ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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"SAVE LIVE MUSIC" 上原ひろみ ~PLACE TO BE~ ライヴ配信

2020-09-10 23:32:21 | ジャズ
現在、ブルーノート東京にて、"SAVE LIVE MUSIC"と題して、4種のプログラムによる16日間32公演に渡る特別長期公演を行っている上原ひろみさん。現地へ行けないファンのために、各プログラムの配信も行ってくれるとのことで、基礎疾患的な持病のある私も、今回はブルーノートへは行かず、配信を選ぶことにしました。そして9月7日、その2日目の配信がありました。この日のタイトルは「~PLACE TO BE~」。

上原ひろみさんにとって初のソロ・ピアノ・アルバムとなった「PLACE TO BE」がリリースされたは2009年、もう10年以上前なんですね。私もあのアルバムを引っ提げての上原さんのソロ公演は何度か観に行きました。そして今、あのアルバムを振り返るというこの公演。2020年の「PLACE TO BE」です。

オープニングは上原さんの足元、靴のアップから始まります。おそらく旦那様の三原康裕さんによる靴なんでしょうね。前回もこの始まり方でしたが、これは全4回統一な感じですかね?こういう演出は配信ならではの楽しさ。そして拍手喝采のなか、ステージへ向かう上原さん。今回は黒を基調にしたワンピース。頭に白黒ストライプのバンダナかな?を巻いてるところにちょっぴりPLACE TO BEっぽさを感じたり。

1曲目は「BQE」。ブルックリンとクイーンズを結ぶハイウェイ。相変わらず”狂気”をはらんだ描写にゾクゾクしましたね。続いて「Sicilian Blue」。この曲は綺麗な曲ですよね。とてもメロウ。そしてジャジー。その深遠な表現力に上原さんの円熟味を感じさせられたり。しかし続く「Choux a la Creme」は若さ全開。全身で跳ねるように満面の笑みで弾きまくる上原さん。まるで大きなおもちゃを与えられた子供がはしゃいでいるかのよう。こういう上原さんは天下無敵ですよ!そしてリズムの展開のキレが素晴らしい!!!これは2020年最高のシュークリーム!!

「Pachelbel’s Canon」では鉄の定規のようなものを、ピアノの中へ、おそらく弦の上?に置くんです。するとシャンシャンとしたちょっとチェンバロっぽい音に変化するんです。今回はカメラがその置く瞬間も捉えてくれたんですけど、2本の定規のようなものを、かなり慎重に置いてるように見えたのも収穫でした。自分でもその音の変化を楽しむように弾く上原さんが印象的でした。そして後半のインプロは、以前に比べて饒舌な印象。ま、その日その日でニュアンスは違うんでしょうけどね?

そして「PLACE TO BE」のハイライトと言えばラスベガス組曲。お馴染みのルーレット(スロット?)が回りました!当たらないと先へ進まないというまさにギャンブラー。今回は途中から音が変わるという演出もありましたね。ハズレが続いてくると、本来なら観客達がやんやと騒ぎ始めるのですが、おそらくコロナ対策でしょうか?今回は手拍子のみで応援。そしてついに当たった後の怒涛の展開は相変わらず大興奮。ものすごい疾走感でグルーヴしまくる左手のリズムは圧巻でしたね。手先をカメラがアップで捉えてくれるので、その驚異的な指さばきもかぶり付きで堪能できました。いやはや、間違いなく強度増してます!もうホント最高!!!

「BQE」ではじまり、「The Gambler」で本編を終わるという、ある意味予想通りではありましたが、懐かしさだけではない、現在の上原ひろみを見せつけた「PLACE TO BE」であったことは間違いないでしょう。まあ、ジャズもピアノも素人の私には、どの辺が新しかったのかを言葉に出来ないのが口惜しいですが、驚くほど新鮮な感動に満ちた「PLACE TO BE」だったことは断言できます!!

そしてアンコールはタイトル曲「Place To Be」。さすがにこの曲は、10年前、上原さんを必死に追いかけていた頃を思い出し、なんかしみじみしましたね。ま、今でも追いかけてますけど。そういう意味では私、今回の4プログラム、ブルーノート東京へ行けないことが、本当に悔しいです。ま、自分でそう決めたんですけどね。

ですが、MCで上原さんが「配信をご覧の皆さん、こんばんは。初めての方も2回目の方も、元気ですか?」と笑顔で声を掛けてくれたので、満足です!!

さて、前回が「Spectrum」、今回が「PLACE TO BE」と、2枚のソロピアノ作をライヴで聴ける貴重な体験、画面越しとは言え、さすがは上原さん、緊張感と楽しさに溢れる、極上のライヴでした。そして残すところ2プログラムですね。上原さんのピアノソロと言えば、そのハイライトはいつだってラプソディ・イン・ブルーかラスベガス組曲でした。ですが、その2つは既にやってしまいました。そういう意味では、残る2プログラム、「~BALLADS~」、「~Since 2003~」こそ、上原ひろみの新境地が見えるかもしれません。楽しみです!!