読む本が切れて、一寸電車で移動もおおかったので図書館で棚をみていたら、読んでいないマイクル・コナリーの文庫があったので、これは間違いないだろうと借りてみた。
ベンチャー企業を営む科学者ピアスの新しい電話には、エスコート嬢への問い合わせの間違い電話が次々にかかってきます。電話番号がネットに掲示されているリリーとおなじもので、連絡をとろううとするけれどどうやら失踪している様。失踪殺害された姉をもつピアスは一人リリーを探し始めてると・・・
というはなしだけれど、孤軍奮闘のピアス、ここまで追い詰められてと中盤からはコナリーの筆にのって、流石コナリーなんて上手いのでしょう。
でもこれどうやって解決するのってとこまで言っちゃいます。
この作品シリーズでない単独のストーリだけれど、コナリー作品にある登場人物の交差がここにもありました。この本では優秀な弁護士として登場するジャニス・ラングワイザー女史が『堕天使は地獄に飛ぶ』で地方検事だった人。こうやって有能な人がほかの作品出てくるのもコナリーの作品を多く読む楽しみです。
ということで一寸ながいけれどお気に入りを、ボッシュ作品、他ではジャズの話が多いけれど、ここではロックと映画でした。
「ヘンリー!怪我しているのね!ヘンリー!聞こえる?」
ピアスはカーペットの上に腰をすべらせて、あおむけに横たわるようにした。なぜだかわからないが、本能が頭に警告を浮かべた。いまのままの姿勢では、自分自身の血で窒息する可能性がある。意識を失って自分で吐いたもので窒息するロック・スターたちのことを考えてみるといい。ピアスはもう電話機を落としており、それはカーペットの顔の横に転がっていた。遠くの方でピアスの名を呼ぶ小さな声が右耳にとどいた。声の主がだれだかわかると、ほほえみが浮かんだ。ジミ・ヘンドリックスが自分の吐いたもので窒息したことを考えれば、自分の血で窒息したほうが、まだましだ。ピアスは歌おうとした。声はしめっぽいささやきになった。
「スーズ・ミー・ホワイル・アイ・イズ・ザ・スアイ・・・《紫の煙》の一節」
どういうわけか、“K”の発音ができなかった。
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