赤い靴日記  (子宮頸がん ステージ3bから20年)

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9 癌になった人となったことのない人

2018-12-23 01:01:01 | ガンで訪ねてきてくれた貴女へ
最近は、早期発見とか 治療の進歩とかで 「癌」といってもそんなに怖いイメージはなくなったようだ。


少なくとも、自分以外の人がなる「癌」は、

「現代は癌も風邪みたいなもんだよ。気持ちで負けるな。」

「普通の病気と同じだよ。落ち込むことはないよ。」

平然とそんな風に 慰めのような励ましのような言葉をかける人が出てきた。



自分が検査で引っ掛かった時も、「いや~平気っすよ。」みたいなことを言う。

本当はちょっと、「怖い」的なしこりを心の中に持ちつつも、

なんだかそんなことを言うと、周りから弱虫と言われそうで、

なんだかそんなことを言うと、本当に重病になってしまいそうで、

勢い、治癒率の上がった医療データにすがって、「平気っすよ。」と言う。



2013年のもなみだってそんな風に思ったりするときもある。





そうなんだけれど、つい最近ある文章の中でハッとしてしまったことがあった。



「それは人を不治の状態に陥れる癌のような作用さえもっている。」



という文が出てきたからだ。

1987年に出された文章の中にある。

内容的には癌なんて全然関係ない文章なのだけれど、



「それ」が何を指していようと、

「癌」は不治の状態に陥れるものとして用いられている。



つまり、絶望への不可逆的な方向性をもたらす象徴。



25年前の文章だからね。今はこんな風には書かないのだろうけど。

っていうか、25年前だからこそ、もう少し優しさが欲しかったかな。





「も~う、今日の試合負けちゃったね。あいつが癌だな。」

こんな慣用句、あるよね~。



こんなフレーズに出会うと、ピクっとしてしまう。

自分が癌になったことのない人にとっては、過去の恐怖だよ、慣用句だよ、って思うことでも、

一度でも自分がなった人にとっては、やっぱり怖い。



一度癌を自分の身に持ってしまった人にとっては、癌になったことのない人にとっては、なんでもないことが、怖いことになってしまう。

この気持ちは、多分、家族でも友達でも恋人でも、わからない。


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