ルーツな日記

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ローン・ジャスティスの発掘音源 VAUGHT TAPES 1983

2014-05-28 18:51:54 | ルーツ・ロック
LONE JUSTICE / THIS IS LONE JUSTICE: THE VAUGHT TAPES, 1983

今年の1月頃にリリースされたアルバムですが、ローン・ジャスティス、1983年の発掘音源集「THIS IS LONE JUSTICE: THE VAUGHT TAPES, 1983」。これは1983年12月に、David Vaughtなる人物の元、彼らが録音したデモ音源。収録曲は以下の通り。

1. Nothing Can Stop My Loving You(George Jones / Roger Miller)
2. Jackson(Billy Edd Wheeler / Jerry Leiber)
3. Soap, Soup and Salvation(Maria McKee)
4. The Grapes of Wrath(Marvin Etzioni)
5. Dustbowl Depression Time(Maria McKee)
6. Rattlesnake Mama(Trad.)
7. Vigilante(Maria McKee / Ryan Hedgecock / Marvin Etzioni )
8. Working Man's Blues(Merle Haggard)
9. Cactus Rose(Maria McKee / Marvin Etzioni)
10. When Love Comes Home to Stay(Ryan Hedgecock)
11. Cotton Belt(Maria McKee)
12. This World Is Not My Home(Trad.)

この内、「Rattlesnake Mama」、「Working Man's Blues」、「This World Is Not My Home」の3曲は99年にリリースされたアンソロジー盤「THIS WORLD IS NOT MY HOME」で既に日の目を見ていましたが、まさかまだ他にこんなに未発表音源が残っていたとは!これは嬉しい驚きです!

83年と言えばもちろんデビュー前。まだライヴ活動を始めたばかりであり、ドラマーにドン・ヘフィントンが加入し、ようやくメンバーが固まった頃。そのメンバーとは、マリア・マッキー(vo)、ライアン・ヘッジコック(g)、マーヴィン・エツィオーニ(b)、そしてドン・ヘフィントン(ds)の4人。

このデモ音源「THE VAUGHT TAPES」を聴くと、彼らの初々しいデビュー・アルバム「LONE JUSTICE」(85年)ですら、ロックバンドとして一皮も二皮も向けた成長の証だったことが伺われます。それぐらいこの「THE VAUGHT TAPES」には無垢なローン・ジャスティスの姿が刻まれています。瑞々しい演奏と若く鋭利なマリアの歌声! この荒々しくエッジの立ったカントリーの格好良いこと!これぞカウ・パンク!これぞローン・ジャスティス!!

ジョージ・ジョーンズ「Nothing Can Stop My Loving You」、マール・ハガード「Working Man's Blues」、そしてジョニー・キャッシュ&ジューン・カーター・キャッシュで知られる「Jackson」などカヴァーの数々からは、彼らが嬉々としてカントリーに取り組む姿が目に浮かぶようですし、「The Grapes of Wrath」、「Dustbowl Depression Time」など今回初出となるのオリジナル曲も興味深い。また後に正規リリースされる「Soap, Soup And Salvation」と「Cactus Rose」のデモヴァージョンが聴けるのも嬉しいですね。


タイトル通りまさに「THIS IS LONE JUSTICE」なこの音源を聴いていると、あの1st作へ至るロックバンドとしての飛躍は、果たして成長だったのか?それともヒットを狙ったレコード会社の思惑だったのか?色々考えさせられます。もし彼らがこのままカウパンク路線を突っ走っていたらどうなっていたでしょうか?新たなムーヴメントを牽引していたかもしれません。いや、デビューすらままならなかったかも?そもそもマリア・マッキーの才能がここに納まり切らないであろうことも自明のことではありますけどね。でもここで聴けるマリア・マッキー、私は大好きです!


さて、このデモ録音の核となるDavid Vaughtなる人物、失礼ながら私はよく存じ上げなかったのですが、近年まで様々な作品を手掛けてきたエンジニアの方のようで、70年代にはベーシストとしてロジャー・マッギンのソロ作などでもバックを務め、80年代半ばには一時期フライング・ブリトウ・ブラザーズにも参加していた方のようです。ライナーによりますと、ドラマーのドン・ヘフィントンと友人だったそうで、彼の紹介でローン・ジャスティスのデモを録音することになったのでしょうね。(ドン・ヘフィントンは70年代からエミルー・ハリスのホット・バンドなどで活躍してきた人ですから、そういうパイプを持っていたのかもしれませんね。)そしてそのDavid Vaughtですが、残念ながら昨年亡くなられたそうです。このアルバムは彼への追悼の意も込められてるのかもしれませんね。

David Vaughtは後にマーヴィン・エツィオーニのソロ作なども手掛けています。R.I.P.




最後に、若きマリア・マッキー、及びローン・ジャスティスに思いを馳せて、YouTubeで探した動画をいくつかご紹介。

http://www.youtube.com/watch?v=5mlZv1oDVfM&list=PLD1FDE7AA0EB0DB3A
↑アルバムジャケットの写真とそっくりなマリア・マッキーの髪型から判断するに、おそらくVAUGHT TAPESの録音と近い時期のものではないかと思われるインタビュー動画。画質は悪いですが、マリアは美しい!! VAUGHT TAPESのヴァージョンとはまた違うドラムレスでちょっぴりのどかな「Nothing Can Stop My Loving You」の演奏シーンもあります。またアルバム末収録のポーター・ワゴナー&ドリー・パートン「If Teardrops Were Pennies」のカヴァーが聴けるのも貴重。

http://www.youtube.com/watch?v=HoEP5cQFHxU&index=6&list=PLD1FDE7AA0EB0DB3A
↑こちらもかなり初期の頃と思われるライヴ映像。カントリー・ゴスペル「This World Is Not My Home」をパンキッシュにカヴァー。それにしてもマリア・マッキーは歌上手い!!ホント最高!


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