前回からのつづき、「気になるグラミー賞 ノミネート」のパート2です。今回はいよいよアメリカーナ周辺です。どうぞ!!
SARAH JAROSZ / BUILD ME UP FROM BONES
『BEST AMERICAN ROOTS SONG』
・Sarah Jarosz / Build Me Up From Bones(Sarah Jarosz)
・Steve Earle & The Dukes (& Duchesses) / Invisible(Steve Earle)
・Tim O'Brien And Darrell Scott / Keep Your Dirty Lights On(Tim O'Brien & Darrell Scott)
・Steve Martin & Edie Brickell / Love Has Come For You(Edie Brickell & Steve Martin)
・Allen Toussaint / Shrimp Po-Boy, Dressed(Allen Toussaint)
フォーク/ブルーグラス界の新たなミューズ、サラ・ジャロス! テキサス州オースティン出身。まだ20代前半という若き才女による3作目からのタイトル曲「Build Me Up From Bones」。これ、私の一押しです!! ギター、マンドリン、バンジョー、と数種の楽器を弾きこなす彼女は素敵な歌声の持ち主でもあり、ソングライターとしても非凡さを発揮しています。ノスタルジックな郷愁を誘うメロディと、ブルーグラスを基調にしながらも、まるで室内楽のように麗しい弦アンサンブルが秀逸。とは言えこの部門、ルーツ界の大物達がひしめいています。スティーヴ・アール然り、ティム・オブライエン&ダレル・スコット然り、アラン・トゥーサン然り。個人的にはアラン・トゥーサンが「SONGBOOK」と題したほぼセルフ・カヴァー作品で披露した新曲「Shrimp Po-Boy, Dressed」にも1票入れたいですね~。
BUDDY MILLER & JIM LAUDERDALE / BUDDY AND JIM
『BEST AMERICANA ALBUM』
・Emmylou Harris & Rodney Crowell / Old Yellow Moon
・Steve Martin & Edie Brickell / Love Has Come For You
・Buddy Miller And Jim Lauderdale / Buddy And Jim
・Mavis Staples / One True Vine
・Allen Toussaint / Songbook
ここも「ルーツな日記」的に大激戦区。私が1枚選ぶとすれば、エミルー・ハリス&ロドニー・クロウェルの「Old Yellow Moon」か、バディ・ミラー&ジム・ローダーデイルの「Buddy And Jim」か、どちらにするか迷った末に「Buddy And Jim」かな~?ってところ。エミルー&ロドニーも素晴らしいんですが、男のアウトロー・カントリーを渋く決めてくれたこの二人は、最高に格好良いですよね! あと注目はスティーヴ・マーティン&エディ・ ブリッケルの「Love Has Come For You」。大物コメディアン/俳優のスティーヴ・マーティンは一流のバンジョー奏者としても知られ、既に2枚のリーダー作をブルーグラス・チャートのトップに送り出している本格派。彼がエディ・ ブリッケル&ザ・ニュー・ボヘミアンズで知られ、ポール・サイモン夫人でもあるエディ・ ブリッケルと組んで録音したのが「Love Has Come For You」なのですが、これがオールド・カントリーな良い塩梅なんですよ。予想としては、案外ここが持っていくんじゃないかと思っています。対抗はやはりメイヴィス・ステイプルズでしょうね。こちらも評判良いですからね。ちなみに彼女の「One True Vine」をプロデュースしたウィルコのジェフ・トゥイーディーは、『PRODUCER OF THE YEAR, NON-CLASSICAL』部門にノミネートされています。でもね、なんだかんだで私、心の奥底ではアラン・トゥーサンが受賞して欲しいな、なんて思ってるんです…。
DEL McCOURY BAND / THE STREETS OF BALTIMORE
『BEST BLUEGRASS ALBUM』
・The Boxcars / It's Just A Road
・Dailey & Vincent / Brothers Of The Highway
・Della Mae / This World Oft Can Be
・James King / Three Chords And The Truth
・Del McCoury Band / The Streets Of Baltimore
何と言っても、ブルーグラス界の大御所デル・マッコーリー率いるデル・マッコーリー・バンドでしょう。トムポール・グレイザー&ハーレン・ハワードの名曲を冠した最新作「The Streets Of Baltimore」、間違いない出来映えです! 別に新しいことをやっている訳ではありませんが、それこそが信頼の証なのです。とは言え、ラストを締めるあの「Only You」のブルーグラス・カヴァーという大技には思わずニヤけてしまいました。それにしてもこの部門、流石アメリカには色々なブルーグラス・バンドがあるものですね。Della Maeは女性だけのグループで、ブルーグラスとはちょっと雰囲気を異にする華々しさが面白い。ちょっぴりハスキーな声を持つシンガーの、その歌心にも惹かれます。
BOBBY RUSH / DOWN IN LOUSIANA
『BEST BLUES ALBUM』
・Billy Boy Arnold, Charlie Musselwhite, Mark Hummel, Sugar Ray Norcia & James Harman / Remembering Little Walter
・James Cotton / Cotton Mouth Man
・Ben Harper With Charlie Musselwhite / Get Up!
・Beth Hart & Joe Bonamassa / Seesaw
・Bobby Rush / Down In Louisiana
なんか、この部門にしては珍しく、ちゃんとブルースらしい作品が選ばれたな。という印象。「ルーツな日記」としてはチトリン・サーキットの帝王ボビー・ラッシュの「Down In Louisiana」をプッシュしたい。現役でブルースの“いかがわしさ”を体現出来るシンガーはもうこの人だけかもしれません。独特のファンキーな感覚も健在。これは名盤ですよ!ベン・ハーパーとチャーリー・マッセルホワイトによる異色デュオ作「Get Up!」や、残された数少ない本物のリヴィング・レジェンドの一人、ジェイムス・コットンが多彩なゲストを向かえた最新作「Cotton Mouth Man」も話題になりましたね。その「Cotton Mouth Man」に参加していたジョー・ボナマッサと、強力女性シンガー、ベス・ハートによるコラボ第2弾「Seesaw」、さらに5人のハーピストがリトル・ウォルターをトリビュートした「Remembering Little Walter」、この2作品は残念ながら私は未聴なのですが、なかなか面白そうな作品が並びましたね。
GUY CLARK / MY FAVORITE PICTURE OF YOU
『BEST FOLK ALBUM』
・Guy Clark / My Favorite Picture Of You
・The Greencards / Sweetheart Of The Sun
・Sarah Jarosz / Build Me Up From Bones
・The Milk Carton Kids / The Ash & Clay
・VA / They All Played For Us: Arhoolie Records 50th Anniversary Celebration
テキサスを代表するヴェテラン・シンガー・ソング・ライター、ガイ・クラーク。72歳の彼がリリースした最新作「My Favorite Picture Of You」。この題名を解き明かすかのようにジャケ写にはガイ本人が一枚の写真を掲げている。そこに写っているのは一昨年に亡くなられた奥方スザンナ・クラークだそう。コンセプトアルバムではないそうですが、このタイトルとジャケ写だけでその世界に吸い込まれていきそうです。もちろん歌も曲もサウンドも最高です。これが取らなくて何が取る?もちろんサラ・ジャロスは大好きですけど、やっぱりここはガイ・クラークでしょう。あとエヴァー・グリーンなフォーク・デュオ、ザ・ミルク・カートン・キッズにも注目です。
THE LIFE & TIMES OF ... THE HOT 8 BRASS BAND / HOT 8 BRASS BAND
『BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM』
・Hot 8 Brass Band / The Life & Times Of...The Hot 8 Brass Band
・Kahulanui / Hula Ku'i
・Zachary Richard / Le Fou
・Terrance Simien & The Zydeco Experience / Dockside Sessions
・Joe Tohonnie Jr. / Apache Blessing & Crown Dance Songs
最近はここが最も楽しみだったりする『BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM』。なんだかよく分らない部門ですが、ここにニューオーリンズのブラスバンドやザディコ・アーティストがノミネートされる。今回も昨年のフジロックでの熱演が記憶に新しいホット8ブラス・バンドがノミネートされました。こちらは昨年リリースされた最新作ではなく、その前作にあたる作品で、最新作と合わせて2部作になっています。まあ、どちらも素晴らしいですよ! そのヒッピホップともリンクする横溢なストリート感覚は、現在最も注目されるべきブラス・バンドと言って良いでしょう。そしてザッカリー・リチャードとテランス・シミエンというケイジャン/ザディコ勢も気になります。正直、残りの2組についてはよく知らないのですが、Kahulanuiはハワイアン、Joe Tohonnie Jr.はインディアン系のようです。
MUSCLE SHOALS ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
『BEST COMPILATION SOUNDTRACK FOR VISUAL MEDIA』
・Django Unchained (Quentin Tarantino, compilation producer)
・The Great Gatsby [Deluxe Edition] (Baz Luhrman, compilation producer)
・Les Misérables [Deluxe Edition] (Cameron Mackintosh, Lee McCutcheon & Stephan Metcalfe, compilation producers)
・Muscle Shoals (Stephan Badger & Greg Camalier, compilation producers)
・Sound City: Real To Reel (Butch Vig, compilation producer)
グラミー賞ではあまり話題にならないサウンドトラック部門です。でも私は敢えて語りたい。だって我々ソウル・ファンが日本での公開を希望して止まない映画「Muscle Shoals」のサントラがノミネートされてるんですから。サザン・ソウルの聖地、マッスルショールズの栄華盛衰。とは言えもちろん私は映画を観てないんですけどね。このサントラを聴いてアラバマへ思いを馳せてるんです。アーサー・アレキサンダー「You Better Move On」に始まり、パーシー・スレッジ「When A Man Loves A Woman」、アレサ・フランクリン「I Never Loved A Man (The Way I Love You)」など定番が並び、レイナード・スキナードやジミー・クリフまでを網羅した全13曲。特筆すべきは最後に収められたアリシア・キーズによるボブ・ディランのカヴァー「Pressing On」。おそらく映画の中でこれを歌うシーンがあるんでしょうね。見たいですね~。アリシアは歌だけではなく印象的なピアノも弾いてます。これがまた良いんですよ。歌もピアノも!こういうアリシアが聴きたかった!バックにはデヴィッド・フッド(b)、スプーナー・オールダム(wurlitzer)、ジミー・ジョンソン(g)、ラリー バイロム(g)などがクレジットされ、プロデューサーにはリック・ホールも名を連ねる。アリシアはどんなシーンで出てくるんでしょう? あ~見たい。何とかなりませんかね? さて、他に気になる作品は、前回の当企画「その1」でも少し触れた、デイヴ・グロールの「Sound City: Real To Reel」ですね。あと「The Great Gatsby(邦題「華麗なるギャツビー」)」のサントラは、ジェイ・Zがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、ビヨンセとアンドレ3000のコラボによるエイミー・ワインハウスのカヴァー「Back To Black」が入ってたり。
さあ、いよいよ授賞式も間近になりましたね。受賞結果だけではなくパフォーマンスもありますからね。今年はどんなドラマが生まれるのか?楽しみですね!!
SARAH JAROSZ / BUILD ME UP FROM BONES
『BEST AMERICAN ROOTS SONG』
・Sarah Jarosz / Build Me Up From Bones(Sarah Jarosz)
・Steve Earle & The Dukes (& Duchesses) / Invisible(Steve Earle)
・Tim O'Brien And Darrell Scott / Keep Your Dirty Lights On(Tim O'Brien & Darrell Scott)
・Steve Martin & Edie Brickell / Love Has Come For You(Edie Brickell & Steve Martin)
・Allen Toussaint / Shrimp Po-Boy, Dressed(Allen Toussaint)
フォーク/ブルーグラス界の新たなミューズ、サラ・ジャロス! テキサス州オースティン出身。まだ20代前半という若き才女による3作目からのタイトル曲「Build Me Up From Bones」。これ、私の一押しです!! ギター、マンドリン、バンジョー、と数種の楽器を弾きこなす彼女は素敵な歌声の持ち主でもあり、ソングライターとしても非凡さを発揮しています。ノスタルジックな郷愁を誘うメロディと、ブルーグラスを基調にしながらも、まるで室内楽のように麗しい弦アンサンブルが秀逸。とは言えこの部門、ルーツ界の大物達がひしめいています。スティーヴ・アール然り、ティム・オブライエン&ダレル・スコット然り、アラン・トゥーサン然り。個人的にはアラン・トゥーサンが「SONGBOOK」と題したほぼセルフ・カヴァー作品で披露した新曲「Shrimp Po-Boy, Dressed」にも1票入れたいですね~。
BUDDY MILLER & JIM LAUDERDALE / BUDDY AND JIM
『BEST AMERICANA ALBUM』
・Emmylou Harris & Rodney Crowell / Old Yellow Moon
・Steve Martin & Edie Brickell / Love Has Come For You
・Buddy Miller And Jim Lauderdale / Buddy And Jim
・Mavis Staples / One True Vine
・Allen Toussaint / Songbook
ここも「ルーツな日記」的に大激戦区。私が1枚選ぶとすれば、エミルー・ハリス&ロドニー・クロウェルの「Old Yellow Moon」か、バディ・ミラー&ジム・ローダーデイルの「Buddy And Jim」か、どちらにするか迷った末に「Buddy And Jim」かな~?ってところ。エミルー&ロドニーも素晴らしいんですが、男のアウトロー・カントリーを渋く決めてくれたこの二人は、最高に格好良いですよね! あと注目はスティーヴ・マーティン&エディ・ ブリッケルの「Love Has Come For You」。大物コメディアン/俳優のスティーヴ・マーティンは一流のバンジョー奏者としても知られ、既に2枚のリーダー作をブルーグラス・チャートのトップに送り出している本格派。彼がエディ・ ブリッケル&ザ・ニュー・ボヘミアンズで知られ、ポール・サイモン夫人でもあるエディ・ ブリッケルと組んで録音したのが「Love Has Come For You」なのですが、これがオールド・カントリーな良い塩梅なんですよ。予想としては、案外ここが持っていくんじゃないかと思っています。対抗はやはりメイヴィス・ステイプルズでしょうね。こちらも評判良いですからね。ちなみに彼女の「One True Vine」をプロデュースしたウィルコのジェフ・トゥイーディーは、『PRODUCER OF THE YEAR, NON-CLASSICAL』部門にノミネートされています。でもね、なんだかんだで私、心の奥底ではアラン・トゥーサンが受賞して欲しいな、なんて思ってるんです…。
DEL McCOURY BAND / THE STREETS OF BALTIMORE
『BEST BLUEGRASS ALBUM』
・The Boxcars / It's Just A Road
・Dailey & Vincent / Brothers Of The Highway
・Della Mae / This World Oft Can Be
・James King / Three Chords And The Truth
・Del McCoury Band / The Streets Of Baltimore
何と言っても、ブルーグラス界の大御所デル・マッコーリー率いるデル・マッコーリー・バンドでしょう。トムポール・グレイザー&ハーレン・ハワードの名曲を冠した最新作「The Streets Of Baltimore」、間違いない出来映えです! 別に新しいことをやっている訳ではありませんが、それこそが信頼の証なのです。とは言え、ラストを締めるあの「Only You」のブルーグラス・カヴァーという大技には思わずニヤけてしまいました。それにしてもこの部門、流石アメリカには色々なブルーグラス・バンドがあるものですね。Della Maeは女性だけのグループで、ブルーグラスとはちょっと雰囲気を異にする華々しさが面白い。ちょっぴりハスキーな声を持つシンガーの、その歌心にも惹かれます。
BOBBY RUSH / DOWN IN LOUSIANA
『BEST BLUES ALBUM』
・Billy Boy Arnold, Charlie Musselwhite, Mark Hummel, Sugar Ray Norcia & James Harman / Remembering Little Walter
・James Cotton / Cotton Mouth Man
・Ben Harper With Charlie Musselwhite / Get Up!
・Beth Hart & Joe Bonamassa / Seesaw
・Bobby Rush / Down In Louisiana
なんか、この部門にしては珍しく、ちゃんとブルースらしい作品が選ばれたな。という印象。「ルーツな日記」としてはチトリン・サーキットの帝王ボビー・ラッシュの「Down In Louisiana」をプッシュしたい。現役でブルースの“いかがわしさ”を体現出来るシンガーはもうこの人だけかもしれません。独特のファンキーな感覚も健在。これは名盤ですよ!ベン・ハーパーとチャーリー・マッセルホワイトによる異色デュオ作「Get Up!」や、残された数少ない本物のリヴィング・レジェンドの一人、ジェイムス・コットンが多彩なゲストを向かえた最新作「Cotton Mouth Man」も話題になりましたね。その「Cotton Mouth Man」に参加していたジョー・ボナマッサと、強力女性シンガー、ベス・ハートによるコラボ第2弾「Seesaw」、さらに5人のハーピストがリトル・ウォルターをトリビュートした「Remembering Little Walter」、この2作品は残念ながら私は未聴なのですが、なかなか面白そうな作品が並びましたね。
GUY CLARK / MY FAVORITE PICTURE OF YOU
『BEST FOLK ALBUM』
・Guy Clark / My Favorite Picture Of You
・The Greencards / Sweetheart Of The Sun
・Sarah Jarosz / Build Me Up From Bones
・The Milk Carton Kids / The Ash & Clay
・VA / They All Played For Us: Arhoolie Records 50th Anniversary Celebration
テキサスを代表するヴェテラン・シンガー・ソング・ライター、ガイ・クラーク。72歳の彼がリリースした最新作「My Favorite Picture Of You」。この題名を解き明かすかのようにジャケ写にはガイ本人が一枚の写真を掲げている。そこに写っているのは一昨年に亡くなられた奥方スザンナ・クラークだそう。コンセプトアルバムではないそうですが、このタイトルとジャケ写だけでその世界に吸い込まれていきそうです。もちろん歌も曲もサウンドも最高です。これが取らなくて何が取る?もちろんサラ・ジャロスは大好きですけど、やっぱりここはガイ・クラークでしょう。あとエヴァー・グリーンなフォーク・デュオ、ザ・ミルク・カートン・キッズにも注目です。
THE LIFE & TIMES OF ... THE HOT 8 BRASS BAND / HOT 8 BRASS BAND
『BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM』
・Hot 8 Brass Band / The Life & Times Of...The Hot 8 Brass Band
・Kahulanui / Hula Ku'i
・Zachary Richard / Le Fou
・Terrance Simien & The Zydeco Experience / Dockside Sessions
・Joe Tohonnie Jr. / Apache Blessing & Crown Dance Songs
最近はここが最も楽しみだったりする『BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM』。なんだかよく分らない部門ですが、ここにニューオーリンズのブラスバンドやザディコ・アーティストがノミネートされる。今回も昨年のフジロックでの熱演が記憶に新しいホット8ブラス・バンドがノミネートされました。こちらは昨年リリースされた最新作ではなく、その前作にあたる作品で、最新作と合わせて2部作になっています。まあ、どちらも素晴らしいですよ! そのヒッピホップともリンクする横溢なストリート感覚は、現在最も注目されるべきブラス・バンドと言って良いでしょう。そしてザッカリー・リチャードとテランス・シミエンというケイジャン/ザディコ勢も気になります。正直、残りの2組についてはよく知らないのですが、Kahulanuiはハワイアン、Joe Tohonnie Jr.はインディアン系のようです。
MUSCLE SHOALS ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
『BEST COMPILATION SOUNDTRACK FOR VISUAL MEDIA』
・Django Unchained (Quentin Tarantino, compilation producer)
・The Great Gatsby [Deluxe Edition] (Baz Luhrman, compilation producer)
・Les Misérables [Deluxe Edition] (Cameron Mackintosh, Lee McCutcheon & Stephan Metcalfe, compilation producers)
・Muscle Shoals (Stephan Badger & Greg Camalier, compilation producers)
・Sound City: Real To Reel (Butch Vig, compilation producer)
グラミー賞ではあまり話題にならないサウンドトラック部門です。でも私は敢えて語りたい。だって我々ソウル・ファンが日本での公開を希望して止まない映画「Muscle Shoals」のサントラがノミネートされてるんですから。サザン・ソウルの聖地、マッスルショールズの栄華盛衰。とは言えもちろん私は映画を観てないんですけどね。このサントラを聴いてアラバマへ思いを馳せてるんです。アーサー・アレキサンダー「You Better Move On」に始まり、パーシー・スレッジ「When A Man Loves A Woman」、アレサ・フランクリン「I Never Loved A Man (The Way I Love You)」など定番が並び、レイナード・スキナードやジミー・クリフまでを網羅した全13曲。特筆すべきは最後に収められたアリシア・キーズによるボブ・ディランのカヴァー「Pressing On」。おそらく映画の中でこれを歌うシーンがあるんでしょうね。見たいですね~。アリシアは歌だけではなく印象的なピアノも弾いてます。これがまた良いんですよ。歌もピアノも!こういうアリシアが聴きたかった!バックにはデヴィッド・フッド(b)、スプーナー・オールダム(wurlitzer)、ジミー・ジョンソン(g)、ラリー バイロム(g)などがクレジットされ、プロデューサーにはリック・ホールも名を連ねる。アリシアはどんなシーンで出てくるんでしょう? あ~見たい。何とかなりませんかね? さて、他に気になる作品は、前回の当企画「その1」でも少し触れた、デイヴ・グロールの「Sound City: Real To Reel」ですね。あと「The Great Gatsby(邦題「華麗なるギャツビー」)」のサントラは、ジェイ・Zがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、ビヨンセとアンドレ3000のコラボによるエイミー・ワインハウスのカヴァー「Back To Black」が入ってたり。
さあ、いよいよ授賞式も間近になりましたね。受賞結果だけではなくパフォーマンスもありますからね。今年はどんなドラマが生まれるのか?楽しみですね!!