「日本文学の革命」の日々

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東京タワーと東京スカイツリー

2011-05-22 21:20:49 | 日本文学の革命
先週の日曜日 重要な会合があったので品川の駅前まで行ってきた
品川駅はそれまで行ったことのない駅だったが、すぐ前に新しく開発されたオフィス街が広がる立派な駅だ
高級ビジネス街といった感じの威容があり、いかにもデキそうに見えるビジネスマンや絵に描いたようなキャリヤウーマン美女たちをあちこちに見れて、面白かった

会合が無事終わり品川駅に戻ってくると、このまま電車でまっすぐ帰るのも惜しい気がして、次の駅まで街を歩いてみようと思い、田町方面目指して歩いて行った

線路に沿った大通りを気持ちよく歩いてしばらく行くと、すぐ近くに東京タワーが見えてきた
こんなすぐ近くに東京タワーがあるなんて、意外だった。歩いても簡単に行ける距離である
いい機会だと行ってみることにした

実は僕は今まで東京タワーに登ったことがない
小さい子供の頃に東京タワーの下まで行って見上げた記憶はあるが、登ったことは一度もないのである
東京といっても下町育ちの僕は、港区の東京タワーとは縁が薄いのかもしれない
また東京タワーは僕の言葉でいう「外国主義」の象徴として建てられたものである
昭和30年代の高度成長期、日本が西欧に憧れ、追いつき追い越せと第二の「坂の上の雲」目指してひた走っていた時代、そのシンボル的存在としてパリのエッフェル塔を模して作られたものである
外国主義の正体が分かるようになるにつれ、東京タワーは僕にとって煙たい存在になってしまった
これが東京の空にシンボル的に聳え立っているのである
いわば東京全体が東京タワー=外国主義によってフタをされているようなものなのだ

これがいつまでも東京の空に聳えているのか。もう歴史的建造物なので壊すわけにもいかないし…
そう思うと行く先をふさがれたような気がして、東京タワーを見るとむしろ暗澹とした気持ちになるようになった
しかし今日は気分がいいし、また東京の全体を見渡してみたい欲求があったので、行って登ってみることにした

東京タワーへ行く道の途中で、なにやらヘンな門が左手に見えてきた
近づいてみるとそれは、テレビで何度か見たことがある慶應義塾大学の正門だった
こんな所に慶応大学があるのも意外だった。ここに来るのも初めてだった
しかしこの正門、いかにも「文明開化」時代の産物で、ちょっとベタ過ぎないか、という感じのものだった
中にも入ってみたかったが、あいにく日曜ということで門は閉じられていた

東京タワーが聳える丘の上を登ってゆく
ここまで来ると東京タワーのすぐ近くで、聳え立つ東京タワーをすぐ下から見上げる格好になる
幼い頃感じたようにさぞかし壮大な感じがするだろうと思っていたのだが、今行ってみるとたいして大きいとは感じなかった
なんだかオモチャのような感じがした
一番先端部分がちょっと折れ曲がっているのも目がついた
ニュースによるとつい最近落雷事故かなんかがあって折れ曲がったらしい

エレベーターに乗って大展望場に登ってゆく
東京タワー人気は今でも健在らしく、大勢の人でごった返していた
360度に広がるパノラマをめぐりながら、東京の街を見渡していった
はるか彼方まで広がる大きな眺望もすばらしかったが、それよりもこの街の一つ一つの建物、一つ一つの家々、そこで繰り広げられたいるだろう人々の活動の方に思いがいった
あのオフィスビルの中では毎日どれだけ多くの活動が行われていることだろう。あの小さな点にしか見えない一つの店の中でも、日々実に多くの活動が行われているはずだ。あのマンションの小さな一室の中でも一つの奥深い人生模様が繰り広げられているに違いない
そういうものがすべて積み重なって存在しているこの街、この東京の街の全体では、どれだけ多くの活動が行われていることだろう!
そう思うと、頼もしいやら心強いやら、たいへん勇気づけられる気がした

多くの人々が東京の街を背景にして記念写真を撮っていたが、とりわけ賑わっていたのが東京スカイツリーを背景にして撮れる場所だった。東京タワーからも東京スカイツリーはよく見えるのである

この建設されつつある新しいタワーは僕も何度も目にしている
浅草なんかに行くと、雷門の所からもその大きな姿を見ることができる
実に壮大で、メタリックで、大きな威容を誇ったタワーだ

この東京スカイツリーには、実は大きな期待を持っている
それが東京タワーを凌駕して、新しく東京の上に聳えることになるからである

これまでは東京タワーがどんなに鬱陶しくても、もうどうにもならない、これがこれからも東京の上に君臨し続けて、東京の街を規定し続けるのだ、と諦めていた
ところが東京スカイツリーが出来るとなると話は違う
東京タワー以上の存在が東京の街に聳えることになるのである
いわば東京タワーの結界を突き破って、それ以上の新しいものが東京の上に形成されようとしているのだ
しかも場所は東京タワーのあるハイカラな港区とは異なり、東京の下町、東京のオリジナルな基層部分に建てられるのである
その意味でも期待できる

しかもこの東京スカイツリーが東京タワーと並んで建てられることも実にいい
僕はたしかに東京タワーを鬱陶しく思っているが、それが体現している文化=「外国主義」がどんなに奥深いか、どんなに偉大な文化であるか、それも心の底から承知しているのである
これが今日通用しなくなったのも事実だが、だからといってこれを無価値なものとして切り捨てようなどとは決して思わない
“これだけ”では困るが、“これも”あって欲しいのである
東京タワーと東京スカイツリーが合い並ぶと、まさにそれが実現されるのだ
東京スカイツリーが第一のタワーとしてこれからの東京の上空に聳えてゆく
それが今までにない新しいものを東京にもたらしてゆくだろう
と同時に東京タワーも今まで通り聳えている。今まで通りの役割ではないが、大切な補助として東京の街に働きかけてゆくだろう
東京タワーと東京スカイツリー
この二つが絶妙のバランスをもって、新しい東京のシンボルとして空に聳えることになるかも知れないのである

東京タワーに初めて登り、東京の街を見まわしながら、そんな感慨にひたった一日だった