようになり影響はさらに深まるだろう。中にはビートルズの曲に感動するあまり自分でもギターを弾きドラムを叩きバンドを組んで、自分でもロック・ミュージックを作ろうとする者も現われてきて、影響はさらに広まってゆく。そしてついには一つの文化を形成するまでに至ったのである。実際ビートルズが作り出した「文芸作品」こそが60年代の若者文化を築いたのであり、計り知れない影響を現代世界に与えたのである。
このような巨大な影響力を前にしては大手出版社も巨大マスコミもかたなしであり、この影響力の尻馬に乗ったり、その組織力や資金力を駆使して応援にまわることはできても、この影響力を自前で生み出したり、それを自分の支配下に置こうなどということはできるものではない。どんなに出版社が賞を連発しようが、どんなにテレビ局がオーディションを繰り返そうが、それ自体ではポールもビートルズも『ヘイ ジュード』も決して生み出すことはできないのである。
このような「文芸作品」を生み出す個人が「創作家」なのである。『ヘイ ジュード』を生み出したのもポール・マッカートニーという一個人であり、この曲は彼と彼の個人的な付き合いの中から形成され生み出されたものである。どんな巨大組織もできないことが、この場合一人の個人の力でもできてしまうのである。
ここで問題となるのはこのような「創作家」と電子同人雑誌の関係である。戦前の同人雑誌は夏目漱石や森鷗外や芥川龍之介などの偉大な「創作家」たちを生み出し、日本の文化の発展に大きく貢献することができた。同じようなことが電子同人雑誌でもできるだろうか。電子同人雑誌から様々な「創作家」たちが生み出されてきて、日本に新しい文化的発展をもたらすことができるのだろうか。
これについては少し後に「新しい文壇」のところで詳しく書くので、ここでは「創作家」や「文芸作品」のもたらす経済的効果について考えてみよう。
「文芸作品」が人々の心を感動させるようなものだった場合、それは巨大なパワーを発揮して人々の間に広まってゆく。現代のネットに『ヘイ ジュード』のような人々に真の感動を与える「文芸作品」が現われたら、またたく間にネットの世界に広まってゆくことだろう。軽く1万人規模を超えてしまうだろう。いつでもどこでもクリックひとつで買えるというネットの利便性、ひとたび人気が出たらたちまち広まるネットの伝播力、その相対的低価格性、などを考慮したら10万人規模も容易に達成できるだろう。しかもこれは「大当たり」のような運次第の一発屋的なものではなく、コンスタントに出してゆける数字なのである。一部千円でこの「文芸作品」を売ったとして純利益は700円、それ掛ける10万だからこの「文芸作品」からあがる利益は7000万円になる。この創作家が同時に電子同人雑誌も運営していてそこからも10万規模の収益を上げることができたら、彼の年収は1万人規模の作家の10倍として2億5千万円を超えるものになってしまう。
では電子同人雑誌は100万人規模のベストセラーを狙えるかというと、それも十分できるのである。むしろ紙の本の場合よりも一層多くのベストセラーが発生することが考えられる。もちろんその下地としてネットで「心の交流」を買うという習慣が人々の間にできていて、そのための簡便な課金システムが整っているという前提が必要だが、それさえできていたら100万人規模のベストセラーがどんどん発生してゆくという事態は容易に想像できるのである。その「文芸作品」を千円で売って純利益が700円、それ掛ける100万だからこの一つの作品だけで7億円の利益を出せる。ここまで来たら雑誌のことは考慮の外にしよう。さすがに毎月100万部も売り上げる電子同人雑誌など考えられないからである。
紙の世界では100万部が限界なのだが、電子同人雑誌の場合だとさらなる拡大が可能なのである。パソコンやスマホは今やテレビに優るとも劣らないほど身近になり、そのクリックもテレビのチャンネルを変えるぐらいに容易である。もしここにテレビのチャンネル数と同程度に絞られ同程度に国民に知れ渡った対象があったら、その中からテレビと同程度に視聴されるものが出てきてもおかしくない。テレビと同程度の視聴者数―数百万、さらには一千万を超える売り上げの電子同人雑誌や電子本が出てきてもおかしくないのである。特に電子の世界の場合、日本以外でも世界中がターゲットに成り得る。文学などの言葉の壁が高い分野はまだ難しいだろうが、音楽や美術やアニメなどの場合はいとも簡単に国境の壁を超えることができて、市場をさらに広げることができる。国内に制限されているテレビの市場よりもむしろ有利だと言えよう。電子同人雑誌や電子本という形をとった「文芸作品」を千円で売り純利益は700円、それ掛ける一千万としたら、利益は70億円となる。一つの電子同人雑誌や電子本が70億円もの利益をもたらしたのである。
このように電子同人雑誌は、副業レベルの4万円から最高レベルの70億円まで、実に様々な経済的可能性を持っているのである。
(続く)
このような巨大な影響力を前にしては大手出版社も巨大マスコミもかたなしであり、この影響力の尻馬に乗ったり、その組織力や資金力を駆使して応援にまわることはできても、この影響力を自前で生み出したり、それを自分の支配下に置こうなどということはできるものではない。どんなに出版社が賞を連発しようが、どんなにテレビ局がオーディションを繰り返そうが、それ自体ではポールもビートルズも『ヘイ ジュード』も決して生み出すことはできないのである。
このような「文芸作品」を生み出す個人が「創作家」なのである。『ヘイ ジュード』を生み出したのもポール・マッカートニーという一個人であり、この曲は彼と彼の個人的な付き合いの中から形成され生み出されたものである。どんな巨大組織もできないことが、この場合一人の個人の力でもできてしまうのである。
ここで問題となるのはこのような「創作家」と電子同人雑誌の関係である。戦前の同人雑誌は夏目漱石や森鷗外や芥川龍之介などの偉大な「創作家」たちを生み出し、日本の文化の発展に大きく貢献することができた。同じようなことが電子同人雑誌でもできるだろうか。電子同人雑誌から様々な「創作家」たちが生み出されてきて、日本に新しい文化的発展をもたらすことができるのだろうか。
これについては少し後に「新しい文壇」のところで詳しく書くので、ここでは「創作家」や「文芸作品」のもたらす経済的効果について考えてみよう。
「文芸作品」が人々の心を感動させるようなものだった場合、それは巨大なパワーを発揮して人々の間に広まってゆく。現代のネットに『ヘイ ジュード』のような人々に真の感動を与える「文芸作品」が現われたら、またたく間にネットの世界に広まってゆくことだろう。軽く1万人規模を超えてしまうだろう。いつでもどこでもクリックひとつで買えるというネットの利便性、ひとたび人気が出たらたちまち広まるネットの伝播力、その相対的低価格性、などを考慮したら10万人規模も容易に達成できるだろう。しかもこれは「大当たり」のような運次第の一発屋的なものではなく、コンスタントに出してゆける数字なのである。一部千円でこの「文芸作品」を売ったとして純利益は700円、それ掛ける10万だからこの「文芸作品」からあがる利益は7000万円になる。この創作家が同時に電子同人雑誌も運営していてそこからも10万規模の収益を上げることができたら、彼の年収は1万人規模の作家の10倍として2億5千万円を超えるものになってしまう。
では電子同人雑誌は100万人規模のベストセラーを狙えるかというと、それも十分できるのである。むしろ紙の本の場合よりも一層多くのベストセラーが発生することが考えられる。もちろんその下地としてネットで「心の交流」を買うという習慣が人々の間にできていて、そのための簡便な課金システムが整っているという前提が必要だが、それさえできていたら100万人規模のベストセラーがどんどん発生してゆくという事態は容易に想像できるのである。その「文芸作品」を千円で売って純利益が700円、それ掛ける100万だからこの一つの作品だけで7億円の利益を出せる。ここまで来たら雑誌のことは考慮の外にしよう。さすがに毎月100万部も売り上げる電子同人雑誌など考えられないからである。
紙の世界では100万部が限界なのだが、電子同人雑誌の場合だとさらなる拡大が可能なのである。パソコンやスマホは今やテレビに優るとも劣らないほど身近になり、そのクリックもテレビのチャンネルを変えるぐらいに容易である。もしここにテレビのチャンネル数と同程度に絞られ同程度に国民に知れ渡った対象があったら、その中からテレビと同程度に視聴されるものが出てきてもおかしくない。テレビと同程度の視聴者数―数百万、さらには一千万を超える売り上げの電子同人雑誌や電子本が出てきてもおかしくないのである。特に電子の世界の場合、日本以外でも世界中がターゲットに成り得る。文学などの言葉の壁が高い分野はまだ難しいだろうが、音楽や美術やアニメなどの場合はいとも簡単に国境の壁を超えることができて、市場をさらに広げることができる。国内に制限されているテレビの市場よりもむしろ有利だと言えよう。電子同人雑誌や電子本という形をとった「文芸作品」を千円で売り純利益は700円、それ掛ける一千万としたら、利益は70億円となる。一つの電子同人雑誌や電子本が70億円もの利益をもたらしたのである。
このように電子同人雑誌は、副業レベルの4万円から最高レベルの70億円まで、実に様々な経済的可能性を持っているのである。
(続く)