ルーツな日記

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私の好きなポール・マッカートニー ビートルズ編 その2

2013-11-16 15:31:39 | ルーツ・ロック
「ジョンとポール、どっちが好き?」と問われたら、迷わず「ジョン!」と答えてしまう私が選ぶ「私の好きなポール・マッカートニー」。前回は、ビートルズの楽曲中でポールの名曲10選を選びましたが、今回はビートルズの楽曲中で、ポール以外のメンバーが作った曲、もしくはジョンとポールの共作のうちジョン色が濃いものの中から、ポールの貢献が格好良い曲ベスト10です。もちろん、私の個人的な趣味と偏見と、そして今日の気分で選んだベスト10ですのであしからず。それではどうぞ!


1位 A Day In The Life
2位 Rain
3位 Tomorrow Never Knows
4位 Something
5位 Come Together
6位 Taxman
7位 The Ballad of John and Yoko
8位 Don't Let Me Down
9位 If I Needed Someone
10位 Help!


第1位は「A Day In The Life」。これは純然たるジョンとポールの共作ですが、主幹部分をジョンが作り、それに挟まれる短いパートをポールが作った感じなのでやはりジョン色が濃いですよね。とにかくジョンの作ったメロディーとそれを歌うジョンの歌声が素晴らしい! それに比べ、ポールのパートはメロディーの起伏も少なく、取って付けたような印象。でもこのポールのパートが案外効いているんですよ。声を含めたこのパートの対比が不思議なマジックを生み出すよう。まさにビートルズ・マジック! しかもポールの果たした役割はこれだけではありません。って言うかここからが本題です。この曲で最も印象的な、低音から高音へ上がっていくあのオーケストラのパート。あの狂気としか思えないアイデアはポールのものだったそうです。ジョンのパートを引き継ぐように始まるあのオーケストラが醸すカタルシスは堪りませんよね。まさにジョンの曲だからこそ出来たアヴァンギャルドな展開であり、ジョンとポールの創造力が成し得た奇跡のような曲。

あとこの曲、私は小学生の頃に初めて聴いて、実はかなり恐かったんです。しばらく2度と聴く気になれない程。ちょっとしたトラウマですよ。ジョンの歌もちょっと恐かったですが、何と言ってもあのオーケストラ! 子供にとってアレはほとんどホラーの領域。もちろん大人になって聴くと、ジョンの声もオーケストラもさして恐くはない。でも曲の印象としてはやっぱりちょっと恐い。何かが子供の頃のトラウマを呼び起こす感じ。その原因は案外ポールのベースかもしれません。メロディを排し、ズンズンズンズンと地を這うようなあのベース。まるで聴けば聴く程不安を掻き立てられるような。やっぱりこの曲の潜在的な恐さはポールのベースであり、それが妙にクセになるんです。


第2位は「Rain」。ジョンが作った曲という印象が強いですが、ポール曰く「多少ジョン寄りの、でも共同で作った曲」(『メニー・イヤー・フロム・ナウ』より)。この曲のベース・ラインは格好良いですよね~。「A Day In The Life」とは対照的に激しく動き回る。これぞリード・ベース。思わず耳がベースを追ってしまいます。リンゴのドラムスとのコンビネーションも刺激的。ブレイクがまた格好良い! この曲はそれまでの曲に比べてドラムとベースにやたら迫力を感じますが、これはリズムトラックを通常より早回しで録音し、最後にスピードをおとすことによって得られた効果だそうです。この頃からビートルズは録音のスピードをいじりまくるようになってくるんですよね~。

第3位は「Tomorrow Never Knows」。ビートルズが本格的に分け分からなくなってきた脅威の曲。もちろんジョンレノンの作。ワンコードに乗ってサイケデリックに変化していくようなジョンのヴォーカルが白眉ですが、その後ろを飛び交うカモメの声のような音、いわゆる「テープループ」により作られたものだそうですが、それを仕掛けたのはポールだったとか。このころポールはロンドンのアンダーグラウンド/アヴァンギャルド・シーンにハマっていて、こういったコラージュをビートルズに取り入れたいと考えていたそう。ジョンとポールの前衛性ががっちりハマった名曲ですね。あとリンゴのドラムも最高!!


第4位はジョージ作の名曲「Something」。「Rain」と双璧を成す格好いいベースラインの代表。しかもスロー・ナンバーですからね。ジョージの美しいヴォーカル・メロディを聴きながら、耳のどこかでポールのベースを追いかけてしまう。この二つの兼ね合いがまた素晴らしい。で、案外リンゴのドラムスも特筆もの。

第5位はジョン作の「Come Together」。ロック史に残るベース・イントロ! もちろんイントロだけではなく、何か不安をかき立てるようなポールのベース・ラインが、ジョンのヒリヒリとしたヴォーカルと共にこの曲の印象を決定づけています。ちなみに69年10月、この曲は先の「Something」と共に両A面シングルとしてリリースされましたが、両面とも作曲にポールが絡んでないながら、案外一番ポールが目立ってる、みたいな。

第6位はジョージの「Taxman」。この曲はベースも格好いいんですが、何と言ってもギター・ソロ! ジョージの曲なのに何故かポールがソロを弾いてるんですよね。ジョージには大変申し訳ないんですが、私がビートルズで一番好きなギター・ソロです。最後にもう一度同じソロが繰り返されるところも格好いい!!

第7位はジョンの作「The Ballad of John and Yoko」。ジョンがヴォーカル&ギター、そして残りのパートを全てポールが担当し、2人だけで録音した曲。ポールはベース、ドラムス、ピアノ、マラカス、バック・ヴォーカル等、マルチな才能でジョンをバックアップ。演奏だけでなく作曲の仕上げなども手伝ったそうです。ゲット・バック・セッション直後という、世間的にはポールとジョンの仲が最悪と言われる時期でありながら、ポールを頼るジョン、そしてジョンを助けるポール。二人の友情を超えたような不思議な関係に魅力を感じます。

第8位はこれもジョンの曲「Don't Let Me Down」。この曲のボトムを支えているのは明らかにポールのベースライン。バッキングは8割型ベースで持ってる感じですよね。もちろんビリー・プレストンの鍵盤も貢献度高いですね。ジョンのロックなヴォーカルを、バッキングがソウルフルに聴かせている感じ。名演ですね!

第9位はジョージ作「If I Needed Someone」。この曲のベースについて革新的だという話はあまり聴きませんが、個性的なワン・フレーズをループのように繰り返すことにより得られる独特の浮遊感にサイケへの萌芽を感じさせられずにはいられません。この曲が収録された「RUBBER SOUL」あたりから、ポールのベースラインは野心的になっていきますよね。

第10位はジョンの名曲「Help!」。ビートルズの曲は何所までが個人の作で、何所からが共作なのかその線引きがなかなか難しい。特に初期の曲はそう。ほぼジョンの作というイメージのこの曲も実はそういう曲のようで、『メニー・イヤー・フロム・ナウ』の中でポールは「ジョンのメロディに相対するメロディが僕のアイデア」と語っています。これは何を指すのでしょうか? これがAメロの後ろでジョンと並走するように流れるコーラスを指すのであれば、かなりの貢献度なんですが、どうなんでしょうね? 私、あのコーラス大好きなんですよ~。



さて、現在来日中のポール・マッカートニー。これまでポールの来日公演にはあまり興味が沸かなかった私ですが、何故か今回は妙にそそられています。という訳で私のポール初体験も近づいてきました。いや、ポール初体験というだけでなく、元ビートルズ初体験でもあります。11月19日、東京ドーム。2階スタンド席ですけどね…。



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 13.11.11 私の好きなポール・マッカートニー ビートルズ編 その1