ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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サム・ムーア@ブルーノート東京

2006-11-18 15:21:51 | ソウル、ファンク
SAM & DAVE / THE BEST OF SAM & DAVE

サム・ムーアのライブ、ブルーノート東京最終日から一夜が開け、あのスペシャルな夜の興奮は、今では何やら現実離れした夢のようでもあり、脳裏に焼き付いたその断片を思い出すにつれ、甘味でトロっとした気分になります。

古き良きサザン・ソウルの息吹と、新作を引っさげての現役振り、さらには生ける伝説としての神々しさと、観客と肌で触れ合うような暖かさ、それらがもののみごとに見事に調和した極上のソウル・ショー。

そしてブルーノート東京というクラブ公演だからこそ実現した濃密な空気。あの場に居れたこと、あの場の空気を吸えたこと、それがこの上ない幸せに感じます。


夜8時頃、ほぼ定刻に客電が落ち、伝説のソウル・マンをサポートするバンドメンバー達がステージ場に表れました。まずは挨拶代わりにインストを演奏。(ゴメンナサイ、曲名分かりませんでした。)2曲目はバーケイズの「Soul Finger」。往年のスタックス・ナンバーに客席が湧きます。この時、このバック・バンドがホーン隊も含め、今夜のステージを素晴らしいものしてくれることを確信しました。3曲目は「Peter Gunn」。ブルース・ブラザーズで有名なあの曲です。嬉しい~。まさにソウル・レヴューの始まりを告げるかのような演奏。ここでサム・ムーアが登場するかと思いきや、まだ出てきません。

そしてサム&デイヴ時代の大ヒット曲「Hold On, I’m Coming」。沸き上がる観客。そして客席後方からいよいよ御代サム・ムーアの登場!観客と握手しながらゆっくりとステージに向かいます。おそらく観客のほとんどの人が「おー!本物だ…。」と思ったことでしょう。

ステージ場でのお茶目な振る舞いで客席を和ませながら「Knock On Wood」「Come On, Come Over」「Rainy Night In Georgia」と続きます。名曲オンパレードに涙ものですが、この辺はかなりあっさり味。正直私はこれらのナンバーを聴いている時、ちょっと元気がないかな、連日のショーで疲れているのかな、などと心配になったりしたのです。ですがこの後に続く強烈でディープなパフォーマンスにそんな思いは杞憂に終わりましたが…。

続いて「None Of Us Are Free」「I Can't Stand The Rain」「Blame It On The Rain」「Ain't No Love」と新作からの曲の連続攻撃。流石に気合いが感じられ、サム自信もノッてきたのか声の艶とハリ、そして勢いがどんどん増してきた感じです。もちろん客席もそれに答え熱気に包まれて行きます。

特に「Blame It On The Rain」ではサビの部分を観客に歌わせると言う、狭いクラブならではの趣向があり、指名されたお客さんがサムにリードされながら懸命に歌い沸せました。サムの人柄が表れる和やかな雰囲気に。しかも最後は黒人の女性が名乗りを上げ、とんでもない歌唱を披露しました。黒人というだけで、きっと上手いに違いないというその場の期待を完全に超越した歌唱力。あれはきっと本物のゴスペル・シンガーですよ。盛り上げ方を知っていました。っていうか誰? サムも最後にあきれ顔で「Oh My God」と呟いていました。

そしてステージを華やかに盛り上げ、サムをサポートしていた女性コーラス2名のソロ・コーナーを挟み、そのコーラスの一人Callowayとサムのデュエット「Don't Play That Song (You Lied)」。これが素晴らしかった。特にCallowayが大健闘。サムの新作ではベッカ・ブラムレットがソウルフルに歌っていますが、Callowayはまた違った魅力で、艶っぽくそして熱く、さらにキュートに魅せてくれました。

さらにいよいよこの後、ソウル・ショーは佳境を向かえ、更なる盛り上がりとサプライズが訪れるのですが、長くなってきたのでとりあえず。

つづく。


*写真のアルバムはサム&デイヴのスタックス/アトランティック時代のベスト盤。彼等全盛期のヒット曲や代表曲が年代順にまとめて聴ける好盤。私はサム&デイヴと言うとこれを聴いてしまいます。サム・ムーアのライブでも披露された「Hold On, I'm Coming」「When Something's Wrong With My Baby」「Soul Man」「I Thank You」「Soul Sister, Brown Sugar」を収録。



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