超高エネルギーのガンマ線天体を観測する次世代望遠鏡であるチェレンコフ・テレスコープ・アレイ(CTA)大口径望遠鏡1号基が、スペインのラ・パルマ島のCTA北サイトに完成し、来年4月の本格稼働を目指し、試験運転が開始された。
CTA計画は東京大学などが参加する国際共同研究プロジェクトであり、ガンマ線天文学を飛躍的に推し進め、高エネルギー宇宙物理学の世界に革命をもたらすだけでなく、天文学や素粒子物理学の幅広い分野にも大きな貢献ができると見込まれる。
CTAが捉えようとしているのは、大気中に突入したガンマ線による空気シャワーが放つチェレンコフ光。
従来の観測装置では、宇宙の誕生から66億年後の宇宙しか観測できなかったが、感度を10倍に向上させ、観測可能なエネルギー領域を20GeV-300TeV に拡大し、宇宙誕生後16億年の若い宇宙の姿を見ることができるように計画。
これにより、1000個を超える超高エネルギーガンマ線天体が新たに発見され、宇宙線の起源と生成機構の解明や、プラッックホール、中性子星近くの物理現象の解明などに役立つことが期待される。
使われる望遠鏡は、観測可能なエネルギー領域が異なる大口径(直径23m)、中口径(同12m)、小口径(同4m)の三種類で、スペインのカナリー諸島ラ・パルマ島に北半球サイト、チリのパラナルに南半球サイトを整備し、大口径8基、中口径40基、小口径70基の計118基を建設する計画。
世界31カ国から1,400名を超える研究者が参加しており、日本でも2009年に「CTA-Japanコンソーシアム」が結成され、東京大学、青山学院大学、茨城大学、大阪大学、北里大学、京都大学、近畿大学、熊本大学、高エネルギー加速器研究機構、甲南大学、埼玉大学、東海大学、東北大学、徳島大学、名古屋大学、広島大学、宮崎大学、山形大学、山梨学院大学、理化学研究所、立教大学、早稲田大学の研究者や大学院生127名が参加している。